#人材管理
2023/09/06

【基礎編】グループウェアとは?多拠点大企業の人事業務DX化に活用できるポイントを紹介

目次

    企業内での情報共有やコミュニケーションを円滑なものにし、業務の効率化を実現するツールとして、グループウェアが注目を集めています。今回は多拠点企業がグループウェアを導入する際のメリット、他のツールとの違い、選定のポイント等について解説します。

    多拠点企業がグループウェアを導入する目的、メリットとは

    他拠点企業がグループウェアを導入する目的、メリットとは

    業務の効率化、高度化に向けたDXの取組みの一環としてグループウェアを導入する企業が増えています。

    グループウェアとはどんなものなのか、一般的な定義と多拠点企業が導入する際の目的、メリットを見ていきます。

    DXについて詳しく知りたい方は「DX推進を成功へ導くには?本当にあったDX失敗事例と活用事例」を合わせてご覧ください。

    グループウェアとは?定義について

    グループウェアは、企業内で情報共有やコミュニケーションを行うソフトウェア・アプリケーションをまとめたものを指します。

    その元祖は、1996年にIBMがリリースした「Lotus Notes(現 HCL Notes)」であり、20年以上経った現在では、操作性の向上により、ITの専門知識がなくても使えるようになりました。

    また、勤怠管理など既存の社内システムとも連携も可能になり、その汎用性が注目を集めています。

    グループウェアの基本機能

    次にグループウェアで具体的にどんなことができるか、代表的な機能をまとめました。

    • スケジュール

    個人とグループのスケジュール管理の機能です。カレンダー形式で表示され、会議等の日程・時間調整を容易に行うことができます。

    • 設備予約

    会議室等、企業の共用設備を一元的に管理できます。ウェブ上で予約、また予約状況の確認ができます。

    • オンライン会議

    グループウェアについているチャット機能を活用し、ウェブ環境でグループ会議が行えます。

    • ワークフロー

    社内の届出や申請について、作成から上司承認、担当部署への提出まで一連の手続きをウェブで実施できます。

    • ドキュメント管理

    社内規程、申請書類等の社内文書をウェブ上で一元管理できます。更新履歴が残るため、最新の履歴から過去の履歴に即時戻すことも可能です。

    • プロジェクト管理・共有

    プロジェクトごとにタスクの進捗をウェブで管理・共有できます。メンバー間で状況を確認できるため、タスクの遅延があった場合、フォローし易い環境を構築できます。

    グループウェア導入の目的

    導入の目的は企業が抱えている課題によって異なりますが、多拠点企業では、主に以下の3点に集約されます。

    この3点の目的を達成することで、従業員の生産性を向上させ、業績向上を実現することができます。

    • 情報共有の促進

    従業員数が多く、拠点数が多い会社ほど、情報を短時間で共有することは困難です。グループウェアは、場所を問わず、情報を即時共有できるため、情報共有を促進できます。

    • 業務効率化

    業務の種類によって、スケジュールや申請・届出、ドキュメントの管理手段、管理方法が異なると確認に工数を取られます。グループウェアを導入すると、そうした情報がすべて一元化されるため、確認の工数が減り、業務効率化につながります。

    • コミュニケーションの促進

    従業員数が多く、拠点が多い会社ほど、対面でコミュニケーションする機会は限られます。コロナ禍におけるテレワークの浸透もあり、その傾向は益々顕著になっています。
    コミュニケーションの機会が減少するとチーム内の人間関係の構築や、情報共有に支障を及ぼします。
    グループウェアを導入すると人数・場所を問わず、メッセージを円滑にかつ即時交換できるため、コミュニケーションの促進につながります。

    グループウェア導入のメリット

    目的とは別にグループウェア導入により、もたらされるメリットは以下の2点です。

    • 業務の進捗状況の可視化

    マネジメントの観点から、部下の人数が多く、テレワーク等で個々の勤務場所が同じでない場合、業務の状況把握が困難です。
    グループウェアを導入すると、個々の業務の期限や現在の進捗状況を即座に確認・共有できます。メンバー間の業務分担を適宜見直し、組織の業務効率化につなげることができます。

    • コストの削減

    申請・届出、ドキュメントの管理を紙で行っていた場合、保管スペース確保や印刷にかかるコストを削減できます。
    また、異なるシステムで管理していた機能をグループウェアに切り替えることでシステムの運用保守にかかるコストも削減することができます。

    他のコミュニケーションツールとの違い

    他のコミュニケーションツールとの違い

    次にコミュニケーションツールの観点から、グループウェアが他のツールと比べて優れている点を説明していきます。

    メールとの違い

    メールは相手や内容を問わず、情報を伝達できる便利なツールですが、問題点もあります。グループウェアであれば、その問題点を解消できます。

    • 確実な情報伝達

    送信者が複数人にメールを送る場合、宛先の設定に抜け漏れがあると、情報を受け取れない従業員が出てきます。
    従業員数が多い企業の場合、往々にして発生します。グループウェアでは、最初に発信する範囲を指定すれば、都度宛先を設定する必要がなく、抜け漏れを防ぐことができます。

    • 即時のレスポンス

    メールの場合、受信メールの情報を確認し、返信メールを送信するまで工数がかかるため、レスポンスが遅れてしまいます。
    グループウェアでは、相手のコメントを即時確認し、即時返信できるため、レスポンスの遅延は発生しません。

    • 社内SNSとの違い

    従業員間のコミュニケーションツールとして一部の企業では、「Slack」や「Chatwork」等の社内SNSの利用が浸透しています。こうした社内SNSとグループウェアの違いについて説明します。
    社内SNSについて詳しく知りたい方は、「社内SNSとは。他のツールとの違いや導入、運用のポイントを紹介」を合わせてご覧下さい。

    • 目的の違い

    チャット 機能がついているという観点では社内SNSはグループウェアと似たシステムですが、目的に違いがあります。 社内SNSがコミュニケーションを目的としているのに対し、グループウェアは、それに加え、情報共有、業務の効率化が目的です。目的の違いは機能面の違いに現れます。

    • 機能面の違い

    社内SNSの機能面の特徴掲示板への投稿やチャットの作成等、コミュニティの形成機能に特化しています。

    グループウェアの機能面の特徴

    掲示板、チャットに加え、スケジュール、ワークフロー、業務の進捗管理等、情報共有、業務効率化のための機能を保有しています。

    コミュニケーションに比重を置くのであれば社内SNS、コミュニケーションだけでなく、情報共有、業務効率化まで考えるのであれば、グループウェアの導入を検討するとよいでしょう。

    多拠点企業の人事情報を一元化できるグループウェア選定のポイント

    人事情報を一元化できるグループウェア選定のポイント

    ここまでグループウェアの一般的な定義や機能、他ツールとの違いについて説明してきました。

    ここでは、人事情報を管理する観点から、従業員数の多い多拠点企業において、グループウェアを選ぶポイントを説明します。

    人事がおさえておきたい機能

    グループウェアの中には、先述の「グループウェアの基本機能」にある機能に加えて、人事情報を管理する機能を持っているものもあります。

    多拠点企業で、それぞれ異なるシステムを使用している場合、既存システムからグループウェアへの一括切り替えを行うことで、業務効率化やコスト削減の効果が大きく期待できます。その場合、こうした機能の有無が選定の一つのポイントになるでしょう。

    • 勤怠管理

    ウェブ上で出退勤の登録から就業情報の集計まで行うことができます。部下から上司への残業や休暇の申請も可能です。

    • 経費精算

    出張旅費、経費の申請・承認から集計までウェブ上で一括して行うことができます。検索機能がついているものもあり、申請者や申請日時などの履歴から該当の申請を検索することができます。

    • 採用管理

    募集フォームを作成し、応募者の応募から選考の結果を出すまでの過程をウェブ上で管理できます。応募者の履歴書等の個人情報を登録できる他、選考状況、選考結果を一元化できます。

    • 明細管理

    従業員個人の給与明細、賞与明細や源泉徴収票をウェブ上で管理できます。 給与データをグループウェアに取り込むことにより、明細を発行。従業員に明細を一括配信できる機能がついているものもあります。

    • 安否確認

    地震等の大規模災害発生時に従業員の安否確認を人事が行う企業は多いと思います。安否確認の機能がついているグループウェアも数多くあります。

    サービス形態について

    グループウェアはオンプレミス型、クラウド型、オープンソース型の3つに分かれます。それぞれメリット・デメリットがあります。

    • オンプレミス型

    自社のサーバーにシステムを構築して利用するサービス形態です。オンプレミス型のメリットとしては、カスタマイズ性が高く、自社独自の機能を付加できること、自社サーバー上にシステムが存在するため、セキュリティが確保されていることです。
    逆にデメリットととしては、導入時のシステム構築にかかる費用が高額になることです。

    • クラウド型

    サービス提供会社のウェブシステムにアクセスして利用するサービス形態です。クラウド型のメリットとしては、自社でのシステム環境構築が不要なため、オンプミレス型と比較して、導入費用が低額であること、サービス提供会社が提携している別会社のシステムへの連携が容易なことです。
    デメリットととしては、利用企業間で共通のサービスであるため、自社用にカスタマイズできないこと、ウェブ上にシステムが存在するため、不正アクセスのリスクがあることです。

    • オープンソース型

    開発者がソースコードを公開し、配布しているサービス形態です。オープンソース型のメリットとしては、自社独自の機能を付加できること、無料で利用できることです。デメリットととしては、カスタマイズの専門知識・技術を持った開発者が必要なこと、カスタマイズに一定の開発期間がかかることです。
    機能の説明でも触れたように、多拠点企業では、グループウェアのメリットである業務効率化、コスト削減を狙って、導入を検討することが多いです。 その場合、導入費用が低額かつ、他システムへの連携に優れているクラウド型の導入が適していると言えます。
    クラウド型サービスを導入する場合、不正アクセスを防止するためのセキュリティ対策を取っているか、情報セキュリティ認証の取得有無等、客観的な事実情報を元に、確認しましょう。

    他システム・ツールとの連携

    例えば、外部ベンダーの給与計算システムを利用している場合、ベンダーによっては、グループウェアの提供会社と提携していることがあります。
    グループウェアの勤怠管理機能で集計した就業データを給与システムへ取り込んだり、逆に給与システムの計算結果をグループウェアに取り込み、WEB明細に反映させることが可能な場合があります。グループウェアを導入する場合、既存の社内システムとの連携が可能であるか、確認しましょう。

    多拠点企業のグループウェア導入前チェックリスト

    多拠点企業のグループウェア導入前チェックリスト

    グループウェアは一度導入すると、他のシステム、ソフトウェアへの切り替えは困難です。導入に失敗しないためにも事前の検討は入念に行う必要があります。ここでは、多拠点企業がグループウェアを導入する際、事前に検討しておくべき項目、導入を進める上での注意点を解説します。

    事前に検討しておくべき項目

    まず、どのような目的でどのような特徴のグループウェアを導入するか、導入の方向性を決める必要があります。そのために検討しておくべき項目は、以下2点です。

    • 導入目的を明確にする

    「何のために導入するか」 ということを深く掘り下げておくことが重要です。「他のコミュニケーションツールとの違い」でも触れたように、目的がコミュニケーションの促進だけであれば、社内SNSで事足りるかもしれません。グループウェア導入の目的とされる情報共有、業務の効率化まで踏み込んで行う必要があるのか、企業の経営方針、重点課題等との整合性を確認しましょう。 

    • 導入範囲を明確にする

    検討しておくべき項目の2点目は導入範囲を明確にすることです。ここでの範囲とは、サービスを適用する業務の範囲と、どの拠点の従業員まで対象とするか、対象者の範囲の2つの意味があります。2つの範囲を明確にすることで、グループウェアに求める機能も自ずと決まってきます。

    業務の範囲を明確にする

    グループウェアは、一般的に機能が増えるほど、コストが高くなります。 事前の検討が不十分なまま導入し、機能はあるものの、ほとんど使用されない場合、無駄なコストが発生してしまいます。

    そうした事態に陥らないためにも、業務別の課題を整理し、その課題がグループウェアの機能で解決できるものか、一つ一つ丁寧に確認していく必要があります。
    具体的な検討方法としては、業務別課題とグループウェア機能の二軸でマッピング表を作成すると、自社にどの機能が必要なのか、分かりやすく可視化することができます。

    対象者の範囲を明確にする

    グループウェアを利用する対象者の範囲を明確にすることも重要です。 

    例えば、中国に事業を展開している多拠点企業の場合、中国拠点の従業員も対象とするか、その中には現地のナショナルスタッフも含めるかという論点が出てきます。

    仮に含めるとした場合、中国語表記のインターフェースに変えられる機能が必要ということになります。

    導入を進める上での注意点

    グループウェアの選定が決まり、実際に導入する段になったとき、注意すべき点について説明します。グループウェアを効果的に活用するためにも押さえておく必要があります。

    • 用途を明確にする(事例解説)

    グループウェアの利用自体が目的化し、旧来の管理方法が効率的だったにもかかわらず、無理にグループウェアに切り替え、業務効率が低下してしまうケースがあります。

    筆者が在籍している会社の事例を説明します。筆者が所属する組織では、チーム内で残業が発生する場合は、残業の時間数に応じて割り当てられた色のマグネットをチームのホワイトボードに貼り付けて管理していました。その仕組みの元では、メンバーの業務負荷の状況が一目で分かり、負荷が高いメンバーの業務が溢れないうちに、手が空いている他メンバーがサポートできる体制が整っていました。 

    グループウェアの導入に伴い、掲示板機能を使用して、各自が残業時間数をコメントする仕組みに変えました。そうしたところ、画面をスクロールしないと全員のコメントが見れない、残業時間数からは負荷状況が瞬時に読み取れないといった問題が発生しました。結果的にメンバー間のサポート体制が崩れ、組織の業務効率が低下してしまいました。  

    グループウェアは目的を達成するための一つの手段に過ぎません。目的に応じて、グループウェアを活用するか、旧来の管理方法を継続するか検討しましょう。

    • 社内共通利用ルールを決め、周知する

    前項にも通じるのですが、社内の基本的な共通ルールを決め、周知しましょう。管理者・利用者の立場で、どのようなシーンで、どの機能をどのくらいの頻度で、どのような方法で利用できるのかを具体的に定める必要があります。 

    情報共有、業務効率向上に役立てるためにも、最低限の利用指針を示し、その元で利用してもらう必要があります。多拠点企業においては、可能であれば、従業員に向けた説明会を開くとよいでしょう。グループウェアの目的や用途を直接、従業員に伝達してもらうと、導入の体制整備が速やかに進むためです。 

    参加人数の都合で、全従業員への説明が難しいのであれば、組織の責任者に参加者を絞り、管理者経由で従業員に伝達する等、工夫して対応しましょう。

    グループウェアを活用し、企業の経営課題を解決する

    グループウェアは、企業内で情報共有やコミュニケーションを行うソフトウェア・アプリケーションの総称です。

    情報共有の促進、業務の効率化、コミュニケーションの促進を目的に、DXの取組みの一環として導入されます。

    グループウェアを効果的に活用し、目的を達成できれば、従業員の生産性向上につながり、ひいては企業の業績向上を実現することができます。

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    HR大学編集部
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