#人材管理
2024/08/05

人事異動の目的とは? 基本的な手順や実施のポイントについて紹介!

目次

人事異動は、企業や組織の中で、従業員の配置、地位、勤務条件を変更することで、適材適所の実現や、人材育成など、組織の活性化をはかるために実施されます。

また、人事異動は企業と従業員双方に、メリットとデメリットが発生するため、事前にしっかりと把握し、トラブルが発生しないようにする必要もあります。

この記事では、人事異動の種類や目的、より適切な人事異動を実現するためのポイントなどについて解説します。

人事異動「効率化」と「最適配置」を実現する方法

人事異動とは

人事異動とは、企業や組織の中で、従業員の配置、地位や等級(昇格、降格)、勤務条件を変更することで、組織の活性化をはかることで、いくつかの種類に分かれます。

適材適所の実現や人材育成、マンネリ防止などの観点から実施されます。

人事異動の種類

人事異動の種類について確認してみましょう。

「転勤」「昇格、降格」「職種変更」の3つは、企業内で実施される人事異動をさします。

対して、「出向」「転籍」の2つは、他の企業とかかわる人事異動をさします。

人事異動の種類

  • 転勤

  • 昇格、降格

  • 職種変更

  • 出向

  • 転勤

転勤は、部署だけでなく勤務地そのものが変わる人事異動です。

住所変更が必要になる規模の転勤もあれば、自宅から通える範囲の転勤もあります。

昇格や降格といった、地位や等級の変更も人事異動に該当します。

昇格は、成果を上げたことが評価され、現在の立場よりも上位の階級に異動することです。反対に、降格は、何らかの理由や思うように成果が出なかったことなどによって、階級が下がってしまうことです。

職種変更は、同じ企業内での部署異動が主に挙げられます。

事務職から総合職への異動、一般職から管理職への異動など、業務内容が大きく変化する人事異動のことです。

出向は、現在の企業との雇用関係を結んだ状態で、他社に勤務する形態のことです。

転籍は、現在の企業との雇用契約を解消し、別の企業と新たに契約を結び直すことを指します。転籍は、自分の意志で実施されることも多く、「転職」と捉えられることの多い人事異動です。

人事異動の多い時期

人事異動は、年度末や半期ごとに、実施されやすい傾向にあります。

企業によっては、時期を問わず行われますが、一般的に多い時期は「年度末や半期ごと」といえるでしょう。

年度末や半期ごとの人事異動が多い理由は、企業にとっての節目となるタイミングであるためです。

節目となるタイミングで異動の告知をすることができれば、従業員も気持ちを切り替えやすいでしょう。

また企業にとっても、人事異動が実施されるまでの目標設定を明確にしやすい利点があります。

人事異動の目的

人事異動の目的について確認してみましょう。

人事異動の目的は主に4つの目的に分けられます。

人事異動の目的

  • 適材適所の人材配置のため

  • 新規事業を成功させるため

  • 人材育成のため

  • マンネリ化や不正防止のため

適材適所の人材配置のため

人事異動の目的は、適材適所の人材配置を実現するためです。

既存の部署で、思うような成果を上げられていなかった従業員が、人事異動により活躍するようになったといったというケースも少なくありません。

適正がある部署で業務に取り組めることは、成果につながりやすく、従業員はもちろん企業にもメリットがあります。

新規事業を成功させるため

人事異動の目的は、新規事業を成功させるためです。

新規事業を成功させるための配置変更として、人事異動を行う場合があります。

新たに立ち上げた事業や、プロジェクトに適した人材を選出し配置することで、企業戦略としての成功が期待できるでしょう。

人材育成のため

人事異動の目的は、人材育成のためです。

人事異動を通じて新しい業務にかかわることで、従業員はこれまで身につけられなかったノウハウを取得することができ、人材育成の効果も期待できます。

また、人事異動でベテラン従業員を育成担当として配置する場合もあるでしょう。

育成担当を適所に配置することで、部署全体のレベルアップが期待できます。

マンネリ化や不正防止のため

人事異動の目的は、マンネリ化や不正防止のためです。

長い期間同じ業務ばかり続けていると、どうしても慣れが出てしまい、業務に対する意欲が低下する可能性があります。

マンネリ化によってモチベーションが下がり、業績に影響が出ることも少なくありません。

また、長い期間同じ部署にいることで、外部から干渉されづらくなり、不正をはたらいてしまうケースもあります。

マンネリ化や不正防止の観点でも、人事異動が重要視されるといえるでしょう。

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人事異動とジョブローテーションの違い

人事異動とジョブローテーションの違いについて確認してみましょう。

人事異動は、従業員に対して、昇格、降格、職種変更など、組織の活性化のために必要な配置転換を行うことです。

ジョブローテーションは、従業員に対して、教育のために異動や配置転換を行うことです。

人事異動とジョブローテーションの大きな違いは、配置転換を行う「目的」にあります。

人事異動は「組織の活性化」のため、ジョブローテーションは「従業員の育成」のための配置転換になります。

▼「ジョブローテーション」についてさらに詳しく
ジョブローテーションの基本!効果や仕組みを現役人事が解説

人事異動のメリット

人事異動には、企業と従業員の双方にメリットがあります。

企業目線と従業員目線、それぞれのメリットについて確認してみましょう。

人事異動の「企業目線」でのメリット

  • マンネリ化防止による業績向上

  • 適材適所の実現

  • 育成と教育体制の見直しにつながる

  • 従業員の成長促進

  • 組織全体の活性化

人事異動の「従業員目線」でのメリット

  • 部署に縛られない幅広い知見や技術が身につく

  • 環境が変わることによるモチベーションアップ

  • 異動してきた従業員から新たなノウハウを吸収できる

  • 理想とするキャリアプランの実現

人事異動のデメリット

人事異動には、企業と従業員の双方にデメリットが発生する可能性もあります。

企業目線と従業員目線、それぞれのデメリットについて確認してみましょう。

人事異動の「企業目線」でのデメリット

  • 引き継ぎの時間を確保しなければならない

  • 従業員の希望に沿った異動を検討しなければならない

  • 適材適所の配置につながらない異動を実施した場合は業績が下がることがある

  • 転勤などを補助するコストがかかる

  • コアメンバーが抜けることによる業績悪化が懸念される

  • 望まない異動がきっかけで離職につながる可能性がある

  • 専門性の高い人材の育成がストップしてしまう

人事異動の「従業員目線」でのデメリット

  • 異動後しばらくは業務に慣れない

  • 経験や適性に合わない部署に配属される可能性がある

  • モチベーションが下がる可能性もある

  • 異動自体をネガティブなものと捉えてしまう

  • 人間関係を再構築しなければならない

  • 転勤が発生する場合もある

人事異動を拒否することはできるのか?

人事異動を拒否することはできるのでしょうか。

また、人事異動が無効になることはあるのかを、あわせて確認してみましょう。

人事異動の拒否は原則認められない

原則、ほとんどの企業で人事異動の拒否は認められていません。

異動命令を就業規則として定めている企業であれば、正当な理由がない限り、人事異動を拒否することはできないと考えて良いでしょう。

また、企業側は、仮に従業員が人事異動を拒否したとしても、よほどの理由がある場合以外は、認めないことを推奨します。

望まない人事異動を受け入れた従業員が、不公平に感じてしまうためです。

あくまでも「業務上の命令」として、従業員に人事異動の旨を伝えましょう。

ただし、従業員が人事異動を拒否できないからといって、軽率な理由で異動を決定をしないようにしましょう。

従業員の企業に対する不信感にもつながるため、人事異動は慎重に検討してください。

正当かつ納得感のある人事異動を実施するためにも、人事部門や経営層との間で、打診を繰り返しましょう。

「本当に必要な異動なのか」「別の従業員が適している異動ではないのか」など、人事異動そのものが「失敗」と捉えられないようにする配慮が大切です。

また、従業員と直接異動にかかわる面談を進めることも良いでしょう。

そもそも異動を望んでいるのか、受け入れられるのかを、従業員に事前に確認しておくことで、企業と従業員双方が納得できる人事異動を実施できるでしょう。

人事異動が無効になる場合もある

人事異動は、就業規則に定められている場合は、拒否できないことがほとんどです。

ただし、必要性や合理性のない異動であれば、従業員が拒否することができる場合があります。

例えば、従業員を自主的に退職させるために、あえて適性のない部署へ異動させることが挙げられます。

こういった例は職権濫用として判断され、異動自体が無効になる可能性もあるでしょう。

人事異動はあくまでも、企業と従業員にとってメリットがあるかどうかを重視しなければなりません。

不正な人事異動を実施しないためにも、人事異動が無効になる場合についても、しっかりと把握しておきましょう。

人事異動の実施手順

人事異動を実際に行う際の、手順について確認してみましょう。

人事異動の実施手順は5つのステップで行われます。

人事異動の実施手順

  • 人材データの照会

  • 異動対象者の決定

  • 従業員に合意を求める

  • 内示を出す

  • 異動後のフォローを実施する

人事異動の基本的な手順を把握しておくことで、自社で実施している人事異動の課題に気づけるかもしれません。

人材データの照会

人材データには、現場で不足している人材や、異動することで活躍が期待できる人材などの情報が該当します。

また、現場であがっている要望や優秀な人材の情報を吸い上げることで、適切な異動につながる人材データを集められます。

人材データは、最新のデータを照会する必要があることを覚えておきましょう。

最新の人材データを照会したうえで、異動の必要性について検討するようにしましょう。

異動対象者の決定

最新の人材データを照会したら、データに基づいて異動対象者を選定しましょう。

選定後すぐ対象者に伝えるのではなく、まずは異動対象者が所属する部署の責任者に打診することを忘れてはいけません。

また、異動先の責任者に確認を取ることも大切です。

異動前後の部署を管理する責任者の同意を得なければ、異動自体が頓挫してしまいます。

従業員に合意を求める

対象となる従業員の異動が、責任者間で認められたら、異動対象となる従業員に直接合意を取りましょう。

異動に対する合意は、現在在籍している部署の責任者が、従業員との面談を実施し、合意を取るのが一般的です。

面談では、異動後の仕事内容などを説明するようにしましょう。

異動のスケジュールや、現在の部署で異動前に実施しておくべきことをすり合わせる必要もあります。

従業員が異動に対して納得できない場合は、その理由をヒアリングしたうえで、再度異動を検討し直す必要もあるでしょう。

面談を複数回繰り返して説得する場合もあれば、経営層や人事部に異動を差し戻す場合もあります。

仮に、従業員から異動拒否が発生した際の対応は、経営層や人事部の裁量によって大きく変化します。

異動に対する了承が従業員から得られない場合は、しばらくの間、対象となる従業員が現在在籍している部署の責任者は、従業員と経営層や人事部との板挟みになることを認識しておいた方が良いかもしれません。

内示を出す

従業員から異動の合意が得られ、正式に人事異動が決定した段階で内示を出します。

人事異動の内示は、一週間から一か月前を目安にしましょう。

内示後は、部署内での引き継ぎや育成を強化するようにしましょう。

場合によっては、引き継ぎや育成期間を逆算して内示を出す必要もあります。

また、転居を伴う異動の場合は、従業員に準備期間を与えなければなりません。

十分な準備期間がないと、引き継ぎや育成にも影響が出てしまうため、注意が必要です。

異動後のフォローを実施する

人事異動は、実施しただけで終わりではありません。

異動した従業員が、異動先で十分に能力を発揮できるようになるまで、フォローする必要があります。

異動先の業務を効率的に習得するため、研修などを手配すると、異動後のフォローとして良いでしょう。

また、異動を実施したことでどのような効果があったかを、しっかりと検証することも大切です。

本当に効果のある異動だったのか、従業員をフォローしながら検証することで、新たな課題の発見や解決につながるでしょう。

人事異動を適切に実施するためのポイント

人事異動をより適切に実施するためのポイントについて確認してみましょう。

人事異動を適切に実施するポイント

  • 納得しやすい人事異動のルールを定めておく

  • 人事異動の理由を明確に伝える

  • 経営方針や現場の意見を重視する

納得しやすい人事異動のルールを定めておく

就業規則の中に、人事異動についてのルールを定めておくことで、人事異動が原則拒否できないものになります。

人事異動を、拒否できないものであると従業員が把握しておけば、異動そのものを不服に感じられることは少なくなるでしょう。

人事異動に関するルールが曖昧だと、従業員が納得いかない場合に無効となる可能性があります。

また、人事異動に関する明確なルールを、入社前や入社直後に伝えておくことも大切です。

正当な理由以外で人事異動を拒否できないことを、従業員に理解してもらうことで、より納得度の高い人事異動を実施することができるでしょう。

人事異動の理由を明確に伝える

現在の部署での仕事にやりがいを感じている従業員の場合、「なぜ自分が異動なのか」と強く感じるでしょう。

人事異動そのものをネガティブなものと捉えてしまい、離職につながってしまう可能性もあります。

人事異動に関する誤解が発生しないよう、明確な異動の理由を伝えるようにしましょう。

異動先で求められている成果についても触れ、モチベーションを保ちながら異動できるよう配慮することが大切です。

また、異動後の業務について、できるだけ詳しく説明することも大切です。

異動後に何をすれば良いかわからない状態では、従業員の不安を煽ってしまうでしょう。

異動後に実施する業務の内容や、どのような適性があってその業務を任せたいのかを、はっきり伝えることで、異動に対する納得感につなげることができます。

経営方針や現場の意見を重視する

人事異動が、企業の経営方針に沿った異動であるかどうかを、経営層や人事部が重要視することが大切です。

経営方針を実現するための人事異動でなければ、企業と従業員どちらにもメリットのない異動になってしまいます。

経営方針に沿った人事異動を実施できない環境であれば、まずは土台から見直す必要も出てくるでしょう。

人事異動はあくまでも、現場の従業員が対象となることも忘れてはいけません。

従業員の意志を尊重し、理不尽な異動と捉えられないように配慮する必要があります。

また、異動対象者が抜けた後の現場の不安などを、あらかじめヒアリングしておくことも大切です。

異動対象者が現在の部署からどうしても抜けられない場合は、異動自体を再検討しなければなりません。

人事異動は、企業と従業員双方の納得がなければ適切に実施されません。

経営方針や現場の意見を尊重しつつ、最適な人事異動を実施するようにしましょう。

人事異動で「最適配置」を実現

人事異動は、適材適所の実現や、人材育成、マンネリ化防止などを目的に実施されます。

人事異動には、企業と従業員どちらにもメリットとデメリットがあります。

人事異動のメリットとデメリットをしっかり把握しておかないと、納得感の得られない人事異動になってしまいます。

従業員が納得し、モチベーションを保てる異動になるよう、配慮することが大切です。

企業と従業員にとって最適な人事異動を実施し、「最適配置」を実現するための方法について確認してみましょう。

5分でわかる 人事異動の業務効率化と「最適配置」実現のキーポイント

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人事異動は

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など、人事担当者を悩ませる問題が数多くあります。

人事異動に関する問題を解決し、効率化させるためにすべきことを紹介します。

この資料で分かること

  • 人事異動によって達成する成果とは

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タレントマネジメントシステムで人事異動の検討から実施までを効率的に実現

適正な人事異動には、従業員のスキルや能力の把握が必要になります。

また、従業員のスキルや能力を把握することで、従業員のモチベーションアップや、組織単位での人材育成も実現できます。

ですが、従業員のスキルや能力を把握することは、簡単なことではなく、時間のかかる作業になります。

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