#人事評価
2024/03/28

仕事での「行動目標」「結果目標」「状態目標」の書き方とコツについて解説

目次

    人事評価制度で必要となることが多い、目標の立て方のコツを紹介します。
    行動目標、結果目標、状態目標の3つを立てることで、より目標が達成しやすくなるでしょう。
    事務や新入社員などの行動目標、結果目標、状態目標の具体例についても解説します。

    目標の設定、進捗、評価までを管理

    目標達成のためには「状態目標」「結果目標」「行動目標」が必要

    何かを行う際に、張り切って目標を掲げたものの、達成できずに終わってしまった、という経験はないでしょうか。

    目標を達成するためには、立てる「目標の内容」にも工夫が必要です。

    目標達成に効果的な「状態目標」「結果目標」「行動目標」の意味と、具体的な目標の例を確認してみましょう。

    「状態目標」「結果目標」「行動目標」とは

    状態目標とは

    状態目標は、「ありたい理想の姿の目標」です。

    「こういう状態になりたい!」とワクワクするようなものを設定しましょう。

    状態目標の例文

    • スキニーパンツを自信を持って履けるようになる

    • 海外とやり取りできる仕事に就く

    • 長期連休をリゾート地でのんびり過ごす

    結果目標(成果目標、到達目標)とは

    結果目標は、成果目標または到達目標とも言われ、「達成したいゴールを具体的に示した目標」です。

    状態目標と結果目標の違いは、状態目標が「広い範囲の理想状態」であるのに対し、結果目標のほうが「より具体的でピンポイントなゴール」を目標に設定しているという点です。

    結果目標の例文

    • 3か月後の体重を今よりも3kg落とす

    • 半年後のTOEICテストで800点を取得する

    • 長期連休までに旅行費用として10万円を貯める

    行動目標とは

    行動目標は、「実際の行動の目標」です。

    「いつ」「何を」「どれだけ」行動するかを、具体的に目標に組み込みます。

    結果目標と行動目標の違いは、結果目標は「ゴール」であるのに対し、行動目標は「ゴールに向かうためにすること」を目標に設定しているという点です。

    行動目標の例文

    • 朝の通勤時に2駅分歩く

    • 半年間でTOEICのテキストを3冊勉強する

    • 1ヶ月の食費を1割減らす

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    「状態目標」「結果目標」「行動目標」を立てるメリット・デメリット

    「状態目標」「結果目標」「行動目標」の3つの目標を立てた場合のメリットについて確認してみましょう。

    また、逆にデメリットになってしまう場合の目標設定の例もあわせて確認してみましょう。

    3つの目標は仕事に欠かせない

    目標を決めて達成して行くことは、報連相の定着などと同様に、仕事の質を上げるために大切なものです。

    また、MBOやOKRなど、人事評価制度で「目標」を活用している会社も多くあります。

    ここでは、人事部員が「従業員により良い研修を提供したい」という課題を持っている場合を例に、どのように目標を立てれば良いかについて確認してみましょう。

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    メリットを生む3つの目標の実例

    「状態目標」「結果目標」「行動目標」の3つの目標は、状態目標、結果目標、行動目標の順で考えることがおすすめです。

    1. 状態目標で「ありたい理想の姿」を決める
    2. 結果目標で「その姿になるにはどのようなゴールを設定すれば良いか」をを決める
    3. 行動目標で「そのゴールに到達するためには具体的にどのような行動をするべきか」を決める
    • 良い「状態目標」の例

    イメージする「ありたい姿」を状態目標に設定します。

    ここでは、「従業員が研修を通して新しい知識やスキルを手に入れ、組織が活性化する」ことを状態目標に設定します。

    状態目標は、達成できた際に、目標を立てた自分自身が幸福感を得られるようなものにすることで、目標に向かうモチベーションを維持しやすくなります。

    • 良い「結果目標」の例

    状態目標を受けて、結果目標を決めます。

    結果目標は、「いつまでに」「何を」「どれだけ」達成していることを目標とするかという具体的なものを設定します。

    結果目標で目標を「具体的」にすることで、ゴールが曖昧にならず、状態目標に近づきやすくなります。

    また、ここで大切なのは、具体的なことだけでなく、「現実的に達成可能な目標」にすることです。

    達成することが現実的ではない場合、目標に向かう自分のモチベーションが下がってしまう恐れがあります。

    今回の例では、「1か月後に新しい研修のアイデアを3つ出す」ということを、結果目標に設定します。

    • 良い「行動目標」の例

    最後に、行動目標を決めます。

    行動目標では、結果目標を達成するためには、具体的にどのような行動をすれば良いのかを考えます。

    ここでも、モチベーションが維持できるように、現実的に達成可能なものを設定します。

    今回の場合、「1か月以内に人事関連の書籍を3冊読む」などが、行動目標としてふさわしいと言えます。

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    デメリットになってしまう3つの目標の実例

    「状態目標」「結果目標」「行動目標」は、目標の立て方によっては、逆にモチベーションを下げてしまうなど、デメリットにつながってしまう場合があります。

    デメリットになってしまう3つの目標の実例について確認してみましょう。

    • 結果目標と行動目標が具体性に欠ける

    例えば、結果目標が「新しい研修のアイデアを出す」のみの場合、「いつまでに」「どれだけ」が欠けてしまっています。

    そのため、行動を先延ばしにしてしまったり、アイデアが1つしか出せなくても良しとしてしまったりする可能性があります。

    そうなると、「従業員が研修を通して新しい知識やスキルを手に入れ、組織は活性化する」という、状態目標の達成が難しくなり、モチベーションの維持も困難になります。

    • 現実的に達成することが難しい内容にしてしまう

    目標を考える際、張り切って高い目標を設定してしまうこともあるかもしれません。

    例えば、行動目標を「1か月以内に人事関連の書籍を20冊読む」など、自分にとって現実的ではない数字で目標を設定してしまうと、目標の実現が困難になります。

    冷静に自分を見つめて、現実的に達成できそうな目標を設定するようにしましょう。

    • 達成したときに幸福感が得られない

    状態目標は、達成した際に自身が幸福感を得られるような内容にしていないと、モチベーションも保ちにくくなります。

    何に対して幸福感が得られるかは人によって異なりますが、「従業員が研修を通して新しい知識やスキルを手に入れる」だけだった場合、結果が自身から見えにくく幸福感が得られにくい可能性があります。

    「状態目標」「結果目標」「行動目標」の書き方

    「状態目標」「結果目標」「行動目標」の3つの目標を実際に書く際のコツについて確認してみましょう。

    行動目標は具体的に日々の行動に落とし込む

    成功体験を積み重ねることは、モチベーションの維持につながります。

    行動目標は、日々の行動に落とし込めるような、小さい目標から始めることがおすすめです。

    「毎日行う」など、あまり厳密にしてしまうと、1日できなかった日があった場合に、気持ちが切れてしまう可能性もあります。

    行動目標は、「1か月以内に本を3冊読む」など、リカバリーできる余地を残したものを設定したほうが達成しやすくなります。

    結果目標は「SMARTの法則」を意識する

    結果目標は、「SMARTの法則」を意識して設定するとわかりやすくなります。

    「SMARTの法則」とは、「Specific(具体的に)」「Measurable(測定可能な)」「Achievable(達成可能な)」「Relevant(関連した)」「Time-bound(時間制約がある)」の頭文字を取った法則で、代表的な目標設定のフレームワークです。

    つまり、結果目標を考える際には、「明確で具体的か」「達成度合いが数字などで定量的に示せるか」「現実的に達成可能か」「状態目標と関連しているか」「達成期限はあるか」の5点を意識すると、目標を設定しやすくなります。

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    状態目標は理想像を描く

    状態目標は、細かい数字などに捉われず、理想とするイメージを描くようにします。

    挫けそうになった時に、この目標を思い出してモチベーションを上げることができるような内容にすると良いでしょう。

    目標を管理するExcelフォーマット

    目標達成のために努力を続けるには、成功体験を積み重ねてモチベーションを維持することがとても大切です。

    そのため、成功体験を「見える化」することもおすすめです。

    Microsoft「チャレンジ・目標管理表」は、日々の目標の達成度を記録できるExcelフォーマットで、無料でダウンロードすることができます。

    その他に、会社の目標管理シートとして活用できる「目標管理表」も無料でダウンロードが可能です。

    (参考)チャレンジ・目標管理表 - 無料テンプレート公開中 - 楽しもう Office

    職種や立場別で見る「状態目標」「結果目標」「行動目標」

    人事評価などで、目標を設定する際の、立場や職種別の目標設定の具体例について確認してみましょう。

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    新入社員の「状態目標」「結果目標」「行動目標」例

    新入社員の目標を決める際には、上司や先輩と相談しながら決めることがおすすめです。

    新入社員は、まだ社会人経験が乏しいため、目標の方向性を誤ってしまう恐れもあります。

    周囲と相談しながら目標を決め、サポートを受けながら目標を達成できるようにしましょう。

    新入社員の目標の例

    • 状態目標:自信を持って仕事ができるようになる

    • 結果目標:1年後に会議のファシリテーションをする

    • 行動目標:会議で3回以上発言する

    事務職の「状態目標」「結果目標」「行動目標」例

    事務職の場合、目標を数値化することが難しい場合があります。

    可能な限り数値化したほうが、達成感を得やすいのでおすすめですが、どうしても数値化できないものに関しては、できるだけ具体的な内容を目標に設定するようにしましょう。

    事務職の目標の例

    • 状態目標:休暇を取りやすいチームにする

    • 結果目標:1年後にチームの全ての作業にマニュアルがある状態にして、仕事の属人化を無くす

    • 行動目標:毎月2つマニュアルを完成させる

    ▼「事務職の目標設定」についてさらに詳しく
    【例文付】事務職の人事評価とは?評価基準や項目のポイント徹底解説

    営業職の「状態目標」「結果目標」「行動目標」例

    営業職や販売職は、数値目標が出しやすい場合が多いでしょう。

    しかし、その数値の達成は、単に「営業の電話をかける回数を増やす」などの、行動量を増やせば必ずしも可能になるものではなく、様々な創意工夫も必要とされるでしょう。

    「行動目標」でPDCAを繰り返し、「結果目標」「状態目標」を達成していくのがおすすめです。

    営業職や販売職の目標の例

    • 状態目標:自社の商品を業界一の売上にする

    • 結果目標:今年の売上を前年比20%アップさせる

    • 行動目標:週2回の上長と営業ロープレを行う

    ▼「PDCAサイクル」についてさらに詳しく
    PDCAサイクルとは?基本のやり方と時代遅れと言われる理由を解説

    エンジニアやデザイナーの「状態目標」「結果目標」「行動目標」例

    エンジニアやデザイナーは、将来のキャリアも見据えて目標を設定することが大切です。

    マネージャーとしてプロジェクトを管理する道に進みたいのか、スペシャリストとして特定の分野に深く携わっていきたいのかで目標の方向性が異なります。

    まずは、この点をしっかりと考えて目標設定に取り組むようにしましょう。

    エンジニアやデザイナーの目標の例

    • 状態目標:社内一のエンジニアになる

    • 結果目標:3年後に自分で提案したシステムを現場に導入する

    • 行動目標:1週間に5時間以上プログラミング言語の勉強をする

    ▼「技術職の目標設定」についてさらに詳しく
    【例文付】技術職の人事評価シートとは?戦略人事のためのポイント徹底解説

    「目標設定」で従業員のモチベーションや仕事の質を向上させる方法

    「状態目標」「結果目標」「行動目標」のポイントを押さえて、適切な「目標設定」をすることで、従業員のモチベーションや仕事の質を向上させることが可能になります。

    また、明確な目標を設定することで、「納得度の高い人事評価」を行えるようになるでしょう。

    「HRBrain 人事評価」は、目標設定から目標の管理、人事評価の実施データや集計までをワンストップで実現します。

    また、評価基準や評価プロセスの見える化によって、社内コミュニケーションの改善や、評価納得度の向上を促進します。

    HRBrain 人事評価の特徴

    • 制度や目的に合わせたテンプレートが豊富

    OKR、MBOなどの「評価テンプレート」や、1on1やフィードバックなどに使用する「面談シート」が充実しています。

    • 企業ごとのプロセスに合わせて承認フローや項目を自由に設定

    評価シートやワークフローのカスタマイズが可能なため、評価制度の変更にも柔軟に対応することができます。

    • 評価の集計や調整もシステム上で完結

    部署別など任意の項目で集計が可能で、評価結果の調整もシステム上で完結できます。

    HR大学編集部
    HR大学 編集部

    HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。