#人事評価
2023/09/01

【完全版】人事のためのKSFとは。KPI・KGI・OKRとの違い

目次

    KSF(キーサクセスファクター:重要成功要因)の意味とは?

    KSFの意味

    ここでは、KSFの意味やそれに関連するKGI、KPI、OKRについて説明します。

    KSFとは?

    KSF(Key Success Factor)は重要成功要因を指しますが、KFS(Key Factor for Success)やCSF(Crtical Success Factor)といわれることもあります。

    KSFは、企業戦略上、市場動向や競争環境などの「外部環境」と自社の強みや弱みなどの「内部環境」を分析し、自社の強みを外部環境で分析した事業機会に投入することで競争優位を構築するために定めるものです。したがって、他社に対する競争優位を築くには必ず必要なものであり、KSFを定めることは企業戦略立案の第一歩といえます。

    人事分野で解説すると、例えば製造業において、競争優位を築くために短納期の確立を最終目標とした場合を説明します。

    人員不足のなか短納期を確立するには、分析の結果から多能工を育成することを導いた場合、この「多能工の育成」がKSFとなります。「短納期の確立」という企業目標に対し、この例では人事部門は「多能工の育成」となりましたが、生産部門では「標準化の推進」というように、各事業部門によってKSFは異なります。

    なお、KSFは、外部環境の変化によって変えていくべきものです。IT業界を例にあげると、クラウドシフト(基幹システムのクラウド化)の進展により、新たな技術に対応していくために、基幹システムや関連するサブシステムの開発をクラウドベースに置き換えていくといった具合です。

    KPI、KGI、OKRとの違い

    KSFと関連した用語で、KGIやKPIがありますが、これらはKSFには不可欠なものとなります。また、KPIとOKRは達成基準の違いで対比する関係となります。

    KPIとは

    KPI(Key Performance Indicator)は、重要経営指標を指し、企業目標達成に必要なプロセスを具体化するための指標です。

    KGIとは

    KGI(Key Performance Indicator)は、重要目標達成指数を指し、最終的に達成すべき目標を表す指標です。

    OKRとは

    OKR(Objectives and Key Results)は、目標と主要な成果を指し、組織全体の目標達成に必要なものを明確にする目標管理方法です。
    さらにKGIとKPI詳しく知りたい方は「KPIとKGIの違いとは?設定方法と設定するメリットについて」をご確認ください。

    さらにOKR詳しく知りたい方は「Googleやメルカリも導入する目標管理手法、OKRの基礎知識」をご確認ください。

    なぜKSFが必要か

    なぜ、KSFの設定が必要であるか、KSF設定の必要性、メリットを具体例を交えて説明します。

    なぜKSFは必要か

    KSFの設定が必要な理由

    モノを作れば売れた大量生産大量消費の時代は終焉し、モノが溢れ顧客ニーズが多様化しているように、旧来のプロダクトアウトの思考に代わり、現代はマーケットインの思考が重視されています。このマーケットインの観点から、競争優位を構築するために分析の下でKSFを設定し、企業戦略立案に活かすことが事業成功の鍵となっています。

    また、激動する経営環境の変化に対応していくには、変化に応じてKSFを再設定していくことが重要であり、外部環境を常に把握することがポイントとなります。

    KSFを設定するメリット

    企業全体で競争優位を構築するためにKSFを設定することにより、各事業部門で方針がばらつくことなく、企業全体で一枚岩となって向かうべき方向に取り組むことができます。

    KSFによって明確なゴールを設定できるため、やるべきことが明らかになるほか、KSFを設定することで、目標に対して計画から実行、評価を実施し次につなげるPDCAサイクルを回しやすくなることもメリットとしてあげられます。

    また、やるべきことを明確にすることにより、競争優位を確立することのみにリソースを集中できることも大きなメリットです。

    人事分野で解説すると、例として製造業で「短納期の確立」の最終目標に対し、人事政策として従業員に対してマルチスキルとして教育する「多能工の育成」をKSFとした場合について考えてみましょう。

    「短納期の確立」の最終目標が掲げられているのみであると、何をするかは人によって対応することは異なります。

    しかし、分析によって導き出したKSFを設定することによって、各事業部門で競争優位を確立するためにやるべきことが明確になり、「短納期の確立」に向けて人事政策としては「多能工の育成」にリソースを集中できます。この「多能工の育成」のPDCAサイクルを回していくことで、ブレることなく競争優位を構築に向けて取り組むことができるのです。

    KGIとKPIとの関係性とKSFの位置づけと活用シーン

    KSFの活用シーン

    KGIやKPIは、KSFには不可欠なものとなります。競争優位を構築するために企業目標を達成するには、KGI・KPI・KSFの内容とそれぞれの関係を理解することは重要です。ここでは、これらの関係性と活用シーンを説明します。

    KPIとKGIとの関係性

    KGIとKPIは、KSFと相互に関係するものであり、最終目標達成度数が「KGI」、その成功要因が「KSF」、重要経営指標が「KPI」という関係性になります。

    KGI/KSF/KPIの関係

    詳しくは、「KPIとKGIの違いとは?設定方法と設定するメリットについて 」をご確認ください。

    KSFとKGIとKPIの活用シーン

    例えば、労働生産性を高めたいという目標があるとします。労働生産性は産出を労働の投入量で割ったものですが、KGIを労働生産性の数値目標とした場合、次のようにKSF、KPIを設定します。

    KSFは重要成功要因を指し、「要因」と整理することが一般的ですが、「手段」と読み替えると分かりやすいかもしれません。次の例では、KGIとして設定した「労働生産性を〇%にする」に対し、KSFである要因(≒手段)を「従業員のスキルアップ」「教育研修の強化」と整理できます。

    以下のように、相互に設定するのです。

    • KGI:労働生産性を〇%にする

    • KSF:従業員のスキルアップ、教育研修の強化

    • KPI:スキルレベルを全員B以上に底上げする、研修実施回数を〇回にする

    経営戦略におけるKSFの位置づけ

    KSFは、企業戦略立案において、外部環境・内部環境分析を行い、戦略の方向性として向かうべき方向性を定めるものですので、企業戦略策定上、重要な位置づけとなります。

    ひとつのKGIに対して、KSFは人事、財務、マーケティング、生産、技術など各事業部門にて作成されることもあり、事業部門の方針ともいえます。

    KSFの設定方法・例まとめ

    KSFの設定方法

    ここでは、KSFの設定方法を人事分野を例にとって、具体例をあげて説明します。

    人事分野におけるKSFの設定方法例

    先にふれた製造業で分析の結果から、労働生産性を◯%にするといった目標がある場合を説明します。

    【外部環境】

    • 顧客ニーズの多様化により、小ロット、短納期の要求が以前にも増して強くなっている。

    • 競合他社は限られた人数で弾力的な納期を実現している。

    【内部環境】

    • 製造工程間で負担にばらつきがあり、手待ち時間が多い部門と少ない部門がある。

    • 各部署に優れたベテランがいるが技術承継が進んでいない。

    • コスト制約上、人員の拡充は困難である。

    この内外環境を分析すると、競争優位を構築するには、限られた人数で小ロット・短納期ニーズに応えることが必要であり、手待ち時間が多い部門の稼働を高め、技術承継を進めることが必要であることが分かります。

    この内外環境を組み合わせると、優れたベテラン社員の教育により「多能工化の育成」を進めることで、手待ち時間の多い部門から手待ち時間の少ない部門に人員を充てることができることが分析できます。

    このように、内部環境・外部環境を分析し、やるぺきことをKSFとして設定するのです。なお、この手法はSWOT分析といいますが、具体的な説明は、「【実践編】人事のKSF活用。SWOT/PEST分析フレームワーク・活用法」で解説します。

    KSFは戦略人事に不可欠

    KSFの意味やKPI、KGI、OKRとの違いのほか、KSF作成のメリット、設定方法、例などを具体例を交えて説明しました。

    KSFを設定することは、人事においても重要な役割を担うものであることが理解できたと思います。

    人事分野でKPIを設定することが多くありますが、KPIの設定にはKGI、KSFの設定が欠かせません。

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    HR大学編集部
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