損益分岐点とは?計算式と求め方をわかりやすく解説
- 損益分岐点とは?
- 損益分岐点とは?
- 損益分岐点を構成する費用の種類
- わかりやすい損益分岐点 簡単解説
- グラフで理解する損益分岐点
- 損益分岐点の増減でどうなる?
- 損益分岐点の計算式と求め方
- 損益分岐点の計算式と求め方
- 損益分岐点比率と安全余裕率
- 損益分岐点を下げるには?
- 損益分岐点の計算ツール
- 損益分岐点をExcel(エクセル)で求めるには?
- Excel(エクセル)で損益分岐点のグラフは作れる?!
- 【まとめ】マネージャーは損益分岐点を知ってくことは必須。社員教育で管理会計強化へ。
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企業の利益状況の健全性を図るための重要な指標である損益分岐点。
耳にしたことはあるものの、どのような意味なのか曖昧な方もいるのではないでしょうか?
ここでは、損益分岐点をグラフ用いてわかりやすく説明するとともに、各指標の考え方なども解説します。
損益分岐点とは?
損益分岐点を耳にしたことはありますが、内容はあまり分からないという方もいるでしょう。
ここでは、損益分岐点の概要と構成する費用の種類について説明します。
損益分岐点とは?
損益分岐点(BEP : Break Even Point)とは、費用を収益でカバーして損益が「0」になる利益状態で、「損」と「益」の分岐点を指します。
損益分岐点を超える売上高、あるいは売上数量であれば利益が出る状態であり、損益分岐点未満の売上高、あるいは売上数量であれば損失の状態です。
損益分岐点 → 売上高 - 費用 = 0
損益分岐点を構成する費用の種類
費用には、原材料費や外注費、販売手数料など売上の増減によって変動する「変動費」、人件費や設備費・減価償却費など売上の増減に拘らず固定に発生する「固定費」があります。
当然のことながら、売上高すべてが利益というわけではなく、売上高から人件費や家賃などの経費を引いて利益を出していきます。
費用には、売上に比例して増加する変動費と売上に関係なく発生する固定費があります。
費用 = 固定費 + 変動費
固定費は、たとえ売上がゼロでも発生する費用ですので、損益分岐点を下回る赤字を計上したとしても、固定費をカバーできる売上を確保することは企業存続のうえで極めて重要です。
わかりやすい損益分岐点 簡単解説
損益分岐点は、グラフで見ると理解しやすいです。ここでは、グラフを用いて損益分岐点をわかりやすく解説します。
グラフで理解する損益分岐点
損益分岐点は、グラフで見ると理解しやすいです。ここでは、グラフを用いて損益分岐点をわかりやすく解説します。
グラフでは、売上高・売上数量と固定費、変動費の関係から、どのように損益分岐点が導かれるかを図に示しています。
縦軸は収益・費用、横軸には売上高・売上数量とし、「売上高線」「変動費線」「固定費線」をプロットしています。
図で見るとわかるように、固定費線は、売上高がゼロであってもそうでなくても一定の金額になっています。
総費用線は、固定費・変動費の合計費用であり、売上の増加に応じて変動費の増加分と固定費の合計が右肩上がりに上がっています。
売上高線と総費用線が交わる点が損益分岐点となり、この損益分岐点では売上高と総費用の差がゼロになります。
損益分岐点の増減でどうなる?
損益分岐点は、売上と費用がゼロとなる売上高・売上数量ですが、損益分岐点が引き下がると、引き下がる前と同じ売上高でも多くの利益をあげることができます。
逆に、損益分岐点が引き上がると引き上がる前と同じ売上高でも利益が少なくなります。
なお、売上高から変動費を差し引いた利益を「限界利益」といい、限界利益は大きいほど利益を上げる効率は高いといえます。
限界利益 = 売上高 - 変動費
式からわかるとおり、固定費を回収する利益といえ、固定費回収をできない限界利益であれば、事業の存続は難しいといえます。
損益分岐点の計算式と求め方
損益分岐点の考え方をグラフで説明してきましたが、ここでは損益分岐点の求め方、損益分岐点比率と安全余裕率、損益分岐点の下げる方法について紹介します。
損益分岐点の計算式と求め方
損益分岐点は、「損益分岐点売上高」と「損益分岐点売上数量」の2種類があります。
売上高でみる場合と売上数量で見る場合で変わりますが、「損益分岐点売上高」は管理会計、「損益分岐点売上数量」は経営工学で使われることが多いです。
損益分岐点売上高
損益分岐点売上高は、計算式は次のとおりなります。
「損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益比率」
限界利益率は、「1 - 変動費 ÷ 売上高」で求めることができます。
【損益分岐点売上高 計算例】
売上高:1,000万円
固定費:400万円
変動費:200万円
公式にあてはめると次のとおりとなります。
限界利益率: 1 - (200万円(変動費) ÷ 1,000万円(売上高)) = 80%
損益分岐点売上高:400万円(固定費) ÷ 80%(限界利益率) = 500万円
この結果、損益分岐点売上高は、500万円となります。
・損益分岐点売上数量
損益分岐点売上数量は、計算式は次のとおりなります。
「損益分岐点売上数量 = 固定費 ÷ 1個あたりの限界利益」
1個あたりの限界利益は、「売上単価 - 1個あたりの変動費」で求めることができます。
【損益分岐点売上高 計算例】
売上単価:1,000円/個
仕入単価:400円/個
賃料:400万円/月
人件費:20万円/月・1名(従業員は合計10名)
公式にあてはめると次のとおりとなります。
限界利益: 1,000円(売上単価) - 400円(仕入単価) = 600円
固定費:400万円(賃料) + 20万円(人件費/名)×10名(従業員人数) = 600万円
損益分岐点売上数量:600万円(固定費) ÷ 600円 = 10,000個
この結果、損益分岐点売上数量は、10,000個となります。
損益分岐点比率と安全余裕率
損益分岐点比率や安全余裕率は、ともに安全性を評価する指標です。それぞれ概要と計算式を紹介します。
損益分岐点比率
損益分岐点比率は、損益分岐点売上高に対する実際の売上高の比率です。
この比率が低いほど、損益分岐点に比較して大きな売上を上げている状態で、健全な売上状態といえます。
損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 × 100
安全余裕比率
安全余裕率は、実際の売上高と損益分岐点の差の比率です。
この比率が高いほど、損益分岐点に比較して大きな売上を上げている状態で、健全な売上状態といえます。
安全余裕率 = (実際の売上高 - 損益分岐点売上高) ÷ 実際の売上高 × 100
損益分岐点を下げるには?
損益分岐点を下げるにはどうするか、公式から考えてみます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益比率
式からわかるとおり、分子となる「固定費を下げる」「限界利益率を上げる」の2通りに分解できます。
固定費を下げる
「設備の見直し」「人員の見直し」「アウトソーシングの活用」などがあげられます。
限界利益率を上げる
限界利益率を上げるには、さらに「売上高を増やす」「変動費を下げる」に分解できます。
売上高を増やすには、業種・業態・企業によって各様ですので詳細はふれませんが、「顧客を増やす」「顧客単価を上げる」「購買回数を増やす」「離脱顧客を減らす」などの売上向上策をマーケティング戦略の見直しを踏まえて検討する必要があるでしょう。
変動費を下げるには、「原材料費の削減」「運送費の見直し」「在庫管理の徹底」などがあげられます。
損益分岐点の計算ツール
損益分岐点は、ここまで説明したように公式で求めることができるため、Excelで算出することも可能です。
ここでは、Excelでの求め方やグラフの作り方について説明します。
損益分岐点をExcel(エクセル)で求めるには?
ここでは、損益分岐点売上高を求める場合の説明をします。損益分岐点売上高の公式は、「損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益比率」ですので、その要素となる「売上高」「固定費」「変動費」のデータを集めます。
説明を単純化するため、固定費・変動費については、具体的な数値で表記せずに、「固定費」「変動費」と言葉の表記で演算式には記載いたしますが、実際には、固定費や変動費を求めるために各種項目を集計する等の作業がありますことに留意してください。
演算式に、「固定費 ÷ (1 - 変動費 ÷ 売上高)」を組み込むことで計算可能です。
Excel(エクセル)で損益分岐点のグラフは作れる?!
損益分岐点売上高のグラフを作るには、次のように各項目の最小値と最大値のExcel表を作成する必要があります。
それぞれ入力しますが、売上高最小値はゼロ、「変動費+固定費」の最小値は、固定費額となります。最大売上高は、過去の実績から売上高の最大値を入力します。
Excelのグラフ機能で、グラフの「面」を選択し、すべての項目の数値を積み上げて表示されるグラフを選択します。
基本的にはこれで完成ですが、グラフタイトルやグラフ書式を見やすく調整したほうが良いでしょう。
【まとめ】マネージャーは損益分岐点を知ってくことは必須。社員教育で管理会計強化へ。
本記事では、損益分岐点の内容をグラフで解説するなどわかりやすく説明するとともに、管理会計上の損益分岐点の考え方などを解説しました。
損益分岐点は、自社の売上高が適正かを見る重要な指標です。限界利益で固定費をカバーできない状態では企業の存続は立ち行かない状態といえ、経理や財務、経営企画部門以外の者でも自社の損益分岐点は知っておく必要があります。
損益分岐点比率や安全余裕率を定期的にウォッチし、必要な損益分岐点の引き下げ手段を講じる必要がありますが、「売上を増やす」「変動費を下げる」「固定費を下げる」などの方策は、組織横断的に対応することが求められます。
マネージャークラスの者は、損益分岐点などの管理会計の考え方の基礎は知っておく必要がありますので、管理会計強化のため、教育目標を設定し、社員教育を実施しましょう。
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