#人事評価
2025/10/10

SMARTの法則を活用した目標設定とは?手順やポイント、発展形を解説

人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート

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「目標を立てても達成できない」「上司の認識とずれている」とお悩みの場合、SMARTを活用した目標設定で改善できるかもしれません。SMARTの法則を活かすと現実的な目標設定ができ、成果を出すための具体的な行動につなげやすくなります。

そこで今回は、SMARTの法則の詳細や、目標設定の具体的な手順などを詳しく解説します。精度の高い目標を立てることで、組織全体のパフォーマンスを向上させるため、SMARTによる目標設定について見ていきましょう。

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目標設定におけるSMARTの法則とは

SMARTの法則は成果につなげ、評価者との認識のズレを防ぐための目標設定フレームワークで、以下の5つの要素で構成されます。

要素

概要

S (Specific)

誰が読んでも同じように理解できるよう、目標を具体的かつ明確に記述する。曖昧な表現を避け、「誰が」「何を」「どこで」を明確にする。

M (Measurable)

目標の達成度を客観的に判断できるよう、数値で表し、測定可能な指標で設定する。結果だけでなく、プロセスを管理する指標も併記するとよい。

A (Achievable)

目標が現実的に達成可能であること。必要なリソースや潜在的なリスクを明記することで、実現可能性を論理的に示す。

R (Relevant)

個人の目標が、組織やチームの目標と関連していること。自身の業務が会社のどの戦略に貢献するのかを明確にする。

T (Time-bound)

目標に明確な最終期限と、そこに至るまでの中間マイルストーンを設定する。計画的な行動を促し、進捗を管理する。

上記の要素を満たすと目標の曖昧さ、評価者との認識のズレを改善し、日々の業務を成果につなげやすくなります。

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SMARTで目標設定をするメリット

SMARTの法則で目標設定をするメリットは、以下の3つです。

メリット

詳細

日々の行動が具体化し実行に移しやすくなる

抽象的な目標をS(Specific)とT(Time-bound)によって、具体的なタスクに分解することで、ゴールから逆算して「今何をすべきか」が明確になる。

適切な評価につながる

M(Measurable)によって、誰が見ても客観的に達成度を判断できる共通の基準を作り、主観や印象に左右されない公平な評価が実現する。

モチベーションを高く保ちやすくなる

R(Relevant)で組織への貢献を実感し、M(Measurable)で日々の進捗を可視化することで、達成感と自己成長を実感でき、モチベーションを高く保ちやすくなる。

上記のように目標設定をすると、日々の行動を具体的なタスクに落とし込み、実行力を高められます。客観的な評価と納得感を生み、自分の仕事への貢献実感を促すため、モチベーション維持にもつながるでしょう。

SMARTで目標設定をするデメリット

SMARTで目標設定をする際のデメリットは、以下をご覧ください。

デメリット・注意点

詳細

無難な目標を設定しがち

A(Achievable)を意識しすぎるあまり、失敗を恐れて挑戦的な目標を避ける傾向がある。

柔軟性を欠きやすい

当初の目標が市場環境や戦略の急な変化に対応できないことがある。

創造性を求めるタスク評価に向いていない

M (Measurable)とT (Time-bound)が不確実性の高いタスクに馴染まず、たとえば研究開発や新規事業開発に対する目標設定が低くなりやすい。

SMARTでの目標設定は強力な反面、挑戦意欲の低下や柔軟性の欠如を招く可能性がある点をおさえておきましょう。

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SMARTで目標設定を行う具体的な手順

SMARTの法則で目標設定をする手順は、以下の通りです。

  1. これまでの目標を確認する
  2. これから設定する目標を具体的にする
  3. 測定可能な目標を立てる
  4. 設定した目標が達成可能か確認する
  5. 期限を設定する

目標設定の時間短縮・質の向上につなげるため、5つの手順を詳しく見ていきましょう。

1.これまでの目標を確認する

新しい目標を設定する前に、過去の目標設定シートを見返し、同じ失敗を繰り返さないことが重要です。

「強化」や「貢献」といった抽象的な言葉を避け、具体性や測定可能性が欠けている点を特定すると、次に何を改善すべきかが明確になります。

2.これから設定する目標を具体的にする

過去の反省を踏まえ、以下の点からS(Specific)の観点で目標を具体化しましょう。

  • 誰がするのか

  • 何をするのか

  • なぜするのか

  • どこまでするのか

目標の具体性は、後に続く測定可能性や達成可能性を左右する重要な要素であるため、背景を知らない第三者にも伝わる、具体的な文章にすることをおすすめします。

たとえば、「マーケティングを強化する」という目標の場合、「SaaS製品Aの新規MQL獲得を目的に、製造業向けウェビナーを企画から実施してリードを登録する」のように具体化しましょう。

3.測定可能な目標を立てる

次は具体化した行動目標に対し、「何をもって成功とするか」を客観的な数値で定義するM(Measurable:測定可能性)のステップです。

数値による測定基準は、目標達成の進捗を可視化し、評価の客観性を確保するために設定します。具体的には、「月間MQL数20件を四半期で合計120件まで増加させる」のように設定するとよいでしょう。

測定方法や頻度、データソースを明確にすると計測の解釈で迷う事態を防ぎ、期末評価をスムーズに進められます。

4.設定した目標が達成可能か確認する

設定した数値目標が、現実的なリソースや制約の中で達成可能(Achievable)であり、かつ組織の目標と関連している(Relevant)かを検証します。

たとえば、「目標達成に必要な予算や他部署の協力が得られるかを確認し、その目標がチームや組織の目標にどう貢献するのかを明確にする」などです。

上司や関係部署と連携をとって必要なサポートを事前に依頼しておくと、目標達成に向けた協力を得やすくなります。

5.期限を設定する

最後のステップでは、最終的な目標達成日を定め、逆算して主要工程ごとに中間期限(マイルストーン)を設定しましょう。中間期限はプロジェクト全体のペースメーカーとなり、進捗の遅れを早期に発見し、計画的な軌道修正を可能にします。

具体的には、「9月30日までにMQL120件獲得」という最終期限に対し、「7月15日:企画書承認」「8月15日:集客用LPと広告クリエイティブ完成」など、具体的な日付を設定しましょう。これにより、目標が日々の業務に組み込まれ、具体的なアクションプランを建てられます。

SMARTの活用で目標達成率を上げるためのポイント

SMARTの活用で目標達成率を上げるための主なポイントは、以下の通りです。

  • 週次レビューで進捗や課題を共有して改善を図る

  • 評価面談に備えて記録を残す

  • 期末レビューで学びを言語化して今後に生かす

次の項目から、質の高い目標設定を日々の業務に活かすための方法を見ていきましょう。

週次レビューで進捗や課題を共有して改善を図る

SMART目標の達成率を上げるため、週に一度の1on1ミーティングなどで上司と以下の3点を共有しましょう。

  • 進捗

  • 課題

  • 次のアクション

年に数回の評価面談で進捗を確認すると、問題への対処が遅れがちになるため、「新規商談設定数が目標を下回ったので、来週はリストを改善する」などの短期的な目標を決めて、早く軌道修正をしましょう。

評価面談に備えて記録を残す

期末の評価面談で主観に頼らないため、目標達成に向けた自身の行動や成果の記録を日頃から意識的に残すことが重要です。

具体的には、以下のような客観的な記録があれば、評価面談で事実に基づいて貢献度を説明でき、評価の納得感が高まります。

記録内容

詳細

行動の証拠

・議事録
・企画書など

成果の証拠

・指標のスクリーンショット
・顧客からの感謝メールなど

週次レビューの後に5分の時間を作り、その週の活動に関する記録を整理するとよいでしょう。

期末レビューで学びを言語化して今後に生かす

評価期間の終わりに実施する期末レビューは、単なる評価確認の場ではなく、目標達成から得られた「学び」を言語化し、次期の目標設定に活かすチャンスです。

成功・失敗にかかわらず、そのプロセスから得られる学びを具体的な言葉にすれば、再現性の高い資産となります。

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SMARTによる目標設定の活用例

SMARTの目標設定を人事領域に活用した具体例を、以下にまとめます。

状況

よいSMART目標例

ポイント

採用

新規事業部のプロダクトマネージャー職を、12月15日までに3名採用する。スカウト返信率10%を維持し、一次面接から二次への移行率50%を目標とする。

人数・期日・職種を明確化し、プロセス指標(返信率、移行率)の設定で、ボトルネックを特定可能にする。

人事

3月15日までに、従業員サーベイの「現部署での成長実感」項目スコアを、現状から0.2点に引き上げる。

測りにくい満足度を定量化する。

育成

次世代リーダー候補20名を対象に研修を実施し、研修3ヶ月後の360度評価で「計画遂行力」のスコアを平均0.5ポイント向上させる。

スコア向上という効果に焦点を当て、測定可能にする。


SMARTでの目標設定で最終的な成果に焦点を当て、抽象的な概念を具体化することで客観的に評価していきましょう。

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SMARTの目標設定を発展させたフレームワーク3選

SMARTの目標設定を発展させた応用的なフレームワークは、以下の通りです。

フレームワーク

特徴

概要

SMARTER

Evaluate(評価)とReadjust(再調整)を追加し、運用フェーズを強化する。

目標を定期的に見直し、変化に早く対応するためのフレームワーク。

SMARTTA

Trackable(追跡可能)とAgreed(合意済み)を追加し、進捗管理と合意形成を重視する。

目標の進捗を「いつ」「どこで」確認するかを具体化し、上司と部下が目標内容に合意するプロセスを入れることで、実行力と納得感を高める。

SMARRT

Achievable(達成可能)をAmbitious(野心的)に捉え直し、Resources(資源)の観点を追加する。

挑戦的な高い目標を設定し、その達成に必要な追加資源(人、予算など)を明確にすることで、現実的な計画に基づいた成長を促す。

上記3つのフレームワークを使って、SMARTより目標設定の質を高められないか検討しましょう。

人事評価の効率化にはタレントマネジメントシステムがおすすめ

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SMARTの法則を組織全体で運用し、目標設定から評価までを効率化したい場合、タレントマネジメントシステムの導入をおすすめします。その理由は、ExcelやWordでの手動管理では、進捗管理や評価基準の統一が難しいためです。

HRBrain タレントマネジメントは、目標設定のテンプレート化や進捗のリアルタイム可視化、評価プロセスのワークフロー化といった機能があります。

「SMARTの考え方を組織に定着させたい」「評価管理のコスト削減やコミュニケーションの齟齬をなくしたい」という方は、以下のページでHRBrain タレントマネジメントの詳細をチェックしてみましょう。

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株式会社HRBrain 中野 太朗
中野 太朗
  • ISO30414リードコンサルタント/アセッサー

  • ビジネス統括本部 エンタープライズセールス

新卒で大手総合人材サービス会社にて新卒採用のコンサルティング営業に従事し、スタートアップ〜ナショナルクライアントまで数百社を担当。2023年にHRBrainに入社。上場企業中心に組織診断サーベイ、タレントマネジメント等を提案。

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