
サーベイスコア30ポイント上昇も!日本発条が取り組む、関係の質改善を起点とした組織改善PDCAサイクルとは
日本発条株式会社 企画管理本部 人事部 主査
小田切 優太 様
日本発条株式会社 企画管理本部 人事部 主査
小幡 順子 様
- 製造・メーカー
- 1001名~
- 従業員エンゲージメントを向上させたい
- 組織の課題把握・分析がしたい
- 組織診断サーベイ
HRBrain導入開始:2022年09月01日
サーベイスコア30ポイント上昇も!日本発条が取り組む、関係の質改善を起点とした組織改善PDCAサイクルとは
- 課題背景
- 「人を大切にする」という経営方針を掲げて取り組む中で、「働きがい」の向上が組織課題として浮上
- 従来の「満足度調査」は、具体的な課題の発見や対策が限定的で「やって終わり」となり、組織改善に繋がっていなかった
- 打ち手
- EX(従業員体験)に焦点をおき、分析とサポートが強みであるHRBrainの組織診断サーベイ「EX Intelligence」を導入
- サーベイの見方・結果を各部門に丁寧に共有し、結果をもとに部門自ら課題の分析、対策検討、実行するところまで定着をサポート
- 効果
- 組織改善のPDCAサイクルが社内で構築され定着
- 各部署がサーベイを自分ごとと捉え、改善を自発的に考えるポジティブサイクルに発展
- EXサーベイのスコアが10〜30ポイントも改善した部署が発生
- サーベイ起点で、経営企画部主導の企業理念や社訓、行動指針を体系的に見直すプロジェクトが発足
Q. 「日本発条」の事業内容を教えてください。
小田切様:
当社は、懸架ばね、自動車用シート、精密ばね、HDD(ハードディスクドライブ)用部品、そして半導体プロセス部品を含む産業機器など、多岐にわたる製品の製造販売を手掛ける、部品メーカーです。
事業は主に、自動車の乗り心地を支える「懸架ばね」事業、快適な車内空間を提供する「シート」事業、エンジンや駆動系に使われる「精密部品」事業、そして産業機械や情報通信分野を支える「産業機器」事業などで構成されており、「世の中になくてはならないキーパーツ」を作り、こうした事業をグローバルに展開しています。
過去最高益の裏で、以前から顕在化していた「働きがい」の課題。
Q. 直近の経営状況や、経営課題をご教示ください。
小田切様:
経営状況としては、2025年3月期の連結決算で売上高8,016億円を達成し、経常利益579億円と過去最高益を更新しました。これは、為替の円安効果に加え、HDD用部品や半導体関連部品などが好調に推移したことが主な要因です。
しかし、将来に向けた人的資本投資、DX投資、CN投資などにより固定費は増加傾向にあり、今期は増収減益を見込むなど、決して楽観視はしていません。
中期経営計画では、「社会へ貢献する」「ちゃんと買ってちゃんと造ってちゃんと売る」という基本方針のもと、サステナビリティ活動の推進や取引適正化の取り組みを進め、持続的な成長を目指しています。
Q. 3つの主要プロジェクトを推進するうえでの、組織上の課題を教えて下さい。
小田切様:
このような事業環境の中で、組織と人材に関する課題が明確になってきました。当社はグループ全体として「人を大切にする」という大きな経営方針を掲げています。これは短期的なものではなく、中長期的に継続する基本姿勢として、この方針の下で「安心安全」「働きやすさ」「働きがい」のある職場づくりを目指しています。
「安心安全」の面では、重い製品を扱う職場が多いため、多様な人材、例えば、力が強くない女性、身体に障がいのある方、体力が落ちてきたシニア層でも働きやすいよう「重筋作業の削減」にグループ全体で取り組んでいます。
「働きやすさ」の面でも、総労働時間の削減や、年間18日の有給休暇取得目標の設定、コアタイムを廃止したフレックスタイム制度の導入など、長年にわたって継続的に改善を進めてきました。
しかし、「働きがい」については、具体的な問題が顕在化していました。コロナ禍前後から、若手・中堅層の退職が増加し、「キャリアが積めない」「仕事にやりがいを感じない、楽しくない」といった声が多く聞かれました。また、定年間際のシニア層からは、引退を意識したモチベーションの低下も見られました。
将来が不透明な時代において、会社がその都度方針を柔軟に変えていく姿勢は、従業員にとっては不安材料となることもあります。会社の5年後、10年後の明確なビジョンが見えづらいことが、働きがいを感じにくい一因となっている可能性も考えられます。
複数の要因が考えられましたが、とにかく「働きがいの向上」が私たちの人事領域における重点課題の一つになりました。
「働きがいの向上」に取り組むにあたり、従来の組織課題の調査方法のままでは難しいと限界を感じたことも事実です。
以前は4年に1回ほどの頻度で「満足度調査」を実施してはいましたが、課題の要点を掴みきれず、「結局どこが課題なのか、どこに何の対策を打てばいいのか」と焦点がぼやけてしまっていました。
調査を実施しても、その結果を有効活用できず「やって終わり」の状態で、従業員の本質的な課題や期待を深く理解するには、このやり方では不十分だと考えていたのです。
Q. やって終わりの調査から脱却するために、なぜHRBrainを選ばれたのですか。
小田切様:
HRBrainに決めた理由は主に、機能とサポート体制です。
私たち人事部に与えられた使命は、サーベイを「やって終わり」にせず、その結果をしっかりと活用できるものを選ぶこと。その実現に向けて伴走してもらえるシステムやパートナーを探すために数社を比較検討していました。
担当の方の人柄に惹かれた部分も大きいですが、機能面でお話しすると、単なるエンゲージメントではなく、従業員体験、つまり「EX」に着目した調査であった点です。
これなら、より深く課題を掘り下げ、具体的な改善アクションにつなげられるだろうと感じました。また、クラウド型のシステムを選ぶ上では、開発スピードと顧客サービスも重視していました。人事関連のシステムは変化が速いので、時流を捉えた開発ができる体制かどうかは、とても重要なポイントでした。
そして、何より大きかったのが、導入後のサポート体制です。システムは導入してからが本番なので、長く付き合えるパートナーかどうかを重視していました。その点、HRBrainは導入後の伴走支援が非常に手厚いと感じました。
実は、昨年度の調査の準備段階で、当社のミスでデータを消してしまうというトラブルが発生したのですが、担当の方が早急に復旧作業にあたってくださいました。そういった大変な状況でも丁寧にご対応いただき、顧客対応としては「100点満点」と言えるほどの熱意で寄り添っていただきました。
日頃からざっくばらんに相談できる関係性も含め、信頼できるパートナーだと確信したのが最終的な決め手となって、HRBrainを選びました。

マネージャーの意識が変化し、サーベイスコアが劇的に向上。
Q. HRBrain導入後に取り組んだことを教えて下さい。
小田切様:
私も含め人事部のミッションは、単にシステムを導入するだけでなく、組織改善のPDCAサイクルを社内に構築し、定着させることでした。つまり、サーベイが「やりっぱなし」にならないための仕組みづくりですね。
初年度はかなりの時間をかけて、各部門にサーベイの見方から、結果を基に自ら課題を分析し、対策を考え、実行するところまで丁寧に説明をして回りました。
サーベイをきっかけにマネージャー層の意識も変わってきたと感じています。当社が掲げる「人を大切にする」とは具体的にどういうことか、という問いに対して、サーベイ結果が定量的な一つの答えを示してくれるため、マネージャーたちがそれを真摯に受け止め、具体的な行動に移し始めました。
例えば、部下のキャリア形成について真剣に考えたり、意識的にコミュニケーションの量を増やしたりするマネージャーが増えています。
Q. HRBRainの導入で「ここが変わった!」というポイントはありますか。
小田切様:
サーベイ結果が経営層にも浸透するようになりました。初年度のサーベイで企業理念に関するスコアが低いことが判明したのですが、それがきっかけとなり、経営企画部主導で企業理念や社訓、行動指針などを体系的に見直すプロジェクトが立ち上がっています。サーベイが起点となり、全社的な課題解決の取り組みを生み出している点は、HRBrainの導入による大きな変化だと言えます。
さらに、対策の実行状況を確認するための会議体を設け、良い取り組みがあれば部門間で共有できる仕組みも整えました。 そして、このサイクルを2~3回繰り返すうちに着実に現場にも定着し、今では各部門から「サーベイの件はどうなっているのか」「今年はいつやるのか」といった声が自然にあがるようになりました。従業員がサーベイを真剣に受け止め、改善を自発的に考えてくれる良い兆候が見られています。
小幡様:
他にも大きな成果がありました。昨年と比較してEXサーベイのスコアが劇的に向上した部署が複数あったのです。詳しく調査をすると、10ポイント以上、多いところでは、なんと30ポイントも改善した部署までありました。
成功の要因をヒアリングしたところ、特別なことをしたわけではなく、「声かけを多くした」「対話の機会を増やした」といった、基本的なコミュニケーションの活性化が主な理由であることがわかりました。
これは、マネージャーと部下との間の心理的安全性や帰属意識の向上といった、まさに私たちが目指している成果につながっており、組織全体の良好な雰囲気づくりにも大きく貢献しています。
今回の成功事例は、今年開催される発表会で成功した部署に直接話してもらう形で全社に共有する予定です。

EXサーベイ起点で、タレントマネジメントのPDCAサイクル構築へ
Q. 今後の展望として、HRBrainのサービスを活用してどのようなことを実現していきたいとお考えですか。
小田切様:
これまでは現場主導の組織改善活動が中心でしたが、次のステージとして、今後は人事部が主導し、より全社的な視点での施策を強化していく必要があると考えます。自組織だけでは解決しきれない、会社としての仕組みやインフラを整えることに、よりパワーを割いていきたいと考えています。
先日も経営企画部と議論したのですが、特にキャリア形成の部分では、人事制度だけでなく、より効果的な人材のマネジメントが不可欠であるという話になりました。
例えば、現状では部署間の異動はあるものの、本部という大きな組織単位におけるSBU間の異動が少なく、より積極的な人材ローテーションを促進できる環境が必要だと考えていますが、具体策として、短期的な社内留学制度の導入、ローテーションモデルの構築、社内公募制度の活性化といった具体的なアイデアも出てきています。
これらはすべて、自組織だけでは解決しきれない、会社全体で取り組むべき仕組みや施策だと考えています。
小幡様:
最終的には、EXサーベイの結果から抽出された課題をもとに、配置、育成、異動といった施策を連動させ、一連のタレントマネジメントサイクルを人事部が主導して構築していきたいと考えています。
そこが現在、最も整備できていない部分であり、このサイクルの確立こそが、今後の大きな目標です。加えて、実施後は再びサーベイを通じて従業員の意識の変化を把握し、継続的な改善につなげていきたいですね。
今年度は、新たなチャレンジとして、マネージャーだけでなく、組合員のメンバーにも「自分たちの組織をより働きやすくするための施策」を考えてもらうといった、ボトムアップのアプローチも現在検討しています。
Q. 最後に、組織改善にお悩みの他社のご担当者様へ、メッセージがあればお願いします。
小田切様:
私たちもまだ手探りで組織改善に取り組んでいる最中ですが、最も重要なことは、サーベイを「やって終わり」にしないことだと感じています。結果を確実に次へとつなげ、組織改善のPDCAサイクルを回すための仕組みを、自社に合わせて丁寧に設計することが不可欠だと考えています。
また、自社だけで全てのアイデアを出すには限界があります。他社との交流機会を設け、それぞれの企業がどのように取り組んでいるのか、どのような課題に直面しているのかといった情報を共有することで、視野が広がり、新たなヒントが得られることも多いと思います。
同じ悩みを共有し、情報交換できる場を積極的に活用することもお勧めします。
当社も含め組織改善には終わりはありません。これからもHRBrainに伴走してもらいながら、その都度やるべきことや全社としての理想の姿を考え、行動し続けていきたいと思います。
※掲載内容は、取材当時の2025年6月時点のものです。














