人材管理
2022/02/15
【人事基礎編】社内アンケートとは?本音を引き出すコツを解説
目次
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
企業業績と社員満足度との相関関係に注目が集まっています。社員満足度を調査する手段や方法に社内アンケートがあります。今回は基礎編として社内アンケートのメリット、実施方法や実施の注意点、本音を引き出す上で鍵となる心理バイアスを解説します。
社内アンケート(従業員満足度調査)の目的、メリットとは
社内アンケート(従業員満足度調査)の目的、メリットとは
まずは社内アンケートとはどんなものなのか、一般的な定義と導入の目的、メリットを見ていきます。
社内アンケートの定義
社内アンケートは、年に1回~数カ月に1度、社員を対象として実施されます。
用途としては、職場環境に対する社員の現状の満足度を把握するために実施されます。
別名「従業員満足度調査」と呼ばれることもあります。人事部門が主導し実施されますが、労働組合によって実施され、労使交渉の場で活用されることもあります。
社内アンケートを導入する目的
導入の目的は、経営や組織の課題を把握し、対応策を検討することです。例えば、以下の用途が具体的には考えられます。
- 経営方針の社員への浸透度を確認する
- 人事制度、就業規則、福利厚生の内容に対して社員の意見、考えを把握する
- 管理職が職場で部下のマネジメントを適正に実施できているか確認する
いずれの場合も、社員の意見、考えを把握することが目的であり、社員から本音の回答を引き出すことが求められています。
なお、社内アンケートのように人事領域のデータを集め、分析し、分析結果に基づき、アクションを起こすことを「データドリブン人事(HR)」と言います。
データドリブン人事(HR)について詳しく知りたい方は「データドリブン人事(HR)とは?活用例・ツール・手法・本・資格を解説」をご覧ください。
社内アンケートを導入するメリット
社内アンケートを導入するメリットは主に3つあります。
・生産性の向上
経営、組織の課題が解決されることにより、社員の仕事に対するやりがいが大きくなり、生産性が高まります。
・定着率の向上
社員の仕事に対するやりがいが大きくなることにより、離職率が低下し、定着率が高まります。
・業績の向上
社員の生産性が高まることにより、組織力が高まります。組織力の向上は、企業業績に好影響を与えます。
社内アンケートとサーベイの違い・比較
社内アンケートを目的別により細かく分類、定義したものに従業員サーベイなど各種サーベイがあります。
従業員サーベイ
調査の頻度は、年に1回~数カ月に1度、実施されます。
社内の人事制度や就業規則を改定する際、人事が仮説として立てた課題を検証するための事実情報を収集するのが用途です。
従業員サーベイについて詳しく知りたい方は「【基礎編】従業員サーベイとは?メリット・デメリットと実施時の注意点を解説」をご覧ください。
組織サーベイ
調査の頻度は、年に1回~数カ月に1度、実施されます。経営目標達成のため、各組織のチームマネジメントが機能しているか、事実情報を収集するのが用途です。
組織サーベイについて詳しく知りたい方は「【基礎編】組織サーベイとは?目的や従業員満足度調査・社内アンケートとの違いを解説」をお読みください。
パルスサーベイ
調査の頻度は、1~5分程度で回答できる簡単な質問を、毎日・週1・月1と定期的に実施します。社員満足度向上の施策を打つために、リアルタイムで社員の意識・状態を把握するのが用途です。
パルスサーベイについて詳しく知りたい方は「【事例あり】パルスサーベイとは?目的から実施・活用のポイントまで」をお読みください。
エンゲージメントサーベイ
調査の頻度は、年に1回~数カ月に1度、実施されます。社員の仕事に対するモチベーションを向上させるために、現状を把握するのが用途です。
エンゲージメントサーベイについて詳しく知りたい方は「エンゲージメントサーベイとは?種類・有用性・分析方法を解説」をご覧ください。
モラールサーベイ
調査の頻度は、年に1回~数カ月に1度、社員のモラールを測定するために実施されます。モラールとは、フランス語で「士気」「意欲」と訳され、組織として目的を達成しようとする意欲、態度を意味します。社員のパフォーマンスに、どのような要素が影響しているか、事実情報を集めるために使用されます。
モラールサーベイについて詳しく知りたい方は「【基礎編】モラールサーベイとは?目的や従業員満足度調査・社内アンケートとの違いを解説」をご覧ください。
従業員満足度調査(社内アンケート)
調査の頻度は、年に1回~数カ月に1度、実施されます。主に職場環境の改善や、福利厚生の施策検討のために、社員の満足度を把握する用途があります。制度改定やマネジメント改善等、他サーベイの用途も広く包括した調査と位置づけられます。
従業員満足度調査について、さらに詳しく知りたい方は「【人事基礎】従業員満足度(ES)調査とは?サーベイの種類、生産性向上の要素」をご覧ください。
社内アンケート実施の背景と効果メリット
次に社内アンケートが注目される背景、効果メリットを説明します。
eNPS・社内アンケートが注目される背景
昨今、「eNPS(Employee Net Promoter Score)」という言葉が、企業の人事領域で注目を集めています。NPS(Net Promoter Score/ネットプロモータースコア ※1)とは元々、顧客ロイヤルティを把握するために、質問項目ごとに0〜10点で数値化し、企業やブランドに対してどの程度、愛着があるか計測する指標です。その計測を社員を対象に実施し、社員の企業に対する満足度を把握するのが「eNPS」です。
社員の企業に対する満足度が高まれば、仕事に対するやりがいが高まります。仕事に対するやりがいが高まれば、組織力が高まり、組織力の向上は業績の向上につながります。業績向上の鍵となる社員満足度を測定するツールとして、社内アンケートが注目を集めています。
効果メリットから社内アンケートを導入する会社が増加
社員の満足度を把握するには、社員の生の声を聞くことが必要です。社員の声を集めるためには、以下の理由から社内アンケートの実施が効率的かつ効果的です。
- 立場が異なる社員の声を収集できる
年齢、役職、職種、雇用形態といった社員の属性別に社員の意見・考えを容易に整理、分析し、課題抽出につなげることができます。
- 社内のコミュニケーションが活性化する
社内アンケートの結果を整理、分析することにより、経営・組織の課題が明確になります。そして、結果を社内で共有することにより、課題解決に向けた、組織内のコミュニケーション活性化につながります。
以上の背景、効果メリットから、社内アンケートを導入する会社が増えています。
(※1)ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標
本音を引き出す回答率アップのポイント・注意点
社員の意見、考えを正確に把握するために、社内アンケートは社員に本音で回答してもらう必要があります。ここでは、社員の本音の回答率をアップするためのポイント、注意点を説明します。
導入の進め方のポイント
- 目的を明確にする
社員に対して、本音で回答する姿勢を作ってもらうには、実施の目的を明確にした上で、事前に社員に説明することが重要です。
例えば、社員の離職が増加傾向にあり、定着率を向上させたいという目的があったとします。現在の社内での働きがいを確認したいと社内に明言した上で、アンケートを実施すると、社員から本音の回答を集めることができます。
- 回答のリスクを社員に伝える
社員はアンケート回答のリスクを確認したうえで、回答する姿勢を決めます。
具体的には匿名の場合、個人が特定される可能性があるのか、回答内容は人事評価に影響するのかといったことが挙げられます。
事前に回答する上で、リスクとなる項目を洗い出し、それらについて社員にどう伝えるのか、検討する必要があります。
実施方法はWebアンケートがオススメ
Word等の文書ファイルで実施する方法、Web上に質問項目を作成し実施する方法、の2種類があります。
Webアンケートは、回答者がストレスなく短時間で回答、提出まで完了できます。本音の回答を集めるためには効率的に回答できるWebアンケートが望ましい方法です。
実施方式とプライバシー保護
実施方式には、回答者の氏名を明らかにして回答する記名方式と、氏名を明らかにせず回答する匿名方式があります。
社員はプライバシーが保護されるかを気にすることが多いため、本音の回答を引き出すためにも匿名方式で実施する必要があります。
匿名方式にする場合、社内アンケートの管理方法を事前に社員に説明することも重要です。
例えば、Webアンケートを採用する場合、回答を閲覧できる者を限定し、事前に社員に説明する等、厳重な管理体制が整備されていることを示す必要があります。
心理バイアス、正解バイアスに注意したアンケートの作り方
社内アンケートでは、質問の設計方法が社員の本音を引き出すために鍵となります。ここでは心理学、統計学の視点からアンケートの作り方のポイント、注意点を説明します。
心理バイアス、正解バイアスについて
アンケートが選択式である場合、回答者が質問への回答に迷ったときや、質問文が特定の回答を誘導する内容だったときは、本音とは異なる回答が発生しやすくなります。これを心理バイアスと呼びます。
この中でも回答者が、自分に求められている回答を見越して、本音とは異なる回答をすることを正解バイアスと呼び、区別します。
社内アンケートの場合、例えば回答者である社員が、役職等の自分が社内で置かれている立場から、自分が選ぶべき回答を無意識に選択することが考えられます。
本音の回答を集めるためには、バイアスを発生させないような質問を設計する必要があります。
心理バイアス、正解バイアスに注意したアンケートの設計方法
- 導入文を工夫する
質問項目に入る前の導入文で、社員に本音の回答を求めているという会社の思いを示し、回答前の心構えをつくることが重要です。
具体的には、アンケートの「目的」と「回答の注意点」の記載を工夫します。
【「目的」の例】
組織のマネジメントの課題を特定し、社員にとって働きやすい職場を作るため、社員の意見、考えを把握したいというメッセージを盛り込みます。
【「回答の注意点」の例】
質問への回答に一貫性がなかったり、選択式の質問項目で、意図的に正解を意識して選択肢を選んだ場合、無効回答または再回答となることを明示すると良いでしょう。
導入文の工夫は、心理バイアスが、回答者の無意識の内に入り込んでくるものであり、意識的に回答するよう促すことで、そのバイアスを取り払う方法といえます。
- 選択肢(リッカートスケール)は偶数より奇数など工夫する
選択式のアンケートで「全く満足していない」から「非常に満足している」のように、回答程度の強弱がある設問形式をリッカートスケールと呼びます。
このリッカートスケールにおいて、社員から本音の回答を集めるためには、選択肢の数が重要です。
一般的にリカットスケールにおける選択肢の数は5つと言われており、これより多すぎても少なすぎても回答結果の信頼性が担保されません。質問内容にもよりますが、5つから7つ前後の数で設定するとよいでしょう。
また、選択肢の数は奇数ではなく、偶数にすることが望ましいです。奇数にすると、質問に対して肯定・否定どちらでもない中央値が生まれ、回答者が、安易に選択する逃げ道になり、本音の回答が得られません。
社内アンケートを活用し、経営や組織の課題を解決する
社内アンケートは、年に1回~数カ月に1度、社員を対象として実施される調査です。
職場環境に対する社員の現状の満足度を把握するために実施され、経営や組織の課題を把握し、対応策を検討することに活用されます。
社内アンケートを効果的に活用し、経営や組織の課題を解決できれば、社員の生産性、定着率が向上し、企業の業績向上につながるでしょう。
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HR大学 編集部
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