#労務管理
2023/11/21

R&Dとは何の略?企業がR&Dに力を入れる意味と取り組み事例を紹介

目次

R&Dは、「Research and Development」の略で「研究開発」と訳されます。

近年では、R&Dに取り組むためのプロジェクトを立ち上げ、R&Dに費用や人材の投資を進める企業が増えています。

この記事では、企業がR&Dに取り組む意味や目的、メリットとデメリット、R&Dの取り組み事例について解説します。

人事のR&Dを推進する「人材データベース」管理入門

R&Dとは

R&Dとは「Research & Development」の略で、日本語で「研究開発」という意味です。

企業は自社の事業領域に関連した研究開発を行い、新たな知見や技術を得ることで、新しいサービスを生み出します。

R&Dの種類

R&Dには大きく分けて、「基礎研究」「応用研究」「開発研究」の3つの種類があります。

R&Dの種類

  • 基礎研究

  • 応用研究

  • 開発研究

基礎研究

基礎研究とは、新たな科学的事実を発見し立証する研究です。

全ての研究の基となる研究ですが、この段階では企業のサービス開発に直結することはありません。いつ売上としての成果を得られるかわからないのが基礎研究です。

応用研究

応用研究とは、基礎研究で立証された科学的事実に基づいて、特定の目標を定めて実用化の可能性を確かめる研究です。

既に実用化されている方法について、新たな使い道を模索することも応用研究に含まれます。

開発研究

開発研究とは、基礎研究・応用研究で得た科学的事実と、作り出された商品から得た知識から、新しいサービスを生み出す研究です。

市場ニーズに対して、新たな知見や技術を活かしてこれまでにない商品を作り出します。

R&Dの目的

R&Dの目的は、「技術的な優位を得て、企業競争力を向上させること」にあります。

研究開発を進めることで、自社にしかない知見や技術が蓄積されます。

この自社にしかない知見や技術によって、他社と差別化がされ、技術的に優位に立つことができます。

新たな技術の研究開発は、自社にしかできないサービス開発につながります。

また、技術の「特許権」を取ることで、特許使用料を得る事も可能です。

このようにR&Dを推進することで、企業競争力を向上させることができます。

R&Dの歴史

研究開発自体は古来より行われていましたが、国や企業が力を入れて取り組み始めたのは、第一次世界大戦以降と言われています。

その後、戦争と共に成長を遂げた研究開発は、軍事に関わる分野だけではなく、民事分野でも行われていくようになりました。

日本でR&Dが盛んになったのは、1980年代の高度経済成長期だといわれています。

製造業を中心に研究所が設立されていきましたが、自社内で完結するものも多く、自前主義に陥っていることが現在でも課題となっています。

2010年代からは自前主義脱却のため、オープンイノベーションが図られるなど、各企業が競争優位性を得るためにR&Dに取り組んでいます。

※自前主義とは、自社の技術やノウハウに固執して、自社で開発したものを高く評価し、他社の技術やノウハウを評価しないこと。

※オープンイノベーションとは、自社のイノベーションを促進するために、自社内外を問わず、あらゆる技術やノウハウを駆使し、さらに自社で創出されたイノベーションを自社外へ展開する一連のモデルのこと。

▼「オープンイノベーション」についてさらに詳しく
オープンイノベーションの効果とは?導入事例も併せてご紹介

R&Dのメリット

自社でR&Dに取り組むことで得られるメリットについて確認してみましょう。

R&Dのメリット

  • 技術資産の蓄積

  • 製品開発のスピードアップ

  • 企業競争力の向上

技術資産の蓄積

R&Dに取り組むことで得られるメリットは、自社の研究分野の技術や知見などの技術資産が蓄積されていくことです。

技術資産が蓄積されることで、他社をリードするサービス開発をすることが可能になります。

製品開発のスピードアップ

R&Dに取り組むことで得られるメリットは、製品開発や製品改良のスピードがアップすることです。

R&Dを通して技術資産が蓄積され、常にアップデートが行われることで、新商品の開発や既存製品の改良などのスピードを上げることが可能になります。

企業競争力の向上

R&Dに取り組むことで得られるメリットは、企業競争力の向上です。

他社にない技術資産を有することで、企業競争力を向上することが可能です。

自社にしかない技術資産は、自社にしか作れない商品を作ることにつながります。

また、特許を取得することで特許権の使用料を得ることができるため、収益アップも期待できます。

R&Dのデメリット

R&Dに取り組むことで起こるデメリットについて確認してみましょう。

R&Dのデメリット

  • コストがかかる

  • 失敗した際のリスクが大きい

コストがかかる

R&Dに取り組むことで起こるデメリットは、コストがかかることです。

研究開発には膨大な時間と費用がかかります。

また、上手くいかず失敗続きになることも研究開発の現場では珍しくはありません。

そのため、それだけの時間とコストをかけられるかどうかは、R&Dに取り組む前に考える必要があります。

失敗した際のリスクが大きい

R&Dに取り組むことで起こるデメリットは、失敗した際のリスクが大きいことです。

研究開発において失敗はつきものですが、最終的に一定の成果を得ることができれば、その分野における研究開発は成功と言えるでしょう。

ですが、何も得られないまま予算や期限を迎えてしまうことも考えられます。

失敗が続いた結果、周囲の理解を得られず途中で辞めざるを得ない状況になることも考えられます。

R&Dに取り組む際は、時間とお金だけかかった、ということがないようにしなければなりません。

R&Dの課題

R&Dは積極的に取り組みを進めても、思うような成果が得られないことも少なくありません。

R&Dの成功までの、3つの課題について確認してみましょう。

R&Dの課題

  • R&D人材の不足

  • コスト不足やROI管理の欠如

  • 自前主義

R&D人材の不足

R&Dに取り組む際の課題として、まずはじめに課題となるのが「R&D人材の不足」です。

R&Dを進めるには研究開発をする分野に精通した人材が必要です。

こういった人材は求人市場に多くはないため、求める人材の確保が難しいという課題があります。

優秀な人材の確保のためには、研究者が魅力に感じる環境や条件を揃える必要があるでしょう。

コスト不足やROI管理の欠如

R&Dに取り組む際の課題として、研究開発に必要十分なコストがかけられていないということがあげられます。

特に、基礎研究のようなすぐには利益に結び付かない研究開発は、予算が十分に確保できない場合が少なくないでしょう。

またコスト不足と併せて、投資対効果(ROI=Return On Investment)を適切に管理できていないこともあります。

各研究開発分野にどのくらいの費用をかけて、どのくらいのリターンが見込めるのかを把握しコスト管理をする必要があります。

自前主義

R&Dに取り組む際の課題として、「自前主義」があげられます。

自前主義とは、自社での研究開発で得た結果や自社生産に価値を置き、他社の価値を低く見て連携等を行わないことを言い、日本企業の多くで課題となっています。

現在のイノベーションの多くは、自前主義ではなく「他社との協働」によって生まれており、自前主義では新たなイノベーションを起こすことが難しくなっています。

これからは、自社内で完結する「クローズドイノベーション」ではなく、他社の活用や協働による「オープンイノベーション」が求められています。

R&Dの事例

実際にR&Dに取り組んでいる企業はどのような取り組みを行っているのか、人事におけるR&Dの取り組み事例を含めて、4つの事例を確認してみましょう。

R&Dの事例:NEC(日本電気株式会社)

NEC(日本電気株式会社)では、6つの技術領域「認識AI」「分析AI」「制御AI」「システムプラットフォーム」「通信」「セキュリティ&ネットワーク」を定め、新たな社会価値を創造するための研究開発に取り組んでいます。

日本に置かれている中央研究所を司令塔に、海外にも6つの拠点を置いています。

人材においても研究人財と称し「選択制研究職プロフェッショナル制度」など、研究者の育成に取り組んでいます。

(参考)NEC「研究開発(R&D)
(参考)NEC「働き方・ライフサポート

NEC(日本電気株式会社)

R&Dの事例:TIS株式会社

TIS株式会社は、TISインテックグループ全体のR&D部門を1つに結集し、「グループラボラトリー機能」を作っています。

グループラボラトリーは、「R&D機能の強化」「市場におけるプレゼンスの強化」「オープンイノベーションの推進」をミッションに運営されています。

近年では、AIや機械学習、IoT、ブロックチェーン、ロボティクスなどの分野の研究を行っています。

(参考)TIS株式会社「TISインテックグループのR&D部門を結集し、『グループラボラトリー』機能を開設

TIS株式会社

R&Dの事例:株式会社リクルート

株式会社リクルートは、リクルートワークス研究所という「人」と「組織」に関する研究機関を設けています。

研究領域は「労働政策」「個人のキャリア」「人材ビジネス」「キャリア教育」「組織人事」など、人と組織に関わる多岐の領域に渡っています。

また、研究結果や調査内容は外部に公開され、他社でも活用が可能です。

(参考)リクルートワークス研究所「研究所について

株式会社リクルート

R&Dの事例:株式会社セプテーニ・ホールディングス

株式会社セプテーニ・ホールディングスは、グループ内に「人が育つを科学する」と掲げ「人的資産研究所」という人材研究部門を設立しています。

人的資産研究所では「採用」「適応」「育成」の3領域で、社内に蓄積された人事データを活用し研究を行っています。

研究結果は外部にも公開されており、外部機関とも連携して研究を行っています。

現在研究所は会社化され、研究に加え研究で得た知見を基にしたサービス開発を行っています。

(参考)人的資産研究所「研究目的・概要

株式会社セプテーニ・ホールディングス

人事のR&Dを推進する人材管理システム

R&Dを進めることで、企業に技術的な資産が蓄積され、企業競争力の長期的な向上につなげることができます。

人事領域においても、「ピープルアナリティクス」の活用や、「HRテック」といった研究開発の取り組みを進めている企業が増えています。

人事のR&Dを進める上で、欠かせないのが人材管理を行うためのツールです。

「HRBrain タレントマネジメント」は、人事のR&Dを推進するために欠かせない、あらゆる従業員データをクラウド上で管理することが可能です。

従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、研修などの育成履歴や、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、1on1やフィードバックなどの面談履歴、OKRなどの目標設定と進捗管理などを一元管理します。

また、ハイパフォーマーの人材データを抽出することで、優秀人材の抽出や育成に役立てることが可能です。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

  • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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HR大学編集部
HR大学 編集部

HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。

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