カンパニー制とは?メリットとデメリットやホールディング制との違いと導入企業について解説
人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート
- カンパニー制とは
- カンパニー制と事業部制との違い
- カンパニー制とホールディングス制(持株会社制)との違い
- カンパニー制のメリット
- 意思決定のスピードアップ
- 組織力の向上
- 経営人材の育成
- カンパニー制のデメリット
- 事業間のシナジーの減少
- 結果至上主義の台頭
- 重複部門の存在によるコスト増加
- カンパニー制を失敗させないためのポイント
- カンパニーの独立性を保つ
- カンパニー間のシナジーを意識する
- 従業員の公平性を保つ
- カンパニー制の導入企業事例
- 楽天グループ株式会社
- 株式会社みずほフィナンシャルグループ
- シャープ株式会社
- カンパニー制などの組織形態は自社に合った形態の採用を
カンパニー制とは、組織形態の1つで、複数の事業を持つ企業が個々の事業ごとに採算を分け、個々の事業を独立した1つの会社のように扱う形態を指し、それぞれのカンパニーに社長にあたるポジションを設け、経営、人事、投資などに関わる多くの権限を付与します。
この記事では、カンパニー制と事業部制やホールディングス制(持株会社制)との違い、カンパニー制のメリットとデメリット、カンパニー制を失敗させないためのポイント、カンパニー制の導入企業事例について解説します。
各カンパニーの従業員データを一元管理
カンパニー制とは
カンパニー制とは、組織形態の1つです。
組織形態とは、目的を達成するために従業員を特定の形に編成する部や課などの形を指します。
カンパニー制は、複数の事業を持つ企業が個々の事業ごとに採算を分け、個々の事業を独立した1つの会社のように扱う形態を指します。
それぞれのカンパニーには社長にあたるポジションを設け、経営、人事、投資などに関わる多くの権限を付与します。
カンパニー制と事業部制との違い
事業部制も組織形態の1つです。
事業部制とカンパニー制の大きな違いは、権限の大きさと会計上独立しているかどうかという点です。
カンパニー制では、1つの事業が会社として扱われるため、多くの権限が委譲されており、会計上も独立しています。
しかし、事業部制は企業の中の1部門としての扱いになるため、人事権や投資権はなく、会計上も独立していません。
カンパニー制とホールディングス制(持株会社制)との違い
ホールディングス制(持株会社制)も組織形態の1つです。
ホールディングス制とカンパニー制の大きな違いは、分けられた会社の法律上の扱い方という点です。
カンパニー制は、事業部門を1つの会社のように扱いますが、あくまで社内上の話で、法的に会社化されているわけではないため同一法人として扱われます。
ホールディングス制では、事業部門を法的に子会社として分社化するため、別法人として扱われます。
カンパニー制のメリット
カンパニー制を採用することでどのような効果があるのか、カンパニー制のメリットについて確認してみましょう。
カンパニー制のメリット
意思決定のスピードアップ
組織力の向上
経営人材の育成
意思決定のスピードアップ
カンパニー制のメリットとして、「意思決定のスピードアップ」があげられます。
人事権や投資権など多くの権限が委譲されるため、意思決定のスピードが上がります。
市場環境の変化が激しい中、意思決定のスピードは非常に重要です。
市場の変化にいち早く対応することで、他社に先んじたサービス提供等が可能になり競合優位性にもつながります。
組織力の向上
カンパニー制のメリットとして、「組織力の向上」があげられます。
事業部門が1つの会社としてみなされることで、組織に属する従業員の結びつきがより強くなり、組織力の向上が期待できます。
また、独立性が高くなることで事業部制に比べ、他のカンパニーとの競争が激しくなり、社内競争が起こることで、カンパニー単位での組織力向上が期待できるのです。
経営人材の育成
カンパニー制のメリットとして、「経営人材の育成」があげられます。
独立性を高めたカンパニーの責任者は、会社のトップと言えます。
カンパニーの責任者のポジションに育成したい人材を配置することで、実際の会社経営に近い経験を積ませることが可能なため、次世代の経営者やリーダーを育成する、他にはない場所となります。
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カンパニー制のデメリット
カンパニー制にはデメリットといえる側面も存在します。
カンパニー制のデメリットについて確認してみましょう。
カンパニー制のデメリット
事業間のシナジーの減少
結果至上主義の台頭
重複部門の存在によるコスト増加
事業間のシナジーの減少
カンパニー制のデメリットとして、「事業間のシナジーの減少」があげられます。
事業部がカンパニーとなることで、独立性が高まります。
また、カンパニー間での社内競争によって、事業ごとに協力する事が減少する可能性があり、事業部間のシナジーが減少する恐れがあります。
結果至上主義の台頭
カンパニー制のデメリットとして、「結果至上主義の台頭」があげられます。
社内競争が加速することによって、売上や利益などの結果さえ良ければそれで良い、というように、結果を重視する経営が行われる可能性があります。
また、不正会計や不都合な事実の隠蔽など、不祥事につながる恐れがあります。
重複部門の存在によるコスト増加
カンパニー制のデメリットとして、「重複部門の存在によるコスト増加」があげられます。
各カンパニーごとに人事や総務、経理などの機能を持つことで、カンパニー間で機能が重複してしまい、業務効率の低下や人材の重複が起き、会社全体で見た時にコストが増加してしまいます。
カンパニー制を失敗させないためのポイント
カンパニー制の導入を成功に導くためには、カンパニー制の特徴を理解することが重要です。
カンパニー制を失敗させないためのポイントについて確認してみましょう。
カンパニー制を失敗させないためのポイント
カンパニーの独立性を保つ
カンパニー間のシナジーを意識する
従業員の公平性を保つ
カンパニーの独立性を保つ
カンパニー制を失敗させないためのポイントとして、「カンパニーの独立性を保つ」ことがあげられます。
カンパニー制のメリットの1つとして、独立性の高さからのスピード感があげられます。
しかし、独立性を軽視し、本社や役員がカンパニーの事業運営に口を出してしまう場合もあります。
そうなると本来のスピード感が発揮できず、カンパニー制のメリットを活かせないまま失敗に終わってしまう可能性があります。
カンパニー制を採用する場合は、独立性を保つことを忘れないようにしましょう。
カンパニー間のシナジーを意識する
カンパニー制を失敗させないためのポイントとして、「カンパニー間のシナジーを意識する」ことがあげられます。
社内競争の激化によって、カンパニー間の協力関係が希薄になってしまうなど、カンパニー制のデメリットが現れてしまう場合があり、自部門の利益のみを優先するセクショナリズムの状態になってしまう場合があります。
しかし、元は1つの会社でありカンパニー制の目的は会社全体の業績や価値向上であるはずです。
カンパニー制の目的を忘れずに、カンパニー間でシナジーが生まれるような事業運営を行うようにしましょう。
そのためには、本社がシナジーが生まれるようなカンパニー間の人材交流や施策などを打つことも重要です。
▼「セクショナリズム」についてさらに詳しく
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従業員の公平性を保つ
カンパニー制を失敗させないためのポイントとして、「従業員の公平性を保つ」ことがあげられます。
カンパニーの独立性の高さから、給与や待遇にカンパニー間で差が出てしまう可能性があります。
同じ会社内で差が出てしまうことは不公平感を持つことにつながり、従業員のモチベーションが低下してしまう恐れがあります。
従業員の働き方や待遇については、公平性が保てるよう本社でコントロールできるようにしておきましょう。
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カンパニー制の導入企業事例
実際にカンパニー制はどのような企業が導入しているのか、カンパニー制を導入している企業について確認してみましょう。
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社は、楽天市場、楽天銀行、楽天カードなど多くの事業を行っている企業です。
2016年に社内カンパニー制度を導入し、戦略的な観点から事業の類似性や親和性を考慮して、複数のカンパニーを編成しています。
カンパニー制の狙いとしては、各カンパニーのアカウンタビリティー(責務)の明確化、アントレプレナーシップの醸成と活性化があげられ、イノベーションの創出を目指しています。
※アントレプレナーシップとは、「起業家(企業家)精神」と訳される言葉で、新しい事業やプロジェクトの立ち上げや運用を行う能力や、様々な変化や困難に対して、自ら行動し立ち向かう精神や姿勢のことを指します。
(参考)楽天グループ株式会社「楽天、グループ内カンパニー制の新体制を発表」
▼「イノベーション」についてさらに詳しく
イノベーションとは?種類や企業が注意すべき点について簡単に分かりやすく解説
株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほフィナンシャルグループは、2016年にカンパニー制を導入し、10あったユニットを5カンパニー2ユニットへと再編しました。
そして、顧客のニーズを優先し、顧客の声を元にサービスや商品を開発し提供していくマーケットイン型のアプローチを徹底的に強化し、カンパニー毎の収益性強化を目指しました。
また、現場力や営業力強化を目的とし、本部から現場への人材シフトとスピーディーな意思決定の実現を行いました。
さらに、5カンパニーとは別に設けられた2つのユニットは、専門性の強化と全カンパニーの横断的な機能活用を目的として再編されています。
(参考)みずほフィナンシャルグループ「カンパニー制の導入」
シャープ株式会社
シャープ株式会社は、2015年にカンパニー制を導入しました。
営業赤字に転じた2014年度決算の結果を踏まえ、人員削減などを迫られていたため、構造改革の一環として、顧客や事業特性に応じて5つのカンパニーへと組織再編をしています。
カンパニー制の狙いとしては、コーポレートによるガバナンスの強化、事業内容が近い部門統合による相乗効果、財務三表に基づく自立したカンパニー経営の実施があげられます。
カンパニーごとの不正を防止しつつ、スピード感を活かした経営を行うことで業績改善を図っています。
(参考)シャープ株式会社「2015~2017年度中期経営計画」
▼「ガバナンス」についてさらに詳しく
ガバナンスとは?意味やコンプライアンスとの違いと強化する方法についてわかりやすく解説
カンパニー制などの組織形態は自社に合った形態の採用を
カンパニー制とは、組織形態の1つで、複数の事業を持つ企業が個々の事業ごとに採算を分け、個々の事業を独立した1つの会社のように扱う形態を指します。
それぞれのカンパニーには社長にあたるポジションを設け、経営、人事、投資などに関わる多くの権限を付与します。
組織形態には他にも、事業部制、ホールディングス制など様々な形があります。
カンパニー制だけでなく、それぞれの形態の特徴を把握したうえで、自社にあった形態を採用し、企業価値の向上を推進していくようにしましょう。
「HRBrain タレントマネジメント」は、評価の透明性を可能にし、カンパニー間での評価のばらつきを防止します。
さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。
HRBrain タレントマネジメントの特徴
検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現
運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。
柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を
従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。
人材データの見える化も柔軟で簡単に
データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。
▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説
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