#人材管理
2023/08/30

従業員満足度と離職率の関係とは?優秀人材の離職を防ぐ方法について

目次

    離職率というワードは日常会話でも耳にすることがありますが、そもそもどうやって計算した数字なのか説明できない人も中にはいるのではないでしょうか。

    離職率は、設定した期間内で離職者数÷在籍従業員数×100で算出できます。

    設定する期間は、一般的に年4月から翌年3月までの数字を使いますが、企業によっては入社3年間の離職率を算出しているケースもあり、その時々で異なるのが実態です。

    この離職率は企業の働きやすさを比較する際に用いられることが多く、離職率が低い会社は働きやすい環境であるイメージを世間にアピールできます。

    今回は、従業員満足度にも関係する離職率について、近年の傾向なども交えながら解説します。

    コロナ禍における離職率について

    離職率の上昇は日本社会全体の流れに大きな影響を受けやすい傾向にあり、コロナも例外ではありません。

    新型コロナウイルスが流行した2020年の離職率はその年の就職率を上回り、この現象は東日本大震災が起きた2011年以来の9年ぶりの逆転でした。

    コロナ禍で生活や働く環境が大きく変化している現在では、自分の意思で会社を辞める人もいれば、会社の業績が悪化し、同じ会社では働けなくなった人もいます。

    皆さんの身近な例だと、飲食業で働く人たちはコロナの影響を大きく受けており、緊急事態宣言下で営業時間短縮を余儀なくなった中での事業は困難を極めるものでした。

    国からの援助を受けれる業種であっても、苦しい状況が続いたり、以前とは違う環境下での仕事に変化してしまったり、自分の仕事にやりがいを感じられなくなってしまった人も少なくないでしょう。

    コロナで離職率が上昇した原因

    ここからはコロナ禍で離職率が増加した原因について解説します。

    労働市場の縮小

    コロナ禍で生活環境だけではなく働く環境も激変し、特に飲食業や観光業、宿泊業は緊急事態宣言の影響を大きく受けました。

    こうした影響を受けた企業では、生産体制を縮小させ、短時間での事業展開が余儀なくされました。

    こうした影響は労働市場も縮小させ、企業が従業員を確保できなく状況を生み出し、企業は早期退職募集などで従業員数を減らせざるを得なくなりました。

    こうした企業の状況は離職率を上昇させた一つの要因と言えます。

    収入低下

    コロナ禍で世界中の経済が落ち込みを見せ、日本でもさらに不景気に拍車がかかる状況になりました。

    この不景気に影響を受けた業種では、月例賃金の削減やボーナスカットを余儀なくされ、もともと日本の平均年収は低いものの、追加の収入減少を引き起こしています。

    減収によって生活が厳しくなった従業員は、今の会社よりも高い収入が得られる業種・会社に転職する流れが強まり、離職率の上昇を招いた一つの要因と言えます。

    従業員満足度と離職率のつながり

    従業員が会社を辞める理由はいくつかあります。

    やりがいを感じられなくなったり、給料面で生活が厳しくなったり人それぞれの理由があるはずです。

    しかし、その中でも従業員満足度の低下は従業員がやりがいや目標を失わせる大きな要因となり得ます。

    ここからは従業員満足度が離職率とどう関係するのか解説します。

    そもそも従業員満足度とは?

    従業員満足度と一口に言っても、それが何を指すことなのかわからない人もいるではないでしょうか。

    そもそも従業員満足度とは、働きがいや職場環境、人事評価マネジメントや福利厚生の充実など従業員の会社に対する満足度を指標にしたものです。

    会社によっては、社員「Employee」と満足「Satisfaction」を略したESと呼んでいる場合がありますが、いずれも社員が会社にどれだけ満足感を得られているかを確認する指標になります。

    従業員満足度を構成する観点は以下の通りです。

    • 企業理念と企業ビジョンの納得

    • 組織マネジメントの納得

    • 社員の貢献度

    • 職場内の人間関係

    • 職場環境の充実

    従業員の満足は、会社や組織の体制と仕組みへの納得、自分自身がやっている仕事が会社または社会にどう貢献できるのか、身の回りの環境といったことに対しての評価によって変化します。

    このうち何かひとつをよくするのではなく、全体的にバランスが取れた環境が従業員満足度の向上に効果があります。

    従業員満足度を向上させる時に気をつけるべきポイントは、従業員の声を聞きながら少しずつ改善することです。

    会社が取り組もうとすることが必ずしも従業員全員にとっていいとは限りません。

    多くの従業員が求めていることは何かを把握し改善することが必要ですし、いきなり多くのことを変更しては変化に対応できない従業員も発生してしまうため少しずつ取り組むのがおすすめです。

    従業員満足度が離職率とどう関係する?

    人が仕事をする理由は多岐に渡り、給料のために働く人もいれば働きがいや仕事内容で仕事をする人もいます。

    しかし前述したように、従業員満足は会社のあらゆる観点によって構成され、会社への理解ややりがい、働く環境の良し悪しによって左右されます。

    つまり従業員満足を常に高い状態にキープできるかが、優秀な人材を確保する上で重要な観点となるのです。

    従業員満足度を向上させることで離職率の減少だけではなく以下のような効果・メリットが期待できます。

    • 人材確保につながる

    • 顧客満足度につながる

    • 生産性が上がる

    • 社員のモチベーションが上がる

    従業員満足度が低い企業では、社員が離職しやすい環境になり、人材不足や人間関係や職場環境の悪化によってさらに離職率の上げる可能性があります。

    こういった負のサイクルに陥らないためにも、従業員満足度を上げて社員が働きやすい環境作りを心がけましょう。

    離職率を下げるための施策をご紹介!

    ここからは離職率を下げるために行うべき施策について解説します。

    労働時間の改善

    離職率が高い企業は、まず初めに自社の労働時間が適切かどうかを確認しましょう。

    基本的に1日8時間労働の会社が一般的ですが、時間外労働が多かったり、みなし残業が多かったり、長時間労働が当たり前になってかもしれません。

    また、時間の長さだけではなく、休日予定だった日に出勤することがある場合や、シフト勤務の勤務予定が事前に知らされないなど、従業員がプライベートを維持できないような仕組みになっている場合があり、従業員の声を聞くことが大切です。

    労働条件の再構成

    近年では働き方改革が歌われる時代となり、従業員は働く環境や場所などの労働条件にも高いニーズを持っています。

    特にテレワークが普及した現代では、勤務地が自由に設定できるかも重要な観点です。

    また、勤務時間も常に1日8時間労働で設定するのではなく、フレックスタイム制や裁量労働制を導入し、メリハリをつけられる環境も望まれつつあります。

    会社の労働条件は様々な種類があるため、企業ごとで従業員が不満を抱いている労働条件は何か調査して改善しましょう。

    評価制度の更新

    頑張っている社員がしっかりと評価されない人事評価制度では、従業員は不満を感じるでしょう。

    また、評価する基準が明確に設定されていない場合、「なぜ自分が低い評価を受けるのか?」や「なぜ他の人が高い評価を受けるのか?」と疑問に思ってしまいます。

    人事評価に対する不満が上がっている企業では、従業員の努力が反映される評価システムと、評価する基準の透明性を盛り込んだ人事評価制度を設定しましょう。

    給与や待遇の見直し

    従業員が働いた成果に対して給料が低い場合、モチベーションの低下につながります。

    また、給料以外でも福利厚生などの従業員待遇の豊富さも求められています。

    従業員の給料を上げることは決して簡単なことではなく、すぐには取りかかれないかもしれません。

    しかし世の中に出回っている福利厚生サービスが豊富になりつつあり、取り組みやすいものもありますので、福利厚生を見直しから取り掛かるのもいいでしょう。

    ワークライフバランスへの配慮

    近年では共働き世帯が当たり前の時代になり、仕事以外の時間の充実するかどうかも従業員にとって重要な観点になりました。

    勤務日に子供を保育施設に送り迎えできる勤務形態であることや、在宅ワークできる労働条件が求められる傾向にあり、柔軟な働き方に変更できるかが重要です。

    子育て世帯だけではなく、ストレス社会が問題視される現代では、プライベートが充実できるような環境を実現しましょう。

    近年注目されている健康経営とのつながりは?

    ここからは近年注目されている健康経営と離職率の繋がりを解説します。

    健康経営とは?

    ストレス社会やコロナ禍の環境で、日本中の人々が心身ともに健康維持するのが困難になりつつあり、体調不良で会社を休んだり退職したりする人が増加しました。

    こうした背景が問題視されるようになり、企業は従業員の健康をサポートする動きが始まり、こうした動きを健康経営と言います。

    企業が健康経営として実際に取り組まれているイベントや企画は次のようなものがあります。

    ・ウォーキングイベント
    コロナ禍の外出自粛やテレワークの普及によって、運動不足に陥る従業員が増加しています。こうした従業員に運動を促進させるために、従業員のスマホにウォーキングアプリを入れてもらい、1日に歩いた歩数を競わせるイベントが人気です。
    他の人の歩数がアプリ上で確認でき、自分一人で運動不足を改善するよりも高いモチベーションを維持できます。

    ・オフィスヨガ
    普段使用しているオフィスでヨガを行うオフィスヨガも人気です。
    業務が始まる前や業務を通常よりも早く終わらせ、従業員全員でヨガをやります。
    ヨガはリラックス効果が期待でき、普段ストレスを感じるオフィスでヨガを行うことで気分転換にもつながります。女性に人気が高いこともあり、女性社員が多い会社では特におすすめです。

    ・会社内運動会
    コロナ禍で開催が難しくなりましたが、会社内で運動会を開催することで社内のチームワークを高めながら運動を促せます。
    シフト勤務の業種では従業員全員が参加できないため不向きですが、日勤の業務でチームワークを高めたい企業にはおすすめです。

    ・メンタルヘルス講座
    上記で体を動かす健康経営の導入例を紹介しましたが、心の健康維持の取り組みを導入している企業も存在します。
    メンタルヘルス講座では、自分自身で心の健康を維持できる工夫の仕方や、誰かに相談する勇気について学習します。
    また、カウンセラーを呼んで従業員が悩みを相談する機会を与えるのも効果的です。

    健康経営は従業員満足度にもつながる

    健康経営は、会社側が従業員を大切に思う姿勢が感じられ、従業員満足度の向上にもつながります。

    会社が従業員の健康をサポートすることで、従業員が休みの日に運動やリフレッシュのために多くの時間を割かなくてもよくなりライフワークバランスの安定にも貢献できます。

    また、心身共に健康を維持できることで、従業員が業務に集中できる環境にもなり、生産性の向上にもつながり、やりがいや仕事の楽しさを感じられる職場環境に変化するでしょう。

    健康経営は離職率とどう関係する?

    健康経営は従業員の離職率低下にも貢献でき、優秀な人材確保にも貢献します。

    働く環境が改善したことによる働く意欲向上につながるだけではなく、健康が維持され、健康上の理由で離職するリスクを軽減できるのです。

    また、健康経営は社会全体で注目度が高く、就職活動中の求職者にとっても関心が高い項目です。

    健康経営の導入内容や事例を企業の採用ページでアピールすることで、より多くの募集が来やすくなり、優秀な人材確保にも貢献します。

    ▼「健康経営」についてさらに詳しく
    健康経営とは?目的やメリット「健康経営優良法人」について解説

    離職防止ツールの活用もおすすめ

    ここからは離職を防止するツールをご紹介します。

    離職防止ツールとは?

    離職防止ツールの概要と種類を説明します。

    ・概要

    社員の離職を抑えるために、エンゲージメントの可視化や社員のモチベーション向上の仕組み作り、退職理由の洗い出しを容易に管理できるツールを「離職防止ツール」と言います。

    エンゲージメントとは、従業員が仕事に意欲的に取り組めているかを表す指標のことです。通常目では確認できない項目を可視化することで、企業の課題や主な離職原因が把握できます。

    離職防止に取り組んでいるものの、離職率が改善されない場合はこうしたツールを導入し、詳しい原因を確認してみるのもいいでしょう。

    ・種類

    離職防止ツールの種類は大きく分けて2つあります。

    一つ目は「従業員のモチベーション向上に重きをおいたツール」です。
    従業員が高いモチベーションを維持しながら仕事をするためには、職場環境や仕事のやりがい、良好な人間関係など改善すべき項目は多岐にわたります。
    こうした複雑な項目を一つのツールで管理できるメリットがあり、離職防止に取り組み始めた企業にはおすすめのツールです

    二つ目は「従業員の健康ケアに重きを置いたツール」です。
    従業員が退職する理由の一つとして、心身の体調不良があります。
    ストレス社会やコロナによる日常生活の変化により健康を維持するのが困難な時代になりつつあり、健康経営と併せて離職防止を行いたい企業におすすめです。

    離職防止ツールの選び方

    まだ離職防止ツールを導入していない企業では、どのツールを選べばいいかわからないかもしれません。

    ここからは離職防止ツールを選ぶ時に重要な比較ポイントをご紹介します。

    ・サポートや研修サービスの豊富さ

    離職防止ツールは、普段目に見えない離職の原因や働きやすさを可視化できる機能がありますが、自社の離職要因に関するデータがわかったとしてもうまく使いこなせないと意味がありません。

    情報を提示するだけではなく、そのデータを基にどういった対策すべきかを教育してくれるサービスが備わっているかどうかも重要な観点となるため、比較する際に確認しましょう。

    ・社内での浸透のしやすさ

    優秀なツールであっても社内で使いこなせなければ意味がありません。システムの使いやすさや自社で浸透しているシステムと連携できるかを確認しましょう。

    特に社内で情報を交換する時に、自社で採用している連絡ツールと互換性があるかを確認するのをおすすめします。

    SlackやChatworkなどの有名な連絡ツールとの互換性がある離職防止ツールが普及しつつありますが、その他の連絡ツールと連携できない場合があるため注意が必要です。

    主な離職率防止ツールをご紹介!

    今回は数ある離職防止ツールがある中、「HR Brain」が提供しているサービスをご紹介します。

    離職率を下げるためには、豊富なデータの収集、データの分析、集めたデータの有効活用が必要不可欠です。

    HRBrain」の離職防止ツールは、上記の機能が豊富で、従業員の課題や悩みをPCとスマホで管理でき、効果的に組織改革を進められます。

    HR Brainの詳細に関してはこちらのリンクからご覧ください。
    https://www.hrbrain.jp/employee-experience

    まとめ

    今回は、離職率と従業員満足度の関わりや健康経営の関わりについて解説しました。

    企業の離職を抑えることは企業の人材確保だけではなく、円滑な事業運営に効果があり、離職率が高い企業は早急に改善する必要があります。

    今回は離職率の減少をサポートするツールも普及しているため、どうやって取り組むべきかわからない場合は離職防止ツールを採用してみてはいかがでしょうか。

    株式会社HRBrain 吉田 達揮
    吉田 達揮
    • 株式会社HRBrain 執行役員

    • ビジネス統括本部 本部長

    • 人的資本TIMES編集長

    新卒で東証プライム 総合人材サービス企業に入社。2020年HRBrainに入社。
    人事制度コンサルティング部門の立ち上げから大手企業向けのクラウド営業に従事。
    また社内タレントマネジメントのユニットの立ち上げと運営を担当。
    以後、事業企画にてゼネラルマネージャーとして全社戦略の策定・推進を担当。
    その後、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を提供しているEX事業本部を管掌。
    2022年4月に執行役員へ就任。2023年4月よりビジネス統括本部の本部長として全体を統括。「人的資本TIMES」の編集長も兼務。

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