従業員満足度とその集計例は?調査のメリットについて紹介!
- 1.従業員満足度とは?
- 2.従業員は仕事に何を求めている?
- 指標①:仕事内容
- 指標②:労働環境
- 指標③:人間関係
- 指標④:金銭待遇
- 指標⑤:ワークライフバランス
- 3.従業員満足度を向上させるメリット
- メリット1:生産性の向上
- メリット2:顧客満足度の向上
- メリット3:企業に対する信頼性の向上
- メリット4:離職率の低下・良い人材の確保
- 4.従業員満足度の集計例
- 単純集計
- クロス集計
- 満足度構造分析
- 5.従業員満足度調査を行う際のポイント
- ポイント1:スケジュールは明確にする
- ポイント2:質問の量が多すぎないようにする
- ポイント3:テキスト回答も設置する
- ポイント4:集計後に結果報告をする
- ポイント5:定期的に調査を行う
- 6.まとめ
1.従業員満足度とは?
従業員満足度とは、仕事内容・職場環境・人間関係・処遇内容といったあらゆる要素について、「従業員がどれくらい満足しているのか」を測った指標のことです。英語では『Employee Satisfaction』と訳され、略してESと呼ばれることがあります。また、従業員満足度とならんでよく聞く言葉に「顧客満足度」があります。英語では『Customer Satisfaction』と訳され、略してCSと呼ばれます。
「顧客満足度」については、ビジネスの成功要因として、これまでも多くの企業で重視されてきましたが、最近では「従業員満足度」も同様に重視されるようになってきています。顧客に提供する良いモノ・良いサービスをつくるためには、従業員に高いモチベーションで働いてもらう必要があり、従業員が高いモチベーションで働くためには良い職場環境を整備する必要があります。従業員満足度は、「従業員にとって働きやすい職場がつくれているのか」を知るための重要な指標となります。
この記事では、従業員満足度を構成する要素や、従業員満足度の集計方法・集計例について紹介していきたいと思います。
2.従業員は仕事に何を求めている?
従業員満足度には、さまざまな指標があります。多くの指標が高水準で保たれている企業ほど、従業員にとって働きやすく、パフォーマンスを最大限発揮しやすい環境であると言えるでしょう。ここでは、従業員満足度を構成する主な指標と、従業員満足度調査で使われる質問例を紹介します。
指標①:仕事内容
自分自身の仕事に対して「やりがい」や「楽しさ」を感じることができているか、という指標です。仕事を通じて誰かの役に立っていることが実感できたり、経験を積みスキルアップしていくことで自分自身の成長を感じたりすることができると、やりがいや楽しさにつながるため満足度が高くなります。
逆に、スキルが活かせない部署への異動、興味関心がない部署への異動などは、満足度が低くなる傾向にあります。企業にとっては人員調整を図るための人事異動だったとしても、異動先で従業員が新たなやりがいや楽しさを見つけられなければ、満足度の低下を招く恐れがあるので注意が必要です。
<質問例>
仕事にやりがいを感じられているか
仕事を通じて自己成長を感じられているか
仕事の業務量は適切か
仕事のレベルが難しすぎたり、簡単すぎることはないか
達成したいキャリア・目標はあるか
指標②:労働環境
快適な仕事環境が整っているかどうか、という指標です。たとえば、仕事内容に合ったスペックのPCが用意されているか、ワークデスクやランチスペースが用意されているか、在宅勤務やフレックスタイム制度が承認されているか、といったことがそれにあたります。これらが十分に整備され、従業員ひとりひとりが柔軟性を持って働くことができる環境であれば満足度は高まるでしょう。
PCのスペックが足りず作業がスムーズ進まない、在宅勤務が認められていないため台風などの災害時も出社しないといけないといったことは、満足度の低下につながるので可能な範囲内での整備を行うと良いでしょう。
<質問例>
快適に仕事ができる社内インフラが整っているか
自分の作業スペースは十分に確保されているか
仕事に集中できるオフィス環境が整っているか
自分に合った働き方ができているか
福利厚生に満足しているか
指標③:人間関係
上司・同僚・部下と良好な関係が築けているかどうか、という指標です。私情を仕事の対人関係に持ち込む、噂話が横行しているといった状態は、従業員にストレスを与え、職場の雰囲気を悪くしてしまいます。生産性の低下にもつながるため注意が必要です。
立場や部署が異なっても円滑にコミュニケーションがとれる風通しの良い環境であれば、余計なストレスを抱えず、仕事に打ち込みやすくなります。考え方や価値観の多様性を認める風土を企業全体で育てていくことが大切です。
<質問例>
社員同士のコミュニケーションがスムーズに取れていると思うか
対立する意見であっても言いやすいチームだと思うか
トラブルやミスは進んでカバーし合える関係性だと思うか
私情を持ち込み、チームの和を乱す社員はいないか
部署の雰囲気は良いか
困ったことは上司に相談しやすいか
指標④:金銭待遇
頑張りや実績が、給与・賞与といった金銭面の処遇に正しく反映されているかどうか、という指標です。従業員の実績や頑張りを正しく評価し、昇給や賞与に反映させることが満足度の向上につながります。
いくら実績を残しても金銭的な待遇が変わらない、といった状態は従業員に「良いように使われている」という印象を与えてしまい、満足度の低下を招きます。人事評価制度を整備するなど、実績に対する処遇を明確にすることが大切です。
<質問例>
今の給与に満足しているか
自分の人事評価は適切だと思うか
実績に見合った給与がもらえていると思うか
業界全体をふまえて満足のできる給与であると思うか
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指標⑤:ワークライフバランス
仕事とプライベートのバランスが上手く保てる環境になっているかどうか、という指標です。例としては、有給はとりやすいか、育児休暇・介護休暇はとりやすいか、長時間労働に対する管理がされているか、などが挙げられます。休暇が取りやすいように人員を調整したり、業務の一部をシステム化することで長時間労働を是正したりすると、従業員もメリハリをつけて働くことができるようになるため、満足度の向上につながります。
逆に、仕事が属人化していて休めない、休日でも電話やメールの連絡が多いといった状況は、仕事ばかりの生活になりプライベートな時間が持てないことへの不満が従業員満足度の低下につながる可能性があります。
<質問例>
有給が取りやすい環境であると思うか
休日はゆっくり自分の時間を過ごせているか
休日に仕事をしなければいけない状況になったことがあるか
残業は自分に無理のない範囲で行えているか、コントロールできる状況であるか
仕事とプライベートのバランスが取れていると思うか
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関連:ワークライフバランスとは? 組織の働き方改革から個人の取り組みまで
3.従業員満足度を向上させるメリット
ビジネスにおいては「顧客満足度」に注目が行きがちですが、この「顧客満足度」を向上させるためには、「従業員満足度」の向上が欠かせません。働きやすい環境づくりを行うことは、従業員だけではなく企業側にもメリットがあるのです。
ここでは、従業員満足度を向上させることで得られる4つのメリットを紹介していきたいと思います。
メリット1:生産性の向上
良い職場環境を整備することができると、従業員は仕事に対して前向きに主体性をもって取り組むことができるようになり、生産性の向上につながります。また、そうした従業員が増えることでチームや組織に一体感が生まれ、企業目標に対して一丸となって取り組むことができるようにもなります。企業の発展に貢献しようとする意欲、すなわち従業員エンゲージメントを育むことにもつながるのです。
▽従業員エンゲージメントについては、こちらの記事もおすすめです。
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メリット2:顧客満足度の向上
従業員満足度が高い組織では、自社で提供するモノやサービスについて主体的に考える従業員が多い傾向にあり、それによって顧客満足度を向上させることができます。不満やストレスが少ない状態というのは、心にゆとりがある状態でもあるため「どうしたらもっと良くなるか」「どうしたらもっと喜んでもらえるか」といったことを、顧客目線で考える余裕ができるのです。
メリット3:企業に対する信頼性の向上
従業員満足度が高い組織では、高いパフォーマンス力を発揮する従業員が多く、それによって顧客は直接関わった従業員に対してだけでなく、企業に対しても良いイメージを持つようになります。そのときに与えた良い企業イメージは、他の商品やサービスに引き継がれることも多く、「この企業が提供するものだったら買ってみよう」というように、企業への信頼や愛着にもつながります。
メリット4:離職率の低下・良い人材の確保
良い職場環境・良い人間関係が整っている組織であれば、従業員は「ずっとここで働きたい」と思うようになるため、転職などによる離職を防ぐことができます。また、従業員満足度が高い組織は求職者にも良いイメージを与えるため、採用活動の際は良い人材からの応募が集まりやすくなります。既存社員から人材を紹介してもらう「リファラル採用」においても同様のことが言え、人材の確保や採用コストの削減につながる点はメリットと言えるでしょう。
▽従業員の離職に関する記事は、こちらもおすすめです。
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4.従業員満足度の集計例
従業員満足度を向上させるためには、自社の抱えている課題、つまり「従業員の不満」を認識し、それに合わせた対策を講じていくことが大切です。そして、「自社の従業員がどれくらい満足していて、どこに不満を持っているのか」を分析したい場合は、「従業員満足度調査」がおすすめです。
「従業員満足度調査」とは、仕事内容・労働環境・人間関係といった項目ごとに質問を設け、それに回答してもらうことで企業に対する従業員の満足度を測る調査のことです。回答を集計・分析することで企業が取るべき対応・対策が見えてくるでしょう。
ここでは、従業員満足度調査を実施した際によく使われる、集計・分析手法について紹介していきたいと思います。
単純集計
質問ごとに回答を集計し、各満足度が占める割合をパーセンテージで算出する方法です。全体の何割が満足しているのか、または不満に感じているのかが分かりやすくなっています。
※グラフはイメージです。
上記の場合、仕事内容・労働環境については比較的満足度が高くなっていますが、人間関係については61%、過半数以上の従業員が不満を感じているということが分かります。また、質問の内容から人間関係の中でも「上司と部下の関係」を見直す必要があるということも分かります。
仕事内容・労働環境・人間関係といった項目の中にも、いくつか質問を設けることによって、より細かい分析が可能になるでしょう。
クロス集計
質問内容とそれに対する満足度のほかに、世代や部署といった回答者の属性を盛り込むことでより詳細な分析を可能にする集計方法です。特に従業員数が多い企業や、多くの部署が存在する企業では、ひとりひとりの業務適正を見分けることが難しかったり、部署ごとに雰囲気が全く違ったりする場合が多いため、クロス集計を行うことで課題を認識しやすくなるでしょう。
※グラフはイメージです。
上記は、質問内容に対して世代別に満足度を表したグラフの例です。この場合だと、20代の満足度が最も低く、次に50~60代の満足度が低くなっています。そのため、「若い世代が言い出しづらい環境になっていないか」「管理職の業務量が多すぎていないか」などの原因分析に役立てることができます。クロス集計によって、年代や部署ごとの課題を浮彫にすることができるのです。
満足度構造分析
質問同士の相関関係などによって、満足度の成り立ちを分析する手法です。
たとえば、全ての回答を集約して各評価ごとの割合を出したあと、「とてもそう思う」と回答された質問項目にクローズアップすると、高い満足度を得ている要素を割り出すことができます。以下の場合は、人間関係や仕事内容に関する質問で満足度の高い回答が得られているため、「職場の人間関係と仕事のパフォーマンスには関連性がある」といった仮説を立てることができるのです。
※グラフはイメージです。
満足度構造分析では、質問ごとの相関関係を分析することで、満足度を高める要素や、満足度の高い従業員の傾向を導き出すことが可能になります。
5.従業員満足度調査を行う際のポイント
従業員満足度調査によって自社の改善点を洗い出すことは、よりよい職場環境づくりにおいてとても大切です。ここでは、より効果的な調査を実施するためにおさえておくべきポイントを紹介したいと思います。
ポイント1:スケジュールは明確にする
調査を実施する期間は明確に周知しましょう。一般的には1~2週間ほどの回答期間を設けることが多くなっています。回答は業務の合間に行うことが多いため、繁忙期はできるだけ避け、余裕をもって回答できるように期間を設定しましょう。また、「調査しただけで何もアクションがない」といったマイナスな印象を与えないように、結果報告のスケジュールも明確にしておくと良いでしょう。
ポイント2:質問の量が多すぎないようにする
回答に時間がかかる調査は従業員に負担をかける恐れがあるため、5~10分程度で答えられる質問数を設定することが望ましいです。質問の量が多すぎると、回答する際の集中力が低下し、正確なデータが得られない可能性があるため注意が必要です。
ポイント3:テキスト回答も設置する
調査では「良い・悪い」「満足・不満」などの選択形式で回答を集める場合が多いですが、調査の最後に自由記述できるテキスト欄を設けておくこともおすすめです。自由に記述できるスペースがあることで、従業員は改善の要望を具体的に示すことができ、調査者はより的確な改善策を考案することができるため、認識のズレを埋めることに役立ちます。
ポイント4:集計後に結果報告をする
「どういう調査結果が出たのか」「調査結果に対してどのような対策を検討しているのか」など、集計後は必ず結果報告を行うようにしましょう。せっかく業務の合間を縫って回答したにも関わらず、何の報告もないと「あの調査はなんだったのか、意味はあったのか」といった、従業員のモチベーション低下につながりかねません。すぐに改善することが難しい場合でも、結果を受けたうえでの考えや方向性を発表するなど、何らかのアクションをすることが大切です。
ポイント5:定期的に調査を行う
「前回の調査からどれくらい改善が見られたか」を知るために、調査は定期的に行うと良いでしょう。単発調査の場合、「本当に改善できているのか」「対策が正しかったのか」といった点を把握することが難しくなります。改善の進捗把握や新たな改善点を発見することにもつながるため、定期的な実施がおすすめです。
6.まとめ
最近では、労働者もより良い条件・より働きやすい環境を求めて転職活動をすることが多く、「転職に対してネガティブなイメージがある」というような考え方も少なくなってきています。人材の流出を防ぐためにも、従業員満足度を高めることは重要だと言えるでしょう。
また、従業員満足度を向上させることで、良い人材の定着率が高まるだけでなく、組織のパフォーマンス力が上がり、顧客満足度や企業イメージの向上にもつながります。総合的な組織力を高めるためにも、調査の実施を検討してみてはいかがでしょうか。
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