OJTとは?OFF-JTとの違いや意味と教育方法をわかりやすく解説
- OJTとは?
- OJTのメリット
- 個人に合った指導ができる
- 即戦力人材の育成ができる
- 迅速なフィードバックができる
- OJT担当者のスキルアップにつながる
- コミュニケーションの活性化につながる
- 育成コストを抑えることができる
- OJTのデメリット
- 体系的な知識を得づらい
- 教育の質や進度に差が出やすい
- OJT担当者の負担が大きい
- OJTとOFF-JTの違い
- OFF-JTとは?
- OFF-JTのメリット
- OFF-JTのメリット
- 同時に複数の従業員に指導できる
- 指導内容を統一できる
- OFF-JTのデメリット
- OFF-JTのデメリット
- 学んだことを活用できない可能性がある
- 外部の講師に委託した場合コストがかかる
- OJT実施のための4つのステップ
- 育成計画の策定
- 業務量と質の選定
- 業務遂行
- 内省支援
- OJTの「3つの原則」
- OJTの進め方
- OJTとOFF-JTを効果的に活用する方法
- OJTとOFF-JTの内容を複合的に活用する
- OJTとOFF-JTを実施する前に環境や制度を整える
- OJTとOFF-JTとあわせて自己啓発を促進する
- OJTとメンターとの違い
- OJTにメンターが必要な理由
- OJT設計にメンター制度を取り入れる方法
OJTとは、同部署の上司や先輩が、新入社員や若手従業員に対して、現場での実務を通じて業務の知識やノウハウを身につけさせる人材教育の手法のことです。
OJTを適切に行うことで、即戦力の育成や、社内コミュニケーションの活性化が行えるなどのメリットが得られます。
また、OFF-JTやメンター制度を組み合わせることで、さらにOJTのデメリットをうまくサポートすることができます。
今回は、OJTの意味や教育方法、OJT研修のステップ、OFF-JTについて詳しく解説します。
OJT制度設計ガイドブック
OJTとは?
OJTとは、「On the Job Training(オンザジョブトレーニング)」の略で、同部署の上司や先輩が、新入社員や若手従業員に対して、現場での実務を通じて業務の知識やノウハウを身につけさせる人材教育の手法のことです。
OJTは元々、第一次世界対戦中にアメリカで、短期間に大量の新人を育成するために考案された「4段階職業指導法」をベースに作られた指導法で、日本では高度経済成長期に入ってきました。
「4段階職業指導法」では、「Show(やって見せる)」「Tell(説明する)」「Do(実践させる)」「Check(評価と指導を行う)」の4段階を元に指導を行うことが特長です。
OJTでも「4段階職業指導法」と同様に、新入社員は先輩社員が実際に業務を行う様子を見て説明を聞き、自分自身も業務を実践します。
そして、実践内容についてフィードバックを受け、その後に活かしていきます。
研修などの論理的、体系的な学習では分からない、現場に則した学びができることがOJTの大きな特長と言えるでしょう。
OJTのメリット
OJTは、「OJT教育対象者」である新入社員や若手、「OJT担当者」である上司や先輩社員、「企業」それぞれにメリットがあります。
OJTのメリットについて確認してみましょう。
OJTのメリット
個人に合った指導ができる
即戦力の育成ができる
迅速なフィードバックができる
OJT担当者のスキルアップができる
コミュニケーションの活性化ができる
育成コストを抑えることができる
個人に合った指導ができる
OJTは、育成対象者である新入社員と先輩社員が一対一で行います。
一対一の研修であることで、複数人へ同時に行う研修に比べて、個人の習熟度に合わせた指導を行えることは、OJTのメリットです。
育成対象者にはひとりひとり、得意分野と不得意分野があるでしょう。
OJT研修で個別に指導することによって、得意と判断できる分野については時間をかけずに指導を行え、逆に、不得意と考えられる分野については、時間をかけて繰り返し指導を行うことができます。
習熟度に合わせた指導ができることで、必要な箇所に必要な時間をかけることができ、合理的な指導が行えると言えるでしょう。
また、育成対象者が、どのような特性を持っているかによって、指導方針も変わっていきます。
「体験」を重視しているのであれば、とにかく業務を体験して学べるように、「価値観」を重視しているのであれば、きちんと理解できる時間を設けるように、「承認」を重視しているのであれば、否定せず褒めるべき点はきちんと褒め、高い目標を設定して期待が伝わるようにしましょう。
即戦力人材の育成ができる
OJTは、実務の場で一対一で行うため、業務の具体的な方法や結果といった、一連の流れを実際に体験しながら確認できるため、即戦力人材の育成が可能です。
実務の場で研修に取り組むため、単純に知識やマニュアルを学ぶだけでなく、実際の業務の状況に合わせた対応方法を学ぶこともでき、スキルの習得も速まります。
また、実務の場での研修のため、イメージしていた業務と実際の業務とのギャップが起こりにくく、即時に業務に取り組むことができるようになります。
迅速なフィードバックができる
OJTは、実務の場で一対一で行う指導であるため、育成対象者である新入社員は、先輩社員からスピーディーにフィードバックを受けることができるというメリットがあります。
大人数で一斉に行う講義形式の指導の場合、育成対象者は、トレーナーである先輩社員に自身の習熟度を把握してもらうことは難しい場合もあります。
OJTであれば、実践する様子を目の前で先輩社員に見てもらえるため、習得できている点や不足している点について迅速にフィードバックをもらえます。
リアルタイムでフィードバックをもらえることにより、正しく知識を習得できているのか分からず不安を感じる、といったことが少なくなるでしょう。
OJT担当者のスキルアップにつながる
OJTを実施することは、育成対象者である新入社員だけでなく、教える側のOJT担当者である先輩社員のスキルアップにもつながります。
実務を新入社員に教えることで、普段なにげなく行っている業務の意味や背景に対して、改めて理解度を深めることができ、指導力も向上します。
コミュニケーションの活性化につながる
OJTを実施することで、新入社員と先輩社員とのコミュニケーションが活発になることが期待できます。
大人数で同時に行う講義形式の指導では、指導をする側が一方的に話をすることが多く、新入社員は話を聞くのみになりがちです。
それに対して、OJTは実際の業務を行いながら一対一の環境で実施されるため、不明点がある際は先輩社員へその場で直接質問することができます。
先輩社員も、新入社員の質問に答えることはもちろん、自身の経験について話す中で、会話をすることが多くなるでしょう。
それによって、OJT終了後も先輩社員とスムーズにコミュニケーションが取れるようになっていきます。
また、トレーナーである先輩社員が自身の上司へOJTの進め方について助言を仰ぐこともあるでしょう。
OJTにより、新入社員と先輩社員、先輩社員と上司など、従業員同士のコミュニケーションが活性化されることが期待できます。
育成コストを抑えることができる
OJTでは、実務を通じて先輩社員が育成を行うため、OFF-JTのように社外の講師を招いたり、外部セミナーを受講する必要がなく、人材育成にかかるコストを抑えられるというメリットがあります。
また、OJTは費用面でのコストがかからないため、比較的実施しやすく、継続的に実施が可能な人材育成方法です。
OJTのデメリット
OJTは一対一で行うため、合理的な指導ができるなど、他の人材育成方法では得られないメリットが多くありましたが、デメリットもあります。
OJTのデメリットについて確認してみましょう。
OJTのデメリット
体系的な知識を得づらい
教育の質や進度に差が出やすい
OJT担当者の負担が大きい
体系的な知識を得づらい
OJTは、現場で業務を実践し、その実践内容についての振り返りをすることによって知識やノウハウを身につけるため、実務に必要なノウハウや知識は身につきやすいでしょう。
しかし、OFF-JTなどの、セミナーや講義形式で行う育成方法で得られるような、論理的・体系的な知識や、幅広い視点で業務を捉えることは難しいでしょう。
OJTで得られる知識は、実務の場に限定されたものであることが多く、汎用性がない可能性もあります。
実務で経験を積めても、その経験をその後に活かすためのプロセスや論理について学びづらい点はOJTのデメリットと言えます。
そのため、OJTとOFF-JTを組み合わせて実施することが大切です。
教育の質や進度に差が出やすい
OJTは、先輩社員と新入社員の一対一の指導のため、先輩社員に指導内容を一任する育成方法です。
そのため、トレーナーとなる先輩社員のスキルによって、教育の質や進度に差が出やすいといえます。
同じ時期に入社した新入社員でも、OJT担当者によって、指導の進度や習熟度にばらつきが発生してしまいます。
先輩社員の中には、教えることが得意な人がいれば、苦手な人もいるため、指導に差が生まれるのは当然のこととも言えるでしょう。
また、指導の内容についても、先輩社員の考え方や、実際のOJTの流れによってばらつきが出やすくなります。
OJT担当者の負担が大きい
OJTは、実務を通して指導を行うため、先輩社員は新入社員への指導と自身の業務とを並行して行う必要があります。
トレーナーである先輩社員が、業務と指導の両立のために、大きな負担を抱えやすい点はOJTのデメリットであると言えます。
トレーナーである先輩社員にとっては、通常業務にあてる時間と、OJTの時間との配分が難しい場合があります。
新入社員の指導も大切ですが、通常の業務も同じく大切です。
場合によっては、指導に時間を取られてしまい、業務が計画通りに進まない状況になることもあるでしょう。
逆に、業務に追われ、OJTの時間が割けず、新入社員を放置してしまうこともあるかもしれません。
OJTとOFF-JTの違い
OJTと比較されることが多い人材教育方法として「OFF-JT」があります。
OJTは実務を通して行われるのに対して、OFF-JTは社外研修やセミナーへの参加など実務から離れて行われます。
OJTとOFF-JTの違いについて確認してみましょう。
OJT
方法:実務を通して知識やノウハウを学ぶ
人数:OJT担当者と育成対象者の一対一
場所:実務を行う現場
内容:実務に関する知識やノウハウなど実践的な知識
効果:即戦力としての知識やノウハウが身につく
コスト:時間的コストがかかる(金銭的なコストは少ない)
OFF-JT
方法:外部研修やセミナーを通して知識やノウハウを学ぶ
人数:複数人が対象
場所:外部のセミナー会場や研修施設
内容:ビジネス理論など体系的な知識
効果:汎用性の高い知識やノウハウが身につく
コスト:金銭的コストがかかる(時間的なコストは少ない)
OFF-JTとは?
OFF-JTとは、「OFF the Job Training(オフザジョブトレーニング)」の略で、セミナーや研修など、実務から離れて行う人材教育の手法のことです。
一対一で行うOJTに対し、OFF-JTは通常は複数人を対象に行います。
また、内容は知識のインプットが中心で、実務でのアウトプットを主に行うOJTとは対照的です。
特に、ほぼ業務に関する知識がない状態で入社する新入社員は、OFFーJTの場で基本的な知識の土台を作ることができるでしょう。
OFF-JTの具体的な内容としては、挨拶や名刺交換の方法などを始めとした、ビジネスマナーの座学や、特定のテーマについて討議やプレゼンテーションをするグループワークなどが挙げられます。
OFF-JTのトレーナーについては、自社の従業員が務めることもありますが、外部から招いた講師が担当する場合もあります。
また、通信教育やe-ラーニングによる学習もOFF-JTに含まれます。
OFF-JTのメリット
OFF-JTのメリットについて確認してみましょう。
OFF-JTのメリット
同時に複数の従業員に指導ができる
指導内容を統一できる
同時に複数の従業員に指導できる
OFF-JTは、セミナーや講義の形式で実施されることが多いため、同時に多くの従業員に対して指導が行えます。
OJTのように、通常の業務と並行して指導を行う余裕がない場合は、OFF-JTの方が合理的に行えると言えるでしょう。
また、新入社員ひとりひとりに、OJT担当者となる先輩社員の人員が確保できない場合にも、OFF-JTの方が適していると言えます。
指導内容を統一できる
OFF-JTは、セミナーや講義の形式で複数の新入社員に対して同時に行うため、指導する内容を統一できます。
OJT担当者となる先輩社員によって、指導内容に差が出がちなOJTと比べて、OFF-JTでは習得できるスキルや知識が均質化されやすいと言えます。
そのため、同時期に入社した社員であるにも関わらず、指導の質や進度が異なるという状況が避けられるでしょう。
また、慌ただしい実務の現場を離れて指導を受けられることから、じっくりと知識を吸収できると考えられます。
OFF-JTのデメリット
OFF-JTのデメリットについて確認してみましょう。
OFF-JTのデメリット
学んだことを活用できない可能性がある
外部の講師に委託した場合コストがかかる
新入社員の現場意識が醸成しづらい
学んだことを活用できない可能性がある
OFF-JTでは、セミナーや講義の形式で、知識を体系的に学ぶことができます。
しかし、体系的な知識の中には、実務では活用しづらいものもあります。
ビジネスマナーとして教わる、名刺交換の作法などがこの一例です。
多くの新入社員は業務知識を学び始めた段階のため、取引先と挨拶をしたり名刺の交換をしたりする機会は少ないでしょう。
特に、自社の従業員ではなく外部の講師がトレーナーを務める場合は、実務に繋がりにくい内容を学ぶことになってしまうことがあります。
外部の講師は、自社の従業員ほど自社の業務に精通していないため、すぐに実務で活用できる知識を教わることは難しいでしょう。
また、学ぶテーマが実務と関連のない内容である場合などは、講義を聞いても具体的なイメージが湧きにくくなってしまいます。
実務に直結する知識を得られるOJTと比較すると、OFF-JTは学ぶ側がモチベーションを維持する努力が大切と言えます。
外部の講師に委託した場合コストがかかる
OFF-JTのトレーナーを、外部の講師に依頼した場合、大半の場合はコストがかかります。
自社の従業員である先輩社員がトレーナーを務めるOJTと異なり、費用がかかる点はOFF-JTのデメリットと言えます。
また、自社内ではなく研修施設などの大きな場所を借りてOFF-JTを行う場合は、利用料としてのコストも発生するでしょう。
OFF-JTにかかる費用を削減するためには、トレーナーを外部に依頼せず、自社の従業員にトレーナーを務めてもらう、e-ラーニングやオンラインを活用するなどの方法が有効です。
OJT実施のための4つのステップ
OJTを実施するために、どのようなステップで実施すれば良いのかを、4つのステップに分けて確認してみましょう。
OJT実施の4つのステップ
育成計画の策定
業務量と質の選定
業務遂行
内省支援
育成計画の策定
OJTを実施するために、まず「育成計画の策定」が大切です。
育成対象者に、OJTを通してどような仕事ができるようになってほしいのか、そのようなスキルや知識を身に着けてほしいのかの目標を明確にし、目標を達成するためには、「どのような業務」を「どのように」「どのタイミング」で体験させるかの、育成計画を決定しましょう。
育成計画を立てることは、育成対象者である新入社員のモチベーションの維持にもつながります。
また、適切な育成計画を立てることは、OJT担当者にとって育成計画を策定するスキルを身に着けることにつながります。
業務量と質の選定
OJT担当者は、育成対象者が行う業務の「量」や「質」を考えながら、OJTを進める必要があります。
育成対象者の能力を大幅に上回るような業務を与えてしまうと、育成対象者のモチベーションが低下してしまいます。
一方で、育成対象者の能力から大きく下回る業務が続くと、業務に対して甘えや退屈さを感じてしまうため、業務の割合を検討する必要があります。
「現状の能力で進められる業務」と「新たなスキルを習得してから進めるべき業務」の割合を「2:8」で設定し、育成対象者の能力や成長に合わせて、調整して行くようにしましょう。
業務遂行
OJTで、OJT担当者が実際に業務を実践し解説を行い、それを育成対象者に見てもらったうえで、育成対象者に同じように業務を行ってもらい、最終的には「業務遂行能力」を身に付けて、一人で業務ができるようになってもらうことを目的としています。
業務遂行能力を身に付けるためのプロセスについて、確認してみましょう。
- OJT担当者が業務を実践し育成対象者に見てもらう
- OJT担当者のサポートのもと育成対象者に同じ業務を実施してもらう
- 最後に育成対象者が一人で業務を実施する
これらのプロセスの意味と目的を、OJT担当者と育成対象者の双方がしっかりと理解して、OJTを実施することが大切です。
内省支援
OJTの最後のステップは「内省支援」です。
内省支援は、「振り返り」と「概念化」から成り立っています。
内省支援を行うことで、業務の「定着率」が高まり、育成対象者はOJTを通して身に付けた業務を、滞りなく実践できるようになります。
振り返り:育成対象者に、なぜうまく行ったのか、なぜうまく行かなかったのかを確認してもらいます
概念化:育成対象者に、次に同じ業務を行った際にいかせる教訓は何かを考えてもらいます
OJTでは、育成対象者のスキルを適切に把握したうえで、この4つのステップで研修を行うことが大切です。
OJTの「3つの原則」
OJTは無計画な指導を実施してしまうと、成果につながらなくなってしまいます。
OJTを実施する際に、OJT担当者は「意図的」「計画的」「継続的」の3つの原則を意識して、OJTに取り組むようにしましょう。
OJTの「3つの原則」
意図的:OJT担当者が指導の目的を理解していること
計画的:しっかりとした「育成計画」をもとに指導を行っていること
継続的:段階的、反復的に指導を実施していること
OJTの進め方
OJTを実施する際は、従業員に仕事の全体像を理解してもらうことを目的に、「Show(やってみせる)」「Tell(説明する)」「Do(やらせてみる)」「Check(評価や指導をする)」の4つのステップに沿って進めます。
この4つのステップは「4段階職業指導法」と呼ばれ、OJTの起源となった指導方法です。
4段階職業指導法とは、第一次世界大戦中のアメリカで大量の新人を育成する方法として生まれた指導方法です。
OJTの進め方「4つのステップ」
1.Show(やってみせる)
実際に仕事をやってみせて、仕事の全体像を把握させます。
2.Tell(説明する)
仕事内容を具体的に説明し、仕事の必要性や意味を理解させます。
3.Do(やらせてみる)
「Show」「Tell」のステップを踏まえて、実際に仕事をさせてみます。
4.Check(評価や指導をする)
「Do」で行った仕事の結果について、できたことできなかったことの評価を行い、再度指導を行います。
これらの4つのステップを1つのサイクルとして、OJTで設定した目標レベルに達するまで、繰り返し実施します。
OJTとOFF-JTを効果的に活用する方法
OJTとOFF-JTの持つメリットとデメリットを把握したうえで、OJTとOFF-JTを上手に使い分け、効果的に活用することが大切です。
2023年6月に厚生労働省が実施した「能力開発基本調査」によると、正社員に対してOJTを実施した事業所は「60.2%」で、OFF-JTに支出した企業は「50.3%」と、OJTとOFF-JTいずれも半数以上の企業が導入していることが分かり、OJTとOFF-JTともに人材教育の手法として注目されていることが分かります。
OJTとOFF-JTをより効果的に活用するための、3つのポイントについて確認してみましょう。
OJTとOFF-JTを効果的に活用する方法
OJTとOFF-JTの内容を複合的に活用する
OJTとOFF-JTを実施する前に環境や制度を整える
OJTとOFF-JTとあわせて自己啓発を促進する
OJTとOFF-JTの内容を複合的に活用する
OJTもOFF-JTも、学んだことを業務に活かすことができなければ意味がありません。
学びを実務で活かすためには、OJTとOFF-JTとを線引きすることなく、複合的に活用することが大切です。
複合的な活用によって、それぞれの弱みを補完し合えることが期待できるでしょう。
たとえば、OJTでうまくできなかったことや、理解できなかった部分を、OFF-JTでの学びによってカバーできる場合があります。
逆に、OFF-JTで得た体系的、論理的な知識を、実践の場であるOJTで活かすこともできるでしょう。
OJTとOFF-JTを実施する前に環境や制度を整える
OJTとOFF-JTを活用するためには、環境づくりや、制度の充実が大切です。
環境面で言えば、OJTやOFF-JTを実施する前に、十分な育成計画を立てることがその一例です。
無計画な指導を実施してしまうと、学びの土台ができないままに次々と新しい知識が増え、研修を受ける側の従業員が混乱してしまう可能性があります。
また、指導はすべて終えたのに知識の抜け漏れが多数あった、ということにもなりかねません。
そのような事態を避けるためにも、最初に育成計画を立て、どのような内容をどのような日程で習得するのか、流れを決めておくことが大切です。
制度面で言えば、OJTでトレーナーを担当する従業員を対象とした研修の実施が有効です。
普段実務を担当している従業員でも、トレーナーを上手にこなせる人ばかりではありません。
まずは、育成計画の立て方や教え方、コミュニケーションスキルの知識などをトレーナー自身が学ぶことが大切です。
研修を受けることで、トレーナーとしてのスキルが向上し、OJTの質が上がることが期待できるでしょう。
OJTとOFF-JTとあわせて自己啓発を促進する
OJTやOFF-JTは、トレーナーとなる先輩社員や講師から知識やノウハウを教えてもらう、受け身の学びです。
ですが、受け身ではなく、自主的に学ぼうとする自己啓発を促進することにより、OJTやOFFーJTの効果をより高められることが期待できるでしょう。
自己啓発には具体的に、書籍で学んだり、外部のセミナーに参加するなどの方法があります。
また、業務に関連する資格の取得も自己啓発の1つです。
OJTやOFF-JTでは、学ぶ内容があらかじめトレーナーや講師側で決められています。
それに対して、自己啓発は自ら学びたいことを選択できる、自由度の高いものです。
その代わりに、自己啓発による学習には、必ず最後までやり通さなければならないという縛りがありません。
そのため、知識の習得や資格の取得などの最終目標を達成できるかどうかは、本人の意思次第となるでしょう。
(参考)
令和4年度「能力開発基本調査」の結果を公表します|厚生労働省
▼「自己啓発」についてさらに詳しく
自己啓発とは?仕事や面接に活かす事例紹介
OJTとメンターとの違い
OJTとメンターはどちらも、新入社員や若手社員に対して、上司や先輩が指導を行う人材育成方法ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
OJTとメンターとの違いについて確認してみましょう。
OJT
育成目的:技術開発
育成内容:実務を通した実践的な指導や訓練
育成担当:直属の上司や先輩
メンター
育成目的:キャリア開発
育成内容:業務に関わることやそれ以外に関する相談
育成担当:他部署の先輩
OJTは、業務成果などの「技術開発」を目的としているため、担当者も同部署の直属の上司や先輩が行い、技術やノウハウを業務を通して教えます。
メンターは、キャリアや人間関係などの精神面や心理面での支援など「キャリア開発」を目的としているため、業務以外の相談や同部署の先輩には話しづらい悩みの場合もあるため、担当者は他部署の先輩が行います。
このように、目的や担当者が違う、OJTとメンターですが、OJTにメンターを組み込むことで、「メンタル面のサポートができる」「社内での人間関係の構築ができる」「離職防止につながる」などの効果が見込めます。
▼「メンター制度」についてさらに詳しく
メンター制度とは?OJTとコーチングとの違いや必要性についてご紹介
OJTにメンターが必要な理由
OJTにメンターが必要な一番の理由は「メンタル面でのサポート」ができることです。
OJTは実務を通して、同部署の上司や先輩が一対一で行うことから、OJT研修を受ける側の従業員は、緊張してしまったり、OJT研修で生まれた不明点や悩みを相談できず、悩みを抱えてしまう場合があります。
また、OJTは担当者に指導内容を一任する教育方法のため、仕事の進め方やスキルなどに関して、属人的な指導になってしまいます。そのため、指導内容に疑問を感じた場合でも、確認をとることが、難しい場合があります。
OJTとあわせてメンター制度を導入していれば、OJTで発生した悩みや疑問を、メンターを通して早期発見や早期解決することができ、メンティーの早期成長にもつながります。
※「メンター」とは、助言・指導をする先輩社員のこと
※「メンティー」とは、メンターから助言や指導をもらう立場の従業員のこと
OJT設計にメンター制度を取り入れる方法
OJTの成功にはメンター制度の導入が有効です。
ここでは、実際にOJTを設計する際に、どのようにメンター制度を取り入れていけばよいのかについて解説します。
メンター制度を取り入れたOJT制度設計ガイドブック
OJT制度設計ガイドブック
新入社員の研修方法として、多くの企業で採用されている研修方法に、OJT(On The Job Training)があります。
OJTは実務を通じて指導し、知識や技術を身につけさせる有効な研修方法ですが、その方法や実施期間はさまざまで、どのように取り組むべきか悩む人も多いでしょう。
そこで、メンター制度を導入することでOJTの成功確率を高める方法を解説します。
この資料で分かること
OJTにメンター制度を活用するメリット
失敗を防ぐ、OJT制度実施の流れ
OJTメンター研修で教えるべきこと
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