#人材管理
2023/09/12

スキル管理とは?目的や方法とスキルマップについて解説

目次

スキル管理とは、従業員が持つスキルをデータで一元管理し、一目見てわかるように可視化し、社内の情報として確認できるように管理する仕組みのことです。

スキル管理は、従業員のスキルを把握することができるため、「適切な人材配置」や「人材教育」「人事評価」「不足スキルの補充としての人材採用」に役立ちます。

このように、スキル管理は、企業の成長とコストパフォーマンスの向上に欠かせない活動と言えます。

この記事では、スキル管理の目的や、スキル管理の方法として、「タレントマネジメント」と「スキルマップの作成方法」について解説します。

スキル管理の方法

スキル管理とは?

スキル管理とは、従業員が持つスキルをデータで一元管理し、一目見てわかるように可視化し、社内の情報として確認できるように管理する仕組みのことです。

スキル管理を行うことで、「誰がどのスキルを持っているのか」が可視化され、従業員それぞれが持つスキルを把握できるため、人材を適切に配置することができます。

職務上必要となるスキルに対し、基準に達していない従業員に、研修を行うなどの「人材教育」や「人事評価」にも活用できます。

また、スキル管理によって洗いだされたスキルをもとに、企業が保有していない人材の補充や採用へと舵取りをすることもできます。

このように、スキル管理は、企業の成長とコストパフォーマンスの向上に欠かせない活動と言えるでしょう。

スキルとは?

スキルとは、主に「訓練」や「学習」によって会得した能力や技能のことを指します。

スキルには、業務を行ううえで必要な「専門知識」や「技術」「経験値」だけでなく、管理者に必要な「知識」や「ビジネススキル」なども含まれます。

また、他者と良好な関係を築くための「コミュニケーション能力」や「保有資格」なども、スキルに含まれます。

ポータブルスキルとは?

ポータブルスキル(portable skill)とは、日本語に訳すと「portable(持ち運びできる)」「skill(能力)」という意味です。

業務に必要な専門スキルや知識だけではなく、性格や人柄、コミュニケーション能力という個人スキル全般を指します。

ポータブルスキルの構成要素を、厚生労働省が提唱する情報をもとに解説すると、「仕事のし方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」においての9要素に分類されます。

ポータブルスキルの要素

仕事のしかた

  • 現状の把握:取り組むべき課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析のし方・課題の設定:事業、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題の設定のし方

  • 計画の立案:担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方

  • 課題の遂行:スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの障害の排除や高いプレッシャーの乗り越え方

  • 状況への対応:予期せぬ状況への対応や責任の取り方

人との関わり方

  • 社内対応:経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得のし方

  • 社外対応:顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成のし方

  • 上司対応:上司への報告や課題に対する改善に関する意見の述べ方

  • 部下マネジメント:ンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当てのし方

(参考)ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)

スキル管理はタレントマネジメントの一部

スキル管理はタレントマネジメントの一部です。

タレントマネジメントとは、自社の従業員が保有するスキルや能力を一元管理し、配置転換や人材育成といった人事戦略に反映させ、従業員のスキルやパフォーマンスを、最大限にいかすことを目的とした取り組みです。

スキル管理によって、可視化された従業員のスキルと、タレントマネジメントによって生み出されるパフォーマンスとをマッチングさせることで、従業員の能力と組織の成果を最大限に生み出すことができます。

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スキル管理の重要性

従業員のスキル管理を実施する重要性について確認してみましょう。

スキル管理の重要性

  • スキルの強みと弱みが把握できる

  • スキルの維持と管理ができる

  • 適切なスキルを持った人が探せる

  • 社内でのスキル継承ができる

  • 適切な人材配置が可能になる

スキルの強みと弱みが把握できる

従業員のスキルを可視化して、強みと弱みを把握することで、秀でたスキルを持つ人材の活かし方を戦略的に考えることや、足りないスキルを補強するための施策の実施を効率的に行えます。

また、所属する組織のスキルの総量が把握でき、部署に必要なスキルの保有者が少ない場合は、他部署からそのスキルを持つ従業員を異動させるなど、人材の再配置へ舵をきることもできます。

スキルの維持と管理ができる

スキル管理をすることで、スキルの管理とスキルを維持するための施策を打ち出すことが可能です。

スキルを維持するために、知識の更新が必要な場合は、研修などの施策を行うようにしましょう。

また、スキルをデータで一元管理できれば、従業員が異動をした際などに、データをシームレスに引継ぎ、管理することが可能です。

そのためにも個別のファイルでスキル管理をするのではなく、都度簡単にデータの更新ができるタレントマネジメントシステムを使用することがおすすめです。

適切なスキルを持った人が探せる

スキル管理をすることで、新しい部署を立ち上げる際や、新たなプロジェクトが発足した際に、スキルを選定基準として最適な人材配置を行うことが可能です。

また、社内で新しい業務が発生した際に、新たに人材を採用しなくても、従業員がすでに持っているスキルを適用できることがあります。

その際、スキル管理によってスキルが可視化されていれば、他部署から、異動させることも可能になります。

それだけでなく、特定のスキルに関して、社内で知見のある人材を見つけたり、アドバイスがほしいときにも役立ちます。

社内の人的リソースである人材を、スキル管理を通して、最大限活用するようにしましょう。

社内でのスキル継承ができる

スキル管理をすることで、継承すべき希少なスキルの発見をすることができます。

それらのスキルを早期に発見することで、次世代へと受け継ぐための施策を、いち早く行うことが可能です。

「定年退職」などで、今後失われる可能性があるスキルについては、事前に継承のための教育計画を組むことも大切です。

適切な人材配置が可能になる

スキル管理は、適切な人材配置を考える際にも、大変役立つツールです。

仮に、Aさんが経理と人事のスキル両方を持っているとします。

経理が一時的に人員不足に陥った際、新たに従業員を雇うのではなく、月末月初の忙しいタイミングだけAさんのスキルを活用し経理にヘルプに来てもらうことはできないか、というような検討が可能になります。

現在所属している部署にとらわれず、Aさんが保有しているスキルを眠ったままにせず活用するためにも、スキル管理は役立ちます。

このように、スキル管理で、従業員が保持するスキルを可視化することで、適切な人材配置ができるようになります。

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スキル管理に「スキルマップ」を活用する方法

スキル管理をする際に、「スキルマップ」を使用することで、スキルの可視化ができます。

スキルマップに欠かせない、スキルマップについて確認してみましょう。

スキルマップとは?

スキルマップとは、従業員の持つスキルを可視化するためのツールで、「技能マップ」「力量管理表」などとも呼ばれています。

業務に必要な知識、経験、資格などのスキルを洗い出し、従業員がどのレベルにまで達しているのかを一覧化したものを指します。

従業員ひとりひとりのスキルの強みと弱みが一目でわかるメリットがあります。

それだけでなく、部署全体を通して不足しているスキルの把握も可能です。

厚生労働省の「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード」で無料公開されているので、スキルマップとして活用してみてもいいでしょう。

一般的なスキルマップの形式としては、縦軸にスキルの分類とスキル、スキルの説明が並び、横軸には従業員ひとりひとりの名前を記載することが多いです。

また、職種・業種別に項目は異なります。部署に合ったものを用意することが必要です。

(参考)キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省

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スキルマップのテンプレート

スキルマップの作成に使用されるテンプレートには、厚生労働省の「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル」があります。

また、IT企業のスキルマップの作成の参考には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「情報システムユーザースキル標準(UISS)と関連資料のダウンロード」があります。

厚生労働省のスキルマップのテンプレート

スキルマップのテンプレートとして、厚生労働省の「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード」があります。

スキルマップのテンプレートの種類としては、職種別、業種別に分けてファイルが用意されています。

スキルマップのテンプレート「事務系職種」

  • 人事、人材開発、労務管理、生産管理、ロジスティクス

  • 経営情報、情報システム、営業、マーケティング、広告

  • 企業法務、総務、広報、経理、資金財務、経営管理分析、国際経営管理、貿易

スキルマップのテンプレート「業種別」

  • エステティック業

  • 警備業

  • 葬祭業

  • ディスプレイ業

  • 外食産業

  • フィットネス産業

  • 卸売業

  • 在宅介護業

  • スーパーマーケット業

  • 電気通信工事業

  • ホテル業

  • ビルメンテナンス業

  • アパレル業

  • ねじ製造業

  • 旅館業

  • ウェブ、コンテンツ制作業

(参考)キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省

情報システムユーザースキル標準

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「情報システムユーザースキル標準(UISS)と関連資料のダウンロード」では、IT企業や、ITを活用している自治体がスキルを身に着けられるよう、ITシステムにおける人材配置や育成のための指標を定義しています。

IT企業の場合は、上記を参考にスキルマップの作成が可能です。

(参考)情報システムユーザースキル標準(UISS)と関連資料のダウンロード

スキル管理の方法

実際にスキル管理を実施する際の方法について、スキル管理に不可欠な「スキルマップ」の作成や、運用方法の手順に沿って確認してみましょう。

スキル管理の方法

  • スキルマップの作成者の設定

  • スキルマップの項目の設定

  • スキルマップのレベル設定

  • スキルマップの評価者の設定

  • スキルマップの管理

  • スキルマップの更新

スキルマップの作成者の設定

スキルマップは一般的に、管理者である部署の上司が作成します。

上司が部下のスキルを把握し、評価します。

スキルマップの項目の設定

スキルマップの項目は、その部署の特性によって異なります。

部署の上司は、業務の流れや内容を考慮し、必要な項目を書き出しましょう。

重複や漏れのないよう記載することが必要です。

スキルマップのレベル設定

スキルマップのレベルをどのように設定するのか、評価段階を決定する必要があります。

評価段階は、必ずしも5段階が適切とは限りません。

あまりに大まかすぎると指標としては機能しませんし、細かすぎれば管理に支障をきたします。

抽象的なレベルではなく、「はじめたばかりでサポートが必要なレベル」なのか、それとも「ひとりで実践可能なレベル」なのか、もしくは「人に教えられるレベル」なのか、その職種に合ったレベルを設定することが大切です。

スキルの項目に関しても、適切なレベルを設定しましょう。

スキルマップの評価者の設定

スキルマップの評価者に、直属の上司だけではなく、他部署の上司を評価者に加えることで、見えにくかったスキルが明らかになる場合もあります。

多角的に評価できるよう、柔軟に評価者を指定するようにしましょう。

スキルマップの管理

スキルマップの管理には、評価をする部署の上司が定期的に更新し管理する方法があります。

スキルマップに担当者をつけて管理するのもひとつの方法です。

また、定期的に従業員自身がスキルマップを見返し、内容を更新して上司がチェックするというフローを作成する方法もあります。

スキルマップの更新

スキルマップは一度作成し、それで終わりではありません。

部署の業務内容が永久に変わらないことはありえませんし、時代の変化に合わせて更新する必要があります。

また、従業員がスキルアップをした際や、異動によって新たなスキルを習得した場合など、都度適切な修正が必要になります。

スキルマップには、定期的な見直しが必要ですが、時期を設定しないと更新されないまま放置、ということにもなりかねません。

スキル管理を人材配置に戦略的に活用するためには、常に最新の状態が保たれている必要があります。

スキルマップの更新を、人事査定のタイミングに紐づけるなど、記入するための動機づけを行うことや、リマインドをする仕組み作りが大切です。

スキルマップの管理や更新には、「タレントマネジメントシステム」を活用することもおすすめです。

スキル管理をすべき重要ポイント

スキル管理をすべきポイントについて確認してみましょう。

これらのポイントは、スキル管理の項目を設定する際にも、大切なポイントとなってきます。

スキル管理をすべきポイント

  • 業務上必要なスキル

  • 業務経験やキャリア

  • 資格

  • 研修履歴や教育状況

業務上必要なスキル

業務を遂行するにあたり、「業務上必要なスキル」についてスキルマップに記載しスキル管理する必要があります。

業務に必要な、専門的な技術や知識などが該当します。

業務経験やキャリア

従業員が過去に経験した業務やキャリアを、スキル管理で可視化する必要があります。

新卒で入社した従業員の場合は、在籍した部署で培ったスキルやプロジェクトで果たした役割、受講したセミナー、研修の履歴などを記載します。

中途入社の従業員の場合は、上記に加えて過去に経験した業務やスキルを記載しましょう。とくに転職を経験した従業員の場合は、前職の経験が他の部署で役立つ場合もあります。

その点を丁寧に反映できると人材活用の幅が広がります。

資格

スキル管理の際は、従業員が保有している資格についても把握しましょう。

また、資格を「いつ」取得したのか(取得年月日)、その有効期限や更新のタイミングなど、資格の期限についても失効しないよう管理する必要があります。

研修履歴や教育状況

従業員がどのような研修を受けたのか、その履歴の管理もスキル管理での重要なポイントです。

同じ内容の受講の重複を防ぎ、弱いスキルを底上げする研修を受講させるなどのフォローが可能になります。

外部のセミナーなどを受講した場合はレポートを提出してもらい、理解度をスキル管理に記載することもできます。

スキル管理において、重要なポイントについて紹介しましたが、業務上必要なスキル以外にも、ポータブルスキルに代表されるように、コミュニケーション能力などの項目を設定することもできます。

▼「人材データの活用」について詳しくはこちら
人材データの管理・活用に必要なこととは?基本から構築方法まで解説

▼「ヒューマンスキル」について詳しくはこちら
ヒューマンスキルとは?7つの構成要素とトレーニング方法まとめ

スキル管理の流れからスキルデータの活用まで

今日から始めるスキル管理〜スキルデータを活用して戦略人事を実現する方法とは〜

今日から始めるスキル管理〜スキルデータを活用して戦略人事を実現する方法〜

全ての従業員は、資格や経験、技能など何かしらのスキルを持っています。

従業員の持つスキルを可視化し、管理、活用することは、企業と従業員の双方に大きなメリットがあります。

「今日からはじめるスキル管理」と題して、スキル管理の流れから、スキル情報の具体的な活用事例などをご紹介します。

この資料で分かること

  • スキルの分類

  • スキル管理の重要性と活用例

  • スキル情報の使い方

スキル管理をタレントマネジメントシステムで実現

スキル管理を行うことで、戦略的に人材配置を行うことが可能になります。

さらに、スキル管理は、部署の新設や新規プロジェクトのための従業員のアサインなど、攻めの人材活用にも最適です。

また、従業員ごとのスキルや資格、研修履歴などの教育状況も一目見てわかるため、適切なフォローが可能になり、会社として従業員のスキルを最大限に活用するだけでなく、従業員の能力の底上げにも役立ちます。

従業員にとっても、スキル管理の導入は、自身の保有するスキルを正当に評価されているという納得感が得られ、モチベーションやエンゲージメントを高めることが可能です。

適切なスキル管理を実施し、人材管理を効率化するために、タレントマネジメントシステムの活用を検討してみるのも良いかもしれません。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

  • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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HR大学編集部
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