人材管理
2021/10/08
人事管理データベースとは?目的や事例、取り入れるメリットなどを解説
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近年、人事管理データベースを再構築することが、人事部で盛んに行われています。
従来の従業員情報をまとめただけのものとは違い、人事データを戦略的に活かすシステム導入の必要性が高まったためです。
この記事では人事管理データベースとはなにか、システムで設定するべき項目や、導入方法、企業での活用事例について紹介していきます。
人事管理データベースとは
人事管理データベースの定義、歴史を振り返ってみましょう。
人事管理データベースの定義
データベースとは、整理されたデータの集まりのことです。
つまり人事管理データベースとは、従業員情報の集積を目的としたデータの集合体のことを指します。
それだけを聞くと、人事データを保管するための基本情報を想像するかもしれません。
しかし人事管理データベースの目的は、「閲覧」と「共有」。そしてもう一歩進んだところに「分析」と「活用」があります。
そのため項目は従業員の基本情報にとどまらず、採用時の性格検査や人事評価、スキルなど人材に関するあらゆるデータを網羅することが必要です。
人事管理データベースとは、会社が戦略的に人事を行ううえで、欠かせない仕組みと言えるでしょう。
人事管理データベースの歴史
人事データは古くから存在していました。
基本的なものでは、従業員の居住地、入社試験の結果、人事評価などです。
しかしこれらは紙で保管されてきたため、積極的な人事データの活用までには至りませんでした。その後、人事ERPシステムが誕生し、人事データに加えて給与計算までができるようになりました。
しかし、社内のサーバに設置するERPソフトは「場所を取る」、「保守コストが必要」というデメリットがありました。
その後、クラウド型のサービスが台頭すると、人事ERPシステムは徐々にクラウド型の人事管理データベースへと置き換えられていきました。
人事管理データベース構築の目的とは
人事管理データベースは、なぜ必要か
近年になって、大企業を中心に人事管理データベースが構築される傾向にあります。
生産年齢人口の減少により優秀な人的資源が限られていること、またシステムの活用によって人材のスキルが可視化できるようになったこと。この2点が背景にあります。
人的資源の管理、適正配置の実現、優秀人材の確保などの理由から、人事管理データベースの構築は求められています。
人的資源の管理
少子高齢化が進むにつれ、優秀な人材を確保することが難しくなっていきます。
そのため、従業員の人事データを有効に活用することが必要となります。
「誰が、どんなスキルを持っているのかわからない」という状態では、人材の戦略的な活用は望めません。
人事管理データベースは人事データを1つに集約するため、担当者の間でデータを簡単に共有することができます。
また、スキルを検索して該当の従業員を抽出することも可能になります。
人的資源の管理は「タレントマネジメントシステム」の活用がおすすめです。
適正配置の実現
会社が大きいほど、従業員が中途で入社した場合、過去の経歴、職歴、スキルを把握することは困難になります。
すでに社内にそのポジションに適当なスキルを持っている従業員がいるにも関わらず、新たに人材を採用しようと会社の資金をかけるのは、大きな損失でもあります。
社内の人材を適切に配置するために、人事情報を共有できる人事管理データベースの構築は必要です。
優秀人材の確保
優秀な人材の流失を防ぐためにも人事管理データベースの構築は有効です。なぜなら、従業員のスキルを可視化することは、適切な人材配置にも繋がるからです。
また会社が従業員の強み・スキルを活用しようと働きかけることは、会社へのエンゲージメント向上にも繋がります。
優秀な人材を確保、また離職させないためにも人事管理データベースである「タレントマネジメントシステム」の導入は有効な手段です。
人材育成
人事管理データベースの構築は、人材育成にも繋がります。
従業員の保有するスキル・資格を可視化して閲覧できるため、部署の強み・弱みを把握することもできます。
人事部はそのデータを確認し、欠けたスキルを補うため、フォローアップの研修などを組み込むことも可能となります。
また従業員の保有資格が失効しないようフォローを行うことや、知識の刷新が必要な資格については、会社として継続的な働きかけができます。
人事管理データベースを活用することは、このように人材育成にも効果を発揮します。
業務の効率化
人事管理データベースの構築は、業務の効率化を実現します。
部署を新設する、またポジションに欠員が出た場合、その分野にスキルや知見を持つ従業員を、すぐに検索して見つけられるためです。
また、人事管理データベースである「タレントマネジメントシステム」を導入することは、人事評価にまつわる工数を削減することにも繋がります。
業績アップ
人事管理データベースの構築は、業績アップにも繋がります。
データベースを活用することで、従業員ひとりひとりがどのようなスキルを持っているかが可視化されます。
結果、適切な人材の配置、また人材の育成が可能になり、ひいては業績のアップにも繋がります。
人事管理データベースで設定すべき項目
基本情報/氏名、住所などの情報
基本情報には「氏名」「住所」「入社年月日」などが含まれます。また、最近ではダイバーシティの推進により性別を男女だけではなく、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)に配慮して設定する企業も増えてきました。
近年、注目される労務リスクであるアウティング(本人の了承を得ずに他の人に公にしていない性志向を他者に伝えること)防止のためにも、可能であればダイバーシティに配慮した情報設定を行いましょう。
人事評価情報
人事評価情報も設定すべき重要な項目です。
評価の推移は、従業員のパフォーマンスの確認だけにとどまりません。
ジョブローテーションを行う場合、「従業員の評価が、部署によってどのように変化したのか」を確認することで、人材の適正配置が可能になります。
更に詳しく人事評価システムについて知りたい方は、「人事評価にシステムを使うべき3つの理由」から資料をダウンロードできます。
スキル情報
従業員のスキル情報を正確に把握することは、人材の適正配置、パフォーマンス向上において重要です。
スキルマップを作成することで「どの従業員が、どんなスキルを、どのレベル」で保有しているのかが可視化されます。登録に手間はかかるものの、会社にとって「財産」とも言うべきデータとなります。
スキルを可視化し把握しやすくするためにも「タレントマネジメントシステム」の導入がおすすめです。
関連記事:スキル管理とは?必要性や方法、スキルマップの作り方について解説
マインド情報
近年、注目されているのがモチベーションやエンゲージメントなどのマインド情報です。このマインド情報を活用することは、離職の防止、生産性アップへと繋がります。
「タレントマネジメントシステム」では、従業員が自らマインドについて記載することも可能です。
人事管理データベースには、ぜひこのマインド情報も設定しましょう。
人事管理データベースの構築方法
次に、人事管理データベースの構築方法について解説します。
留意しておくべき点は、人事管理データベースは万能薬ではないことです。ただやみくもに導入するのでは、効果が半減してしまいます。
以下の構築方法を意識することで、効果的な活用が可能になります。
人事戦略を立案する
会社の人事戦略を明らかにしましょう。
その把握のためにも人材のデータベース化が必要となります。
まず会社の目指したい方向性、つまり拡充すべき既存事業、また新規事業などを定めることが、人事管理データベースの構築に必要なことです。
戦略に合わせた人材要件を立案する
戦略が決定したら、それに基づいて「どのような人材が必要か」を考えます。
「ネットショップの売上アップに貢献できるスキルを持った人材」「マーケティングに知見のある人材」など、今後の展開に必要不可欠な人材の要件を立案しましょう。
人材要件に合わせた人事データ項目を整備する
漠然と人事データの項目を設定すると、その量は膨大なものとなってしまいます。
今後、ネットショップの売上アップに力を入れるとするならば「マーケティングのスキル・知識があるかどうか」ということが項目に必須となります。
こうして、自社の戦略に合った人事データ項目を設定しましょう。
人事管理データベースシステムにおすすめのソフト
人事管理データベースシステムにおすすめのソフトを2つ紹介します。
エクセル
従業員が少ない企業の場合、人事データの管理はエクセルでもよいでしょう。
しかし、スキルのデータの分析まで踏み込むのは難しいソフトウェアと言えるでしょう。
あくまで必要最低限のデータを登録する場合に活用がおすすめです。
タレントマネジメントシステム
人事管理データベースの一環として、近年注目を集めているのが、この「タレントマネジメントシステム」です。
人事管理データベースに必要な項目もデフォルトで設定されているため、構築のための時間が大幅に圧縮可能です。
顧客満足度No.1の「クラウド人材管理システムHRBrain」なら、操作も簡単。
IT操作に不慣れな方も簡単にデータ登録ができ、タレントマネジメントを行うことができます。
従業員の多い企業では、こうした「タレントマネジメントシステム」を活用することが最もおすすめの方法です。
人事管理データベースシステムの選び方とは
では人事管理データベースシステムは、どのように選べばよいのでしょうか。
機能
人事管理データベースである「タレントマネジメントシステム」には、以下の機能が搭載されています。
人事管理データベース機能一覧
- 人事データベース
- 人事評価
- 組織図ツリー
- 組織分析
- アンケート
費用
無料から高額なものまで、さまざなサービスがあります。利用する機能、また登録人数によって月額の利用料金が変わる場合もあります。
導入する際には、初期の導入コストと月額のランニングコストを必ず確認するようにしましょう。
サーバ不要のクラウド型とオンプレミス型
クラウド型とは、インターネットを経由して、システム提供会社が所有するサーバを借りる方法です。
そのため、自社でサーバを設置する必要がなく、月額料金での利用が一般的です。
メリットは、初期コストを抑えられることです。
デメリットは、項目がすでに設定されているため、カスタマイズ性に制限があることです。
そしてオンプレミス型とは、自社にサーバを設置して運用する方法です。
カスタマイズがしやすい点がメリットですが、クラウド型に比べ導入にコストがかかる点がデメリットです。
セキュリティ
人事管理データベースは個人情報そのものです。
外部への流出を防ぐためのセキュリティも重要ですが、社内でも閲覧権限を設定するなどして、セキュリティ対策を講じましょう。
操作性
従業員が積極的に使いこなすためにも、操作性は重要です。
マニュアルをいちいち確認しなくても「アイコンを見るだけで、直観的に操作がわかる」ことが理想です。
利便性
パソコンに限らず、スマートフォンからもアクセスできることで、利便性は大幅にアップします。
タレントマネジメントシステムの「スマホ版HRBrain」では以下のことが可能です。
- 閲覧できる範囲:ご自身のダッシュボードとシート記入画面
- 入力できる範囲:目標シートとヒアリングシート
人事管理データベースの活用例
最後に、人事管理データベースの活用例を紹介します。
株式会社サイバーエージェント
人事で有名な株式会社サイバーエージェントに導入されているのが「HRBrain」というタレントマネジメントシステムです。
煩雑な目標管理・評価管理を一元化し、HRBrainに蓄積された面談記録を基に人事評価を行っています。
そうした納得感が、従業員の力を引き出します。
結果として、従業員の目標意識の向上だけでなく、人事業務の効率化へと繋がっています。
アイフル株式会社
約1600名の正社員が在籍しているアイフル株式会社は、「人材を最大限活かしきれていない」という課題がありました。
そこで従業員を適性のある部署に配置し、より活躍することが出来る環境を整えるため「タレントマネジメントシステム」を導入しました。
より少ない人数で大きな成果を生み出すため、趣味や特技から得たスキルを持つ従業員の可視化・発掘にも積極的に取り組んでいます。
株式会社トリドールホールディングス
株式会社トリドールホールディングスでは、人事データが分散していたために現状の把握、分析、仮説を検証していくというプロセスが難しい状況でした。
評価の内容をしっかりとHRBrainの中に蓄積し、「会社のありたい姿とどれだけギャップがあるのかを見ていき、今の人員でありたい姿を目指せるのか、足りないのであればどういった人材が必要なのか」というインサイトの発見を意識するようになりました。
人事データを戦略的に活かすために、分析の時間を持てることが魅力だと語っています。
株式会社リンガーハット
タレントマネジメントシステムの導入以前、株式会社リンガーハットは、エクセルで評価データを管理していました。しかし、記入ミスが発生しやすかったり、最新のデータが分かりづらかったりと、管理が煩雑という課題がありました。
そのため、人事データの一括管理を可能にするサービスとして「HRBrain」を導入しました。
人事データの一元管理や人事評価の工数削減を行うことで、現場のスタッフが今まで行っていた作業を減らし、より店舗業務などのコア業務に専念できるような体制づくりを目指しています。
福島トヨタ自動車株式会杜
福島トヨタ自動車株式会杜では、評価の運用自体や、昇給対象者の抽出に工数がかかっていました。
そのため手間やミスが少ない人材管理のオペレーションを可能にするサービスの導入を検討し、「HRBrain」の導入を決定しました。
- 人事評価における、人事の運用工数を減らす
- 業務フローを簡潔にすることで、人的なミスをなくす
- 上司・部下間の面談で話されたことも
この3点を意識し、適正・効率的な評価制度の改善を行っています。
まとめ
人事管理データベースとは、人材に関するあらゆるデータを蓄積したものです。
企業が人事管理データベースを活用する目的は、閲覧・共有・分析・活用にあります。
近年では大企業を中心に、人事管理データベースを導入する事例が増えています。
その理由は以下の6点にあります。
- 人的資源の管理
- 適正配置の実現
- 優秀人材の確保
- 人材育成
- 業務の効率化
- 業績アップ
人事管理データベースで設定すべき項目は、氏名、住所など基本情報にとどまらず、人事評価情報、スキル情報、マインド情報です。
人事管理データベースの構築方法は、会社独自に考案する必要があります。
まずは人事戦略を立て、必要となる人材に合うデータ項目を設定しましょう。
人事管理データベースシステムにおすすめのソフトは、エクセル、そしてタレントマネジメントシステムです。
従業員が少ない企業の場合、人事データの管理はエクセルでもよいでしょう。
しかし、エクセルではスキルのデータ分析まで踏み込むことは、難しいと言えます。
そのため人事データの分析・活用ができるタレントマネジメントシステムの導入がおすすめです。
人事管理データベースシステムの選び方としては、以下の6点を比較しましょう。
- 機能
- 費用
- サーバ不要のクラウド型とオンプレミス型
- セキュリティ
- 操作性
- 利便性
戦略的に人材を活用するためには、従業員のスキルを可視化するシステムが必要不可欠です。
この機会にタレントマネジメントシステムの導入を検討してはいかがでしょうか。
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