#人材育成
2024/04/22

新卒離職率とは?辞める割合は3年で3割で1年で1割!離職理由や防止策を解説

目次

    新卒離職率とは、新卒入社後一定期間における離職率を表す数値です。

    また、新卒から3年以内の離職を「早期離職」と呼び、雇用の流動化を背景に「入社1年以内に1割」が、「3年以内に3割」が離職する時代になっています。

    新卒離職率の高さは企業にとってリスクがあり、非常に重要視される課題となっています。

    この記事では、新卒離職率について、1年以内と3年以内に新卒で辞める割合、新卒離職率が高い原因と企業に与えるデメリット、新卒離職率を下げる方法について解説します。

    新卒離職の原因と対策を考える

    新卒離職率とは

    新卒離職率とは、新卒入社後一定期間における離職率を表す数値です。

    厚生労働省では「新規学卒者の離職状況」として、学歴別に3年以内の学卒者離職率を公表しています。

    学歴別の3年以内離職率は、例年、同程度の割合で推移していますが、大卒が3割程度、高卒が4割弱、中卒が5割程度と、中卒者の離職率が最も高い傾向にあります。

    (参考)厚生労働省「新規学卒者の離職状況

    新卒離職率の高さがもたらすデメリット

    新卒離職率の高さは、企業のあらゆる面で悪影響を及ぼします。

    主に「採用面」「人材育成面」「コスト面」でのデメリットが生じ、企業は負のスパイラルに陥ってしまう場合もあります。

    新卒離職率の高さがもたらすデメリットについて確認してみましょう。

    新卒離職率の高さがもたらすデメリット

    • 採用難に陥る可能性がある

    • 人材育成での負担が大きくなる

    • コストの負担が増える

    採用難に陥る可能性がある

    新卒離職率の高さがもたらすデメリットの1つ目は、「採用難に陥る可能性がある」ことです。

    企業研究で、多くの就活生が注目するのが新卒離職率です。

    新卒離職率の高い企業は「良い企業ではない」と捉えられ、新卒離職率が高すぎると「ブラック企業」の疑いを持たれる可能性もあり、企業は採用難に陥る可能性が大きくなります。

    人材育成での負担が大きくなる

    新卒離職率の高さがもたらすデメリットの2つ目は、「人材育成での負担が大きくなる」ことです。

    新入社員が戦力化するまでには、相応の年数を要します。

    フレッシャーズ マイナビの調査によると、「新人が一人前になるまでの期間は3年以上」という統計も出ているように、戦力化するためには人材育成の時間がかかるものです。

    長い時間をかけて育成した新人が、戦力化する前に離職することは企業にとって大きな痛手です。

    また人材が育たないことは、人材育成計画に大きな影響を与えます。

    人材を育成する職場でも、次々と新人が離職する環境では育成者の負担が大きくなり、育成者自身の離職可能性も高まるなどの悪影響も考えられます。

    (参考)フレッシャーズ マイナビ「新人が一人前になるまでの期間は、どのくらい?

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    人材育成とは?何をやるの?基本的考え方と具体的な企画方法を解説

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    コストの負担が増える

    新卒離職率の高さがもたらすデメリットの3つ目は、「コストの負担が増える」ことです。

    新人の育成期間といえる入社後3年間は、企業にとって新人に対する投資期間であり、戦力となる3年目以降は、投資回収をする期間と位置づけられます。

    新人の3年以内の離職は、企業が投資したコストを回収できないことを意味し、無駄な投資となります。

    加えて、離職者の補充をするために、新たに人材を採用するための広告や活動コスト、新人教育コストなど多大な費用が追加的に発生します。

    離職の原因と対策を考える

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    新卒離職率の在籍期間別・事業規模別・業界別データ

    新卒入社した従業員が3年以内に離職する「早期離職」が増え、3年以内に3割が新卒離職すると言われています。

    また近年では、さらに早期離職が増える傾向にあります。

    新卒離職率の平均や推移について、「在籍期間別」「事業規模別」「業界別」に確認してみましょう。

    在籍期間別の新卒離職率

    2020年時点での、高卒の在籍期間別離職率は「1年目」で15.1%、「2年目」で26.8%、「3年目」で37.0%と1年ごとに約1割ずつ増加しています。

    大卒では、「1年目」で10.6%、「2年目」で21.9%、「3年目」で32.3%と高卒と同様に、1年ごとに約1割ずつ増えています。

    また、高卒の方が大卒に対して、在籍期間別にそれぞれ離職率が高いことが分かります。

    (参考)厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移

    事業規模別の新卒離職率

    2020年時点での、高卒の事業規模別離職率は、「5人未満」で60.7%、「100〜499人」で36.7%、「1,000人以上」で26.6%と企業規模が大きくなるほど、離職率が低くなっています。

    大卒の事業規模別離職率は、「5人未満」で54.1%、「100〜499人 」で32.9%、「1,000人以上」で26.1%と、高卒と同様に、企業規模が大きいほど、離職率が低い結果となっています。

    高卒、大卒ともに、企業規模が大きいほど、離職率が低いことが把握できます。

    (参考)厚生労働省「新規高卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率の推移

    (参考)厚生労働省「新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率の推移

    業界別の新卒離職率

    2020年時点での、高卒の業界別離職率は、低い順に見ると「電気・ガス・熱供給・水道業」が12.2%と最も低く、次いで「複合サービス業」が26.8%、「製造業」が27.6%と続いています。(※高卒の「鉱業、採石業、砂利採取業」については、就職者が毎年100人に満たないため除いています。)

    高い順では、「宿泊業、飲食サービス業」が62.6%と最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」が57.0%、「小売業」が48.3%と続いています。

    大卒の業界別離職率は、低い順に見ると「電気・ガス・熱供給・水道業」が10.5%と最も低く、次いで「鉱業、採石業、砂利採取業」が13.5%、「製造業」が19.0%と続いています。

    高い順では「その他」を除き、「宿泊業、飲食サービス業」が51.4%と最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」が48.0%、「教育、学習支援業」が46.0%と続いています。

    業界別離職率は概ね、高卒と大卒も同様な傾向にあるといえます。

    (参考)厚生労働省「新規高卒就職者の産業分類別就職後3年以内の離職率の推移

    (参考)厚生労働省「新規大卒就職者の産業分類別就職後3年以内の離職率の推移

    ▼「早期離職」についてさらに詳しく
    早期離職の理由と問題とは?離職の原因と中途採用の定着率を上げる方法

    新卒離職の在籍期間別離職理由

    企業にとって大きな痛手となる若年層の早期離職問題を解決するためには、それぞれの在籍期間における離職理由を把握することが重要です。

    新卒離職における在籍期間別の離職理由について確認してみましょう。

    新卒6ヶ月以内の離職理由:仕事のミスマッチ

    第二新卒の転職も当たり前になった昨今、入社後半年以内に離職する「超早期離職」も増加傾向にあります。

    リクルートリクルートワークス研究所の調査によると、新卒の「1ヶ月未満の離職」は5.2%、「3ヶ月未満の離職」は9.9%、「3ヶ月~6ヶ月未満の離職」は10.8%と、3年以内の離職者のうち、4分の1を超早期離職者が占めていることが分かります。

    超早期離職者の離職理由は、「想像以上に仕事内容が過酷」「職場に相談できる人がおらず孤立した」といった、仕事のミスマッチが大半で、乗り越えることが困難な状況が超早期離職の理由になっていると考えられます。

    (参考)リクルートワークス研究所「11.8%が“半年未満”で離職する。『超早期離職』問題

    新卒1年以内の離職理由:人間関係と仕事のミスマッチ

    労働政策研究・研修機構の調査によると、1年以内の新卒離職理由を上位から見ていくと、「仕事が合わない」が35.8%と最も多く、次いで「労働時間・休暇の条件」が35.7%、「人間関係がよくない」が35.3%と続いています。

    新卒での試用期間を終え、正式配属後に職務をこなしていたものの、我慢していた人間関係や仕事のミスマッチなどに堪え切れず、退職を決意した層がこの時期の離職者と推察できます。

    また、「どんなに辛くても1年、少なくとも3年は仕事を続ける」といった考えから、1年の区切りで離職する人もいるでしょう。

    (参考)労働政策研究・研修機構「早期離職とその後の就業状況

    新卒3年以内の離職理由:労働条件や賃金

    労働政策研究・研修機構の調査によると、3年以内の新卒離職理由を上位から見ていくと、「労働時間・休暇の条件」が32.0%と最も多く、次いで「人間関係がよくない」が24.8%、「仕事が合わない」が24.6%と続いています。

    この時期の離職者は、人間関係や仕事が合わないといった理由は乗り越えたものの、労働条件が不満で離職する理由が多いと推察できます。

    (参考)労働政策研究・研修機構「早期離職とその後の就業状況

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    離職の原因TOP3!特に気をつけたい若者・新卒の離職理由も詳しく解説

    離職防止と定着率向上の成功事例

    ⇒「若手の離職を防ぐためには」資料ダウンロード

    新卒離職率を下げ定着率を上げる方法

    早期離職理由の上位にあげられる人間関係や仕事のミスマッチを防止するためには、入社前後の「オンボーディング」が有効です。

    オンボーディングについて、入社前と入社後に分けて確認してみましょう。

    新卒離職率を下げる「入社前」のオンボーディング

    仕事のミスマッチを防ぐには、入社前のオンボーディングが極めて有効です。

    採用選考時の会社説明会や面接の際に、仕事の厳しい面などについてしっかり伝えることで、仕事のミスマッチを防ぐことができます。

    伝えることで、求職者が辞退してしまう場合もありますが、デメリットもしっかり伝えることで、入社後の定着率の向上が期待できます。

    求職者にとっても、デメリットをしっかり伝えてくれる企業は好印象です。

    また、内定前に、先輩従業員との座談会を設け、仕事のイメージをしっかりつけてもらうことも有効な施策です。

    新卒離職率を下げる「入社後」のオンボーディング

    早期離職理由の上位にあげられている人間関係の問題を解決するためには、入社後のオンボーディングを実施し、定着率の向上を図ることが重要です。

    入社直後は、「OJT」などの研修やオリエンテーションを一定の期間をかけて実施することがポイントです。

    また、ビジネスマナー、上司や先輩との関わり方、他部署とのコミュニケーションの仕方など、人間関係に関するオリエンテーションを組み込むことが効果的です。

    入社後に馴染みやすい環境をつくるため、歓迎会や入社後の「1on1」など定期的なコミュニケーションの場を設けることも有効な施策です。

    また、仕事の悩みやメンタル面のサポートなど、先輩社員が担う「メンター制度」を設けることで、人間関係の離職防止に大きな効果が期待できます。

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    ▼「新入社員研修」についてさらに詳しく
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    ▼「メンター制度」についてさらに詳しく
    メンター制度のメリットは?運用時のステップと導入例・注意点も紹介

    OJTを成功に導く方法

    ⇒「メンター制度を取り入れたOJT制度設計ガイドブック」資料ダウンロード

    コミュニケーションを円滑にする

    ⇒「1on1ミーティング入門書」資料ダウンロード

    新卒離職率は3年以内で3割にも及ぶ

    新卒離職率とは、新卒入社後一定期間における離職率を表す数値です。

    また、新卒から3年以内の離職を「早期離職」と呼び、雇用の流動化を背景に「入社1年以内に1割」が「3年以内に3割」が離職する時代になっています。

    新卒離職率の高さは企業にとって、「採用難に陥る可能性がある」「人材育成での負担が大きくなる」「コストの負担が増える」などのリスクがあり、非常に重要視される課題となっています。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、新卒離職率を低下させ定着率をアップするために、「離職予兆の分析」から「離職防止」までをデータをもとに見える化します。

    さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。

    HRBrain タレントマネジメントの特徴

    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

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    タレントマネジメントシステムの課題とは? 目的・導入の課題と成功事例まで

    ▼「タレントマネジメント」お役立ち資料まとめ
    【人事担当者必見】タレントマネジメントに関するお役立ち資料まとめ

    離職防止と定着率向上の成功事例

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    HR大学編集部
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