LMSとは?導入するメリットやシステムを選ぶポイントを解説
- LMSとは
- LMSとe-Learningの違いとは
- 企業にLMSが必要とされる理由
- 人事・人材開発部門の負担軽減
- 従業員のキャリア自律
- 人的資本経営への取り組み
- LMSの機能
- 受講者用の機能
- 管理者用の機能
- LMSを利用するメリットとは
- 大人数が一斉に同じ研修を受講できる
- 各受講者のレベルに合った教材を使える
- 研修にかかるコストの削減や効率化ができる
- LMSを利用するデメリットとは
- 活用目標が不明瞭な場合は十分に活用できない
- 教材の追加や更新に手間がかかる
- 受講者の受講履歴データの分析が必要である
- LMSを選ぶポイントとは
- 誰にでも使いやすいか
- 製品のサポートが充実しているか
- 柔軟性があり長期的に使えるか
- LMS導入の流れとは
- LMSを導入する目的を明確にする
- 社内でのLMS運用体制を整備する
- 利用するシステムを決定し契約する
- 社内の環境を整える
- LMSの運用を開始する
- LMSを活用し、従業員の自主的なキャリア育成をサポートするには
従業員のスキル向上や自主的なキャリアアップを促進するためには、自社内で従業員が効率的に学習を行える環境を整えることが大切です。
効率的な学びの環境づくりのためには、従業員の誰もが快適に使うことができる学習プラットフォームの存在が大切です。
そのような学習の基盤を整備するために、近年注目されているものにLMSがあります。
それでは、LMSとはどのようなもので、従業員や管理者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、LMSを選ぶ際はどのようなポイントに着目し、どのように導入すると良いのでしょうか。
この記事では、LMSの概要や使用するメリットとデメリット、システムの選び方や導入の流れなどについて解説します。
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LMSとは
LMSは、Learning Management Systemの略であり、「学習管理システム」を指します。
従来、多くの企業では、従業員の学習にe-Leaningが活用されてきました。
LMSは、そのe-Leaningを社内で活用するための根幹となる、総合的なシステムの役割を持つものといえます。
LMSには、自社のサーバーにインストールすることで、自社ネットワーク上で利用できるオンプレミス型と、ベンダーのクラウド上のサーバーからインターネットを介して利用できるクラウド型といった種類があります。
細かな点まで自社の特徴に合わせてカスタマイズできる点や、セキュリティーの面で安全性が高い点がオンプレミス型LMSの大きな特長です。
一方、クラウド型LMSは、サーバーなどの準備が不要であるため、最初のセットアップが完了し次第、すぐに利用できる点が特長です。
LMSとe-Learningの違いとは
従来、多くの企業で、従業員の学習にe-Learningが活用されてきました。
e-Learningとは、インターネットを介して行う学習や、その教材を指します。
管理者が各従業員の受講状況を把握できるe-Learningも中にはありますが、実地研修や外部セミナーなどの参加状況までe-Learningのみで十分に管理することは難しいでしょう。
その点において、LMSはオフラインの研修についても管理できるプラットフォームであることが大きな特長です。
オンライン研修とオフライン研修、自社研修と外部研修など、タイプが異なる学習を組み合わせて行う研修の運用に適している点が、LMS最大の強みといえるでしょう。
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企業にLMSが必要とされる理由
従来e-Learningが広く活用されてきた社内学習において、あえて近年LMSを導入する企業が多くなっています。
なぜ、多くの企業でLMSが必要とされているのでしょうか。
その理由について、3点に分けて説明します。
企業にLMSが必要とされる理由
人事・人材開発部門の負担軽減
従業員のキャリア自律
人的資本経営への取り組み
人事・人材開発部門の負担軽減
一般的に、企業では必要なスキルを持つ従業員を最適な部署へ配置し、業務の効率化や事業成長を図っています。
適材適所に従業員を配置し、事業を効率的に成長させるためには、人事関連部署における従業員の情報管理が欠かせません。
しかし従来、従業員のスキルに関する情報が各部署に分散するなどして、十分な管理ができていない場合がありました。
そこで、従業員のスキルを一元的に管理できるLMSが人気を集めるようになりました。
人事部や人材開発部門の情報管理における負担を軽減できる点は、企業がLMSを必要とする理由の一つと考えられます。
従業員のキャリア自律
従来、従業員のキャリア形成は、企業の人事配置に左右されることが多くなりがちでした。
自分の意思でキャリアを築けないことによって、従業員のモチベーションが低下したり、キャリア形成を諦めてしまったりするリスクもあるでしょう。
しかし、LMSによって、自身の理想像や得るべきスキルが可視化されると、従業員ひとりひとりの自主的なキャリア形成へのモチベーションが高まることが期待できます。
このように、従業員が自主的にキャリアを育てられるようになってほしいと、企業が考えるようになったことも、LMSが必要とされる理由の一つといえます。
人的資本経営への取り組み
近年、人的資本経営の概念が企業の間に広まってきています。
人的資本経営とは、従業員を単なる労働力としてではなく、自社の資本として捉える考え方をいいます。
従業員を投資するべき財産とし、その価値を最大限に引き出そうとする人的資本経営は、投資家が企業を判断する材料の一つにもなると考えられています。
人的資本経営の考え方に則って従業員の成長を促し、中長期的に自社の価値を高めていくためには、従業員ひとりひとりに対する正確な学習管理が欠かせません。
そのような流れの中で、従業員の学習を包括的かつ一元的にサポートできるLMSが、自然に必要とされるようになったと考えられます。
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LMSの機能
LMSには、従業員の学習をサポートする幅広い機能が搭載されています。
それでは、LMSの機能には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
以下で、受講者と管理者に向けた機能をそれぞれ説明します。
受講者用の機能
学習や研修を受講する従業員向けの機能には、大きく分けて以下のようなものがあります。
教材視聴機能
従業員が、学習や研修に必要な教材を視聴する機能です。
途中で視聴を中断した場合も、次回はその続きから視聴することができるため、無駄なく自分のペースで視聴できます。
教材の数が多い場合も、すでに視聴した動画や未視聴の動画、現在視聴中の動画など、教材別の学習進捗状況をひと目で把握できます。
テスト機能
テスト機能は、研修後に受講内容を十分に理解できたかどうかを確認するものです。
テストを受けることで、従業員は自身の理解度を把握すると同時に、学習内容を振り返ることができるでしょう。
テストの結果はLMSに保存され、必要に応じて繰り返し学習を行うことも可能です。
アンケート機能
LMSには、受講者がアンケートに回答できる機能があります。
研修で分かりづらかった点や、今後の研修に向けた要望などがある場合は、積極的にアンケート上で回答すると良いでしょう。
不明点や要望をアンケートで述べることによって、その意見が反映され、その後の学習がより良いものになる可能性があります。
管理者用の機能
従業員の社内学習を統括する管理者に向けた機能には、大きく分けて以下のようなものがあります。
受講者管理機能
受講者管理機能は、管理者が受講対象の従業員を登録したり編集したりできる機能です。
学習状況やニーズに合わせて、管理者が従業員ごとに異なる教材を割り当てることも可能です。
また、集合研修を実施する際の出欠状況もLMS上で確認することができます。
教材配信機能
教材配信機能は、管理者が動画やテストなどの各種教材を配信する機能です。
教材は、学習内容や対象の受講者に合わせて、動画の他にスライドやダウンロード方式のものなど、さまざまな形式で配信できます。
一斉に教材を配信する方法の他に、管理者の承認後に次の教材に進めるようにすることも可能です。
受講履歴管理機能
受講履歴管理機能は、従業員が具体的にどの学習をどこまで進めているかを把握できるものです。
従業員の学習状況に関するそうした情報は、データとしてLMS内に蓄積されます。
また、各従業員のテストの結果や、動画を閲覧した時間なども受講履歴管理機能で確認できます。
LMSを利用するメリットとは
LMSは、さまざまな機能を備え、従業員の自主学習を促進してくれるシステムです。
それでは、LMSを利用すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で3点に分けて説明します。
大人数が一斉に同じ研修を受講できる
LMSのメリットの一つは、多くの従業員が一斉に同じ研修を受講できる点です。
受講対象者が多くなることが多い入社時研修やコンプライアンス研修などにおいては、特にこのメリットが大きいでしょう。
また、研修に限らず全社員を対象に周知したい事柄があるなどの場合にも、この機能が役立ちます。
各受講者のレベルに合った教材を使える
受講者ひとりひとりが、自身に最適化された内容で学習することをアダプティブラーニングといいます。
LMSを活用すると、各従業員が自身の習熟度に合わせた教材を使うことが可能です。
従業員全員を対象とした必須のコースだけではなく、習熟度別のコースを用意することで、従業員ひとりひとりのレベルに合わせたアダプティブラーニングに対応することができるでしょう。
研修にかかるコストの削減や効率化ができる
LMSを活用することは、研修にかかるコストの削減や、業務の効率化につながります。
コストの削減については、研修に必要な資料を準備するための紙や印刷にかかる費用、大人数が一斉に集まることができる研修会場を借りる費用などをカットできることが、それにあたります。
業務の効率化については、研修対象者の出欠確認、事前資料の配布などをLMS上で行えることがそれにあたります。
出欠の確認や資料の配布などは、従来紙ベースで行われることが多くありました。
しかし、LMSを活用すると、出欠は画面上でひと目で確認でき、資料はファイル形式で一斉配信することができるため、大幅な効率化が可能になるでしょう。
LMSを利用するデメリットとは
LMSには、コスト削減や業務の効率化などの面で、多くのメリットがあります。
反対に、LMSを利用するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
以下で3点に分けて説明します。
活用目標が不明瞭な場合は十分に活用できない
LMSは、実際に導入する前に、LMSにおいて何を実現したいのか、活用目標を明確にしておく必要があります。
目標が明確でないと、研修の具体的な内容を決めたり、必要な教材を選定したりすることができないと考えられるためです。
また、受講する従業員も、LMSによって何を目指すのかが分からないと、学習や研修に対するモチベーションを高めづらいでしょう。
LMSのメリットを十分に活かすためにも、LMSを通じた自社全体の目標を事前に決めておくことが大切です。
教材の追加や更新に手間がかかる
LMS上で使用する教材は、適宜追加や更新をする必要があります。
教材の追加や更新は、受講者である従業員のニーズや必要なスキルの内容に応じて行います。
このような教材の追加や変更には、業務内容に精通した従業員や、外部の専門家の知見を必要とする場合もあります。
LMSを導入する際は、教材を逐次改善するための手間やコストがかかることを念頭に置いておきましょう。
受講者の受講履歴データの分析が必要である
LMSは、受講者である従業員の学習の進捗状況をデータで把握できることが大きな特長です。
それらのデータは、ただ蓄積させるだけではなく、内容を分析することが大切です。
データを分析することにより、効果的な教材づくりなどの、学習プログラムの最適化が行えると考えられるためです。
しかし、データの分析には専門知識が必要であり、そうした知識を持つ人に分析を依頼する際にコストが発生する場合もあります。
LMSを導入する際は、このような継続的なデータの分析が必要であることに注意しましょう。
LMSを選ぶポイントとは
近年、LMSとして活用できる多くのシステムが、各社から提供されています。
それでは、多くの種類の中から自社に合うLMSを選定するには、どのような点に注意すると良いのでしょうか。
以下で、LMSを選ぶ際のポイントについて3点に分けて説明します。
誰にでも使いやすいか
システムの使いやすさは、LMSを選ぶ際の大きなポイントです。
受講者や管理者が感覚的に操作でき、迷うことなく画面を進めていけるシステムが理想的でしょう。
コストをかけてLMSを導入しても、そのシステムが使いづらいと自社で十分に活用されないままになってしまうこともありえます。
LMSは、導入前にトライアルで使用するなどして、その操作性を十分に確認することが重要です。
製品のサポートが充実しているか
LMSを長期的に利用する上では、操作方法が分からなくなったり、製品にトラブルが発生したりする事態も考えられます。
そのような際に十分なサポートを受けることができるかどうかも、LMSを選ぶ大きなポイントです。
サポート体制の充実度を判断する際は、以下のようなポイントに着目すると良いでしょう。
初期の導入時のサポート内容
導入後のフォローアップ体制
ヘルプデスクの有無や対応時間
柔軟性があり長期的に使えるか
LMSを導入後に、他の機能を加えたくなる場合もあるでしょう。
そのような場合に対応できる拡張性や柔軟性の有無も、LMSを選ぶポイントの一つです。
一方で、拡張やカスタマイズが柔軟にできても、そのコストが非常に高い場合もあります。
機能の拡張などにかかる料金についても詳細まで確認し、長期的な利用における負担の有無を十分に確認しましょう。
LMS導入の流れとは
LMSは、突然導入しても、そのメリットを十分に活用することはできません。
それでは、LMSの導入はどのような順で行うと良いのでしょうか。
以下で、LMSを導入する流れについて5点に分けて説明します。
LMS導入の流れとは
- LMSを導入する目的を明確にする
- 社内でのLMS運用体制を整備する
- 利用するシステムを決定し契約する
- 社内の環境を整えるLMSの運用を開始する
LMSを導入する目的を明確にする
まず、LMSを活用して自社がどのようになりたいのか、導入の目的を明確にします。
導入目的はシステムを選定する基準に影響するため、曖昧にしないことが大切です。
まずは、従来のe-Learningや研修における自社の課題を洗い出し、それらを解決するためには何が必要かという点を軸に、導入目的を考えると良いでしょう。
社内でのLMS運用体制を整備する
LMSは、一般的に提供するベンダーがいますが、導入をすべてベンダー任せにするのはよくありません。
自社内でもLMS導入に関する担当者を決め、導入過程や運用体制の整備に積極的に関わることが大切です。
準備段階から社内のLMSの基盤を強固にしておくことで、導入後の運用をスムーズに行えることが期待できるでしょう。
利用するシステムを決定し契約する
運用体制が整った後は、自社に合うLMSを選定し、契約をします。
ベンダーと連携を取りながら、契約書などの必要書類の受け渡しを行いましょう。
社内の環境を整える
実際の運用を始める前に、LMSを活用する社内環境を整えることが大切です。
具体的には、管理者の権限付与やシステムを利用する従業員の登録、パスワードの設定などが必要です。
また、従業員向けのマニュアルを作成する場合は、この時点までに準備しましょう。
LMSの導入にあたり、従業員に向けた説明会を開催する場合も、日時を決めて早めに実施します。
LMSの運用を開始する
運用体制が完全に整ったあとは、いよいよ運用を開始します。
運用を開始したばかりの期間は、利用方法や操作方法について従業員から多くの問い合わせがあると考えられます。
ベンダーに協力してもらうなどして、問い合わせへの対応をできる限りスムーズに行えるように努めましょう。
LMSを活用し、従業員の自主的なキャリア育成をサポートするには
LMSは、多彩な機能によって、従業員の社内学習の効率化を実現できるシステムです。
LMSを長期的に有効活用するためには、自社に合ったLMSを選定し、社内環境を整備した上で導入することが大切です。
また、従業員にLMSを導入する目的を理解してもらい、協力を得ることも重要です。
そのメリットを最大限に活かすためにも、LMSを自社で利用する際は、従業員へ事前に丁寧な説明を行い、社内の運用体制を充実させることを大切にしましょう。
「HRBrain タレントマネジメント」は、LMSの受講履歴をはじめとした、従業員ひとりひとりのスキル管理や目標設定のプロセスなど、あらゆるデータを一元管理し可視化します。
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