#人材管理
2024/03/18

組織マネジメントの成功ポイントは?フレームワーク実践法と事例3選

目次

    組織マネジメントとは

    組織マネジメントとは

    これからのカギとなる組織マネジメントとは、どのようなものでしょうか?組織マネジメントの概要とともに解説します。

    組織マネジメントの概要

    組織マネジメントとは、「ヒト、モノ、カネ、情報」といった経営資源のパフォーマンスを最大化するマネジメント手法です。

    組織マネジメントを行うことにより、「やるべきことにリソースを集中できる」「不確実な経営環境に対応できる」「管理を効率化できる」などのメリットがあります。

    組織目標を達成するために必要不可欠なマネジメントといえます。

    これからのカギは「ミドルアップダウンマネジメント」

    組織経営スタイルの切り口では、旧来から「トップダウンマネジメント」「ボトムアップマネジメント」がありますが、これらのいいとこ取りといえる「ミドルアップダウンマネジメント」がこれからの組織マネジメントのカギとなります。

    「ミドルアップダウンマネジメント」は、中間管理職ともいえるミドルマネジメント層が「トップマネジメント層」と「ロワー層」の調整役となるように、ミドルマネジメント層が主体的に動く組織経営のスタイルです。ミドルアップダウンマネジメントによって、現場の意見などを素早くキャッチアップして経営環境の変化に迅速に対応していくのです。

    組織マネジメントの基礎を知りたいかいは、「組織マネジメントとは?知るべき種類や必須フレームワークの解説」をご参考ください。

    組織マネジメントを成功させる3つの重要ポイント

    成功ポイント

    組織マネジメントを成功させるには、適切なフレームワークを活用して、経営に活かすことがカギとなります。

    ここでは、フレームワークを活用した組織マネジメントの重要ポイントを解説します。

    組織マネジメントのフレームワーク

    マッキンゼー提唱「7S」フレームワークで適切に課題を抽出する

    組織マネジメントを実践するには、マッキンゼーが提唱する「7S」を活用することが定石です。

    7Sは、経営資源を「ハードのS(3つ)」「ソフトのS(4つ)」に分け、課題を抽出するフレームワークです。

    このフレームワークの枠組みに分けて、組織課題を抽出しますが、ハードのSは「戦略→組織→システム」の順番に洗い出しを行うことがポイントです。ソフトのSは洗い出す順番はとくにありませんが、容易に変えることができない資源であり、特にスキルは、長期な取り組みを求められることを念頭におく必要があります。

    組織マネジメントのためのマッキンゼー7Sフレームワーク

    ・ハードのS

    1. 戦略(Strategy)2. 組織(Structure)3. システム(System)

    ・ソフトのS

    4. スキル(Skill)5. 人材(Staff)6. 価値観(Shared Value)7. スタイル(Style)

    SWOT分析を活用したKSFとKPIの設定と具体例

    しかし、やみ雲に「7S」ですべてを網羅的に洗い出すのでなく、SWOT分析のフレームワークを活用して解決すべき組織課題を「7S」に分類することで、より効率的・効果的に「7S」を活用することができます。

    SWOT分析は、内部環境を「強み」と「弱み」、外部環境を「機会」と「脅威」に分けて、自社の向かうべき方向性を検討するフレームワークであり、考え方の基本は次のとおりです。

    組織マネジメントのためのSWOT分析

    SWOT分析を詳しく知りたい方は、「【実践】人事フレームワークまとめ・KSF活用。SWOT/PEST分析」をご参考ください。

    KSF/KPIの設定

    SWOT分析により導き出した向かうべき方向性を「7S」で分類したうえでKSFとして設定し、KSFの数値目標としてKPIを設定します。

    たとえば、接客業においてKSF/KPIをせ設定する場合、SWOT分析によって販売員の接客レベルについて方向性は次のとおりとなり、「7S」では「スキル」に分類できます。

    ・KSF:販売員の接客レベルを向上させる
    ・KPI:接客レベルを全員B以上にする

    組織課題共有の重要性/組織の成立要件

    KSF/KPIを設定した次のステップは、組織メンバーに設定したKSF/KPIを共有して組織マネジメントに取り組みます。

    組織の成立要件といわれる組織の3要素には、「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」がありますが、このすべてが成り立ってはじめて組織として成立するとアメリカの経営学者であるバーナードは唱えています。
    (※参考)THE MEANING OF WORK「経営学は何を考えてきたか」より)

    組織マネジメントをいくら進めようとしても、どれか一つでも欠けると組織は有効に機能しません。

    そのため、組織メンバーに組織課題として設定したKSF/KPIを共通目的として丁寧に説明してコミュニケーションをとり、組織メンバー自ら貢献意欲が湧くようにリーダーシップを取ることが肝要です。

    このように、組織の3要素を満たすことで組織マネジメントを有効に推進します。

    【事例】フレームワークを使った組織マネジメント課題解決方法まとめ

    フレームワーク

    組織マネジメントを推進するためのフレームワークや進め方を解説しましたが、ここでは、フレームワークを使った組織マネジメントの具体的な取り組み方について、事例を用いてわかりやすく解説します。

    【事例ケーススタディ】トップダウンのライン組織の製造業

    A社は、自動車部品の中規模製造業で、社長をトップとしたピラミッド型のライン組織であり、重要な意思決定は、月1回の役員会で決定されている。

    ここのところ、主力商品Bの売り上げが落ち込んでいるが、営業部門では顧客ニーズの変化により受注が急激に減っていること、競合他社は顧客ニーズにいち早く対応していることをすばやく把握している。なお、特殊な顧客ニーズを営業部門独自のルートで収集している。

    しかし、トップダウンのライン組織ゆえ、なかなか現場の意見を吸い上げる環境になく、重要な意思決定は月に一度きりという体制も足かせになっている。

    フレームワークを使った事例企業の課題解決方法:SWOT分析

    事例企業のSWOT分析をするうえで、次のとおり「強み」「弱み」「機会」「脅威」に分類します。

    【強み】

    • 営業部門の素早い情報収集力や特殊な顧客ニーズの独自の情報収集ルー

    【弱み】

    • ピラミッド型のライン組織により、重要な意思決定は月一回のみと意思決定が遅く、競合他社に負けていること

    • 現場の意見を吸い上げる環境になく、経営環境の変化に対応しづらい組織体制になっていること

    • 顧客ニーズの変化により受注が急激に減っていること

    【機会】

    • 特殊な顧客ニーズを把握していること

    【脅威】

    • 自社より意思決定が早い競合他社の存在

    この分析から、営業部門の素早い情報収集力や独自の情報ルートを活かし、経営環境の変化に対応しやすく意思決定を迅速に行うことができる組織体制に変革することを導き出すことができます。

    7Sを用いた組織課題の設定

    SWOT分析の結果に基づいて7Sの分類によって組織課題を設定しますが、事例企業における分類は、次のとおりとなります。

    ・ハードのS

    1.戦略(Strategy)
    事例の与件では、課題として該当なし

    2.組織(Structure)
    営業部門の素早い情報収集力・独自の情報ルートを活かし、経営環境の変化へ迅速に対応できる組織体制にすることを検討します。具体的には、従来のライン組織を改変し、事業部に利益責任を持たせて、大幅に権限移譲する事業部制組織に移行することが考えられます。

    3.システム(System)
    現場の意見を吸い上げる環境にないことについては、例えば提案制度や第一線で活躍する社員の意見を吸い上げやすいように定例会議や1on1を実施することなどが考えられます。

    1on1を詳しく知りたい方は、「コミュニケーションを円滑にする1on1ミーティング活用法を解説!」をご参考ください。

    ・ソフトのS

    4.スキル(Skill)
    事例の与件では、課題として該当なし

    5.人材(Staff)
    事例の与件では、課題として該当なし

    6.価値観(Shared Value)
    トップダウン型のライン組織により、現場の意見を吸い上げる環境にないことに対し、ハードのSである組織やシステムを変更しても、企業文化などの価値観はなかなか変えることはできません。ハードのSである「ハコ」だけの変革に留まらず、組織メンバーの意識改革を図ることが重要です。
    たとえば、共通の価値観を改めて行動規範を策定するなどで、組織メンバーの意思決定の拠り所を明確に示すことなどが考えられます。

    7.スタイル(Style)
    価値観と同様に、社風などスタイルはなかなか変えることはできません。
    たとえば、風通しの良い風土を醸成するために、役職の肩書きや年齢などに関係なく組織課題に対する意見交換会を実施する、役職問わず「さん付け運動」を推進するなども有効です。
    このように、SWOT分析を用いて7Sの分類に分けて組織課題の解決策を決定することで、組織マネジメントに取り組むのです。

    組織マネジメントの取り組み事例3選

    取り組み事例

    ここまで、フレームワークを用いた組織マネジメントの取り組み方を解説しましたが、ここでは、組織マネジメントの事例を紹介します。

    パナソニック株式会社〜組織体制を2度変えた事例〜

    パナソニック株式会社は旧来から事業部制を取り入れていましたが、1990年代の国内家電業界の落ち込みにより事業部制のデメリットである「各事業部間での機能の重複(事業部毎に生産や人事、経理などの機能が重複していること)」による無駄を削減するため、機能別組織に移行したこともあり業績の回復を果たしました。

    しかし、新興国による低価格化の脅威や主力であるプラズマディスプレイの需要の低下という環境において、機能別組織に移行したことにより、市場ニーズや現場の意見を吸い上げにくい体制になかったこともあり、再び業績悪化につながったと考えられています。

    その対応として、市場ニーズを汲み取り環境変化に対応しやすい体制にすべく、再び事業部制を取り入れたこともあり業績回復を実現しています。

    株式会社トライフォート(現:株式会社Trys)〜マトリックス組織を取り入れた事例〜

    株式会社トライフォート(現:株式会社Trys)は開発組織をプロジェクト単位の組織で構成していましたが、同じ技術をもつ者同士の交流ができないため、技術力の向上がされにくいという課題からマトリックス組織を導入しました。

    具体的には、「ディビジョン」と呼ぶ技術単位の組織と「プロジェクト」単位の2つの組織に組織メンバーを所属させることで、同じ技術を持つ者の交流を図ることを実現しています。これにより、技術とプロジェクトの双方の側面から組織メンバーのパフォーマンスを引き出すことができています。

    オリンパス株式会社〜株主の信頼回復を目的とした組織改革事例〜

    オリンパス株式会社は、粉飾決算によって株価が急落しましたが、コンプライアンスの意識を浸透させるため、内部通報制度などコンプライアンス体制の構築を経営サイドが社員と一体となって取り組み、ガバナンス強化によって株主の信頼回復に努めました。

    社員の愛社精神が強かったことも要因といわれていますが、このことから同社はソフトのSである価値観やスタイルが有効に機能していたといえます。

    組織マネジメントは適切なフレームワークで効果的に

    組織マネジメントを実践するにあたって、成功させるたの重要ポイントや事例を用いたフレームワークの活用法を解説するなどわかりやすく紹介しました。

    組織マネジメントの成功ポイントは、SWOT分析や7Sなどのフレームワークを適切に活用するとともに、組織として目標を達成するための条件である「組織の3要素」を踏まえて進めることが肝要です。

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    HR大学編集部
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