3C分析とは?実施する目的ややり方をテンプレート付きで解説
- 3C分析とは
- 3C分析を行う目的
- 3C分析のやり方
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
- 3C分析のツールやテンプレートの活用
- 3C分析を実施するコツ
- 客観的な情報を収集する
- 必要以上に時間をかけない
- 複数のフレームワークを使用する
- 3C分析に活用できるフレームワーク
- 4P分析
- PEST分析
- 5F分析(ファイブフォース分析)
- SWOT分析
- VRIO分析
- 3C分析の企業事例
- 3C分析の事例:日本マクドナルド株式会社
- 3C分析の事例:スターバックスコーヒージャパン株式会社
- 3C分析の事例:トヨタ自動車株式会社
- 3C分析を実施して事業戦略を明確にしよう
3C分析は、ビジネスにおいて成功するための鍵となる戦略的な手法です。従来の「良いものを作れば売れる」という時代は過ぎ去り、現在は市場環境の変化に即座に対応し、競争力を維持する必要があります。
そのためには、顧客のニーズや競合他社の動向、そして自社の強みや弱みを把握することが重要です。
このような観点から、3C分析はマーケティング戦略や事業計画の策定において不可欠なツールとなっています。
本記事では、3C分析の目的や方法、さらには活用できるフレームワークや実際の企業事例についても詳しく解説しています。
事業戦略の実現に向け、各従業員の目標設定・進捗を一元管理
3C分析とは
3C分析とは、マーケティング環境を分析する際に使われるフレームワークです。
3Cとは、「Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)」という3つの単語の頭文字を取ったもので、1980年代に、マッキンゼー・アンド・カンパニーの大前研一氏が提唱した考え方です。
3C分析は、客観的なマーケティング環境の情報を集めることに主眼を置いた分析で、それぞれの「C」を分析することで、自社を取り巻くマーケティング環境を漏れなく把握することが可能です。
そのため、事業計画やマーケティング戦略を決定する際などによく用いられます。
3C分析を行う目的
3C分析の目的は、事業の成功要因であるKSF(Key Success Factor)を見つけることです。
この分析は、顧客、競合、自社の視点から市場環境を詳細に分析し、事業の成功に欠かせない要因を見つけ出すことを目的にしています。
顧客のニーズや嗜好、競合他社の動向、そして自社の強みや弱みを理解することで、企業は
現状を正確に把握し、次のステップに向けた戦略を展開できます。
また、市場における自社の競争力を高めるためにも有効なフレームワークです。
企業が自社の強みを最大限に活かし、競合他社との差別化ポイントを見出すことで、市場での地位を強化することができます。
したがって、3C分析は企業が市場において優位性を築き、成功するための要因を見つけることに役立ちます。
▼「KSF」についてさらに詳しく
【実践】人事フレームワークまとめ・KSF活用。SWOT/PEST分析
3C分析のやり方
3C分析では、まず外的要因である「市場・顧客」と「競合」を分析し、次に内的要因である「自社」の調査を行い、最終的に市場における自社の位置付けを確立します。
ここからは、各フェーズの具体的なアプローチについて説明します。
Customer(市場・顧客)
最初に取り組むのは「Customer」、つまり市場と顧客の分析です。
参入する市場の規模や動向、さらに顧客がどのようなニーズを抱えているかを調査します。
市場に対する分析項目
市場規模
成長率
新規参入の状況
価格競争状況
顧客に対する分析項目
購買ニーズ、価値観
購買行動
購買プロセス
消費人口
近年のマーケティング活動は、顧客視点で進めることが必要です。
そのため、最初に分析すべき対象は市場や顧客です。
市場や顧客を把握しないままでは、自社の評価も行えず、最終的にはCS(顧客満足度)を無視した戦略を採用してしまう恐れがあります。
そのため、まずは市場全体とその中にいる顧客を区別し、顧客の購買意欲や能力などの要因を分析します。
また、市場を分析する際には、自社がコントロールできない外部要因を分析する「マクロ分析」と、自社の働きかけである程度は影響を与えることができる外部要因を分析する「ミクロ分析」に分けて行います。
▼「CS(顧客満足度)」についてさらに詳しく
CS(顧客満足度)とは?向上のための具体例や企業の取り組み事例を解説
Competitor(競合)
次に取り組むのは「Competitor」、つまり競合の分析です。
ここでは競合他社の数・シェア率だけでなく、各企業が提供する製品やサービスの特徴、そしてそれらの成果などを包括的に調査します。
競合企業対する分析項目
業界内でのポジション
市場シェア
事業戦略
業界内外への影響力
競合企業の商品・サービスに対する分析項目
商品の特徴
資金力
事業規模
収益性
市場や顧客の調査はインターネットやリサーチ会社を通じて行うことができます。
さらに、業界に特化した代理店やコンサルタントから未公開情報を得ることも有益です。
競合調査を進めると、同規模の企業が魅力的な商品戦略を持つ場合や参考になるマーケティング手法が見つかります。
そういった企業は、「ベンチマーク企業」として参考にすることが重要です。
また、競合の動向を定期的に分析し、自社のビジネス展開を検討していくことが大切です。そのため競合分析では、売上やシェアだけでなく、販売ルートや製造工程などの要因も詳細に調査し、成功の要因を理解することが大切です。
結果と要因の両面から競合企業のビジネスを分析し、成功要因を学び、自社のマーケティング戦略に取り入れましょう。
Company(自社)
最後に取り組むのは「Company」、つまり自社の分析です。
市場や顧客、競合などの「外部」要因ではなく、「内部」要因である自社の視点から情報を整理します。
自社に対する分析項目
企業としてのビジョン
事業内容
サービスの特徴や強み
資本力
市場シェアとその推移
自社の情報は既に把握している点も多いかもしれませんが、詳細を調査する場合は経営管理や商品開発などの専門部署にヒアリングをすることも有効でしょう。
従業員数や資本金などの定量的なデータに加えて、自社の強みと弱みに焦点を当てることが重要です。
競合に埋もれないように強みを活かした事業設計を行うと同時に、弱みを自覚し補填する施策も戦略として検討しましょう。
自社の分析を通じて、市場・顧客の変化や競合の動向と比較しながら、経営戦略を立てるために、経営資源や売上高、市場シェア、収益性、販路、技術力、組織力など様々な要素に注目し、成功要因を導き出していきましょう。
3C分析のツールやテンプレートの活用
これまで3C分析の手法を紹介してきましたが、効果的に実施するためにはテンプレートの活用も重要です。
現在、ウェブ上にはさまざまな分析用のテンプレートが公開されており、利用者のニーズに合わせて多様な選択肢が提供されています。
また、3C分析に関連する各フレームワークごとにテンプレートが用意されている場合もあります。
ここでは、3C分析のテンプレートの一例を紹介しますが、自身のニーズや作業スタイルによって最適なテンプレートは異なります。
最も使いやすいと感じるテンプレートを探して活用することが、効率的な分析を行うために重要です。
3C分析のテンプレート 一例
3C分析を実施するコツ
ここまで3C分析の方法をご紹介してきましたが、ここからは実際に3C分析を行うときのコツを解説します。
3C分析を効果的に行うためには、3つのコツを意識して分析を進めることが大切です。
3C分析を実施するコツ
客観的な情報を収集する
必要以上に時間をかけない
複数のフレームワークを使用する
客観的な情報を収集する
3C分析においては客観的な事実に基づくデータの重要性が強調されます。
インターネットだけでなく複数の情報源から顧客の本音を集め、客観性を確保することが必要です。
また、自社のデータだけでなく官公庁や研究機関の調査結果も利用し、主観を排除した情報収集が信頼性の向上につながります。
マーケティング活動全般を自動化するツールである「MA」や、顧客関係を管理する「CRM」を活用することで、一次情報の収集が効率化し、顧客ニーズや競合他社の調査、市場動向の把握が容易になります。
これにより、より信頼性の高い3C分析が実現され、より効果的な戦略立案が可能となります。
必要以上に時間をかけない
3C分析を効果的に行うには、それなりの時間を要します。
しかし市場や顧客の状況は急速に変化しており、収集したデータが古くなると分析結果が現状に合わなくなるため、スピード感を持って取り組む必要があります。
3C分析は戦略立案の手段であり、過度に時間を費やすと戦略の立案が遅れる恐れがあります。
そのため、業界の動向に合わせてデータを収集し、時代遅れの情報を避けながら、効率的で迅速な分析が求められます。
複数のフレームワークを使用する
3C分析は重要なフレームワークですが、単一のフレームワークに依存することで偏りが生じる可能性があるため、他のフレームワークと併用することが重要です。
PEST分析やSWOT分析、5F分析、VRIO分析などと組み合わせることで、より多角的でMECE(漏れなく、ダブりなく)に分析が可能になります。
また、3C分析の効率化にはテンプレートの活用が役立ちます。
エクセルやパワーポイントで作成することもできますが、クラウド上でチーム全員と共有できるサービスなどもあるため、使用用途に合ったものを活用するとよいでしょう。
▼「MECE」についてさらに詳しく
MECE(ミーシー)は論理的思考法の基本!フレームワークを徹底解説!
3C分析に活用できるフレームワーク
前述した通り、3C分析を行う際には、他のフレームワークと併せて活用するとより分析が捗るでしょう。
ここでは5つのフレームワークを解説します。
4P分析
4P分析の分析項目
Product:どのような価値(製品・サービス)を提供するのか
Price:いくらで提供するのか
Place(Channel):その製品・サービスをどのように提供するのか
Promotion:その製品・サービスをどのように販促するのか
4P分析は、企業が自社事業の内容を自社目線で検討するためのフレームワークです。
顧客がどのような商品やサービスを求め、どのような価格で、どこで購入し、どのような販促方法で購買を促されるかを明確に把握し、それを基に分析を行うことで、効果的なマーケティング戦略を策定することが可能となります。
▼「4P」についてさらに詳しく
4Pとは?4Cや3Cとの関係性、マーケティング戦略上の位置づけを解説
PEST分析
PEST分析の分析項目
Politics(政治的な観点)
Economy(経済的な観点)
Society(社会的な観点)
Technology(技術的な観点)
PEST分析は、政治、経済、社会、技術の4つの要因に基づいて、自社に及ぼす影響を詳細に分析する手法です。
この分析は事業戦略の策定に重要であり、自社を取り巻く様々な要素を理解するのに役立ちます。
新規事業を立ち上げる際には、自社の状況を把握するだけでなく、外部環境の情報を集め、徹底的に分析する必要があります。
外部環境の分析には、広い視野で取り組む「マクロ環境分析」と、詳細な視点からアプローチする「ミクロ環境分析」がありますが、PEST分析は主にマクロ環境分析に分類されます。
5F分析(ファイブフォース分析)
5F分析(ファイブフォース分析)の分析項目
業界内での競争
業界への新規参入者
代替品の存在
買い手(顧客)の交渉力
売り手(サプライヤー)の交渉力
5F分析は、アメリカの経営学者でハーバード・ビジネス・スクール教授
のマイケル・ポーター氏が提唱した、事業環境の分析を行うためのフレームワークです。
この分析では、競合各社や業界全体の状況を明らかにするために、自社の脅威となる上記の5つの要素を詳細に分析します。
それにより、自社の収益を増やすための具体的な施策を検討し、効果的なマーケティング戦略を実践することが可能となります。
SWOT分析
SWOT分析の分析項目
Strength:強み(プラス要因・内部環境)
Weakness:弱み(マイナス要因・内部環境)
Opportunity:機会(プラス要因・外部環境)
Threat:脅威(マイナス要因・外部環境)
SWOT分析は、経営・マーケティング戦略の策定を目指して行われます。
戦略や計画を立てるには、自社の現状や競合企業、市場の将来性など複数の要素を把握し分析する必要があります。
これらの要素をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つに整理し、SWOT分析というフレームワークで分析します。
SWOT分析は戦略の決定前後に活用され、戦略を決定する際や決定後の戦略のレビューに役立ちます。
▼「SWOT分析」についてさらに詳しく
【実践】人事フレームワークまとめ・KSF活用。SWOT/PEST分析
VRIO分析
VRIO分析の分析項目
Value (経済的価値)
Rarity / Rareness (希少性)
Imitability (模倣困難性)
Organization (組織)
VRIO分析は、アメリカの経済学者であるジェイ・B・バーニー氏によって提唱された経営資源の評価フレームワークであり、経営学の分野で重要視されています。
この分析は、自社の経営資源が競合他社に対してどれだけの優位性を持つかを評価し、経営戦略の策定や意思決定に役立ちます。
具体的には、「Value」「Rarity」「Inimitability」「Organization」という4つの要素が重視され、自社の競争優位性を明らかにします。市場での競争優位を確立するためには、内部環境を徹底的に分析し、戦略的な決定をする必要があります。
3C分析の企業事例
3C分析を学ぶには、事例を見ることが近道でしょう。
ここでは、日本を代表する3社を例に挙げ、事例をご紹介します。
3C分析の事例:日本マクドナルド株式会社
日本マクドナルド株式会社は日本に上陸以来、低価格であらゆる年齢層から支持を受けています。
市場全体の傾向から見ると、景気回復が進み、高付加価値の商品の需要が増加しています。
その中で、マクドナルドは圧倒的な商品開発力を活かし、子供を含めた幅広い世代を顧客に取り込むことに成功しています。
さらに、デリバリーサービスへの迅速な参入も行い、いつでもどこでも手軽に美味しい商品を提供する体制を整えました。
以下は、マクドナルドの3C分析例です。
Customer(市場・顧客)
手早く食べたい
低価格でお得に食べたい
子供連れでも気兼ねなく食べたい
Competitor(競合)
美味しいハンバーガーだが価格は高い
都度調理しているため、提供時間がかかる
子供向けに力を入れていない
Company(自社)
低コスト・ハイスピードなオペレーション
調理済みのパッケージングで味わいに弱み
子供向けのおもちゃや遊び場、イベントを提供
3C分析の事例:スターバックスコーヒージャパン株式会社
スターバックスコーヒージャパン株式会社は日本に上陸以来、高い支持率を誇っています。
同社が日本市場に進出する前、シェアNo.1の座を占めていたのはドトールコーヒーでした。
しかし、スターバックスは高級志向の顧客に焦点を当て、店舗の雰囲気やメニュー開発に力を入れることで、競合他社との差別化に成功しました。
1996年に銀座に日本1号店をオープンして以来、スターバックスは人気を集め、現在では業界トップの店舗数と売上高を誇っています。
以下は、スターバックスの3C分析例です。
Customer(市場・顧客)
落ち着ける空間でくつろぎたい
美味しいコーヒーが飲みたい
周囲からセンスが高いと思われたい
Competitor(競合)
リーズナブルな価格
気軽に入りやすい
日本ではドトールが首位だが、コンセプトは自社と対極
Company(自社)
良質で落ち着ける空間
ハイセンスなブランドイメージ
付加価値が高いコーヒー(高品質・高価格帯)
店員の行き届いたホスピタリティ
3C分析の事例:トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は自動車業界をけん引するトップメーカーです。
トヨタは、レクサスの開発に際し、アメリカの高所得者であるベビーブーマー世代をターゲットに選定しました。
この世代は従来の高級車に拘らず、合理的な消費行動を重視しており、伝統的な高級車を好まない傾向がありました。
この需要を見据え、レクサスは格式張らず、カジュアルな高級車として開発されました。
この方針転換により、従来のイメージを覆し、「高品質でリーズナブルな日本車」という新しいイメージを確立し、アメリカ市場で大きな成功を収めました。
以下は、トヨタのレクサスブランドの3C分析例です。
Customer(市場・顧客)
重厚感があるアメ車を好まない富裕層の存在
伝統的なアメ車を好まない若年層の存在
Competitor(競合)
フォードなど伝統的なアメ車メーカー
BMWやメルセデスベンツなどのブランド力の脅威
Company(自社)
高い品質と技術力、静寂なエンジンの開発力
日本車に対する信頼性
従来のユーザーにおける大衆車イメージ
3C分析を実施して事業戦略を明確にしよう
3C分析とはマーケティング環境を分析する際に使われるフレームワークです。
「顧客・市場」「競合」「自社」を適切に分析することで、市場における自社の立ち位置が明確になり、目指すべき方向性が見えてきます。
また3C分析は、既存の事業を推進する際に役立つだけでなく、新規事業を立ち上げるときにも有効な手段といえます。
今回ご紹介したようなコツを抑え3C分析を実施し、事業戦略立案に活かしましょう。
また立てた事業戦略の実現に向けては、それらに紐づいた各従業員の目標設定が欠かせません。
「HRBrain タレントマネジメント」は、目標設定から評価プロセスまでを可視化することで、評価への納得度を高めることが可能です。
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