「クリエイターの生涯価値の向上」を1on1でサポート。
株式会社クリーク・アンド・リバー社 専門職人事部
写真左:小林 知尋 様
株式会社クリーク・アンド・リバー社 専門職人事部
写真右:疋田 成美 様
- 人材
- 1001名~
- 人事評価や目標管理の運用を効率化したい
- タレントマネジメント
- 人事評価
HRBrain導入開始:2019年11月01日
「クリエイターの生涯価値の向上」を1on1でサポート。
- 課題背景
- 専門職の従業員に対する評価制度が導入されていなかった
- 1on1でのコミュニケーションによる人事評価に重きを置きたい
- 打ち手
- PCのみならずスマートフォンで使える人事管理ツール、HRBrainの導入
- 1on1でのコミュニケーションログをHRBrain上に残すなど1on1ツールの活用
- 効果
- 1on1での利用ツールやログ管理の簡略化
−最初に、御社と小林さまの役割について簡単にご紹介をお願いします。
小林さま:弊社は、『クリエイターの生涯価値の向上』と『クライアントの価値創造への貢献』の2つのミッションを実現するために設立した日本最大級のクリエイター・エージェンシー”です。現在はクリエイティブ業界だけではなく、医療・法律・会計・建築・ファッション・舞台芸術・AI・VRなど様々な領域でビジネスを展開しています。
私の役割としては、弊社に所属するクリエイター(専門職)の方々の人事を担当しております。勤怠管理から評価まで業務は多岐にわたります。今はクリエイターの方々の生涯価値の向上を実現するためには何をしたら良いのか、何をしたらそこに繋がるのかを、現場と二人三脚で考え実行しています。
-ありがとうございます。クリエイターの「生涯価値の向上」とは言ってみれば育成していくということですか?
小林さま:そうですね。業界に入ったばかりでは育成が主ですが、プロとしてステップアップして生涯収入を上げていけるように、ずっとサポートして一緒に成長していくというと分かりやすいでしょうか。
-どういったところをポイントとして見られていらっしゃるのでしょうか。
小林さま:今はすごく市場の変化が早く、3年スパンぐらいでどんどん変化している現状があって。去年までは「A」と「B」というツールが使えたらオーケーだったものが、それに加えて「C」も使えないと話にならないということが起こりえます。
だから次に求められるものや、まだまだ成熟していないツールだけど「このスキルを身につけたらすぐにお仕事があるよ」とか、「付加価値、市場価格が高い人材ですねって言われるものは何だろう」ということをキャッチアップして、それをいかに私たちと関わるプロフェッショナルな方に提供していくのかに着目していますね。
導入の決め手は“スマートフォンで使えるというのも第一条件”
-ありがとうございます。今回、HRBrainの導入を検討し始めた最初のきっかけはどのようなものだったんですか?
小林さま:専門職の方たちの評価制度が導入されていなかった時期が長かったんですね。そんな中、最初にどこから手を付けていこうかと検討した際に、スマートフォンで完結して、UIもすごく分かりやすくて、評価だけにとどまらない使い方ができることに重きを置いて、ツールの導入を検討しました。それはなぜかというと、大前提として弊社は専門職という職種の特性上、社内にいる方もいれば社外にいる方もいて、社外だとご自身のパソコンで何かを書いていただくってとても難易度が高いことなので、その点が欠かせなかったです。いくつか競合他社さまのサービスも検討させていただいていたのですが、1番汎用性が高く、価格もとても良心的で、かつ、私たちがクリアしなければいけない就業場所についてもちゃんとクリアしているものが「HRBrain」でした。
-ありがとうございます。汎用性と操作性を評価いただいたのですね。
小林さま:それで言うと、スマートフォンで使えるというのも第一条件で、例を挙げると、弊社では映像業界の部署があるのですが、映像業界の人はあまりパソコンに触れる機会がありません。ただ、そんな中でもログはためていかなければいけない。仮にメールでログを送ってもらっても探すのが大変だったり、それをまた誰かが別のツールに転載する作業が発生するという問題があったりでスマートフォンで同じURLで完結していくことが必須条件でした。また、他社へ常駐して仕事をするケースも多く、ここを第一条件でクリアしているかどうかが大事なポイントでした。
クリエイター育成と成長の鍵は「密なコミュニケーション」にあり
-ありがとうございます。評価制度をこれから整備していかれる段階だと思いますが、やはりそのきっかけは、最近の働き方改革の影響もございますか?
小林さま:そうですね。特に「同一労働同一賃金」の施行もあって、クリエイターの方々の育成をしたいと考えた時に、評価はもちろんちゃんとしていかなければいけないですが、それ以前にコミュニケーションを取ることに重きを置き始めていますね。クリエイターの方々が作るものに対する評価って、単純に数字だけでは計れないものがあって。そういったところは日々コミュニケーションを取りながら、いいところ、悪いところ、もっと頑張ってほしいところをこまめにお伝えして、「それをできるようになるにはどういうサポートができるのか」とか、本人も「それだとできますね」というような双方の納得を積み重ねていかないと、やはり成立しない部分があるんですよね。ですので半年に1回ただ評価を下すだけではなくて、きちんとログを残しながら1on1も実施していく制度設計も検討し始めています。
-評価は評価でやりつつも、同時にクリエイターの方々の育成も実現していきたいと。
小林さま:そうですね。会社として「クリエイターの生涯価値の向上」をミッションとして掲げていて、本当にこれが全てなんですけど、何をどうフィードバックして残していったら、その方にとって生涯価値(収入)が上がるようになるのかや、生涯現役のクリエイターでいるために何を伝えていくべきなのかは、評価するだけでは不十分だと思うので、形を変えて、1on1を実施してログも残していくことを考えています。
-ありがとうございます。まさにクリエイターの評価と育成についてはすごく悩まれてる企業さまが多いと感じているのですが、御社だと1on1でどういったコミュニケーションをされていらっしゃるのですか?
小林さま:私が担当しているゲームの部署は既に1on1を導入しているのですが、気軽に「最近どう?」という声掛けをし、プライベートの悩みをその場で言えるような雰囲気をつくっています。クリエイターの方々のキャリアを考えて、社外に転職していくことも推奨しているので「将来どんな働き方をして、どんな仕事に携わっていることがあなたにとってハッピーなの?」というようなことを、1on1のコミュニケーションの中でやっています。それが回数を重ねていくうちに、方向性が定まって精度が上がっていっているという感じですね。
HRBrain導入で1on1の充実度が向上
-ありがとうございます。実際HRBrainを導入してみての所感はいかがですか?
小林さま:まだ完璧には使いこなせていませんが、非常に管理はしやすいなと思ってます。今までだと、1on1の時間に顔を合わせるまで、何を話すのかって結構行き当たりばったりのことがあったのですが、今は事前にアジェンダはHRBrain上に置いていて、アジェンダについて書いておいてくれてもいいし、その場でしか話したくない内容ならそれもオーケーにしています。アジェンダがあることで、今まで何を話していいのか分からなくて世間話に終始していたような人たちの状況は、事前にキャッチアップすることができているので、これはとてもいいですね。
-なるほど。もともと1on1自体はHRBrain導入前からされていたんですか?
小林さま:そうですね。1on1自体はそれぞれ表計算ソフトにログを残しながら実施してもらっていました。表計算ソフトだとなかなか管理が難しく、そうなるとこちらも無理やり提出を求めずらかったりして、どうしたものかなと思っていました。
-評価制度自体は固まってきているものはあるのでしょうか?
小林さま:まずは1on1のログをちゃんと残していくことからはじめていますね。この感覚は共有し辛いかもしれませんが、クリエイターの方々ってかなり繊細で。納品物に対する評価は前向きに捉えられるのですが、会社での勤務態度とか、組織人としてどうかを含めたことまで評価されることになかなか慣れていらっしゃらないことが多いです。ですのでまずはきちんと1on1を運用していくこと自体に慣れていっていただこうと思ってる段階ですね。
クリエイターのキャリアプランは大きく分けて3つ
-弊社も専門職の社員がいるのですが、成長につなげるためにはどんな評価制度があるべき姿なのかなと常に模索しているところなんです。
小林さま:専門職のキャリアプランは大きく3つに分けられると思っています。
・より組織人として組織運営に関わっていく人。
・クリエイターとして一本立ちするためにフリーランスになる人。
・あとはまだ道が定まっていない人。
それぞれによって対応の仕方は変わってくるのかなと思います。
まず、道が定まっていない方に関しては、「3年以内に方向性を決めてください」という原則を設けて、組織人として育てています。組織人として育てて、勤怠が悪ければそれについてきっちり指摘しますし、そこに関して疑問をもたれるクリエイターの方々には、「いろんな企業でクリエイターとして生きていく上で、まずそこをちゃんとしておかないと認めてもらえないので、そこからやりましょう」と、必要である理由を伝えます。評価についても、納品までの工数が見積もれているかどうかや、それぞれに与えられた役割を全うできているかというところをミックスして見ています。
次に、「フリーランスになりたい人に関して」は、「じゃあ、どうやったらフリーランスになれると思う?」ということを1on1で話しながら、同時にその方に向いている案件をご紹介して、技術力を上げてもらうことを行っていますね。あとは本人の希望があれば、いろんな企業に社外常駐してもらって、何が必要なのかを知ってもらうなど、いろんな方法がありますね。
組織人としてマネジメントラインに行きたい人には、マネジメント経験を積んでいただくことを体系立ててやっていますね。それぞれ内容やフィードバックは、人によって変わっていきます。
-なるほど。ありがとうございます。ちなみに今後の展望は何かございますか?
小林さま:長期的なお話をしますと、業界をまたいで活躍できる人材の輩出も必要だと考えています。そうでないと将来、弊社が危機を迎えたときにスピーディーに経営判断ができなくなってしまうので。そのためにもまずは各自の適材適所を見極めていける、見つけていけるための評価制度も検討していきたいですね。
-マルチに活躍できる人材ということですか?
小林さま:例えばですが、3Dモデラーがいるとします。今までは3Dモデルだけをつくれていれば一人前で、そこそこのお金を稼ぐことができたかもしれないですけど、5年後には自分で企画者と話しをしながら、「どういう3Dモデルを、どういう仕組みで、どういう構成にしてつくっていくか」とか、「ここは工数が掛かりすぎるからこういう人員配置にしてほしい」などを交渉していかなければいけなくなってくると思うんです。
よりハイレイヤーの成果を出すことは、様々なところで必要とされると思うのですが、AIの発展などで自動化がどんどん進んでいき、そもそもその職種の概念が変化していく中で、そこまで技術力が高いとは言えない方たちが生き残っていくためには、技術力にプラスしてプロジェクトマネジメント能力を身に付けるとか、ディレクターにならなきゃいけないとか、あとは、年齢とともに手作業が遅くなったとしても生き残ってくためには何が必要なのか、というようなことを考えていかないといけないと思います。
あとは、そもそも求められるものがどんどん変容していくとも考えています。
- 先ほどおっしゃっていた3年スパンで、変容していくスピードがどんどん速くなっていくということですね。
小林さま:そうですね。そのためにもいろんなことを経験する必要があって、その経験から適材適所の見極めをきっちりやっていかないといけないということですね。例えばですけど、すごい技術力が高い人にメンバーの教育を任せてみようとすると、なかなかうまくいかないことがあって・・・。それって適性のチェックミスだと思っているのですが、すごくいいものをつくれる人に何を任せたらいいものか、そこをどうチョイスしていくのかというところは、本人の過去の経歴や1on1でコミュニケーションを取っていく中で、その方のパフォーマンスが1番上がることは何かを定点観察しないと分からないですよね。
-その通りですね。ありがとうございます。すごく勉強させていただきました。
求められるものが激しく変化していくクリエイティブの世界で、「クリエイターの生涯価値の向上」というビジョンのもと、それぞれのキャリア実現に向けたサポートを行っている株式会社クリーク・アンド・リバー社。
今回小林さまに伺った、多様なキャリアパスを歩むクリエイターの育成のために、1on1を活用しながら業務にあたられているお話は、クリエイターの評価・育成に悩む企業にとっても非常に示唆に富んだものとなりました。
HRBrainは今後も株式会社クリーク・アンド・リバー社が掲げるミッションの実現に向けてサポートしてまいります!
この度は貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は、記事公開の2020年11月時点のものです。