評価制度をゼロから再構築。 メンバーが自走したコミュニケーションの秘訣とは。
マイプリント株式会社 社長室兼Webビジネス事業部
古川博教 様
- サービス業
- 301~1000名
- 人事評価や目標管理の運用を効率化したい
- ペーパーレス化を進めたい
HRBrain導入開始:2019年10月01日
評価制度をゼロから再構築。 メンバーが自走したコミュニケーションの秘訣とは。
- 課題背景
- 新事業部の設立にあたり評価制度も一新したかった
- 過去の目標とのすり合わせされないまま評価されることに課題を感じた
- 紙文化からの脱却を目指し、クラウドで扱える評価ツールを探していた
- 打ち手
- OKRベースの評価運用ができ、また最も使いやすかったHRBrainを導入
- 2週間に1回の1on1でコミュニケーションの増加を図り、HRBrain上で可視化
- 効果
- HRBrainを活用した1on1により被評価者全員とムラなく会話ができるように
- PDCAが上手く機能し、サイクルに乗っている実感ができるようになった
-まず御社の事業内容や、古川様のご担当されているお仕事の内容を、お聞かせいただけますか?
古川さま:マイプリントは大きく2つ事業をやっておりまして、1つは年賀事業と言われているものです。年賀状の宛名を印刷したり、裏面のデザインを作成し印刷したりして、それをコンビニや量販店、郵便局に対してパック販売や名入れ販売をしております。
もう1つは婚礼事業です。こちらも印刷事業ですが、結婚式の招待状や、席次表、食事のメニュー表や席札が婚礼の中で4大商品でして、そういった印刷物を扱っている会社です。
これらの印刷物のほとんどの販路が代理店様で、B to B領域の会社なのですが、その市場の中で弊社は年賀事業も婚礼事業もシェアトップの企業となっています。
しかしながら、昨今の人口減少や婚礼時期の遅れ、披露宴の規模縮小もあり、市場全体は縮小傾向です。一方、ウェブ上で代理店様を挟まずに、直接顧客に婚礼の招待状などを販売するB to C 領域の事業は相対的にシェアを増やしています。
そういった現状があり、新たにB to C領域の事業として、昨年10月にウェブ事業部をつくり、その事業部の責任者として私が着任しました。
良心的な価格で使いやすそうなHRBrainが最適だと感じた
-ありがとうございます。新しい事業部ができたタイミングでHRBrainもご導入いただいたわけですが、そもそも導入を検討された理由を教えていただけますか?
古川さま:まずこの事業部をつくるときに、1つ新しい会社ができたという意気込みを持ちたくて、組織体系も、人事評価も、給与体系も、働き方も全部変えようと思ったんですよ。そんな中、従来は表計算ソフトで運用されていた評価制度も変えたかった。
というのも、今までの評価制度は半年に1回目標を設定して、上司に提出して、それが半年間埋もれて、それをまた引っ張り出してきて評価が決まる。こういった運用がされていたので、自分の目標はあやふやになり、よくわからないまま評価されるという現状があったので、「こんな評価制度は意味がない」と目標を書いている方も評価している方も感じていたと思います。
しかも表計算ソフトでやっていたので、最終的には紙に出力されるわけですが、
ちょうど全社的にコスト削減の動きがあり、その中でまず紙文化からの脱却を図っていたんですね。そういう中で目標管理シートも紙だよねという話になり、クラウドで扱える評価ツールを探していたという経緯がありました。
-評価制度の再構築とコストカットがきっかけだったんですね。
古川さま:そうですね。従来弊社にあった評価制度のMBOが、どうも現状の組織には合わないと感じていたため、OKRをベースにした制度に変更したくて、OKRを運用できるツールをいくつか比較して、一番価格が良心的かつ使いやすそうで、我々に最適だと感じたのがHRBrainだったということですね。
カスタマーサクセスが目標設定をサポートし評価制度が機能
-ありがとうございます。実際のところ、管理方法も制度自体も変更した中で、最初から上手く機能していくものなのでしょうか?
古川さま:OKRをベースとした制度を作り始める時に、ある程度本では勉強しました。ただ、メンバーに目標を書いてもらうことが始めは難しかったですね。
-目標の立て方というところですか?
古川さま:そうですね。OKRだとまず会社の目的があって、それに紐づく形で事業部やチームの目指す目標があって、最後に個人の目標まで繋がりますが、弊社ではそういった目標の立て方をする文化がなかったため、ある意味で初めてのトライでした。今回の我々の事業部でいうと、BtoC 向けに目的を調整する必要があったため、まず私の方で叩き台の作り込みから始めて、それからメンバーに書いてもらおうと思ったのですが、やはりいきなり最初から上手いこと目標設定してもらうことは難しかったですね。まず何から書いていいのか分からなかったという感じで。
-最初からうまく目標を立てることは難しいですよね。
古川さま:立てられないですね。なのでまずは一旦書いてもらい、そこから何回かレクチャーしながら最初の目標を設定してもらっていきましたね。あとは、メンバー全員の目標のレベル感を合わせることにも注力しました。
-レベル感というと、一方は具体的な目標だけど、一方は抽象的な目標ということですか?
古川さま:そうですね。あとOKRのキーリザルトの部分で、定量で測りづらい箇所をどうやって設定してもらうか、という部分も悩んだところではあったのですが、その点も含めて、御社のカスタマーサクセスのアドバイスを取り入れさせてもらいながら解決していきましたね。多分、アドバイスがなければいまだに迷ってしまっていたかもしれませんね。
1on1が充実し、メンバーとの関係が良好に
-ありがとうございます。それはカスタマーサクセスにとっても嬉しいお言葉ですね。実際にHRBrainを導入してから感じられた手応えはございますか?
古川さま:手応えはありますよ。従来の半年に1回評価する制度だと、日々コミュニケーションを取るとはいえ、人間ですから、よくコミュニケーションを取る人とそうでない人にムラが出てきてしまっていました。そのため今、我々は2週間に1回1on1を実施するように変更したんですね。
1on1を設定することで少なくとも2週間に一度はメンバーと話す機会ができますし、メンバー間のムラはなくなりましたね。
その中でHRBrainを使っていていいなと感じたところは、書いた内容を可視化できるということですね。
1on1でしたら、あらかじめアジェンダをトップに設定しておくと、それをメンバーがHRBrain上で確認して、それに沿って必ず書いてきてくれるので、ムラなく全員に同じことが聞けるんですよ。OKRのシートも閲覧できるようになっているので、簡単に進捗の確認とか、今まさに困っていることなどが漏れなく会話できますね。今までは口頭で全てやり取りしていたので、話そうと思っていたことが終わってから抜けていたことに気づくこともありましたし、いつも同じことを話していたかもしれないですし。その頃のことを考えると内容についてもムラを無くすことができました。
あと、2週間に1度の1on1でHRBrainを使って思うのは、それまでは普段話していないような内容も、あらかじめHRBrain上のアジェンダに沿って入力してきてくれるようになって、ざっくばらんに話ができるようになりましたね。
例えばですが、弊社では「職場は自己実現の場」という概念があって、そのため1on1のアジェンダの中に「キャリアイメージ」という欄を設けているのですが、そうすると、「実は今趣味でこういうことをしていて、いずれはこうなっていきたい」とか、「本当はこういうことをやりたいと思っているんですが」などといったことを書いてきてくれるんですよ。そういったことってコミュニケーションを濃くできていないと出てこない話だと思いますし、特に弊社は若い女性が多い職場で、年の離れた私に対しては普通はなかなか話しづらいとは思うのですが、
1on1の場を設け、内容が充実していくとざっくばらんにプライベートのことも話してくれるようになりましたね。
あと私が異動したとしても、次に着任した人間が簡単に見れるのもいいですね。
-引き継ぎが簡単ということですか?
古川さま:そうなんですよ。今までは紙での管理ですから。一度終わったらそのまま。多分保管はしているんでしょうけど、読み返すことはないですよね。HRBrainは簡単に振り返ることができて、その上でコミュニケ-ションもできるし、プライベートなこともよく分かって何を考えているか分かるし、引継ぎのレベルも格段に上がると思うと、これは非常にいいと思いますね。
-ありがとうございます。1on1を導入したけれども、うまいこといかなくて悩んでいる企業さんもいると思うのですが、御社で1on1が機能しているのはなぜだと思いますか?
古川さま:そうですね。やはりポイントはマネージャーがどれだけコミットできるかだと思いますね。私の場合、9名のメンバーと15分を目指して、といっても30分は話してしまうのですが(笑)。2週間にいっぺん1on1をするって、そのための時間をきちんと押さえることも大変ですし、それをやり続けることもけっこうな労力がいることなんですね。ほぼその日は1on1で埋まっちゃいますし、時間だけでなくて、書いてくれたものに対してきちんと評価してあげて、コメントも書かないといけないじゃないですか。なのでやっぱりキーはマネージャーのコミットメントですね。
メンバーとのコミュニケーションはポジティブな言葉を意識
-なるほど。その評価をされるときのフィードバックで意識されていることはどんな所になりますか?
古川さま:ネガティブにならないことですね。必ずポジティブに表現するように心がけています。
例えばですが、新規事業部を立ち上げるにあたって新たにバリューを作ったのですが、その中に「数字で語る」というものがあるんです。ただ、そもそも弊社の中に数字で語る文化がなかったにも関わらず、いきなり「数字で根拠を提示しろ」なんて言われても全員が数字に強い訳ではないですし、デザイナーなんかも数字を常に意識しながら仕事に取り組んでいる訳ではないので、高いレベルでバリューを体現することは難しいですよね。そもそも数字が嫌いな人もいる訳ですし。
ではそういったときに、どうやってレベルを引き上げていってあげるかという話になりますが、そこで「勉強しろ」だとか、「そんなこともわからないのか」などとネガティブに表現してしまうと、自己効力感は下がってしまい本人もきつくなってしまいますよね。
なのでまずはわかっていることと、わからない範囲を話ながら整理してあげる。そしてその会話で出たわからない部分を、「次の会議ではわからなかった範囲の、ここの部分だけでもわかった状態で臨もう」と、少しでも成長できるよう促すようなコミュニケーションを心がけています。
それと同時に、あなたの強みはどこで、どう伸ばして欲しいのかも明示しています。弱みの話だけでなく、強みの話もセットですることによって、ポジティブに仕事に取り組んでもらえるよう気をつけていますね。
あとは、マネージャーが何を手伝うことができたら解決できるのかという話もしますね。すると、こんなことをしてくれればいいとか、こういう関係にしてほしいとか言うわけですよね。そうしたらそれを実現してあげる。サポートしてあげるというんですかね。
-古川さまのお話を聞いていると、自発的に発言を促すようなコミュニケーションの取り方をされているのかなとも思ったのですが、そこら辺はいかがですか?
古川さま:それは意識していますね。やはり年齢も立場もある程度上ですし、普通に言った言葉がどうしても威圧的に捉えられてしまうことがあると思うんですよね。それをなるべくなくすためには、相手に考えさせてそれを引き出してあげる、そういうふうにサポートすることは意識していますね。それをやってあげると必然的にしゃべってもらえる。
-ありがとうございます。バリューの浸透度についてはいかがですか。
古川さま:実は今日がはじめてのバリュー評価だったんですね。なので当然上手く理解されているところと、そうでないところがあることを確認できました。
上手く理解されていなかった部分については、バリューを日々の業務レベルまで噛み砕くという作業を一緒に1on1でやってきましたね。
メンバーの中にはバリューを体現するために、日々の業務で具体的に何をしていいか分からないメンバーもいたのですが、そういうときには具体的なタスクにまでバリューを落とし込んであげる。それも、こちらから「これとこれとこれをやって」というのではなくて、きちんとメンバー個々が何をやるべきなのかを納得して話をしながら決めていけるように気をつけていますね。
-本当にサポート役に徹しながらメンバーと向き合っていらっしゃるんですね。実際に人事評価制度を運用されていて業績への影響は感じられていますか。
古川さま:業績という意味だとまだこれから売り上げを立てていくというフェーズなのですが、今の人事制度での運用をはじめてからメンバーと対話していると、「仕事が楽しい」って言うんですよ。それはバリューも、やることも決まっていて、自ら立てたOKRの目標を元にアクションして、2週間に一度仕事の進捗も含めて1on1でコミュニケーションを取ることで、PDCAが機能していてメンバーが成長サイクルに乗っている実感を得ながら仕事をできているからだと思っています。
なので次のフェーズとして、このメンバーの成長を新規事業の収益化という目標に繋げていけるよう、メンバーと一緒になって引き続き取り組んでいきたいですね。
人事評価制度の再構築とその制度が機能するまでには、たくさんの労力を必要とします。
今回お話を伺った古川さまには、それを乗り越えるために必要な、メンバーを自走に導くためのコミュニケーションの秘訣と、そこにHRBrainが伴走することができたお話を教えていただきました。古川さま、ありがとうございました!
※掲載内容は、記事公開の2020年4月時点のものです。