#人材管理
2023/05/30

セクショナリズムの原因と解決策。組織の生産性を高めるには

目次

    最近、社内で「DX推進」「ペーパーレス化」「電子申請」などの言葉を耳にしませんか?
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    セクショナリズムが社内に蔓延すると、業績不振や不祥事などの要因となります。セクショナリズムの発生を防ぐことが必要です。

    セクショナリズムや縦割り組織とは

    そもそもセクショナリズムや縦割り組織とはどういうものなのでしょうか。

    セクショナリズムとは組織内の割拠主義のこと

    セクショナリズムの基礎知識

    『セクショナリズム』は、英語の『sectionalism』に由来する言葉です。日本語では『部局割拠主義』と訳され、セクショナリズムは『派閥主義』や『縄張り意識』を生み出します。

    従業員が自分のチームや部署の利益や効率を優先し、他の部署に対して非協力的になっている状態ですが、例を挙げると以下のようなものがあります。

    ・営業側が開発側に相談せず、無理のある納期で取引先との契約を結ぶ。

    ・開発側が営業側の要求を全く飲まない

    自分の部署を最優先にしてしまい、部署間での縄張り意識が強く働いてしまっている状況では、情報のブラックボックス化や部署同士の軋轢を生むことが多々あります。企業にとっては無視できない問題です。

    セクショナリズムの対義語は?

    セクショナリズムの対義語は特にありませんが、対義語として用いられるのは「協力」「共同」「連携」などの言葉でしょうか。

    組織全体の利益や効率性のために部署やチームが協力しあう状態が理想です。この状況を体現するために、情報の可視化や共有、OKR などさまざまな施策に取り組んでいる企業は数多くあります。

    セクショナリズムを防ぎ、協力しあう体制を浸透させること。これが組織の目指すべき姿でしょう。

    セクショナリズムの種類

    セクショナリズムには、『無関心型・非協力的型』と『批判的・排他型』という二つの種類があり、どちらも組織にとってはありがたいものではありません。

    無関心型・非協力型セクショナリズム

    仕事の関心が自分の所属する組織にばかり向けられ、他組織への無関心さが非協力的な態度として出るのが『無関心型・非協力的型』のセクショナリズムです。

    他の部署やチームとの連携に非協力的で、責任のあるポジションにつくことを嫌います。現状に固執する傾向も強いので、新しい事業や取り組みにも消極的になり、不測の事態が起こった際に対処が遅くなるなどの問題が生じます。

    批判的・排他型セクショナリズム

    他の部署やチームに対する敵がい心が先行してしまうセクショナリズムです。

    成績でトップになるために、ライバル部署の排除や批判をするような行動としてあらわれますが、これが発生すると、競い合って成長すべき部署同士が足を引っ張り合ってしまい、互いの成長や利益、会社の利益をも損ねる状況に陥ってしまうのです。

    放置すると大問題や不祥事の原因になるので、早急な解決が必要です。

    セクショナリズムの弊害を知る

    セクショナリズムが組織内に蔓延すると、どのような被害が生まれるのでしょうか?

    部署間の連携を損ない軋轢を生む

    セクショナリズムが蔓延していると、部署間での交流が少なくなります。業務上重要な情報も共有しなくなるので、部署内で処理できない案件が発生した際、他部署との円滑なコミュニケーションができず、ビジネスチャンスをふいにしてしまうことも……。その損失やミスを他部署のせいにしてしまい、さらなる軋轢を生むこともあります。それを繰り返すと、部署同士の軋轢はますます深くなる悪循環。まさに最悪の事態ですね。

    生産性が低下する


    部署同士が対立していると、社員のモチベーションにも悪影響を及ぼし、心理的安全性が低くなります。パフォーマンスも落ち、生産性は大きく低下するでしょう。

    情報の共有化がされず、いつまでも古いやり方のまま、閉鎖されたコミュニティで仕事を進めていくことになれば、競合企業に追い抜かれて、顧客も失ってしまい……。ということにもなりかねません。こちらも最悪の事態です。

    心理的安全性については下記の記事も参考になります。

    心理的安全性が高い組織を作るには?測定方法や対策をチェック

    同調圧力によりメンタルヘルスが悪化する

    セクショナリズムによって、のびのびと仕事をしたり、意見を述べたりする場が失われます。そのような組織の中では、社員は周囲の顔色を常にうかがい、自分に与えられた以上の役割をこなすことはありません。

    他部署の悪口や不満ばかりが話題にのぼるようになり、社員のストレスは最大に。こんな状況では、離職率の上昇は避けられません。

    企業の信頼性に関わることも

    部署間の連携が滞れば、顧客や取引先への返信も曖昧になったり、滞ったり。会社の信頼はあっという間に地に落ちて、最悪の場合は社会問題に発展することも。

    排他型のセクショナリズムが蔓延していれば、他部署のミスをより大きくするように動く社員が現れるかもしれません。

    セクショナリズムが会社の不祥事につながった実例もあります。企業がこれまで築き上げてきた基板や信頼性を揺るがす事態につながりかねないセクショナリズム。いち早く解決すべき問題ですね。

    セクショナリズムが発生する原因

    セクショナリズムが発生すると、企業そのものよりも自分の部署を優先するという、通常ではありえない思想や風土が生まれます。なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか。

    部署内での仲間意識や縄張り意識

    会社の方針や、ある部署の新しい取り組みが他の部署の業務に影響を及ぼすことはよくあることですが、「あの部署のせいで自分たちの部署の負担が増えた」という歪んだ敵対意識がセクショナリズム発生の要因になることもあります。

    セクショナリズムによる過剰な仲間意識や縄張り意識は他部署を排除しようとする動きとなり、さらに視野が狭まった社員はチームよりも個人の利益を優先するようになってしまうのです。

    人事異動が少ない

    人事異動が行われない会社に勤めていると、他部署との交流がなく、社内の交友関係も狭くなりがちです。結果、他部署でどのような仕事が行われているのかがわからず、視野が狭くなってしまうことも……。

    専門性の高い仕事ではなかなか異動する機会はないかもしれませんが、セクショナリズムの発生を防止するためには、人事異動や部署間の交流を増やすことも大切です。

    人事制度や相対評価制度の影響

    近年、年功序列から成果主義に移行する企業が増えています。それに伴い、人事制度や相対評価制度を導入する企業も。

    成果主義には新入社員にチャンスが与えられるなどのメリットもあるのですが、部署ごとで業績を査定している企業では、他部署との対立をあおってしまう可能性があります。

    相対評価制度には評価がつけやすいメリットはあるものの、組織や人の対立をあおる側面もあります。評価の低い人間が多くなるほど自分の評価があがりやすくなるので、ノウハウや技術を独占し、コミュニケーションを取らない社員が増加する可能性があるのです。

    メリットもある制度ですので、デメリットになり得る側面を把握した上で導入するようにしましょう。部署間の交流など、セクショナリズム防止策も必要です。

    成果主義や相対評価については、下記の記事も参考になります。

    成果主義と能力主義の相違点を知る。概要や導入のポイントを解説

    相対評価と絶対評価の比較。両者の特徴と人事に求められること

    セクショナリズムの改善方法

    すでにセクショナリズムが発生している場合は、どのような改善施策が有効なのでしょうか?

    部署間にまたがった組織編成

    新しい組織やプロジェクトをつくる際、部署の枠組みにとらわれず、横断的な人事編成を行ってみるのはどうでしょう。営業や技術開発、事業部などのさまざまな専門性を持った人材をまとめたチームを編成します。

    さまざまな知識や視点を持った人間からの多角的な意見が出るようになります。専門的な内容を他部署に確認する回数も減り、業務連絡や作業の流れがスムーズになります。

    専門知識やノウハウを共有できるので、チーム全員の知見が広がることも期待できます。

    他部署との情報共有や交流の場をつくる

    部門やチームの壁を越えて、社員同士が交流できる『社内サークル』や『社内SNS』も、セクショナリズムを改善する手助けになります。

    所属部署を越えて交流できる場をつくり、社内のコミュニケーションが活性化すれば、縄張り意識が薄れ、他部署との連携もスムーズになり、新たなセクショナリズムも生まれにくくなります。

    ジョブ・ローテーション(人事異動)を増やす

    人事異動が少ない部署でセクショナリズムが生まれやすいのは、他部署の内情を知らず、偏った知識で仕事を進めているのが要因だと考えられます。ジョブ・ローテーションが増えることで、その解消が見込めるでしょう。

    社員にとっても、自分がそこで働くかもしれない部署といがみあうのはデメリットにしかなりませんから、他の部署と敵対することが自然と少なくなります。

    評価制度の改善

    近年、人事評価の基準や相対評価制度を見直す企業が増えています。

    海外では、Googleなどの大手企業が社員のランク付けを廃止したことが記憶に新しいでしょう。大手企業がこぞって社員のエンゲージメントを高める施策に力を注いでいるのです。

    日本でも、個人の能力を評価する絶対評価制度の導入や、部署ごとの軋轢を生み出す基準を改善することで、セクショナリズムを防ごうとする経営者が増えてきています。

    部署ごとのノルマ設定やランク付けはセクショナリズムを生み出しやすいため、長期的に見ればマイナスに働いてしまう可能性が大きいからです。

    セクショナリズムを解決した事例

    大手企業2社がセクショナリズムを解決した実例です。

    社内SNSを立ち上げた NTTデータ

    NTTデータは、2006年にセクショナリズムの解消を目指し、招待制の社内SNS『Nexti』を立ち上げました。

    『Nexti』はあっという間に広がり、稼働から2日で500人、1週間で1000人の社員が参加しました。ピーク時には登録者数が1万人近くにのぼったと言います。

    Nextiには1000以上のコミュニティが存在し、部署の垣根を越えた交流の場をもたらしました。社長を筆頭に上役や管理職も次々に参加し、直接管理職の人間に意見を言えるようになったのも、参加者が増えた要因と言われています。

    この画期的試みはテレビや雑誌、新聞など多くのメディアに絶賛されました。2019年3月に閉鎖するまで、13年以上もの間、社内から愛され続けたサービスです。

    繋がりを可視化したシャープ株式会社

    日本の大手家電メーカーであるシャープは、2016年3月、生産性や組織の制約を事業部全体で特定するセッションを行いました。その結果、『戦略と戦術のつながりが足りていない』という問題点を発見しました。

    この問題を解決するため、シャープは戦略と戦術のつながりを可視化する『S&Tツリー』を作成・共有し、部署を越えた情報共有を行いやすい体制を築きました。

    フラットな組織管理 ホラクラシーとは

    ホラクラシーは、一般的な管理制度とはかなり異なる組織管理手法です。

    ヒエラルキー型組織との違い

    一般的に、企業では、経営者・管理職・末端の社員から構成される階層組織『ヒエラルキー』を用いています。ホラクラシーは、このヒエラルキー型の組織とは対極に位置する組織管理の手法として知られています。

    ホラクラシーで与えられるのは、『役職』ではなく『役割』です。役職などの肩書きを用いず、全員がフラットな立場で仕事に取り組むための組織構成です。

    チーム内には、マネージャーやリーダー、管理職は存在しません。会社に属する社員全員が、組織運営に対して発言権を持っています。

    ホラクラシーの持つ特性

    従来の組織管理手法とはあまりにかけ離れたホラクラシーですが、メリットとデメリットを以下にあげます。

    メリット

    意思決定をするために上司や幹部に対してうかがいを立てることがないため、スピーディーに物事が運ぶのが大きなメリットです。

    全員に同じ発言力が与えられているため、提案やコミュニケーションが活性化されるのも、ホラクラシーの持つメリットの一つです。

    デメリット

    管理者やマネージャーが存在しないので、社員一人一人がしっかりと仕事に対して責任を負う必要があります。突発的なトラブルやイレギュラーな問題のときに指揮をする人間がいないため、対処が難しいこともあるでしょう。

    ホラクラシーの運用

    あらかじめ、しっかりとルールを決めておく必要があります。このルールはホラクラシー制度において『ホラクラシー憲法』と呼ばれています。

    ホラクラシー憲法では、チーム内における役割の決め方やグループ化の仕組み、会議などの運営に関する仕組みや、ホラクラシー型に移行するための方法について、具体的に定めます。

    指揮をする管理者やマネージャーがいないため、突発的な問題に対処する方法を、前もって明確に定めておく必要があるのです。

    セクショナリズムの対策と予防を

    セクショナリズムはさまざまな問題を発生させます。その対策と予防について、しっかり学んでおくことが必要です。

    セクショナリズムを解決する評価制度

    評価制度を見直すことはセクショナリズムの改善方法の一つです。「HRBrain」では、評価制度における業界ごとの勝ちパターンをスピード導入することが可能です。また、専任のカスタマーサクセスへの相談も無償のため、自社に合った評価制度への見直しを実現します。

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    HR大学編集部
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