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2023/09/04
4Pとは?4Cや3Cとの関係性、マーケティング戦略上の位置づけを解説
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
マーケティング・ミックスともいわれる、フレームワークの4P。ここでは、4Pの定義や内容を見ていきます。
マーケティングの4Pとは
- 4P(マーケティング・ミックス)
4P(ヨンピー)とは、次の4つのマーケティング施策の頭文字をとったもので、アメリカの経済学者ジェローム・マッカーシー氏が1960年に提唱した概念です。
- Product(商品)
- Price(価格)
- Place(流通チャネル)
- Promotion(広告・販売促進)
企業自ら操作可能な要素の組み合わせであり、マーケティングに欠かせないフレームワークです。
- Product(商品)
「Product」は、ターゲットにどのような商品・サービスを売るかの商品戦略のこと。商品やサービスのほか、品質、ブランドなど、自社に適したプロダクトミックスを構築します。他社との差別化を図るために、自社の商品・サービスを市場をどの位置にポジショニングするかも重要なポイントです。
- Price(価格)
「Price」は、ターゲットにいくらで商品・サービスを提供するかの価格戦略のこと。価格設定にはさまざまなアプローチがあり、戦略上、ターゲットをどのような対象にしているかによっても戦略が変わります。ブランド戦略を重視するならば、ブランド価値に応じた価格設定が必要ですが、差別化が図りにくい競争環境では、価格を下げざるを得ないこともあるでしょう。価格競争に巻き込まれないように、スキマ市場を狙う、あるいは商品戦略で差別化を図ることなどが重要です。
- Place(流通チャネル)
「Place」は、ターゲットにどのような流通経路で届けるかの流通チャネル戦略のこと。卸業者を通すか直販か、あるいはウェブも活用するかなど、自社のマーケティング戦略に適合した流通チャネルを選定します。流通チャネルは、ブランド戦略上、販売経路を百貨店に限定するなどのイメージ戦略も影響します。
- Promotion(広告・販売促進)
「Promotion」は、ターゲットに商品・サービスを認知・購買行動を起こしてもらうためのプロモーション戦略のこと。人的販売、広告宣伝、広報・PR、セールスプロモーションからなりますが、ターゲットに適したプロモーション戦略を選定する必要があります。口コミは、消費者目線で評価される効果の高いプロモーションです。特に、SNSによる口コミは拡散力が高く、大きな効果が見込めるでしょう。
4Pは、戦略に基づくマーケティング施策!?
4Pは、マーケティング戦略の実行プロセスであり、競争優位を確立するために「何を売るか売るか」「いくらにするか」「どう流通させるか」「どう販売促進をするか」の組み合わせを決定するものです。
マーケティング戦略のフローは大別すると、「分析」「戦略決定」「戦略実行」となりますが、4Pは「戦略実行」にあたります。マーケティング戦略の施策として4Pを活用し、最適なマーケティング・ミックスを構築します。
知っておきたい、4Pと4Cや3Cとの関係性
マーケティング戦略の策定では、4P以外にもさまざまなフレームワークを活用します。ここでは、4Cや3Cとの関係性を説明します。
売り手視点の4P、買い手視点の4C
4Cは、4Pの対になる概念で、1993年にアメリカの経済学者ロバート・ラウターボーン氏よって提唱された概念です。4つの頭文字「C」をとって4Cといわれています。
- Customer Value(顧客価値)
- Customer Cost(顧客のコスト)
- Communication(顧客とのコミュニケーション)
- Convenience(顧客の利便性)
4Pは、作ればモノが売れた大量生産・大量消費の時代に提唱された、プロダクト・アウトに基づくフレームワークです。他方、4Cは、多様化する顧客ニーズに対応したマーケット・インに基づき、4Pをベースに作られたフレームワークです。
4Pと3Cの関係性
3Cは、マーケティング環境を分析するフレームワークで、1980年代にマッキンゼー・アンド・カンパニーの大前研一氏によって提唱された概念です。3つの頭文字「C」をとって3Cといわれています。
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
4Pは、マーケティング戦略の実行プロセスですが、3Cはマーケティング戦略の分析プロセスであり、プロセスの段階に違いがあります。
3Cを詳しく知りたい方は、「3C分析とは?SWOT分析との関係性、やり方などを簡単に解説」をご参考ください。
マーケティング戦略上の4Pの位置づけとマーケティング戦略全体像
マーケティング戦略は、分析から戦略決定、戦略実行まで、さまざまなフレームワークを活用します。ここでは、マーケティング戦略の全体像と4Pの位置付けを説明します。
マーケティング戦略の4P位置づけ
マーケティング戦略の大まかなフローは、「分析」「戦略決定」「戦略実行」となりますが、4Pは「戦略実行」で活用するフレームワークです。
決定したマーケティング戦略に基づいて、Product(商品)、Price(価格)、Place(流通チャネル)、Promotion(広告・販売促進)の4Pの施策を決定します。
マーケティング施策は、4Pのいずれかを行えば良いのではなく、マーケティング・ミックスともいうように、4Pすべての施策を適した組み合わせで実行することが肝要です。
押さえるべき、マーケティング戦略の全体像
マーケティング戦略は、「マクロ環境分析」「ミクロ環境分析」「戦略分析」「マーケティング戦略」「マーケティング施策」のフローで策定します。戦略策定フローの各段階で、さまざまなフレームワークを活用しますが、4Pは、マーケティング戦略策定フローの最終段階で実施するフレームワークです。
マーケティング戦略策定フローは、外部環境分析として「マクロ環境分析」でマーケティング戦略上の機会・課題を発見し、「ミクロ環境分析」で、市場の業界構造を把握します。
次に、内部環境分析として、「3C分析」で市場・顧客ニーズをとらえ、「SWOT分析」で差別化戦略など自社の戦略方向性を決定します。
続いて、SWOT分析から導いた戦略方向性を「KSF」として設定し、それに基づき「STP分析」にてマーケティング戦略分析の方向性を決定します。
最後に、4Pにて、具体的なマーケティング施策を決定するのです。
マーケティング戦略の全体像を詳しく知りたい方は、「3C分析とは?SWOT分析との関係性、やり方などを簡単に解説」をご参考ください。
4P分析のわかりやすいケーススタディと4Cを活用したコツ
マーケティング戦略の実行プロセスである4P。具体的にどのように活用するのでしょうか?ここでは、分かりやすいケーススタディと4Cを活用したコツを紹介します。
4P分析、わかりやすいやり方ケーススタディ
- 事例ケーススタディ(街のパン屋事例)
A社は、資本金300万円、従業員5名で営む、いわゆる街のパン屋さんである。天然酵母を用いた、こだわりのフランスパンをはじめとして、サンドイッチ、菓子パンなど、さまざまなパンを揃えている。オーガニック志向の高まりから、天然酵母を使ったフランスパンの評判は高く、遠方から買いに来る客も多い。
このところ、近隣のスーパーB社で、味はそこそこだが、格安の菓子パン、サンドイッチなど惣菜パンの販売をはじめた。この影響もあり、A社は、フランスパン以外の商品の売上が落ち込み、商品ロスが多くなっている。
なお、A社は、天然酵母を使うことは当たり前だと思っており、特に訴求していないほか、地域に根ざした固定客がついていたこともあって、広告はおろか、ホームぺージも開設していない。
【Product(商品)】
品揃え戦略を見直す。差別化集中戦略の下、基本的には、商品ロスが多い菓子パン、サンドイッチなどの惣菜パン販売を取りやめ、フランスパンを用いた品揃えに集中させる。
【Price(価格)】
「天然酵母のフランスパン」による差別化戦略の下、高価格戦略をベースに、天然酵母を用いたパンに見合う価格設定する。
【Place(流通チャネル)】
実店舗での販売のほか、遠方から買いに来るターゲットに対して、ウェブ販売を展開する。なお、高価格戦略の下、ブランドイメージを保つため、スーパーなどに卸すことはしない。
【Promotion(広告・販売促進)】
商品戦略や価格戦略の下、オーガニック志向で「天然酵母」を使った、こだわりのフランスパンであることを訴求する。また、ホームページで広告戦略を展開するほか、口コミ効果を活用すべく、ウェブ上での口コミプロモーションを展開する。
【解説】
競争環境として、B社は「格安惣菜パンのフルラインナップ」であり、価格競争に陥らないようにするためにB社と差別化し、経営資源を自社の強みであるフランスパンに集中する「差別化集中戦略」をとることが経営戦略上、有効でしょう。
差別化集中戦略の下、商品戦略をフランスパンの品揃えに集中させることとし、4Pの他の戦略に、相互に作用させていることが分かる事例となっています。
具体的には「商品戦略」を下に、高価格戦略をベースとする「価格戦略」、ブランドイメージを保つための直販やウェフ販売とする「流通チャネル戦略」、天然酵母のブランドイメージを活用した「プロモーション戦略」を決定しています。
このように、4Pを相互に作用させて、マーケティング・ミックスを組み合わせることが重要なのです。
知っておきたい、4Cを活用したコツ
4Cは、「Customer Value(顧客価値)」「Customer Cost(顧客のコスト)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」「Convenience(顧客の利便性)」からなりますが、売り手視点である4Pを買い手視点に置き換えたものです。
4Pを4Cに置き換えて考えることで、買い手の視点で4Pを検討することができます。
先に紹介した「街のパン屋さんの事例」を4Cに置き換えると、次のとおりになります。
【Customer Value(顧客価値)】↔商品戦略
オーガニック志向の顧客にとっては、天然酵母のこだわりフランスパンの顧客価値は高い。
【Customer Cost(顧客のコスト)】↔価格戦略
高品質なパンであれば、品質に応じた価格でないと手が出しづらい。安すぎても、疑心暗鬼になるなどもあり、一般的には、品質に応じた適正価格であることが心理的に購買しやすい。
【Convenience(顧客の利便性)】↔流通チャネル戦略
近隣顧客への対面販売はもちろん、遠方から来る顧客の利便性に鑑み、ウェブ販売を展開する。
【Communication(顧客とのコミュニケーション)】↔プロモーション戦略
美味しいパンなのかを評価するのに、企業自身が出す広告だけでは信ぴょう性がない。実際に購買した生の声を聞きたいというニーズを踏まえ、ウェブ上での口コミプロモーションを展開する。
【解説】
このように、買い手の視点でマーケティング・ミックスを整理することで、売り手の視点では捉えられないことも洗い出すことができます。マーケティング・ミックスを決定するときは、4Pで施策を立案するとともに、4Cで買い手の視点を検証することがおすすめです。
【まとめ】4Cで検証し、自社のマーケティング戦略に応じた4Pを決定しましょう
本記事では、4Pの内容や4Cと3Cとの関係性のほか、4Pのマーケティング戦略上の位置づけ、ケーススタディを用いた4P分析の解説、4Cの活用法を説明しました。
4Pは、各々の「P」を単独て決定するのではなく、ケーススタディで説明したように、4Pを相互に作用させて、マーケティング・ミックスを組み合わせることが重要性です。
4Pを決定するときは、買い手の視点である4Cで検証し、自社のマーケティング戦略に応じた施策を決定しましょう。
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