#人材管理
2023/09/04

社内アンケート調査の進め方!実施目的や、注意点、項目例を紹介

目次

    社内アンケート調査とは

    従業員満足度調査・エンゲージメント調査、ストレスチェック、360度評価などの言葉を、耳にする機会が多くなったと感じる方も、少なくないと思います。

    このような、組織の現状把握を目的として、企業が従業員を対象に実施するアンケート調査が「社内アンケート調査」です。

    これまでの年功序列、終身雇用を前提とした時代から、雇用が流動化し、価値観の多様化が進む時代へと変化してきたこともあり、

    各企業が、優秀な人材の確保だけではなく、従業員ひとりひとりが活躍人材になれる環境づくりに目を向けるように変化してきました。その変化が、このような言葉を耳にする機会が増えたひとつの要因になります。

    社内アンケート調査を実施することで想定されるメリット

    現場の声を拾い上げることができる

    上司と部下の人間関係など、周囲から見ているだけでは、理解することが難しいケースが多く、問題が起こっていたとしても、見落としがちになってしまいます。

    このような状況の場合に、匿名性の高い(無記名など)社内アンケートを実施することで、現場の声を拾い上げることが出来ます。

    問題をいち早く解決し、働きやすい環境づくりを目指すことができるようになります。

    定期的な調査で変化を把握することができる

    従業員の増減や、従業員の異動、業務の変化など、内容が同じアンケートを実施したとしても、その時の置かれている状況に応じて回答結果は変わってきます。

    同じアンケートを定期的に実施することで、結果の変化から、組織の変化を把握し、生産性の向上などに繋げていくことが可能になります。

    不祥事の発生を防止することができる

    社内で起こっている問題を、見て見ぬ振りをする従業員が存在した場合、問題が大きくなり、取り返しがつかない状態になる可能性があります。

    また、報告しようと考える従業員がいたとしても、報告するすべが無い場合は、問題の発見が遅れてしまういます。

    メディアでも取り上げられる機会が多くなった、パワハラやセクハラなどの「ハラスメント」に関しても、社内アンケート調査を実施することで、問題が大きくなる前に発見することができ、対策を打つことが可能となります。

    従業員ひとりひとりがより高いパフォーマンスを発揮し、強い組織を作っていくためにも、従業員が風通しの良い会社だと感じる環境の整備、発言の機会を提供することは必要不可欠です。

    社員アンケートについて、更に具体的なメリットが知りたい場合はこちら

    社内アンケート調査の目的、活用

    社内アンケート調査は、具体的にどのような目的で実施されることが多いのか、結果をどのように活用しているのかについて、ご説明します。

    例えば、以下のような目的で実施されています。

    人事制度、福利厚生などの内容に対して社員の意見、考えを把握し組織改善を行う

    人事評価に課題を感じ、改善方法を検討している人事担当の方も多いと思います。

    改善方法を検討する際には、人事評価のどういった項目が不満なのか、どういった観点で評価を求めているのかを調査するところから始めてみてはいかがでしょうか。

    そして、評価制度を設計する際に、調査結果を活用することで、従業員の意見が反映された制度を作成することが可能となり、組織がより良い方向に向かうための環境を整えることに役立ちます。

    社内コミュニケーションの活性化

    企業が成長するにつれて、社内のコミュニケーションが希薄化し、業務を円滑にすすめる際の弊害となり得る可能性も考えられます。

    このような状況を避けるためにも、上司と部下の観点や、異なる部署間の観点などで、業務に取り組むに際して、各々が大切にしている価値観を共有し、各々で尊重し合う文化を作ることが重要です。

    社内アンケート調査を活用し、結果をフィードバックすることで、普段の業務ではわからない、各々が大切にしている価値観を言語化することが可能となります。

    この価値観を各々が理解しようと努めることで、他人に配慮をしたコミュニケーションを行うことができる環境を整えることができ、社内コミュニケーションの活性化に寄与します。

    経営方針の社員への浸透度を確認する

    経営者と従業員が目指している方向性にずれが生じるケースも考えられます。

    「経営者が考えている、今後進むべき方向性を従業員が理解できているか」
    「経営者が認識している企業の実態と、現場が認識している実態に相違はないか」

    社内アンケート調査を行うことで、これらの内容を明らかにし、経営方針の策定を考える際の判断材料として活用することも可能となります。

    いずれの場合も、社内アンケートを通して、従業員から本音の回答を引き出すことが求められます。

    回答を引き出した後は、アンケートの結果をもとに改善策を立案・実施することで、

    従業員ひとりひとりが、より高いパフォーマンスを残していくための環境をつくっていくことを目指します。

    最初のステップとして、経営や組織の課題を把握するために、社内アンケート調査が実施されています。

    更に具体的な社内調査の活用例が知りたい場合はこちら

    社内アンケート実施の流れ

    どのような流れで社内アンケート調査を進めていくのか、具体的にみていきましょう。

    社内アンケート調査の目的を明確にする

    目的が曖昧なまま調査を実施したとしても、有効な情報を収集することはできません。

    • 上司の目標達成意識が強すぎるがあまり、部下が疲弊するという状況に陥ってしまっているのではないか

    • 営業部署の数字の追い込み意識と、経理部署の期日までに業務を終えるという責任感との間で、うまくコミュニケーションを取ることができていないのではないか

    このように、現状の組織では、どのような問題点が発生していると考えられるのか、どのような内容を把握し、改善を行っていく必要があるのか、仮設立て、調査を実施する目的を明確にする必要があります。

    アンケート設問の項目を設計する

    調査目的を明確にした後は、どういった質問項目を作成するかを検討します。

    調査後、改善策の立案、実行を行うことを前提に、「どんな情報があれば、改善策を立案・実行できるか」を整理し、どのような設問を設計する必要があるのか検討します。

    ここでもう1つ注意したい点が、設問数です。

    設問数が多くなりすぎると、従業員の回答の正確性が失われる(適当に回答する人が増える)、情報量が多くなりすぎて、改善策を考える際に何から手をつければ良いのかわからなくなる、などの状況を引き起こす可能性があります。

    調査目的にはどういった情報が必要なのかをよく考え、設問を厳選して設計する必要があります。

    社内アンケート調査を実施する

    アンケート調査を実施する際には、事前にアンケートを実施する旨を社内に告知してください。特に以下を伝えることで、回答の促進、正確な情報の回収に繋がります。

    • どういった背景で実施するのか

    • 収集した情報をどのように活用するのか

    • 調査対象の従業員へアンケート調査の必要性

    アンケート結果の集計・分析を行う

    アンケート調査後は、集計し、分析を行います。

    集計、分析時に要注意する点としては、「データの数詞だけをみて判断しないこと」があげられます。

    例えば、アンケートでは問題点が提示されているにも関わらず、数値を集計し、傾向だけを眺めていると、その問題を見逃してしまう可能性があります。

    少数派のデータは、より、注意して観察するようにしましょう。

    設問に自由記述の項目を含めて実施した場合は、記述内容をいくつかのパターンに分類し、

    1つでも気になる回答があった場合は、どういった背景で記入されたのか、その人が他の設問にどのように答えているのかなどと合わせて確認し、回答の裏側まで想像することができればなお良いでしょう。

    自由記述の項目に関しては、設問にすることができなかった内容などを、複数の具体的な回答例と合わせて、従業員へ提示することを心がけましょう。

    従業員が、どのような回答を行う項目なのか、容易に認識することが出来るような状況にすることで、回答を促進することが出来ます。

    アンケート結果をもとに対策を立案する

    社内アンケートを実施することが目的になり、アンケート結果を有用に活用しない、という状況は避けなければなりません。

    たとえば、「上司、部下間のコミュニケーション」が問題点として上がってくるようであれば、詳細を把握し、改善するアクションを促す、場合によっては人員配置を検討するなどの対応が考えられます。

    「業務量」が問題点として上がってくるようであれば、対応策として、業務分担の見直しなどが考えられます。

    「評価制度」が問題として上がってくるようであれば、上司からの評価だけではなく、部下や同僚からの視点も評価に組み込む、評価軸を現状のものだけではなく、別軸で追加する、なども考えられます。

    従業員に対してフィードバックを行う

    結果の集計が完了し、対策の立案が出来たタイミングで、調査結果どうだったのかを全従業員に報告し、報告結果をもとに、これからどのような改善策を実施していくのかといった方向性を示す必要があります。

    なぜなら、「アンケート回答に協力をしたのに何も変わらなかった」、「アンケート結果に対して、会社として改善策の提示などの方向性を示さなかった」、などの印象を従業員に与えてしまうと、次回以降アンケートを実施する際に、回答率の低下などの悪影響を及ぼしてしまう可能性が考えられるためになります。

    このような悪影響を避けるためにも、調査終了後は可能な限り早く、結果の集計、改善策のの立案に取り掛かることを意識しましょう。

    しかし、調査結果から「どのような問題点が考えられるのか」、「問題を解決するために、どのような施策を行うべきなのか」などを考えることは簡単ではありません。初めて社内アンケート調査を行う場合や、アンケート調査を行うテーマに関する知見を有していない場合はなおさら、難しいと感じるでしょう。

    そのような場合は、アンケート結果から、どのような施策を行えば良いのかを可視化することが出来るツールなどを用いて、改善策の立案に取り掛かるりましょう。

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    社内アンケート調査の設問項目を考える

    社内アンケート調査を実施する目的にもよりますが、有用なデータを収集するためには、どのような設問項目を使い調査を行うのかを、考えることが重要になります。

    目的に応じた専門家(心理学や、統計学など)に依頼して作成することが多い印象ですが、自社で考えて作成することも可能です。

    仕事内容に関する調査を行う場合の設問項目例

    • 現在取り組んでいる仕事にやりがいを感じますか

    • 自身の職位に対して割り振られた仕事の量、質は適切ですか

    • 自身が有している能力、強みを業務で発揮できていると感じますか

    • 新たな経験、スキルを身に付けることができるなど、自身が成長できる環境と感じますか

    • 達成したいと思う、明確な目標はありますか

    上司や部下に関する調査を行う場合の設問項目例

    • 上司の指導方法、指導方針に満足していますか

    • 上司は尊敬できる人物ですか

    • OJTの時間は十分に確保されていると感じますか

    • 部下が「働きやすい」と感じる環境を、提供できていると感じますか

    組織に関する調査を行う場合の設問項目例

    • 会社の経営方針について、共感・納得はできていますか

    • 今の会社のあり方に、満足していますか

    • 人間関係で問題を感じることはありますか

    コンプライアンスや待遇に関する項目例

    • 現在の給与に満足・納得していますか

    • あなたは自分の人事評価に満足・納得していますか

    • 上司から残業を依頼されたとき、断ることができる環境ですか

    • 会社の福利厚生に満足していますか

    本音を引き出す社内アンケート調査を行うために、に注意すること

    社内アンケート調査を行うに際して、効果を高め、継続的に実施していくために注意する点について解説します。

    設問を多くしすぎない

    具体的で詳細なデータを回収しようとすればするほど、設問数は増えていき、集計や分析が複雑になっていきます。また設問数が多すぎると、アンケートの回答者の負荷になり、回答意欲が削がれ、回答内容への正確性にも影響してきます。

    設計者側は、「あれもこれもききたい」「あれもこれも解決したい」と欲張らずに、今回のテーマや、解決したい課題に関しては、どういう情報が必要で、どういう情報が必要ないかを熟考し、取捨選択のうえ、設問設計を行う必要があります。

    回答を誘導しない

    社内アンケート調査を企画、実施する際に陥りがちなのが、設問を作成する際に、想定している回答を導き出したいがために、従業員の回答を誘導してしまうことです。

    例えば、「当社では●●の考えを大切にしています、あなたも●●の考えを大切にして業務に取り組んでいますか」などのような設問です。

    従業員の本音を集めるためにも、回答の結果を誘導する可能性がある設問になっていないか、配慮する必要があります。

    回答しづらいアンケートにしない

    社内アンケート調査は、記名方式でやる場合と、無記名方式でやる場合の2パターンが存在します。

    経営者に関して、上司に関して、人間関係に関して、など、自分の回答内容を第三者に知られる可能性があると感じた場合、本音で回答しない従業員が出てくる可能性があります。

    このような、デリケートな内容に関しては、無記名方式で実施し、個人を特定しないと公言したうえで、社内アンケート調査を実施しましょう。

    アンケートを回収したままにしない

    社内アンケート調査の回答は必ず、集計と分析を行い、今後に生かす必要があります。

    「思った結果が出なかった」「何も改善策が思いつかなかった」「別の業務で忙しくなってしまった」などの要因からアンケート結果を十分に活用できない可能性も考えられます。

    しかしどのような状況になったとしても、社内アンケート調査実施後は、必ず従業員に対して、結果と次のアクションを提示しょう。

    アンケートの実施がゴールとなってしまうという状況は避けなければなりません。

    まとめ

    社内アンケートは、年に1回~数カ月に1度、社員を対象として実施される調査です。

    多すぎても従業員の負担となりますし、何度も調査するより、1つの調査の目的を明確に実施し、改善策の立案・実行に時間を費やすことが重要と言えるでしょう。

    社内アンケートを効果的に活用し、経営や組織の課題を解決することができれば、社員の離職率・エンゲージメント・生産性が改善し、企業の業績向上につながるでしょう。

    このようなすべての課題は、従業員エクスペリエンスを改善することで解決することができます。

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    HR大学編集部
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