1on1研修とは?効果的な運用方法と失敗しない選び方を解説
自社に最適な人事評価制度設計から運用まで、専門家が伴走支援
- 1on1ミーティングの定義と今現場で注目されている理由
- 1on1ミーティングとは上司が部下と1対1でする面談のこと
- 1on1ミーティングが注目されている理由は働き方の変化と信頼関係の再構築
- 1on1ミーティングの目的はエンゲージメントの向上
- 人事評価面談やメンタリングとの違いは評価や助言が目的ではないこと
- 1on1研修が必要な理由と得られる具体的な効果
- 1on1研修が必要な理由は形式だけの面談から脱却するため
- 1on1研修の効果は人も組織も育つ仕組みをつくる
- 成功事例と失敗から学ぶ1on1研修導入の実践ポイント
- 1on1研修の導入成功例|定着から新人研修への応用まで
- 1on1研修の導入時の失敗例と対処法
- 1on1研修の方法と学び方
- 方法は外部委託・社内育成・ハイブリッドの3種類
- 学び方は集合型・オンライン研修・eラーニング・外部研修の4種類
- 1on1外部研修活用のメリット・デメリット
- 1on1外部研修のメリットは他社との交流で多面的に学べること
- 1on1外部研修のデメリットは自社にフィットしない可能性があること
- 1on1社内研修のメリット・デメリット
- 1on1社内研修のメリットは定着しやすいこと
- 1on1社内研修のデメリットは費用が高くなる可能性があること
- 1on1ハイブリッド研修で両方のメリットを活かす方法
- 最初に基礎知識を外部研修で習得する
- 実践と定着は社内でOJT・フォローアップに力を入れる
- 成果につながる1on1研修の選び方
- 研修内容|ロープレあり・1on1特化など
- 過去の実績|他社の効果・研修実施回数など
- 費用|無料セミナーやeラーニングは数百円から
- 支援体制|研修後のサポート
- 1on1研修を成果につなげる方法
- 1on1面談をうまく進めるコツと実践テクニック
- 1on1はPDCAサイクルで継続的に改善する
- 話題カードなどで1on1疲れを防ぐ
- 評価制度と連動するには評価ではなく支援を目的にする
- 若手・Z世代・中途社員を巻き込む1on1の進め方は相手のニーズに合わせる
- 1on1の目的を全社で共有し文化として定着させる
- 対話力を高める1on1研修で組織の育成文化を根づかせる
1on1研修とは、単なる面談技術の習得ではなく、部下の成長を促し信頼を築く対話スキルを管理職が身につけ、社内に育成文化を根付かせることです。
本記事では、理想的な1on1ミーティングを実現するための研修の選び方や、導入のポイント、外部研修・社内研修のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
これにより、自社での離職率が下がり、エンゲージメントの高い、活気ある職場づくりが期待できるでしょう。
1on1ミーティングの定義と今現場で注目されている理由
1on1研修の重要性を理解し、自社にあった導入を実現するためには、まず1on1ミーティングを正しく理解することが大切です。
ここでは、1on1ミーティングについて、3つのポイントに分けて基礎知識を解説します。
<1on1ミーティング3つの基礎知識>
1on1ミーティングとは上司が部下と1対1でする面談のこと
1on1ミーティングの目的はエンゲージメントの向上
1on1ミーティングが注目されている理由は働き方の変化と信頼関係の再構築
1on1ミーティングとは上司が部下と1対1でする面談のこと
1on1ミーティングとは、上司と部下がマンツーマンで定期的に行う、対話を中心とした面談です。
一般的には、週に1回または月に1回程度の頻度で、1回あたり30分から60分ほどの時間を確保して行われることが多いですが、企業によっては週に1回15分という短い時間で、顔を合わせる頻度を重視するケースもあります。
この面談の大切なポイントは、以下のとおりです。
<1on1ミーティングの大切な3つのポイント>
部下の成長をサポートする
日々の業務で抱える課題の解決を手伝う
部下が心身ともに健康な状態で働けるように配慮する
上司からの一方的な指示や業務評価が中心となるのではなく、1on1ミーティングではお互いに話し合う双方向のコミュニケーションが重視されます。
具体的には、部下が普段感じている業務上の悩み、将来のキャリアについての考え、職場での人間関係といった、表面的な業務報告だけでは見えてこない内面的な部分にも焦点を当て、より深いレベルでの理解と支援を目指して実施されます。
1on1ミーティングは、部下のための時間であり、部下の成長と仕事への意欲を高めるための重要なコミュニケーションの機会なのです。
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1on1ミーティングが注目されている理由は働き方の変化と信頼関係の再構築
近年、1on1ミーティングが企業で注目されている背景は、以下の通りです。
<1on1ミーティングが企業で注目されている3つの背景>
働き方の多様化
先の読めない現代のビジネス環境
上司と部下の信頼関係の再構築
リモートワークの普及や、かつてのような終身雇用が当たり前ではなくなり、個人のキャリアに対する考え方も多様化し、従来のマネジメント方法では対応しきれない場面が増えています。
そこで、社員一人ひとりの状況や考えに寄り添い、能力を引き出して会社やチームへ帰属意識を高める手段として、個別のコミュニケーションを重視する1on1ミーティングが注目されています。
変化の激しい時代においては、社員一人ひとりが主体的に成長し、新しい状況に柔軟に適応していく力が不可欠です。そのため、1on1ミーティングは意識的にコミュニケーションを取る機会として活用されています。
1on1ミーティングの目的はエンゲージメントの向上
1on1ミーティングには社員のエンゲージメントを高める目的があります。エンゲージメントとは、社員が自らの仕事や所属する組織に対して抱く「貢献したい」という意欲や愛着心、仕事に対する情熱や誇りを指します。
上司が1on1ミーティングを通じて、上司が部下の話に耳を傾け、フィードバックや承認する言葉で成長を支援し、将来のキャリアについても一緒に考える機会を持つことで、部下は「自分は大切にされている」「頑張りを認められている」と感じることができます。このような肯定的な感情は、組織への信頼感やエンゲージメントを自然と高めます。
エンゲージメントの高い社員は、指示待ちではなく自律的に仕事に取り組み、より高い成果を上げやすいです。また、離職しにくくなる傾向があるため、組織の持続的な成長にとってエンゲージメントの向上は大切です。
人事評価面談やメンタリングとの違いは評価や助言が目的ではないこと

1on1ミーティングは、人事評価のための面談や、先輩社員が後輩を指導するメンタリングといった他の面談と混同されることがありますが、その主な目的が評価や一方的な助言ではなく、違いは以下の通りになります。
種類 | 内容 |
---|---|
1on1ミーティング | ・上司が部下の話を聞き、成長やキャリア支援を行う定期的な対話 |
人事評価面談 | ・成果をもとに業績や能力を評価する面談 |
メンタリング | ・先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティー)に対してサポート |
1on1ミーティングで重視されるのは、部下の継続的な成長を支援し、部下自身が自己理解を深めるきっかけとなるような対話です。
例えば、実施頻度を見ても、人事評価面談が半期や年に1回程度であるのに対し、1on1ミーティングは週に1回や月に1回といった高い頻度で行われるのが一般的です。
このような違いを上司と部下の双方が正しく理解し、1on1ミーティングを評価や指示・命令の場ではなく、部下の成長を支えるための対話の場として位置づけることが重要になります。
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1on1研修が必要な理由と得られる具体的な効果
企業で1on1ミーティングに研修が求められている理由と、質の高い1on1研修で企業・社員の双方にどのような効果がもたらされるのか、以下の項目を解説します。
<1on1研修が必要な理由と得られる具体的な2つの効果>
1on1研修が必要な理由は形式だけの面談から脱却するため
1on1研修の効果は人も組織も育つ仕組みをつくる
1on1ミーティングを導入したものの思うような成果が出ていない、あるいはこれから導入を検討しているときこそ、研修の必要性と効果を正しく知ることが大切です。
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1on1研修が必要な理由は形式だけの面談から脱却するため
企業で1on1研修が必要とされているのは、せっかく導入した1on1ミーティングが本来の目的を見失い、形式だけの面談や、やらされている感を打破し、意味のある実質的な成果を生み出すための取り組みにするためです。
1on1ミーティングの目的は、部下の成長をきめ細かくサポートしたり、上司と部下の間に強い信頼関係を築くことです。
しかし、1on1を行う上司が必要なスキルを持っていなかったり、1on1の目的自体をよく理解していなかったりすると、単に仕事の進捗を確認するだけの場になったり、何を話せばよいのかわからず当たり障りのない雑談で終わってしまったりします。このような形骸化した1on1は、部下のやる気を削いでしまうだけでなく、貴重な業務時間を無駄にし、1on1という制度そのものに対する不信感さえ生んでしまう可能性があります。
1on1研修は、上司に効果的な対話を行うためのスキルや心構えを身につけてもらい、質の高いコミュニケーションで、課題の改善につながります。
1on1研修の効果は人も組織も育つ仕組みをつくる
1on1研修を導入し、その質を高めることによって得られる効果は、単に個々の面談技術が向上するだけではなく、以下のように人も組織も育つ仕組みをつくります。
<1on1研修の効果は人も組織も育つ4つの仕組みの醸成>
離職率の減少
管理職のスキルアップ
セルフマネジメントの向上
組織の活性化
これらの個人レベルでの前向きな変化が組織全体に積み重なっていくと、社内のコミュニケーションはより円滑で建設的なものとなり、誰もが安心して意見をいえるような企業文化が育まれ、組織全体の生産性や創造性の向上に貢献します。
離職率の減少
1on1研修を通じてミーティングの質が向上することは、社員の早期離職を防ぎ、定着率を高める効果に結びつきます。
社員が職場を離れたいと感じる背景には、人間関係の悩みやキャリアへの不安、会社や上司からのサポート不足による孤独感などが考えられます。
質の高い1on1ミーティングは、上司が部下のこうしたサインに早い段階で気づき、適切なタイミングで支援できる機会となります。部下が「上司は自分のことを気にかけてくれている」「何か困ったことがあれば、いつでも相談できる相手がいる」と実感すると、組織への信頼感と安心感へとつながります。その結果、早期離職を減らし、会社に長く貢献してくれる可能性を高められるのがメリットです。
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管理職のスキルアップ
1on1研修は、部下の育成に留まらず、管理職自身のマネジメント能力を向上させる機会となります。効果的な1on1ミーティングを実践するためには、以下のコミュニケーションスキルが必要です。
スキル名 | 評価観点(内容) |
---|---|
傾聴力 | 相手の話を深く理解しようとする姿勢があるか |
質問力 | 相手の気づきや内省を促す質問ができているか |
コーチングスキル | 相手の自律的な成長を支援する関わりができているか |
フィードバックスキル | 具体的で前向きなフィードバックができているか |
1on1研修では、コミュニケーションスキルを体系的かつ実践的に学べ、日々の1on1ミーティングを繰り返し活用することで、管理職はスキルを磨かれていきます。こうした積み重ねで、管理職は部下の潜在的な能力を引き出し、育成していくための指導力が高まります。
1on1研修でコーチングの基本を学んだ管理職が、1on1ミーティングで部下に答えを教えるのではなく、質問を通じて部下自身に考えさせ、主体的な行動を促すような関わり方ができるようになると、部下の大きな成長につながるでしょう。
セルフマネジメントの向上
質の高い1on1ミーティングを定期的に継続することは、部下のセルフマネジメント能力を向上させます。セルフマネジメントとは、自分自身で目標を設定し、計画を立てて行動し、その結果を振り返って改善に繋げる自律的な力です。
効果的な1on1ミーティングは、上司が一方的に指示するのではなく、質問を通じて部下自身の内省を促し、部下が自ら課題の本質や解決策に気づくプロセスをサポートします。そうすると部下は、1on1ミーティングの機会に、自身の仕事の進め方やキャリアについて主体的に考え、上司と議論をしながら、目標達成に向けた行動計画を立てていきます。
また、振り返りを重ねて、自身の強みや課題を客観的に把握し、改善するための学習サイクルを自然と身につけていけます。
1on1ミーティングで「今週達成したい目標と、そのために具体的に何をするか」を部下自身が明確にし、次回の1on1ミーティングでその結果を振り返る、というサイクルを繰り返すことで、計画を立てる力、それを実行する力、そして自己評価を行う能力が着実に養われていくはずです。
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組織の活性化
質の高い1on1ミーティングが組織全体に浸透し、日常的に実践されるようになると、社内のコミュニケーションが活発になり、誰もが意見を言いやすい風通しの良い職場環境を育みます。その結果、チームとしての一体感を高めることを通じて、組織全体の活力向上に貢献します。
1on1は、上司と部下のコミュニケーションを深めるだけではなく、オープンで誠実な対話や、お互いを尊重し心理的に安全だと感じられる関係性を構築します。
このような関係性は、組織全体のコミュニケーション文化にも良い影響を与え、部下が「自分の意見やアイデアをいっても大丈夫だ」「きちんと受け止めてもらえる」と安心して感じられるようになり、会議の場や日常業務においても、新しい視点からの意見や業務改善に繋がる提案が自然と生まれやすくなるでしょう。
また、各部署で効果的な1on1ミーティングが実践されるようになると、部署間の情報共有がスムーズになったり、会社全体の目標に対する理解が深まったりすることも期待できます。
成功事例と失敗から学ぶ1on1研修導入の実践ポイント
実際に1on1研修を導入し、目に見える成果を上げている成功事例と、導入初期でつまずいた失敗パターンと失敗を未然に防ぐための具体的な対応策について、詳しく掘り下げていきます。
具体的な取り組みや経験から学ぶことは、これから1on1研修を導入しようと考えている企業や、導入済みでも効果が出ていない企業にとって、実践的なヒントや避けるべき落とし穴を事前に把握する上で役立つため、ぜひ参考にしてみてください。
1on1研修の導入成功例|定着から新人研修への応用まで
1on1研修を導入し、組織に良い変化をもたらしている成功事例を詳しく見ていくと、いくつかの共通点があります。その中でも特に大切なのは、経営トップが1on1の重要性を理解し、以下の行動がポイントになっています。
<1on1の重要性を理解したうえでの経営トップの行動ポイント>
導入と定着を後押しする
継続的にスキル研修の機会を提供する
1on1ミーティングを組織全体の文化として根付かせる仕組みづくりをする
これらの要素が揃って1on1は単なる面談ではなく、社員の成長を促し、組織の活性化に繋がる強力なツールとなり得ます。
例えば、管理職が部下の能力を引き出すためのコーチングスキルを習得できるよう、専門的な研修プログラムを必須化するなど、実践的なサポート体制を整えたことが、1on1ミーティングを社内に定着させるきっかけになったケースも少なくありません。
また、新入社員の早期育成に1on1ミーティングを取り入れ、先輩社員が教育係として丁寧に関わることで、新人がスムーズに職場に適応できるよう支援している事例もあります。
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1on1研修の導入時の失敗例と対処法
1on1研修を導入する際には、いくつかの典型的な失敗パターンに陥ることがありますが、事前に失敗の可能性を理解し、適切な対策を講じれば、回避や影響の最小化が可能です。
よくある失敗の一つに、「1on1の目的が曖昧なままはじまってしまい、結局何を話せば良いのかわからず、ただの雑談で終わってしまう」というケースがあります。これでは、上司も部下も貴重な時間を浪費するだけで、何の成果も得られません。
このような事態を防ぐためには、1on1研修の導入前に、人事担当者や経営層が「なぜ自社で1on1を行うのか」「1on1を通じて社員や組織にどのような良い変化を期待するのか」という目的を明確に言語化し、それを全社員に向けて丁寧に共通認識を育むことが不可欠です。
また、「上司が一方的に話してしまう」「部下が本音を話してくれない」といった悩みも聞かれます。これは、上司の傾聴のスキルや、質問のスキルなど、コミュニケーションスキルが不足している場合に起こりがちです。
この対処には、実践的なスキル研修の実施に加え、具体的な会話の進め方を示したテンプレートや、話題に困ったときに使えるトークテーマ集などを提供するなど日常的に支援をしていくとよいでしょう。
1on1研修の方法と学び方
企業が1on1ミーティングの質を向上させ、その効果を最大限に引き出すために導入を検討する1on1研修について、3種類の実施方法と具体的な4種類の学び方を詳しく解説します。
自社の組織文化や予算、育成目標、対象となる社員の状況などを踏まえ、もっとも適した研修アプローチを見つけるための判断材料として役立ててください。
方法は外部委託・社内育成・ハイブリッドの3種類
1on1研修を実施する方法は、大きく以下の3種類にわけられます。
方法 | 概要 |
---|---|
外部委託 | 研修の企画から実施までを外部の専門機関やコンサルタントに全面的に依頼する方法 |
社内育成(インソース型) | 自社の人事部門や経験豊富な管理職が中心となり、自社で研修プログラムを開発・運営する方法 |
ハイブリッド型 | 外部委託と社内育成の要素を組み合わせ、両者のメリットを取り入れた柔軟な運用方法 |
どの方法を選択するかは、研修の品質や専門性、必要なコスト、自社の状況に合わせたカスタマイズの度合い、社内に研修ノウハウを蓄積していきたいかどうかといった点を総合的に比較検討する必要があります。
学び方は集合型・オンライン研修・eラーニング・外部研修の4種類
1on1研修における具体的な学び方は、主に以下の4つの種類が挙げられます。
研修形式 | 概要 |
---|---|
集合型研修 | ・参加者が同じ会場に集まり、講師から直接指導を受ける形式 |
オンライン研修 | ・Web会議ツールを使い、講師と参加者が遠隔でリアルタイムにやり取りする形式 |
eラーニング | ・録画講義や教材を用い、受講者が自分のペースで学べる形式 |
外部研修 | ・研修専門機関などが開催する公開講座やセミナーに、個人や少人数で参加する形式 |
これらの学び方は、それぞれ学習効果、費用、時間や場所の柔軟性、受講者がどれだけ積極的に関与できるかといった点で異なります。
例えば、ロールプレイングやグループでの討議といった実践的なスキルを身につけたい場合には、直接的なフィードバックや活発な意見交換が可能な集合型研修が適しています。
一方、多くの社員に基本的な知識を効率的かつ低コストで提供したい場合には、時間や場所の制約が少ないeラーニングが効果的です。
どの学び方が最適かは、研修の目的や内容、受講する社員の人数や状況、そして予算などを総合的に考慮して判断しましょう。
1on1外部研修活用のメリット・デメリット
1on1ミーティングの質を向上させるための選択肢のひとつとして、社外の専門機関が提供する外部研修を利用する際に知っておきたいメリットとデメリットについて、具体的な視点から詳しく説明します。
1on1外部研修の導入を検討されている企業の人事担当者や管理職の方が、その特性や価値を正しく理解し、自社にとって有益な判断ができるよう役立ててください。

1on1外部研修のメリットは他社との交流で多面的に学べること
1on1ミーティングのスキル向上に外部研修を活用するメリットは、自社内だけでは得られない多様な視点や新しい知識に触れられる点です。特に、他社の参加者との交流を通じて、物事を多角的に捉え、深く学ぶ機会が得られることは貴重です。
外部の研修機関は、1on1ミーティングや人材育成に関する最新の理論や効果的な指導方法、洗練された教材など実践的なノウハウを豊富に持っています。経験豊かな講師から、質の高い指導を受けることで、参加者は実践的なスキルを効率良く習得できます。
また、普段接することのない異業種や企業文化を持つ人々とグループワークや、ディスカッションといった1on1研修の場で、他社の取り組みや課題、解決策によってどう乗り越えようとしているのか、具体的な事例や多様なアプローチを知ることができます。それにより、自社の状況を客観的に見つめ直したり、これまで思いつかなかった新しいアイデアや問題解決のヒントを得たりする上で、貴重な経験となるでしょう。
さらに、社外の専門家は、特定の企業内の人間関係や過去の経緯といった制約にとらわれず、客観的な立場から的確なアドバイスを提供してくれるため、社内だけでは気づきにくい本質的な課題や、今後の改善の方向性を示唆してくれるため、1on1ミーティングの質を向上させるうえでも有効です。
1on1外部研修のデメリットは自社にフィットしない可能性があること
1on1ミーティングのスキル向上に外部研修を活用するデメリットは、提供される研修のプログラム内容や進め方が、必ずしも自社が抱える事情や企業文化、あるいは解決したい課題に、合致するとは限らない点です。
一般的な外部研修は、幅広い企業や業種で活用できるように、ある程度標準化された内容になっています。そのため、自社が属する業界特有の慣習や、社内で日常的に使われている専門用語、独自の組織構造、長年にわたって育まれてきた企業風土といった、それぞれの会社が持つ個別性の高い要素までは、十分にカバーしきれないケースがあります。
また、プログラムをニーズに合わせてカスタマイズしようとすると、追加費用が発生したり、対応できる範囲に制約があったりする場合があります。
1on1社内研修のメリット・デメリット
1on1ミーティングのスキル向上を目的とした研修を、外部の専門業者に委託するのではなく、自社の力で企画し、実行する社内研修に焦点を当てて解説します。
社内研修が自社の状況や目的にとって本当に最適なのかどうかを慎重に判断するため、もし社内研修を実施する場合にはどのような点に留意して進めるべきかを深く理解するために役立ててください。

1on1社内研修のメリットは定着しやすいこと
1on1研修を外部に頼らず、自社内で企画し実施する社内研修を選ぶメリットは、研修内容が自社の企業理念や価値観、日々の業務と結びつく点です。これにより、研修で学んだスキルや知識を実際の現場で実践しやすく、組織全体に1on1ミーティングが組織に定着しやすくなります。
社内研修の場合、自社のことをよく理解している人事担当者や、1on1ミーティングで高い成果を上げている経験豊富な管理職などが、研修プログラムの設計や講師役を担うことが一般的です。そのため、企業が社員に伝えたいメッセージや、社内で共有されている暗黙のルール、日常業務で頻繁に直面する特有の課題などを、研修内容に反映させることが可能です。
これにより、研修を受ける管理職は、教わる内容を他人事ではなく「自分たちのことだ」と実感しやすく、実際の1on1ミーティングで積極的に学んだ内容を試す意欲が高まります。
また、社内で講師を育成するプロセスや、管理職同士が研修を通じてお互いの経験や悩みを共有し、学び合う経験は、1on1ミーティングを推進する前向きな社内文化を育むうえでも効果的です。
1on1社内研修のデメリットは費用が高くなる可能性があること
1on1研修を自社内で実施する場合、長期的には外部委託に比べてコストを抑えられる可能性がある一方で、質の高い研修プログラムを一から開発し、さらに社内で講師役を担える人材を育成するためには、相応の初期投資が必要です。
また、研修の運営にかかる目に見えにくい人的なコストも含めると、結果として全体の費用が予想以上に高くなる可能性があります。
社内研修では、研修の目的を明確にするところから、社内講師の選定と育成する一連のプロセスをすべて自社で行う必要があります。これらの作業には、人事部門の担当者や研修開発に関わる社員の多くの時間と労力が必要となり、場合によっては専門的な知識やスキルを新たに習得する必要も出てきます。
こうした人件費や、他の業務に充てるべきだった時間を研修開発に使うことによる機会損失は、無視できません。
また、社内で選ばれた講師が、必ずしも教育や研修の専門家ではないため、研修の品質にばらつきが生じてしまったり、十分な学習効果が得られなかったりするリスクも伴います。
1on1ハイブリッド研修で両方のメリットを活かす方法
1on1ミーティングのスキル向上を目指す研修を実施するうえで、外部研修と社内研修双方の長所を賢く取り入れ、効果を最大化するハイブリッド研修の具体的な方法やメリットを詳しく紹介します。
外部の専門的な知見を活用しつつも、研修コストはできるだけ抑えたい、自社の実情や文化に即した研修内容を重視したい、といった多様なニーズを持つ企業の人事担当者や研修企画者の方が、より効果的な1on1研修プログラムを設計・実施するためにぜひ参考にしてみてください。
最初に基礎知識を外部研修で習得する
1on1ミーティングのスキルを高めるためのハイブリッド研修を導入する際は、初期段階で1on1ミーティングの基礎知識を、外部の専門機関が提供する質の高い研修プログラムや、体系的に整理されたeラーニングを活用して、効率的に習得しましょう。
外部の研修機関や教材は、1on1に関する最新の研究成果や効果的な指導方法、ケーススタディを含む学習コンテンツをすでに保有している場合が多いため、自社で一から教材を開発する時間や労力、コストを大幅に削減できます。
また、多くの企業で導入され、その効果が実証されている標準化されたプログラムを利用することで、質の高い基礎知識を比較的短期間で、かつ効率的に全対象者にインプットが可能です。
このように外部のリソースを活用すれば、その分の時間や労力を節約でき、より実践的なロールプレイングの企画・実施や、自社特有の課題や企業文化に合わせた研修内容のカスタマイズといった、社内でなければ対応が難しい部分に集中できます。
実践と定着は社内でOJT・フォローアップに力を入れる
1on1ハイブリッド研修では、外部の研修プログラムやeラーニングを通じて1on1ミーティングに関する基本的な知識やスキルをインプットした後は、実際の業務、特に日々の1on1ミーティングの場で活かし、組織全体に定着させることが重要です。
そのために、社内でOJT(職場内訓練)を充実させ、さらに継続的なフォローアップ研修や、管理職同士が互いに学び合い支え合う実践コミュニティの運営といった取り組みが欠かせません。研修で一度学んだだけの知識やスキルは、実際の場面で意識して繰り返し使ってみて、成功体験や時には失敗体験から学びを得る中で初めて定着し、無意識的に使えるレベルになります。
1on1ミーティングそのものが、管理職にとっては実践を通じて学ぶ絶好の機会となりますが、それだけでは不十分な場合もあります。
例えば、研修後に定期的なフォローアップの機会を設け、実践状況の共有やロールプレイングによるスキルの再確認したり、管理職同士が1on1での成功事例や悩みをオープンに共有し、互いにアドバイスを送り合えるような場を企画・運営したりすることも、スキルの定着と組織全体の1on1の質向上につながります。
管理職が安心して新しいスキルを試し、実践の中で直面した疑問や課題を気軽に相談し、具体的な解決策を見つけ出せるような、社内のサポート体制を整えることが不可欠です。
成果につながる1on1研修の選び方
1on1ミーティングの質を本質的に高め、それを通じて組織全体のパフォーマンス向上や社員の成長といった具体的な成果を実現するために、どのような観点から1on1研修を選定すれば良いのか、その具体的な判断基準と実践的な以下のポイントについて詳しく紹介します。
<成果につながる1on1研修の選び方4つのポイント>
研修内容|ロープレあり・1on1特化など
過去の実績|他社の効果・研修実施回数など
費用|無料セミナーやeラーニングは数百円から
支援体制|研修後のサポート
多種多様な1on1研修プログラムが存在しますが、その中から自社の課題解決や目標達成に貢献してくれるものを見つけ出せるよう、ぜひ参考にしてみてください。
研修内容|ロープレあり・1on1特化など
成果につながる1on1研修を選ぶには、まずその研修内容が1on1ミーティングというテーマに特化しているか、具体的には「傾聴」や「コーチング」など、1on1に不可欠とされるスキルを網羅されている点に注目しましょう。
さらに、知識として理解するだけでなく、それらのスキルを実際の場面で使えるようにするための、ロールプレイングなど実践的なトレーニングが組み込まれているかも確認ポイントです。
一般的なコミュニケーション研修では、1on1特有の目的やデリケートな進め方に対応できない場合があります。1on1に特化した研修であれば、より効果的な対話の技術や、現場で直面しがちな課題への具体的な対処法を学べます。
そして、座学で理論を学ぶだけではなく、ロールプレイングを通じて実際に上司役や部下役を演じ、スキルを使う練習を重ねることで、知識が体験と結びつき、現場での実践力が向上し、行動にも変化が表れるようになります。
研修プログラムの中に、以下のようなテーマが含まれているかを確認するとよいでしょう。
<1on1研修テーマで含まれているか確認する3つの項目>
安心して本音を話せる職場の作り方
1on1ミーティングで話し合うべきテーマの適切な設定方法
経験から学びを引き出すための対話術
過去の実績|他社の効果・研修実施回数など
1on1研修プログラムやそれを提供する研修会社、講師を選定する際に、過去の実績から研修の質や信頼性を見極めるうえで以下のポイントをチェックしましょう。
<1on1研修を成果に繋げるためにチェックする3つの過去の実績>
他社で導入された際の具体的な効果(例:エンゲージメント向上、離職率の低下など)
これまでの実施回数や対象企業の業種・規模
実際の受講者からの評価やコメント
多くの1on1研修実績を持つ提供者は、さまざまな企業や業種の多様なニーズに対応してきた経験を通じて、効果的なプログラムを設計し、運営していくための実践的なノウハウを豊富に蓄積しています。他の会社での成功事例や、エンゲージメントの向上率、離職率の低下といった具体的な効果に関するデータが公開されていれば、自社で同様の効果が期待できるかどうかを判断するうえで参考になります。
また、長年にわたって多くの企業で継続的に研修が実施されていること自体が、その研修プログラムの信頼と評価を示す要素のひとつです。
さらに、研修提供者の公式ウェブサイトやパンフレットなどで、導入企業の事例紹介やお客様の声を確認し、どのような課題を抱えていた企業が、研修を通じてどのような成果を得られたのかを確認しましょう。
費用|無料セミナーやeラーニングは数百円から
1on1研修の導入を検討する際に、避けて通れないのが費用に関する問題です。1on1研修にかかる費用は、研修の形式や提供元、そして研修内容の専門性や実施期間などによって異なります。
例えば、まず情報収集として1on1の概要や基本的な考え方を知りたいという段階であれば、研修会社などが開催している無料のオンラインセミナーや説明会に参加してみるとよいでしょう。
また、基本的なスキルを自分のペースで学びたい、多くの社員に一律の基礎知識を提供したいという場合には、一人あたり月額数百円程度から利用できるeラーニングサービスもおすすめです。
一方で、より実践的なスキルを深く習得したい、自社が抱える特定の課題に特化した研修プログラムを求める場合には、外部の専門機関にオリジナルの研修開発や講師派遣を依頼する必要があり、費用は、研修の期間や内容の複雑さ、講師の専門性や知名度などによって、数十万円から数百万円規模になることもあります。
そのため、1on1研修を選ぶ際には、自社の目的と予算を明確にしたうえで、費用帯ごとでどのような内容と質の研修が受けられるのかを比較検討し、費用対効果の高い選択をすることが重要です。
支援体制|研修後のサポート
1on1研修の成果を最大限に高め、研修で学んだ知識やスキルを現場で確実に活かして定着させるには、研修プログラム自体の質だけではなく、研修後のフォローアップや継続的な学習支援体制が充実しているかを確認することが、重要なポイントです。
研修で一度知識やスキルを学んだとしても、実際の業務でスムーズに実践できるとは限りません。現場で試してみると新たな疑問点が出てきたり、予期せぬ困難に直面したりすることがあり、そうした状況で適切なサポートが得られずに放置してしまうと、せっかくの研修効果も時間と共に薄れていってしまう可能性があります。
そのため、以下の仕組みがある研修プログラムは、スキルの定着と継続的な成長を支えるうえで効果的です。
<1on1研修後にチェックする3つのサポート例>
数ヶ月ごとのフォローアップセッションの実施
実践に関する相談窓口の設置
管理職同士で学びを共有するオンラインコミュニティの運営
一部の研修提供会社では、研修の効果を測定するためのアンケート調査を実施し、その結果にもとづいて個別のフィードバックや追加のアドバイスを行うといった、より手厚いサポートを提供している場合もあります。
1on1研修を成果につなげる方法
1on1研修で得た学びを実際の1on1ミーティングに効果的に活かし、単に面談を実施するだけではなく、社員の成長支援、エンゲージメントの向上、組織全体の目標達成といった具体的な成果へと結びつけるための実践的なアプローチを詳しく解説します。
<1on1研修を成果につなげる6つの方法>
1on1面談をうまく進めるコツと実践テクニック
1on1はPDCAサイクルで継続的に改善する
話題カードなどで1on1疲れを防ぐ
評価制度と連動するには評価ではなく支援を目的にする
若手・Z世代・中途社員を巻き込む1on1の進め方は相手のニーズに合わせる
1on1の目的を全社で共有し文化として定着させる
1on1面談をうまく進めるコツと実践テクニック
1on1面談を効果的に進めるための基本的なコツは、面談に向けた事前準備を上司・部下双方がしっかりと行うこと、部下が安心して本音を打ち明けられるような心理的に安全な雰囲気を作り出すことです。そのために必要な実践テクニックを紹介します。
<1on1面談をうまく進めるコツと実践テクニック>
対話をスムーズにするテンプレート活用
部下の成長を促すフィードバックのフレームワーク
これらのテクニックは、部下との信頼関係をより一層深め、1on1ミーティングを双方にとって有意義な時間にする効果的なコミュニケーションを築けます。
対話をスムーズにするテンプレート活用
1on1ミーティングでの対話をよりスムーズに進め、内容の質を高めていくためには、事前に項目が設計されたテンプレートやアジェンダシートを活用するのが効果的です。
このようなテンプレートは、1on1ミーティングで話し合うべき以下の主要なテーマを網羅すると活用しやすくなります。
<1on1ミーティングで対話をスムーズにする4つのテンプレート>
目標の進捗確認
業務上の課題
キャリアの希望
心身のコンディション
また、上司と部下の双方が、事前にこれらのテーマについて自分自身の考えを整理し、準備するきっかけになります。
特に、1on1ミーティングの経験がまだ浅い管理職や、部下との対話に苦手意識を持っている管理職にとっては、テンプレートが進行の目安を示してくれるため、安心して面談に臨めて、結果として面談スキルの標準化や底上げにもつながります。
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部下の成長を促すフィードバックのフレームワーク
1on1ミーティングの場で、部下の具体的な行動の変化や持続的な成長を効果的に後押しするためには、相手に気づきを与え、前向きな行動を引き出すための、建設的なフィードバックが欠かせません。
その際、確立されたフィードバックのフレームワークを理解し、意識して活用すると、より効果的なコミュニケーションが期待できます。的確で誠実なフィードバックは、部下自身が自分の強みや改善すべき点を客観的に認識し、次に取るべき行動を考える助けになります。
しかし、フィードバックの伝え方や内容によっては、かえって部下のモチベーションを下げてしまったり、場合によっては上司に対する反発心を招いてしまったりするおそれもあります。
そこで、フィードバックをより構造的かつ客観的に伝え、部下が素直に受け入れやすく、具体的な行動改善に結びつきやすくなるように、いくつかのフレームワークが考案されています。
例えば、代表的なものとしてSBI(エスビーアイ)モデルがあります。これは、以下の要素で構成されます。
<SBIモデル3つの要素>
S(Situation):いつ、どんな状況で
B(Behavior):どのような行動をとり
I(Impact):その結果、どんな影響があったか
これは、具体的な事実にもとづいてフィードバックを伝える手法です。このようなフレームワークを事前に学んでおくと、感情的な批判に陥ることなく、部下の成長を真に願う建設的な対話を進められます。
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1on1はPDCAサイクルで継続的に改善する

1on1ミーティングの効果を最大限に引き出し、形骸化を防ぐためには、一度制度を導入したらそれで終わりにせず、PDCAサイクル(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)を意識的に回し、その質を継続的に検証し、改善する仕組みを組織内に構築することが不可欠です。
組織環境や、社員のニーズは常に変化するため、1on1ミーティングの運用方法も、柔軟に見直し、最適化していく必要があります。
PDCAサイクルを適用することで、次のような流れで1on1ミーティングの質を高められます。
<PDCAサイクル4つのステップ>
Plan(計画):1on1の目的やアジェンダの基本方針を定期的に見直し、必要に応じて管理職向けのスキル研修も企画する。
Do(実行):計画に基づいて1on1を実施し、主な議論内容や決定事項、ネクストアクションを記録する。
Check(評価):面談後のアンケートや振り返りシートなどを用いて、実施状況や効果を可視化する。
Act(改善):評価結果から見えた課題をもとに、アジェンダや支援策を改善し、次回の運用に反映する。
この一連のプロセスで、1on1ミーティングが常に適した形にアップデートされ、長期的に人と組織が強くなる仕組みをつくれるようになります。
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話題カードなどで1on1疲れを防ぐ
定期的に行われる1on1ミーティングが、回数を重ねるうちに形骸化してしまい、上司や部下の双方にとって「1on1疲れ」ともいえるような負担やマンネリが起こりがちです。形骸化しないために、会話のきっかけ作りや話題の多様化をサポートする話題カードや対話のテーマ例リストといったツールの活用が効果的です。
特に、週1回など高い頻度で1on1ミーティングを実施している場合、「毎回、一体何を話せば良いのだろうか」「いつも同じような内容の繰り返しになってしまっている気がする」といった悩みが生まれやすくなります。
このような状況は、1on1ミーティングが義務的な作業のように感じられたり、面談の準備自体が負担になったりする原因となり、対話の質を低下させてしまう可能性があります。
話題カードや事前に用意されたテーマのリストは、そうした状況において、普段あまり話さないような新しい視点や多様なテーマを会話に取り入れるきっかけを提供し、マンネリ化した対話を活性化させるために機能します。
例えば、以下のようなカテゴリーテーマを盛り込んだカードを用意します。
<話題カードや事前に用意するテーマ3つの例>
キャリア形成に関する問い
ウェルビーイング(心身の健康)に関する話題
チーム内の協力や関係性に関する視点
面談の冒頭で部下に1枚引いてもらったり、あるいは上司がその時々の状況や部下の様子に応じて適切と思われるテーマを選ぶ活用方法があります。
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評価制度と連動するには評価ではなく支援を目的にする
1on1ミーティングを社員の人事評価制度や目標管理の仕組み(OKRやMBOなど)と効果的に結びつけ、意味のある対話へと高めるためには、1on1ミーティングの目的を評価そのものではなく、「部下の成長支援と目標達成のサポート」に置き、組織として共有する必要があります。
もし、1on1ミーティングが社員にとって「評価される場」あるいは「評価のための情報を上司が集める場」と認識されると、部下はなかなか本音を話せなくなり、ありのままの自分を見せることをためらう傾向があります。これでは、1on1本来の目的である上司と部下の間の信頼関係の構築や、率直な対話を通じた成長支援といった大切な機能が損なわれてしまいます。
一方で、1on1の場で日頃から、設定した目標の達成に向けた進捗状況の確認や、業務を進めるうえでの課題の共有、必要なサポートについてオープンに話し合っておくと、期末などに実施される評価面談の際に上司と部下の間の認識のズレを防ぎ、評価結果に対する部下の納得感を高める上で効果的です。
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若手・Z世代・中途社員を巻き込む1on1の進め方は相手のニーズに合わせる
近年増加しているZ世代の若手社員や、多様な価値観や経験を持つ中途採用の社員に対し、1on1ミーティングを効果的に進めるには工夫が必要です。全員同じように接する画一的な進め方ではなく、相手の個性や特性、そしてその人が何を求めているのか個別のニーズやキャリアに対する考え方に、柔軟に合わせたコミュニケーションアプローチを取ることが不可欠です。
例えば、Z世代の社員は、一般的に自分自身の成長やキャリアアップに対する意識が高く、会社や仕事に関する情報の透明性や、自分の意見や考えがきちんと尊重される双方向のコミュニケーションを重視する傾向が見られます。
また、中途採用の社員は、前職で培ってきた経験やスキル、そして独自の価値観を持っているため、新しい職場で一方的に指示を受けたり、既存のやり方や考え方を押し付けられたりすることに対して、強い抵抗を感じる可能性があります。
それぞれの背景を理解し、それぞれの状況や1on1に期待することに合わせたテーマ設定や対話のスタイルを心がけることで、彼らの1on1への主体的な参加を促し、仕事へのエンゲージメントを高められます。
1on1の目的を全社で共有し文化として定着させる
1on1ミーティングを、一部の部署や特定の管理職だけが行う一過性の施策で終わらせず、組織全体の持続的な成長と活性化に貢献する仕組みとして機能させるには、「なぜ私たちの会社で1on1ミーティングを行うのか」という問いに対する明確な答えを、経営トップから現場の一般社員に至るまで共有する必要があります。
1on1の目的が曖昧なままであったり、上司と部下で目的の認識が大きく異なったりすると、面談の方向性が定まらず、期待した効果が十分に得られなかったり、形骸化してしまったりする原因となります。
1on1が目指す核となる以下の目的を組織全体で共有することで、参加する社員全員が同じ方向を向き、より建設的で生産性の高い対話が生まれやすくなります。
<1on1が目指すべき3つの目的>
部下の主体的な成長支援
上司と部下の信頼関係構築
仕事へのエンゲージメント向上
そして、この目的意識が企業文化として深く浸透することで、1on1ミーティングは「やらなければならない面倒な仕事」ではなく、組織にとって当たり前であり、重要なコミュニケーション活動として、社員が主体的に取り組むようになります。
対話力を高める1on1研修で組織の育成文化を根づかせる
1on1ミーティングは、部下の成長支援と信頼関係構築に不可欠な取り組みです。
しかし、その目的が浸透せず形骸化することも少なくありません。この状況を打破し、1on1を真に機能させる鍵は、管理職の対話スキル向上にあります。
そのために1on1研修は極めて有効な手段といえるでしょう。研修を選ぶ際には、内容が実践的か、ロールプレイングは豊富か、自社の課題解決に直結するかを慎重に見極めることが大切です。提供企業の実績、費用対効果、研修後のサポート体制も比較検討しましょう。
適切な研修の導入と、その後の継続的な改善、全社的な目的共有を通じて、1on1を組織の育成文化として根付かせ、エンゲージメントの高い、活気ある組織を目指しましょう。
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