#人材育成
2024/02/27

アクティブラーニングとは?実際に使える手法や導入事例を解説!

目次

    学校の授業や企業の研修に取り入れられているアクティブラーニングとは学習する側が主体的に学べる技法で文部科学省も推進しています。いま注目されている背景や効果、様々な手法、導入する際のポイントについて事例を交えて簡単に解説します。

    アクティブラーニングとは

    アクティブラーニングとは

    まずは、アクティブラーニングとは何かを分かりやすく解説します。

    アクティブラーニングとは何か(言葉の意味など) 

    アクティブラーニングとは、研修を受ける者が自ら能動的に研修に参加することにより、学習効果が飛躍的に高まる研修手法の1つです。

    • アクティブラーニングは知識伝達型ではない

    学校の授業を思い出してみてください。黒板の前に先生がいて、その先生が大勢の生徒に向かって教科書の内容を一方的に説明する、というスタイルが多かったのではないかと思います。このような学習方法は知識伝達型といわれ、インプットが中心です。インプットが中心になると、学ぶ側の生徒は先生の話を受動的に聞いているだけになりがちです。

    • アクティブラーニングには能動的に学ぶための要素や手法が含まれている

    アクティブラーニングでは、1つの課題(テーマ)が与えられます。その課題を解決するために、グループワークやディスカッション、フィールドワークを行います。これらを通じて受講者自身が背景を調べたり、何が重要かを考えたり、まとめや発表を行います。与えられた課題を解決することから学びを得ることが大きな特徴です。

    アクティブラーニングが注目されている背景(文部科学省が推進する理由)

    アクティブラーニングでは、これまでの先生や指導者が中心であった学習方法に対して、学ぶ者(受講者)が中心となり、能動的に学習に参加することができます。以下にその理由をご説明します。

    • アクティブラーニングは学習定着率が高い

    学習した後に、学習したことがどれだけ定着しているかを表すラーニングピラミッドというものがあります。それによると、従来のインプット中心の学習方法(講義など)は定着率が最も低くなっています。反対に、グループワークや自分が体験したこと、また、他人に教えることは定着率が高いものと位置づけられています。

    • アクティブラーニングは主体性や創造性を養うことができる

    アクティブラーニングではフィールドワークを行うことが多いです。そこで何かを調べたり発見したりすることにより、研修の受講者の主体性を促すことができます。また、話し合う際に自分の意見をもつ必要があります。さらに、自分と異なる意見に出会ったり、これまで思いつかなかった視点を得たりすることができます。これにより新たな発想を創造することができます。研修の講師は、受講者の主体性や創造性が発揮されるよう、議論にブレインストーミングを導入したり、ファシリテーター役に徹するといった工夫が必要です。

    ▼「ブレインストーミング」についてさらに詳しく
    ブレインストーミング(ブレスト)とは?意味とやり方やルールについて解説

    人材育成にアクティブラーニングを取り入れるメリット 

    アクティブラーニングは指導者が「何を教えるか」「何を伝えるか」ではなく、受講者が主役となって「どのように学ぶか」「何を得たのか」に注目する学習手法です。そのメリットは大きく分けて2つあります。

    • 深い学びが得られる

    アクティブラーニングは従来のインプット中心の学習とは異なり、新たな知識をただ覚えるだけではありません。自身がすでに持っている知識や体験とデータを結びつけて考えることが必要です。また、他の受講者と話し合うことにより、これまで気付かなかった視点を得られたり、自分の考えを整理したりすることができます。こうしてインプット中心では得られなかった深い学びを得ることができるのです。

    • 社会人基礎力が身につく

    アクティブラーニングではフィールドワークやグループワーク、ディスカッションを行います。これらは問題解決力や他者と協働する力、人間関係能力を養うことに繋がります。これらの能力は従来型の学習手法では身につかなかった能力です。

    アクティブラーニングの手法

    アクティブラーニングの手法

    次に、アクティブラーニングの代表的な手法をカンタンに解説いたします。

    ケースメソッド

    ケースメソッドとは、実際の事例(ケース)を元にして、社会が抱える課題や企業・人物の悩みを解決するプロセスです。事例には悩みや問題を抱える主人公が出てきます。その主人公が抱える悩みや立場を十分に理解し、受講者は「もし自分が主人公と同じ状況だったらならば、どのように判断して行動するか」を考えます。そしてその意見をグループで発表したり、意見に対する質問に答えたり、他の受講者の意見を聞いたりします。これらのプロセスにより、自分一人では思いつかなかった視点や考え方に気づくことができます。

    フィールドリサーチ

    フィールドリサーチとは、受講者が問題が発生している場所や興味がある現場へ実際に出向き、情報収集や分析を行って問題解決を行うプロセスです。現場へ出向くことにより、資料やインターネット上で調べているだけでは分からなかった事実や視点を見つけることができます。

    ジグソー法

    ジグソー法とは、問いに対するヒントをあえて分解して別々のメンバーに提示し、各自がそれを持ち寄って答えを導き出すというプロセスです。バラバラのヒント(知識)が1ヶ所に集まる様子がまるでジグソーパズルに似ていることからジグソー法と名づけられました。次の3つのステップで進めていきます。

    • エキスパート活動ジグソー法

    ではまず、エキスパート活動を行います。メンバーをそれぞれの専門性に応じてグループ分けをします。講師は各グループに対して異なるヒントを与えます。各グループではそのヒントに基づき専門性をもって議論し答えを検討します。

    • ジグソー活動

    次に、最初に作ったグループを解体し別のメンバーでグループを作ります。つまり、別々のヒントを持ったメンバーにより新しいグループが構成されます。そこで最初のグループの検討内容を持ち寄って答えを再度検討します。

    • クロストーク活動

    最後に、グループで再検討して導き出した答えをグループ毎に発表します。発表にあたっては誰でも質問することができ、議論の内容をより深めることができます。これら3つのステップにより、自分で考える力、他人の考えを理解する力、問題解決力、他者と協働する力(チームワーク)などを養うことができます。

    ラウンドロビン

    ラウンドロビンは、1つの課題に対して次々とアイデアや意見を出し合っていくプロセスです。その際、途中で質問や議論をしたりせずに、あらかじめ決めておいた順番に従って次々と発言していく(ラウンドする)ことが特徴です。必ず自分の順番が回ってくるので、発言の機会が平等になります。

    アクティブラーニングを研修に活かすためのポイント

    アクティブラーニングの実践方法

    ここまでアクティブラーニングの意味と手法について説明してきました。それでは実際に研修を行う場合のポイントを見ていきましょう。

    発言しやすい雰囲気を作る 

    これはアクティブラーニングを行う上で最も重要なポイントです。アクティブラーニングでは数多くのグループワークやディスカッションを行います。そのときに受講者が発言しにくい雰囲気があると全く盛り上がりません。そこで、受講者同士が発言したり質問したりしやすいよう、研修の最初に雰囲気づくりを行うことが大切です。具体的には、アイスブレイクを行います。受講者に単なる自己紹介ではなく、短い時間のゲームを行わせたり、メンバーが交流できるような小さなイベントを用意するのです。これにより受講者は発言しやすいと感じることができます。

    研修の目的やゴールを明確にする

    アクティブラーニングは「何を学ぶか」よりも「どのように学ぶか」を重視した受講者中心の学習手法です。とはいえ、「グループディスカッションはとても盛り上がったけれど、結局、問題は全く解決していない」なんてことになっては、元も子もありません。研修の最初に、ある程度のゴール(到達点)を伝え、最後に振り返ることで意味のある学びが得られたかどうか検証する必要があります。

    業務に活かせる仕組みづくりを行う

    研修はえてして、その場限りで終わってしまうことがあります。「研修では一応答えが出たけど、現場では全然違うよな」「研修は研修で形だけ、現実は従来どおり」なんてことになれば、学習効果は全くありません。アクティブラーニングで取り上げる事例を現実に近いものにしたり、意見を発表するときに本音かどうかを講師が見極める注意が必要です。また、研修のまとめの段階で、研修で得た気づきや学びを実務や業務に今後どのように活かすかを明確にしておくことも重要です。このとき、数の多さを求める必要はありません。極端に言えば1つの研修で1つの学びがあれば充分です。もちろん、学びが多ければそれに越したことはありませんが、学びの数よりも実務へ活かすことの方がより重要です。

    アクティブラーニングを導入している企業事例

    アクティブラーニングの事例

    最後に、アクティブラーニングを実際に導入している企業の事例を見てみましょう。

    事例1:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

    キヤノンは、カメラや半導体を製造する大手精密機器メーカーです。

    ・経営人材は「経営塾」と「LEAD Program」により育成代表取締役が塾長を務める「経営塾」は事業部長クラスを対象に開催され、政治・経済・科学技術等のエキスパートを講師に迎えています。「LEAD Program」はリーダー候補者を対象に、リーダシップ、戦略立案力および実践力の強化を図るプログラムです。この中で事業計画の立案と検証をアクティブラーニングにより実践しています。

    (※参考)キヤノン:「人材育成・自己成長支援

    事例2:住友商事株式会社

    住友商事株式会社は、金属、輸送機、インフラ等の多様な事業分野において世界規模での販売・投資を展開しています。

    ・企業内大学「住友商事ビジネスカレッジ(SBC)」
    年間延べ320の講座に上るOFF-JTを開催し、業務上の知識・スキルをカバーしています。

    ・経営人材は選抜型プログラム
    「事業経営者養成塾」や「リーダー養成塾」では、選抜された各階層のリーダーが自身のマネジメントスタイルや経営リテラシーを磨くため、グループワークやビジネスプランの発表などを行っています。

    (※参考)住友商事株式会社:「人材の育成

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    HR大学編集部
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