フィードバックとは?意味や効果と適切な実施方法をわかりやすく解説
- フィードバックとは
- フィードバックのビジネスにおける意味
- フィードバックの2つの傾向
- ポジティブフィードバックとは
- ネガティブフィードバックとは
- フィードバックの効果
- 仕事に対して適切な対処ができる
- 仕事の質が向上する
- モチベーションが向上する
- 信頼関係が構築される
- フィードバックの人材育成においての効果
- フィードバック面談の人事評価における効果
- フィードバックがない場合
- フィードバックの方法
- サンドイッチ型
- SBI型
- ペンドルトン型
- フィードバックを適切に行うためのポイント
- フィードバックのタイミングと頻度
- フィードバックを行う場所
- フィードバックの目的を伝える
- 具体的に伝える
- 実行可能なことを建設的に伝える
- 行動に対して評価をする
- フィードバックの効果が見られないときの対処法
- フィードバックを定期的に繰り返す
- フィードバックでの伝え方を変更してみる
- 関係性を見つめなおす
- フィードバックを効果的に行うためのデータを一元管理
フィードバックのビジネスにおける意味とは、行われた仕事に対する評価や改善点を伝えることを指します。
フィードバックは主に、人事評価や、プロジェクトの振り返りなどで実施されます。
適切なフィードバックを実施することは、人事評価の納得度の向上や、人材育成、目標達成や従業員のモチベーションの向上に効果があります。
フィードバックを通して、より組織の成果を高めるために、効果的なフィードバックを行うための方法やポイントについて解説します。
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フィードバックとは
フィードバックとは、相手の行動に対して改善点や評価を伝えることです。
フィードバックは、もともと「フィードバック制御」というシステム工学の用語で、「出力目標の値」と「出力結果の値」とを比較して、2つが一致するよう、差分を埋める改善を行う制御方法を指します。
フィードバック制御の身近な例として、「エアコンの温度調節」で例えられることが多いです。
エアコンは、エアコンが検知している温度と、設定温度との差分をもとに、コンプレッサの動きを制御します。
フィードバック制御によって、検知している温度と設定温度との差分が大きい場合には、設定温度に近付けようと急速に動き、差分が小さくなればなるほど設定温度に近づくため、動きがゆっくりになります。
フィードバックのビジネスにおける意味
フィードバックのビジネスにおける意味とは、行われた仕事に対する評価や改善点を伝えることを指します。
フィードバックは主に、「人事評価」「人材育成」「プロジェクトの振り返り」「1on1」などで実施されます。
基本的にはフィードバックは、上司から部下に対して行われるものですが、その他にもプロジェクトリーダーからメンバーへ、先輩から後輩へ、メンターから新入社員へ、同僚から同僚へ行うこともあります。
▼「メンター」についてさらに詳しく
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フィードバックの2つの傾向
ビジネスシーンで行われるフィードバックは、「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」の2つの傾向に分かれます。それぞれの特徴について確認してみましょう。
フィードバックの2つの傾向
ポジティブフィードバック
ネガティブフィードバック
ポジティブフィードバックとは
ポジティブフィードバックとは、単に評価対象者を褒めるだけではなく、評価対象者が仕事に対して自信を持ち、積極的に取り組めるようにするものです。
具体的には、感謝やねぎらいの言葉、仕事の良い点、成長したと思える点などについて、具体的に伝えることを指します。
ネガティブフィードバックとは
ネガティブフィードバックとは、良くなかった点を伝えて改善してもらうものです。
ネガティブフィードバックは、聞く側からするとあまり好ましい内容ではないですが、なければよいというものではありません。
むしろ、評価対象者の成長を促すためには、ネガティブフィードバックは不可欠なものだといえます。
フィードバックの効果
フィードバックの効果について確認してみましょう。
フィードバックを実施する目的や効果は複数ありますが、フィードバックを重ねることによって、大きく4つの効果が期待できます。
フィードバックの効果
仕事に対して適切な対処ができる
仕事の質が向上する
モチベーションが向上する
信頼関係が構築される
仕事に対して適切な対処ができる
フィードバックを通して、課題や問題を明らかにすることで、適切な対処や解決につながります。
例えば、部下が他の部署や顧客から困難な問い合わせや要望を受けた場合、経験やスキルの高い上司からのフィードバックで、より適切な行動をとることが可能になります。
仕事の質が向上する
フィードバックを通して、上司から仕事の対処方法や、進め方の指導を受けることにより、部下は適切な対処方法や進め方を学んで成長し、仕事の生産性を高め、仕事の質を上げていくことができます。
モチベーションが向上する
フィードバックを通して部下は、自分のすべきことが明確になると、仕事へのモチベーションが高まります。
目標や課題に対して、適切なフィードバックを行うことで、ポジティブなイメージが持てたり、成果を上げ成功体験を積むこともでき、自信を持てるようになるでしょう。
また、ねぎらいや感謝の言葉、フィードバックによる仕事の成果などから、部下は上司がちゃんと見てくれているという気持ちになり、モチベーションを高めることができます。
信頼関係が構築される
フィードバックを通じてコミュニケーションが活性化されることにより、上司と部下間の信頼関係が構築されます。
また、定期的にフィードバックの機会を設けることで、よりコミュニケーションが円滑になり、信頼関係もさらに強くなるでしょう。
▼「フィードバックの目的と効果」についてさらに詳しく
フィードバックの目的は部下との信頼関係の構築!背景・タイミングも
フィードバックの人材育成においての効果
フィードバックは人材育成において、大切な取り組みの1つです。
上司と部下が1対1でフィードバックを実施することで、上司は部下の現状を正確に把握することが可能になります。
また、部下も自身の抱える課題や仕事の悩みについて素直に相談することができるでしょう。
上司と部下で定期的にフィードバックを行うことで、上司は適切なアドバイスができるようになるため、部下の成長を促すことができます。
そのため、上司からの適切なフィードバックは人材育成において重要な取り組みです。
▼「人材育成」についてさらに詳しく
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フィードバック面談の人事評価における効果
人事評価におけるフィードバック面談とは、上司から部下に人事評価の結果を伝え、課題について話し合う面談のことを指します。
フィードバック面談の目的は、評価に対する納得感を高め、部下の成長を促すことです。
また、部下が抱えている課題を洗い出し、解決策を考えることも大切です。
そのため、上司からの適切なフィードバック面談は人事評価において重要な取り組みです。
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フィードバックがない場合
フィードバックは、人材育成のための大切なマネジメントの1つです。
そのため、もっとも避けたいのは、フィードバックを行わないことです。
例えば、上司からフィードバックがない場合、仕事を任された部下が成長できないだけでなく、最悪の場合、業務自体が停滞してしまうこともあります。
上司は部下の進捗を把握し、適切なフィードバックを行えるようにしておきましょう。
そのために、部下が担当している業務や進捗状況を可視化し、把握できるようにしておくと良いでしょう。
さらに、チーム全体でもフィードバックを行えるよう、チーム全体で共有できる振り返りツールを活用すると、仕事の質や多様性への対応が向上する効果が期待できます。
フィードバックの方法
フィードバックの方法には、「サンドイッチ型」「SBI型」「ペンドルトン型」と大きく分けて3つの方法があります。
フィードバックの方法
サンドイッチ型
SBI型
ペンドルトン型
その他のフィードバック方法として、「ストラテジー型フィードバック」というフィードバック方法もあります。
ストラテジー型フィードバックは、相手に合わせて「戦略的に」フィードバックを行うフィードバック方法です。
サンドイッチ型
サンドイッチ型は、フィードバック方法の中で一番メジャーな方法です。
名前の通り、サンドイッチのように、「ポジティブなフィードバック(褒める)」の間に「ネガティブなフィードバック(改善点や指摘)」を挟んでフィードバックを行います。
フィードバックの手順
- ポジティブなフィードバック(褒める)
- ネガティブなフィードバック(改善点や指摘)
- ポジティブなフィードバック(褒める)
フィードバック方法が向いているシチュエーション
改善点など、具体的に指摘したい「ネガティブなフィードバック」がある場合に向いているフィードバック方法です。
「褒める」ことの間に、「改善点や指摘」を挟むことで、フィードバック対象者のモチベーションの低下を最小限におさえることができます。
SBI型
SBI型は、The Center for Creative Leadership(CLL)が40年にわたって収集したデータに基づいて開発した、フィードバックの方法で、世界でも広く認知されています。
SBIとは、「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(結果)」の頭文字を取ったもので、具体的に「どのような状況で」「どのような言動や行動が」「どのように結果としてあらわれたのか(評価者にどのように見えたのか)」を、順を追って説明するフィードバックの方法です。
フィードバックの手順
(参考)Use SBI (Situation-Behavior-Impact) to Understand Intent | CCL
1.Situation(状況)
「Describe the specific situation in which the behavior occurred.」
フィードバックする事柄の状況について話してください。具体的に「いつ」「どこで」起きたのかを説明してください。
2.Behavior(行動)
「Describe the actual, observable behavior. Keep to the facts. Don’t insert opinions or judgments.」
実際にどのような行動を取ったのかについて説明してください。説明の際は、評価者の意見や判断を推測せず、客観的に事実に基づき説明をしてください。
3.Impact(結果)
「Describe the results of the behavior.」
行動の結果感じたこと、どのように思ったかについて説明してください。
フィードバック方法が向いているシチュエーション
「ポジティブなフィードバック」「ネガティブなフィードバック」どちらの場合にも向いているフィードバック方法です。
特に、「具体的な行動」についてフィードバックを行いたい場合に最適なフィードバック方法です。
(参考)Use SBI (Situation-Behavior-Impact) to Understand Intent | CCL
ペンドルトン型
ペンドルトン型(ペンドルトンルール)は、評価者の一方的なフィードバックではなく、評価対象者が、評価者とコミュニケーションを取りながら自身の改善点を考えるフィードバックの方法で、心理学者であるペンドルトン氏が開発しました。
フィードバックの手順
- なにを話すのか(確認)
- 良かった点
- 改善点
- 今後どうするのか(行動計画)
- まとめ
フィードバック方法が向いているシチュエーション
「ポジティブなフィードバック」「ネガティブなフィードバック」どちらの場合にも向いているフィードバック方法です。
具体的に、評価対象者に振り返りをしてほしい「施策」や「プロジェクト」がある場合に最適なフィードバック方法です。
▼「フィードバック方法」についてさらに詳しく
フィードバックの種類は?3つの型で部下との信頼関係を構築する
フィードバックを適切に行うためのポイント
適切なフィードバックを行うためのポイントについて確認してみましょう。
フィードバックを適切に行うためのポイント
フィードバックのタイミングと頻度
フィードバックを行う場所
フィードバックの目的を伝える
具体的に伝える
実行可能なことを建設的に伝える
行動に対して評価をする
フィードバックのタイミングと頻度
適切なフィードバックを行うためには「フィードバックのタイミングと頻度」が大切です。
フィードバックは、時間が経てば経つほど、効果が薄れてしまいます。
評価対象が業務や施策を実施し、ある程度結果が出た時点で、すぐにフィードバックを行うようにしましょう。
時間が経過してからフィードバックを行っても、「なぜ、すぐに言ってくれなかったのか?」「いまさら言われても対応できない」というように、評価対象者は評価者に対して不信感を抱きやすく、業務に問題が生じるケースもあります。
特に直属の上司から部下へのフィードバックは、部下から報告を受けた際、ミーティングの際、業務中などに気がついた際など、できるだけ頻繁に部下にフィードバックを行うようにしましょう。
フィードバックを行う場所
適切なフィードバックを行うためには「フィードバックを行う場所」が大切です。
フィードバックを行う際は、1対1になれるような場所で行うようにします。
特に、ネガティブなフィードバックを行う場合、他の従業員がいる場所で行うのは厳禁です。
極端な場合には、「パワハラ」と受け取られるケースもあり、評価対象者のモチベーションが大きく下がってしまう場合があります。
褒める際には、他の従業員の前で褒めてモチベーションをさらに高める方法もありますが、その場合でも他の従業員のモチベーションが低下したり、自信を喪失してしまう可能性もあるので、注意が必要です。
フィードバックの目的を伝える
適切なフィードバックを行うためには「フィードバックの目的を伝える」ことが大切です。
フィードバックは、評価対象者のプロジェクトの達成とスキルアップを目的として行うものです。
目的を明確に伝えることにより、評価対象者はフィードバックの意味を把握することができ、成長が促進されます。
具体的に伝える
適切なフィードバックを行うためには「具体的に伝える」ことが大切です。
フィードバックの目的や目標を設定するようにしましょう。
また、フィードバックの際は、抽象的な言葉は避け、目標や結果、行動についてのフィードバックを行う際には、数値やデータを用いて、具体的に説明するようにしましょう。
実行可能なことを建設的に伝える
適切なフィードバックを行うためには「実行可能なことを建設的に伝える」ことが大切です。
取り組めば実現可能なことを、建設的にアドバイスするようにしましょう。
実現不可能なアドバイスをしても、ほとんどの場合「無理だ」と判断され、評価対象者のモチベーションを下げてしまいます。
また、実現可能かは、フィードバックする側の「自分ならできる」という発想ではなく、あくまで「相手にとって可能かどうか」という立場で考えるよう、注意しましょう。
行動に対して評価をする
適切なフィードバックを行うためには「行動に対して評価をする」ことが大切です。
例えば、「のんびりしている」「内気だ」など、性格面を評価することは、適切なフィードバックとはいえません。
仕事や仕事に対する考え方についてフィードバックするよう、性格ではなく、行動に対して評価をするようにしましょう。
フィードバックの効果が見られないときの対処法
フィードバックを適切に行うよう気を配ってみたものの、効果が見られない、なかなか仕事の成果が改善されない場合の対処方法について確認してみましょう。
フィードバックの効果が見られないときの対処法
フィードバックを定期的に繰り返す
フィードバックでの伝え方を変更してみる
関係性を見つめなおす
フィードバックを定期的に繰り返す
フィードバックは1回行ったら終わりというものではありません。
成果が見られるまで繰り返すのが鉄則です。
スムーズに仕事が進んでいるように見えていても、評価対象者の話を深く掘り下げて聞いてみると、深刻な課題や、さらに大きなビジネスチャンスが隠れている場合もあります。
こうしたリスクやチャンスを見逃さないためにも、こまめにコミュニケーションを取ることが大切です。
1on1ミーティングを定例化し、フィードバックをする機会を定期的にスケジュールに組み込むこともひとつの手段です。
▼「1on1」についてさらに詳しく
1on1とは? 従来の面談との違いや効果を高めるコツ
1on1ミーティング入門書
フィードバックでの伝え方を変更してみる
フィードバックを実施しても改善が見られない場合、フィードバック内容が正確に相手に伝わっていない可能性があります。
フィードバックは、ひとりひとりの個性に合わせて行うべきものなので、あまりにも指示が実行されていない場合や、成長が見られない場合には伝え方を再考してみる必要があります。
関係性を見つめなおす
フィードバックを実施しても改善が見られない場合、関係性が良くないために、フィードバックを素直に聞き入れられていない可能性があります。
その場合は、まずは関係の改善を試みるようにしましょう。
不満に思うことをよく聞いたり、業務上でこれまで以上に密に連携をとったりすることで、信頼関係を築けることがあります。
フィードバックを効果的に行うためのデータを一元管理
適切なフィードバックは、評価に対する納得感を高めたり、従業員のモチベーションの向上や人材育成、目標達成など、大きな効果が見込めます。
そのため、フィードバックの質が、従業員の仕事の質につながるとも言えます。
適切なフィードバックを実施するためには、従業員ひとりひとりの目標や業務の進捗状況、スキルなどをしっかり把握したうえで、ひとりひとりに合ったフィードバックを実施しなければなりません。
「HRBrain タレントマネジメントシステム」は、「人事評価」「人材管理」「スキル管理」「人材育成」といった、従業員データを一元管理し、可視化することが可能です。
タレントマネジメントシステムを導入して、フィードバックの精度をより向上させてみることを検討してみてもよいかもしれません。
HRBrainタレントマネジメントの特徴
検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現
運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。
柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を
従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。
人材データの見える化も柔軟で簡単に
データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。
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