#人材管理
2025/10/10

100人の壁を突破するための組織改革!300人の壁との違いは?

自社に最適な人事評価制度設計から運用まで、専門家が伴走支援

目次
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「従業員が100人になり、停滞感が生まれてきた…」と感じた場合、100人の壁に直面しているのかもしれません。

そこで本記事では、多くの成長企業が直面する100人の壁について、原因や具体的な解決策を解説します。組織の停滞感を打破し、持続的な成長を実現するためにお役立てください。

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100人の壁とは30人の壁・50人の壁を乗り越えた先にある組織拡大の壁

100人の壁とは、社員数が100名前後になった企業が直面する、組織拡大における課題を指します。社長や一部の優秀なメンバーの頑張りで乗り越えられた30人の壁、50人の壁と違い、創業以来の属人的なマネジメントが限界を迎えるフェーズが100人の壁です。

100人の壁が生じる主な原因は、以下のような働き方や組織の仕組みが、会社の規模拡大に合わなくなることです。

  • 情報共有

  • 意思決定

  • 業務の専門化

  • 特定個人への依存

100人の壁を乗り越えるためには、これまでのやり方に固執せず、改善する姿勢が求められます。

100人の壁で起こりやすい7つの問題

100人の壁に直面した際に生じる主な問題は、以下の7つです。

  • マネジメント人材が不足する

  • 意思決定が遅延し停滞感が蔓延する

  • 部門間の連携不足でサイロ化する

  • 採用や育成におけるミスマッチが起こる

  • 評価や報酬に対する不公平感が生まれる

  • 重要な社員が離職する

  • 企業文化や理念が希薄化する

うまく100人の壁を乗り越えられるよう、次の項目から、上記の各問題を把握していきましょう。

マネジメント人材が不足する

100人の壁に直面すると組織の拡大スピードにマネージャーの育成が追いつかず、マネジメント人材の不足に悩む企業が増えます。その理由は、創業期を支えた優秀なプレイヤーが、体系的な研修を受けないまま管理職に就くケースが増えるためです。

マネジメントスキル不足の人材が管理職につくと、以下のような問題が生じます。

  • 部下へのサポートが不十分になる

  • 1on1が単なる業務進捗の確認にとどまる

  • エンゲージメントの低下を招く

この課題を突破するためには、1人の管理者が管理できる部下の人数や業務の範囲を確認し、目標設定やフィードバックの型を学ぶ育成プログラムを導入するなどの対策を講じることが大切です。

意思決定が遅延し停滞感が蔓延する

意思決定が経営陣に集中し、事業の停滞を招く状況も100人の壁に直面した企業に見られる特徴です。具体的には、判断すべき事案の数と複雑性が増すにもかかわらず、権限移譲のルールが未整備なため、現場は承認待ちで動けなくなるなどの状況を指します。

このような状況は、社員の当事者意識を削ぎ、「どうせ決まらない」という停滞感を組織に蔓延させるなどの悪影響につながります。

部門間の連携不足でサイロ化する

組織が成長するにつれて各部署が自部門の目標を優先し、他部署との連携が不足する「サイロ化」が生じる点も100人の壁の特徴です。サイロ化がひどくなると、全社的な視点が失われ、顧客への価値提供が不十分になります。

例えば、マーケティングと営業の間で顧客の質に関する認識がずれ、受注率が上がらないといった事態につながりかねません。特にリモートワークは、サイロ化による部門間の連携不足につながりやすい傾向があります。

採用や育成におけるミスマッチが起こる

事業拡大によって採用を急ぎ、ミスマッチの問題が深刻化する状況も、100人の壁における問題です。面接官によって評価基準が異なり、「カルチャーに合いそう」といった曖昧な理由で採用する企業は珍しくありません。

採用を急ぐと研修体制や現場での受け入れ態勢などの整備が追いつかず、「新入社員の戦力化が遅れる」「早期離職のリスクが高まる」などの問題が生じます。

評価や報酬に対する不公平感が生まれる

主観的な評価によって不公平感が募りやすい点も、100人の壁に悩む企業の特徴です。社員数が増えるほど、経営者が一人ひとりの状況を把握しづらくなるため、評価基準が曖昧なままだと、「なぜあの人が評価されるのか」と不満が募りやすくなります。

具体的には、「経営層と近い部署の社員ばかりが昇進する」「具体的なフィードバックがないと感じる社員が増える」などが、100人の壁による不公平感が蔓延した状況です。

重要な社員が離職する

これまで挙げた100人の壁の問題は、重要な社員の離職リスクを高めます。例えば、組織が停滞している、正当に評価されていないと感じると、退職を決意しやすくなるでしょう。

優秀な社員ほど、自身の市場価値を認識している、成長意欲が高い、という傾向があるためです。100人の壁でエース社員を失うことは、さらなる状況の悪化を招きます。

企業文化や理念が希薄化する

従業員が100名を超えると、創業時の価値観やビジョンが伝わりにくくなり、企業文化が希薄化します。会社の理念を把握していても、日々の業務で、どのように行動すべきかが分からないと、組織の一体感が失われやすいです。

安定的な関係を維持できる人数の上限は約150人とする「ダンバー数」が示すように、100人の壁によって企業文化や理念が希薄化するケースがある点をおさえておきましょう。

100人の壁をどう突破する?5つの組織改革

100人の壁を乗り越えるための施策は、以下のような体系的なアプローチが求められます。

  • ビジョン・バリューを再浸透させる

  • 事業戦略に合わせた組織を設計する

  • 権限委譲をルール化する

  • 透明性の高い評価・報酬制度を導入する

  • 採用とオンボーディングを仕組み化する

次のステージに進むために大切となる上記の組織改革について、見ていきましょう。

ビジョン・バリューを再浸透させる

100人の壁による理念の希薄化を防ぐためには、企業のビジョン・バリューを具体的な行動リストにする方法がおすすめです。

例えば、バリューが「顧客への貢献」なら、「すべての会議で決定事項が顧客に与える影響を議論する」といった行動をリストに記載します。そして、具体的な行動リストに記載されている行動をした社員を評価・称賛する仕組みを作ることで、ビジョン・バリューの再浸透が期待できます。

評価や1on1といった場でも繰り返し言及し、バリューを体現した行動を称賛する文化を意図的に醸成すると、企業のアイデンティティをより強固にできるでしょう。

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事業戦略に合わせた組織を設計する

100人の壁を乗り越えるためには、企業の成長フェーズに合わせて組織構造を改善する戦略が重要です。例えばプロダクトごとに責任者を置く事業部制組織へ移行して権限を委譲すると、市場への対応速度を高められます。

ただし全社一斉の組織変更は混乱を招くリスクが高いため、まずは一部門で試す「パイロット導入」から進める戦略がおすすめです。

権限委譲をルール化する

経営層に意思決定の権限が集中することによって100人の壁の問題が生じている場合、感覚的に「任せる」のではなく、ルールに基づいて権限を委譲する戦略がよいでしょう。例えば案件ごとに以下を定めるRAPIDフレームワークを取り入れれば、現場の担当者は「どこまで自分で決めてよいか」を迷わず、業務を進められます。

  • 提案者(R)

  • 同意者(A)

  • 実行者(P)

  • 情報提供者(I)

  • 最終決定者(D)

決定プロセスと結果を記録し、公開することで、組織の透明性と学習効果を高め、現場の自律的な成長を促すことも可能です。経営層に権限が集中している企業の場合、誰が何を決めるかを明確にする意思決定フレームワークの導入が有効です。

透明性の高い評価・報酬制度を導入する

100人の壁で悩む原因が評価基準の場合、以下を文書化し、全社員に公開する戦略を検討しましょう。

  • 等級

  • 役割定義

  • 評価基準

  • 報酬レンジなど

評価・報酬制度を明示すると、社員は自身のキャリアパスを具体的に描けます。

また、評価者間で基準のすり合わせをする「キャリブレーション会議」の導入も有効です。評価基準についての議論で、評価者によるブレを防げば、公平性と社員の納得感を高められます。

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採用とオンボーディングを仕組み化する

ミスマッチや早期離職で悩んでいる場合、採用や育成を仕組み化することで100人の壁を乗り越えましょう。

  • 事業計画に基づいた人員計画を立てる

  • 自社で活躍する人材の行動特性を定義する

  • 面接を標準化する

  • データを使って採用活動を進める

入社後に30日、60日、90日といった具体的な到達目標を設定したオンボーディングを実施すると、新入社員を計画的に育成でき、組織全体の成長を加速できます。

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100人の壁を乗り越える取り組みをするメリット

100人の壁を乗り越えるための組織改革は、以下のメリットを企業にもたらします。

メリット

詳細

業務スピードが向上する

仕組み化による適切な権限委譲により、経営者や管理者層の承認待ちが減る

エンゲージメントが高まる

透明性の高い評価制度や明確なキャリアパス制度を導入することで、社員は自身の貢献が正当に評価され、成長できると実感する

採用・育成効率が向上する

体系化された選考プロセスや手厚いオンボーディング体制により、優秀な人材を引きつけられる

100人の壁を乗り越えるための取り組みを進めると、上記のメリットを感じ、次のフェーズへ進めるでしょう。

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100人の壁を乗り越えるために直面するデメリット・注意点

「100人の壁」を乗り越えるための組織改革を進める際のデメリット・注意点は、以下の通りです。

デメリット・注意点

詳細

一時的な生産性の低下

新しい制度やツールの導入により、慣れない業務への適応に時間がかかる

統制リスクの増加

現場への権限委譲で、これまで経営層が担っていた意思決定の質やコンプライアンスに関する統制リスクが高まる

制度変更による混乱

新しい評価制度などの導入が、社員の不安につながり、現場の混乱を招く可能性がある

上記のデメリットを把握したうえで現状を把握し、適切な対策を講じると、スムーズに100人の壁を乗り越えられます。

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100人の壁以外の30人/50人/300人の壁とは

以下のように100人の壁以外にも、30人/50人/300人の壁があり、生じる問題や乗り越え方が異なります。

壁の種類

概要

直面する問題

乗り越えるための対策

30人の壁

社長一人が全社員を直接管理できる限界点

社長の承認待ちで業務が停滞し、トップダウン経営が機能しなくなる

社長が専任の経営者となり、最初のマネージャー層を任命・育成する

50人の壁

専門部署が生まれ、部門間の連携が難しくなるフェーズ

各部署が自部門の目標を優先し、コミュニケーションコストが増大する

全社会議や共通の目標管理手法を導入し、部門間の横の連携を促す

300人の壁

組織の階層が増え、大企業病の兆候が現れるフェーズ

ルールやプロセスが自己目的化し、意思決定が複雑化する

構築した仕組みを常に見直し、さらなる権限委譲や組織の活力を維持する仕組みを模索する

上記3つの壁について確認しておくと、これまでの壁で解消しておくべき課題が残っていないかを把握し、次に訪れる壁をスムーズに乗り越えられます。

100人の壁を乗り越えて次の成長ステージに進もう

100人の壁は、多くの成長企業が直面する重要な転換点であり、上手く乗り越えることでさらなる成長を遂げられます。まずは自社の現状を客観的に診断し、優先順位をつけて具体的な一歩を踏み出すことが重要です。

そして権限移譲のルール化や評価制度の透明化といった施策に取り組み、次のステージへと進みましょう。

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株式会社HRBrain 宮本幸輝
宮本 幸輝
  • 株式会社HRBrain コンサルティング事業部 組織・⼈事コンサルタント

大学卒業後、コンサルタント企業に入社し、大手家電メーカーや製薬企業に人材マネジメントや研修を提供。また50名〜500名規模企業への⼈事評価制度構築⽀援など組織開発領域を幅広く携わる。

その後、医療業界のネットベンチャー2社のジョイントベンチャーの立ち上げに携わり、自社組織の開発にも貢献。

総合経営コンサルティング会社に移り、50名の⽼舗企業からベンチャー企業、IT(2000名)規模の⼈事制度構築⽀援を複数経験。その他にも経営戦略コンサルや⼤⼿⽯油卸企業の店舗組織変⾰プロジェクトにも参画。

現在は、HRBrain コンサルティング事業部で組織人事コンサルタントとして活躍中。
人事戦略策定から人事評価制度コンサルティング領域まで年間約20社以上を支援する。

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