#人材管理
2023/08/03

組織マネジメントとは?知るべき種類や必須フレームワークの解説

目次

    不確実な経営環境の下、組織マネジメントの重要性がより増してきています。ここでは、組織マネジメントの基礎や理論や組織マネジメントの必須フレームワークと具体的な実践方法、お勧めの書籍本などを紹介します。

    「マネジメントがブラックボックス化し、改善すべき課題を特定できない」
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    組織マネジメントとは

    組織マネジメントとは

    組織マネジメントを実践していくには、基礎や背景などを知っておくことが重要です。ここでは、組織マネジメントの基礎と定義、背景とともに、必要なスキル、能力について説明します。

    組織マネジメントの基礎、定義

    組織マネジメントとは、経営資源である「ヒト、モノ、カネ、情報」のパフォーマンスを最大化するためのマネジメント手法です。

    マネジメントの対象となる「組織」とは、切り口によりさまざまな定義がありますが、経営学における組織は、アメリカの経営学者であるバーナード(※1)によると次のように説明しています。

    組織とは

    「2人以上の人々」の「意識的に調整」された「諸活動、または諸力体系」をいう

    組織とは単なる集団ではなく、集団の目的を達成するために、2人以上の人が共通した理念や規範、戦略の下、活動する体系・仕組みです。

    つまり、組織マネジメントとは、体系・仕組みである「組織」をマネジメント(=管理)することであり、限りある経営資源のパフォーマンスを最大化させるために、組織を有効に機能させることが本質であるといえます。

    (※1)THE MEANING OF WORK「経営学は何を考えてきたか」より)

    組織マネジメントの目的

    組織マネジメントの目的は、企業が将来にわたって存続するというゴーイングコンサーン(継続企業の前提)の下、競争優位を確立・保持するため、経営資源のパフォーマンスを最大化し、組織目標を達成に導くことです。

    経営資源は、「ヒト、モノ、カネ、情報」の4つに分けられますが、「ヒト」は「モノ、カネ、情報」を動かすものであり、最も重要な経営資源です。後に触れるフレームワーク「7S」のうち、4つを占める「ソフトのS」が全て「ヒト」に関わるものであるように、管理対象が多いことからも重要であることが窺えます。

    組織マネジメントのメリット

    組織マネジメントを行うことにより、次のようなメリットがあります。

    • 組織目標の達成にリソースを集中できる

    • 不確実な経営環境の変化に対応できる

    • マネジメントを効率的に行える

    組織目標を達成するために、組織マネジメントによってやるべきことにリソースを集中することで、自社の戦略に経営資源を効率的に投下することができることは大きなメリットです。

    組織マネジメントが必要とされる背景

    組織マネジメントが必要とされる背景には、不確実な経営環境にあります。

    旧来の工業経済社会では、変化のスピードが遅くビジネスサイクルが長期であったことなどから、将来の予測が比較的可能でした。しかし、現代の情報経済社会では変化のスピードが目まぐるしく、ビジネスサイクルも短期であることから、将来の予測が困難となっています。

    この不確実な経営環境下、環境変化に対応すべく組織マネジメントが必要とされています。

    組織マネジメントを導入するうえでマネージャーに必要なスキル/能力

    【コミュニケーション能力】
    企業の組織は、トップ、ミドル、ロワーの3つの階層から構成されますが、ミドルに位置づくマネジメント層は、トップマネジメント層とロワ層とコミュニケーションを円滑につなぐ「連結ピン」としての役割であると組織心理学者のリッカートは提唱しています。
    連結ピンとして機能するマネージャーは、単なるパイプ役ではなくトップマネジメント層の意向を有効にロワー層に伝えるなどのコミュニケーション能力が求めめられます。

    【コーチング能力】
    不確実な経営環境においては、組織目標の達成手段をマネージャーの指示にのみ頼るのは限界があります。ロワー層の一人ひとりに動機付けをすることにより、個々人が創造的に考え、柔軟に行動することが必要です。
    コーチング能力は、ロワー層を動機付けることに必須の能力です。
    コーチングを詳しく知りたい方は、「コーチングを学び、スキルやモチベーションの向上に役立てよう」を参考にしてください。

    【計画管理能力】
    組織目標を達成するには、目標達成のためのPDCAサイクルを管理することが必須です。
    組織目標を達成するための計画力とそれを実行する遂行力、管理する能力など、PDCAサイクルを回す一連の能力が求められます。同時に、組織の構成員が同じ方向に向くように目的を共有し、ロワー層の貢献意欲を引き出すことも必要です。

    組織マネジメントの種類と理論/これからの組織マネジメント

    組織マネジメントの種類

    組織マネジメントの種類と理論、これからの組織マネジメントのカギとなるミドルアップマネジメントの重要性について解説します。

    知っておくべき組織マネジメントの種類
    組織マネジメントを組織経営という視点で分類すると、次のスタイルが定石です。

    【トップダウンマネジメント】
    わたしたちに一番なじみのある組織経営スタイルです。意思決定はトップダウンによって行われるため経営判断は早いです。ただし、現場の声が届かないなどで経営環境の変化に対応しづらいほか、ミドルマネジメント層やロワー層のモチベーションを高めることなどは困難といえます。

    【ボトムアップマネジメント】
    ロワー層やミドルマネジメント層からの提案などをトップが吸い上げるボトムアップによって意思決定が行われることから、経営判断はトップダウンに比較して遅いといえます。ただし、ロワー層やミドルマネジメント層の意見を反映できるため、モチベーションを高めることが可能であるほか、現場でおきている経営環境の変化に対応しやすいメリットなどがあります。

    組織マネジメントのカギとなるミドルアップダウンマネジメント

    ミドルアップダウンマネジメントは、トップダウンマネジメントとボトムアップマネジメントのいいとこ取りをした組織経営スタイルです。

    ミドルアップダウンマネジメントは、たとえば、第一線で働くロワー層の意見を吸い上げてトップに提言する、あるいはトップマネジメント層の意向を意欲を引き上げるようにロワー層に伝えるなどトップマネジメント層とロワー層の中間に位置するミドルマネジメント層が「連結ピン」としての機能を主体的に発揮する体制です。

    経営環境の変化が激しく、迅速な意思決定が求められる環境において、有効な組織経営のスタイルといえます。

    知っておきたい組織マネジメントの理論や考え方

    組織マネジメントを実践するうえで、組織マネジメントに関する代表的な理論を知っておくことで理解を深めることができます。ここでは、「組織の3要素」「組織は戦略に従う」「戦略は組織に従う」について解説します。

    【組織の3要素】
    アメリカの経営学者であるバーナードによると次の3要素がそろって、はじめて組織が成立すると説明しています。

    • 共通目的

    • 貢献意欲

    • コミュニケーション

    「共通目的」は、組織の構成員が目的を共有していること、「貢献意欲」は、組織に貢献したいという意思をもっていること、「コミュニケーション」は、組織の構成員間でコミュニケーションを取れることです。

    【組織は戦略に従う】
    経営学の世界的な権威であるチャンドラーは、アメリカの成長企業の組織改革の事実に基づき、経営戦略を効率・効果的に成功させるためには、事業部制という組織が必要であると導き出しました。このことから、「組織は戦略に従う」という考え方を唱えています。

    【戦略は組織に従う】
    経営戦略の父ともいわれるアンゾフによって、チャンドラーの「組織は戦略に従う」とは対極となる「戦略は組織に従う」という考え方を唱えました。これは、経営戦略が策定されても組織の抵抗によって実りがないことから研究された考え方であり、組織が戦略の源泉であるということを提唱しています。

    組織マネジメントの必須フレームワーク/経営への活かし方

    組織マネジメントフレームワーク

    組織マネジメントの課題を解決するためには、フレームワークを活用することが必須といえます。ここでは、フレームワークとして組織の7Sについて解説するとともに、KSFやKPIの設定によって経営に活かす枠組みを説明します。

    知っておきたいフレームワーク「7S」

    組織マネジメントは、経営資源である「ヒト、モノ、カネ、情報」のパフォーマンスを最大化することであることを説明しましたが、具体的な組織マネジメントの方法としてフレームワーク「7S」を活用することがスタンダートです。

    「7S」は、経営資源はハード面(3つ)とソフト面(4つ)があると捉え、組織マネジメントを7つの経営資源にわけて最適な事業戦略を考える方法です。

    組織改革は、戦略や組織といった「ハードのS」とともに、スキルや人材、価値観などといった人に関わる「ソフトのS」の双方の改革が必要です。ハードのSは、「戦略→組織→システム」の順番にトップによって比較的容易に行うことができますが、スキルや人材、スタイルといった「ソフトのS」の改革はヒトに関する内容であり、教育や意識変革、組織文化など長期の取り組みが必要です。

    組織マネジメントのためのマッキンゼー7Sフレームワーク実践

    【ハードのS】
    1. 戦略(Strategy)2. 組織(Structure)3. システム(System)

    【ソフトのS】
    4. スキル(Skill)5. 人材(Staff)6. 価値観(Shared Value)7. スタイル(Style)

    7Sで組織課題を洗い出す

    自社の経営資源を「ハードのS」「ソフトのS」から成り立つ「7S」に分けて、自社の組織課題を洗い出します。

    「ハードのS」における経営課題

    1. 戦略(Strategy)
    競争優位を確立するために、自社の組織の方向性を決定することですが、戦略によって、他のハードのSである組織やシステムのほか、ソフトのSにも影響する重要な要素です。洗い出しにおいては、自社の戦略を正しく理解しておくことが重要です。組織文化などの状況によっては、「組織は戦略に従う」なのか「戦略は組織に従う」であるのか、自社の状況に合わせて整理することが必要です。

    2. 組織(Structure)
    組織経営スタイルとして、「トップマネジメント」「ミドルアップダウンマネジメント」「ボトムアップマネジメント」のいずれが戦略に相応しいのか課題を洗い出します。また、戦略に応じた組織形態として、損益責任を持たせる事業部制、投資責任まで持たせるカンパニー制、従来型のライン組織などどのような形態が適切なのかも洗い出します。

    3. システム(System)
    システムとは、組織目標を円滑に達成するための仕組みや制度であり、例えば人事制度などの仕組みや人事・給与システム、ERPシステム(統合基幹業務システム)などがあげられます。昨今では、急速な情報化の進展によって人事分野でもDXの動きが活発化しており、システムも重要な要素です。

    DXを詳しく知りたい方は、「デジタルトランスフォーメーションはなぜDX?意味や定義、事例を解説 」を参考にしてください。

    「ソフトのS」における経営課題

    4. スキル(Skill)
    スキルとは、ヒトの能力のほか、自社の開発力・営業力・マーケティング力などもあげられ、一長一短では築くことができない資源です。洗い出しの際は、戦略を遂行するために必要なスキルを洗い出します。

    5. 人材(Staff)
    人材は、経営資源の中で最も重要であり、欠かすことのできない資源です。洗い出しの際には、戦略を遂行するための必要な人材像がどのようなものかを検討するほか、ハイパフォーマーの行動特性を洗い出すことによってコンピテンシーモデルを設計する必要があるかなども検討します。

    コンピテンシーを詳しく知りたい方は、「コンピテンシーとは?活用メリットやデメリット、導入の流れを解説」をご参考ください。

    6. 価値観(Shared Value)
    価値観とは、企業文化や企業理念などを指しますが、組織内で無意識的に浸透している資源であることから、この価値観を変えていくことは容易ではありません。組織における意思決定の軸になるものでもあり、人材の次に重要な資源といえます。洗い出しの際は、外部の者など第三者から客観的な意見をもらうことが有効です。

    7. スタイル(Style)
    スタイルとは、社風や職場環境・仕事のスタイルなどを指しますが、人材のモチベーションなどに大きな影響を与えます。例えば、風通しの良い社風といった場合、従業員のパフォーマンスがあがるなどです。洗い出しの際は、戦略に応じたスタイルになっているかの視点で洗い出します。

    抽出した組織課題をKSF、KPIへ

    組織マネジメントとして、7Sによって洗い出した組織課題をKSF(Key Success Factor:重要成功要因)として設定します。これによって、やるべきことを明確にし、経営資源のリソースを集中させるのです。

    KSFは、外部環境と内部環境の分析結果に基づいて、競争優位を構築するために定めるものですが、具体的には、「SWOT分析」と「7S」によって組織課題の向かうべき方向性を導き、それに基づき、KSFとKPIを設定します。

    KSFを詳しく知りたい方は、「【完全版】人事のためのKSFとは。KPI・KGI・OKRとの違い」や「【実践】人事フレームワークまとめ・KSF活用。SWOT/PEST分析」をご参考ください。

    KPIを詳しく知りたい方は、「【完全版】人事のためのKPIとは。KGI・SMART・OKRとの違い」をご参考ください。

    7SとSWOT分析などフレームワーク活用した成功ポイント・事例によるケーススタディを「組織マネジメントの成功ポイントは?フレームワーク実践法と事例3選」で解説していますので、ご参考ください。

    組織マネジメントの書籍本まとめ

    おすすめ書籍

    ここでは、組織マネジメントの学ぶにあたり、お勧めの書籍を紹介いたします。

    マネジメント「基本と原則」(ピーター・F・ドラッカー(著))

    ビジネス界で大きな影響をもつ、ドラッカーによる書籍であり、ドラッカー経営学の集大成が凝縮された一冊です。指針とすべき役割や責任、行動を示し、組織マネジメントを大局的な視点で執筆されており、組織マネジメントの概念を知るには最適です。

    Amazon「マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

    知識創造企業(野中 郁次郎(著)・竹内 弘高(著))

    経営学に「知識」という考え方を取り入れ、企業のイノベーションメカニズムを示した一冊です。ナレッジマネジメントブームを巻き起こすなど、ビジネスの現場に大きな影響をもたらしています。

    個人の暗黙知から組織の形式知への変換による、イノベーションプロセスは、「SECIモデル」「知識創造理論」として、経営学の分野でもよく知られています。

    Amazon「知識創造企業

    ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現(フレデリック・ラルー(著)、嘉村賢州(著))

    上下関係も売り上げ目標も予算もないという従来のアプローチの限界を突破し、まったく新しいマネジメント手法を解説しています。ティール組織は今までのマネジメントの常識を覆す次世代の組織論であり、最新の組織マネジメントについて学びたいという方にお勧めです。

    Amazon「ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

    環境変化に対応していくための組織マネジメント

    組織マネジメントを実践するにあたって知っておきたい組織マネジメントの理論やフレームワークなどを解説しました。

    情報化社会の進展による不確実な経営環境を乗り切るためには、組織マネジメントを行うことが必須です。

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    HR大学編集部
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