キャリア面談とは?成功させるポイントや準備と進め方を解説
人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート
- キャリア面談とは
- キャリア面談とは従業員とキャリア目標や課題を話し合う場
- キャリア面談と評価面談の違い
- キャリア面談が必要な3つの背景
- キャリア自律が重視されている
- 多様な人材育成が求められている
- ミドルシニア従業員の活躍が求められている
- キャリア面談の3つの目的
- キャリア目標と課題を明確にする
- キャリア形成の支援をする
- 適切な人材配置と評価をする
- キャリア面談で得られる5つの効果
- 従業員の自律性とモチベーションが高まる
- 自身の強みや課題を明確にできる
- キャリアの選択肢が広がる
- 会社からの期待を理解しやすくなる
- 満足度の向上や生産性の改善につながる
- キャリア面談の準備と進め方
- キャリアシートなどを活用して事前準備をする
- キャリア面談当日の進め方
- キャリア面談後のフォローアップ方法
- 面談内容を振り返り支援策を検討する
- 目標達成に向けた進捗を定期的に確認する
- キャリア面談を成功させるポイント
- 本音を引き出すために傾聴する
- 強みや実績に注目し前向きな対話を意識する
- 目標や課題が明確化したら自身で解決策を考えてもらう
- 上司自身もキャリア支援の意識とスキルを持つ
- キャリア面談で従業員の成長を支援し組織力を高めよう
キャリア面談は、部下の成長支援や組織の人材育成に欠かせない取り組みです。しかし、1on1との違いがわからなかったり、話すべき内容が定まっていなかったりすると、意味のない面談になりがちです。
この記事では、キャリア面談の目的や1on1との違い、準備と進め方や成功させるポイントまで解説します。
実践的なノウハウを知ることで、キャリア面談をやるべき業務から人材育成の機会へと転換できるはずです。
キャリア面談とは
キャリア面談の意味や本質的な目的と、混同されがちな他の面談との明確な違いについて解説します。自信を持ってキャリア面談に臨むための知識を理解していきましょう。
キャリア面談とは従業員とキャリア目標や課題を話し合う場
キャリア面談とは、従業員とキャリア形成について話し、目標や課題を設定する面談です。会社が一方的にキャリアパスを指示する場ではなく、主体的に取り組めるキャリア自律を促す対話になります。
終身雇用が過去のものとなり、ビジネスや社会の変化が激しい現代において、企業が画一的なキャリアパスを提示することは困難になりました。従業員の価値観も多様化しており、個人の「Will(やりたいこと)」と会社の「Must(やるべきこと)」をすり合わせ、エンゲージメントを高めるプロセスが不可欠です。
たとえば、「3年後、どんな仕事に挑戦していたい?」「そのためにどんなスキルが必要?」といった未来の可能性を探る質問をすると、部下自身が自分の強みや価値観に気づき、キャリアを自分で切り開く意識を高めます。
そのためにも面談に臨む上司は「評価者」ではなく、部下の考えを引き出し整理を手伝う「コーチ」や「支援者」であるという意識を持ちましょう。
キャリア面談と評価面談の違い
キャリア面談は未来の成長を目的とした育成の場であり、評価面談は実績などをもとにした評価の場です。この違いを曖昧にしたままキャリア面談を行うと、部下は評価されていると感じて萎縮し、本音を話せなくなるでしょう。部下が安心して対話ができるように、両者は明確に区別しなければなりません。
具体的に、両者は以下の点で異なります。
比較ポイント | キャリア面談 | 評価面談 |
---|---|---|
目的 | 育成 | 評価・処遇決定 |
時間軸 | 未来(中長期) | 過去(評価期間) |
処遇 | 連動させない | 直接連動する |
そのため、キャリア面談をはじめる際は、冒頭で「この時間は評価とは一切関係ありません。あなたの未来について一緒に考える時間にしたいです」と明確に伝えるとよいでしょう。
キャリア面談が必要な3つの背景
なぜ、企業でキャリア面談が重要視されているのか、その背景にある3つのビジネス環境の変化について解説します。
<キャリア面談が必要な3つの背景>
キャリア自律が重視されている
多様な人材育成が求められている
ミドルシニア従業員の活躍が求められている
キャリア面談をやらされている仕事ではなく、企業の成長に必要な計画的な施策として理解すると、面談担当者としての目的意識とモチベーションを高められます。
キャリア自律が重視されている
変化が激しく予測不能な現代において、会社にキャリアを委ねるのではなく、自らの意思でキャリアを築いていく姿勢が求められるようになりました。
かつての終身雇用や年功序列制度の維持は難しく、会社が従業員のキャリアを生涯にわたって保証することはできなくなっています。そのため、従業員は自律的に学び、自身の市場価値を高め続ける必要があります。企業もまた、そうした自律的な人材を育成・確保しなければ、環境変化に対応できず競争力を失ってしまうでしょう。
従業員自身が価値観や強みを明確にし、自らキャリア形成をしていく必要があり、企業は従業員を支援するためにキャリア面談は重要なプロセスのひとつになります。
多様な人材育成が求められている
同質的な組織では変化への対応力が弱まりがちですが、組織に多様なバックグラウンドや専門性を持つ人材がいれば、新しい視点が生まれ、組織は変化に強くなります。
たとえば、若手社員の中には管理職を目指す者だけでなく、専門性を追求するエキスパート志向や、新規事業立ち上げを目標にしている起業家志向の人もいます。
キャリア面談を通じて多様なキャリアプランを早期に把握し、個別に支援することで、組織全体の能力を高められます。
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ミドルシニア従業員の活躍が求められている
人生100年時代を迎え、経験豊富なミドルシニア層の活躍は企業の持続的成長につながる力であり、彼らのキャリア再設計を支援する場としてキャリア面談は重要です。
従来のキャリアパスでは、役職定年後の役割が不明確で、50代以降のモチベーション低下につながる課題がありました。彼らが培った経験や知識は組織にとって資産であり、それを活かし続ける仕組みがなければ大きな損失です。
キャリア面談を通じて、「若手のメンターとして貢献する」「リスキリングでDX部門をサポートする」といった新たな役割を共に模索します。これにより、本人のやりがいを再燃させ、組織全体の知識継承や生産性向上につながるでしょう。
キャリア面談の3つの目的
キャリア面談が「何のために行われるのか」を、以下3つの具体的な目的を解説します。
<キャリア面談の3つの目的>
キャリア目標と課題を明確にする
キャリア形成の支援をする
適切な人材配置と評価をする
キャリア面談を通じて何を目指すべきかを明確にすれば、面談担当者は自信を持って対話に臨むことができます。
キャリア目標と課題を明確にする
キャリア面談を通して、普段ぼんやりと浮かんでいる悩みや希望を明確にし、従業員自身がキャリアに関する目標や課題を具体的に言語化し、客観的に認識できるようにします。
例えば、「この1年でもっともやりがいを感じた仕事は何か?」「3年後、どんな役割を担っていたいか?」といった質問を投げかけます。
こうした質問によって、部下は自身の強みや価値観、潜在的なキャリア目標に自ら気づけるでしょう。上司の役割は、答えを教えることではなく、部下が自分自身で答えを見つけられるよう後押しすることです。
キャリア形成の支援をする
キャリア面談で明確になった部下のキャリア目標に対し、上司や会社がどのような具体的な支援ができるかを共に考え、行動計画に落とし込むことです。対話だけで終わらせず、具体的なアクションにつなげてはじめて、キャリア面談は意味を持ちます。
これにより、部下は「話を聞いてもらえた」という満足感に加え、「会社は自分の成長を本気で応援してくれている」という信頼感を持ち、エンゲージメント向上に直結します。
たとえば、部下から「将来的にはマネジメントに挑戦したい」という希望が出た場合、「まずはこの小規模プロジェクトのリーダーを任せてみよう」「会社推奨のリーダーシップ研修に参加してみないか」など、具体的な機会提供や能力開発のプランを一緒に検討しましょう。
適切な人材配置と評価をする
キャリア面談は、個々の従業員のキャリア志向やポテンシャルを把握し、その情報を組織としての中長期的な人材育成計画や、適材適所の配置に活かすためにあります。
従業員がやりたいことに取り組める環境では、モチベーションやエンゲージメントが高まり、結果として業務効率やアウトプットの質が向上するからです。
また、従業員のスキルや強みを適切に仕事に活かせば、個人の能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。
例えば、キャリア面談を通じて特定の分野への強い興味と潜在能力が見られた場合、本人の同意を得て、将来のリーダー候補として育成計画の対象に含めるとよいでしょう。
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キャリア面談で得られる5つの効果
キャリア面談を実施すると、従業員と組織の双方にどのようなよい影響があるのか、具体的な5つの効果を解説します。
<キャリア面談で得られる5つの効果>
従業員の自律性とモチベーションが高まる
自身の強みや課題を明確にできる
キャリアの選択肢が広がる
会社からの期待を理解しやすくなる
満足度の向上や生産性の改善につながる
効果を理解すれば「面談をしても意味がないのでは」「部下のモチベーションにつながらないのでは」といった不安を払拭し、キャリア面談の価値を確信できるでしょう。
従業員の自律性とモチベーションが高まる
キャリア面談は、従業員が当事者意識を持つためのきっかけとなります。人は、他人から一方的に与えられた目標よりも、自ら設定した目標に向かう時の方がはるかに高いパフォーマンスを発揮する傾向があります。
面談を通じて、自身の価値観や目標と会社の方向性をすり合わせができれば、仕事に新たな目的意識が生まれるでしょう。
たとえば、これまでは上司の指示待ちが多かった社員が、面談で「3年後に〇〇分野の専門家になる」という具体的な目標を立てたとします。その日から、日々の業務の中で専門性を高めるための工夫を自らはじめたり、主体的に情報収集に取り組んだりする可能性が高まるでしょう。
上司が部下の主体性を心から尊重し、キャリアプランを全力で応援したいという姿勢を持つことが大切です。
自身の強みや課題を明確にできる
キャリア面談は、従業員は自身の経験を多角的に振り返り、これまで無自覚だった強みや課題を明確に言語化できます。信頼できる上司からの客観的な問いかけやフィードバックは、自身の経験を多角的に見つめ直し、自己分析を飛躍的に深める効果があります。
例えば、本人が当たり前の作業だと思っていた資料作成能力について、上司から「君の作る資料は要点が整理されていてわかりやすい。それはチームにとって貴重な強みだ」と伝えられると、自身の武器と認識し、自信につながるでしょう。
今後のキャリアも見据えて、従業員の強みを率直に伝えながら、課題を共通認識としてもち、一緒に改善に向けて取り組むことで成長速度を高められるはずです。
キャリアの選択肢が広がる
キャリア面談は、従業員が多様なキャリアの選択肢に気づき、視野を広げる機会です。上司や人事から会社の事業戦略、他部署の役割、社内公募制度、研修プログラムといった具体的な情報を提供されることで、新たな可能性を発見できます。
たとえば、開発部門の社員が顧客と直接関わる仕事を望む場合、上司は「技術を活かせるプリセールスや技術サポートの道もある」と提示できます。
上司は部下の希望と会社のニーズをつなぐ橋渡し役として、日頃から情報収集し、多様な選択肢を提供できるようにする準備が大切です。
会社からの期待を理解しやすくなる
日常業務での指示やフィードバックは断片的になりがちで、会社全体の方針や上司の真意が伝わりにくいことがあるでしょう。キャリア面談で会社のビジョンやチーム目標と本人の役割を結びつけて説明すれば、期待される貢献が明確になり、日々の業務における迷いや認識のずれが解消されます。
たとえば、「チームは中期計画で売上20%アップの達成を目指しており、君の顧客提案力という強みでこの領域をリードしてほしい」と具体的に伝えられます。
部下は自分の仕事が組織の中でどのような影響を与えるのかを把握でき、期待に応えるために、日々の業務に全力で取り組めるようになるでしょう。
満足度の向上や生産性の改善につながる
ここまで解説してきたキャリア面談の効果が複合的に作用することで、従業員のエンゲージメントが向上し、結果として組織全体の生産性改善や離職率の低下といった成果につながります。
「この会社は自分のキャリアを真剣に考え、成長を支援してくれる」という実感は、従業員の会社への信頼と愛着を育みます。
エンゲージメントの高い従業員は、自律的に業務改善を進めたり、周囲によい影響を与えたりするため、組織全体のパフォーマンスが向上するでしょう。
キャリア面談の準備と進め方
キャリア面談を成功させるための具体的な手順を、準備と当日の進め方に分けて解説します。「何をどう進めてよいかわからない」という悩みを解消し、しっかりと準備をしたうえで、実際のキャリア面談に臨みましょう。
キャリアシートなどを活用して事前準備をする
実りあるキャリア面談には、双方の事前準備が不可欠です。部下はキャリアシートで内省を促され、上司は関連情報の確認とコーチとしての心構えを整えます。
部下には事前にキャリアシートを配布し、「経験の棚卸し」「強みや価値観」「3〜5年後のありたい姿」などを記入してもらいます。
上司は、提出シートや過去の1on1記録に目を通し、評価者ではなく部下の考えを引き出すコーチとして、キャリア面談に臨む意識が重要です。
キャリア面談当日の進め方
キャリア面談当日の進め方を、以下の3ステップで解説します。
<キャリア面談当日の進め方>
- 現状とキャリアプランを共有する
- 目標達成に向けた取り組みを決める
- 逆質問の機会を設けて意欲を引き出す
上記の流れはあくまでひとつの例であり、部下の反応を見ながら柔軟に進めましょう。
現状とキャリアプランを共有する
面談はキャリアシートをもとにした対話からはじめます。ここで重要なのは、「過去(経験)」「未来(希望)」「現在(価値観)」の3つの時間軸を多角的に捉えながら、部下自身がキャリアプランの解像度を高める手助けをします。
抽象的な質問をしても部下が答えにくいので、「この1年で一番面白いと感じた仕事は何か?その仕事の何があなたを夢中にさせたか?」といった過去の質問から入るのが効果的です。
これにより、部下は自身の強みや価値観に気づきやすくなり、それを土台として「面白いという感覚を3年後も感じられる仕事は何か?」と、現実的な未来を描けるようになります。
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目標達成に向けた取り組みを決める
対話を通じて部下の希望や課題が見えてきたら、次は具体的な行動計画に落とし込みます。明確なアクションを提案することで、部下は「会社が本気で自分の成長を応援してくれている」と実感できるでしょう。
たとえば、部下が「後輩の指導が上手くなりたい」という目標を持っている場合は、以下のようなアクションプランが考えられます。
<アクションプランの例>
来月から後輩の週次報告に同席してみる
会社のOJT研修に参加する
決定事項を次回の面談で一緒に振り返る
キャリア面談で話して終わりにしないように、アクションプランや決定事項は後で共有できるよう、必ず双方から見える形で議事録を取るようにしましょう。
逆質問の機会を設けて意欲を引き出す
面談の締めくくりとして、部下からの逆質問の時間を必ず設けましょう。キャリア面談が一方的なヒアリングではなく、双方向のコミュニケーションであることを示せます。
これにより、部下が主体的に情報を得ようとする姿勢を促し、上司や会社への理解を深めれば、認識のずれを防ぎ、信頼関係の強化にもつながるでしょう。
もし部下から質問が出なかったなら、無理に引き出そうとせず、「思いついたらいつでも気軽に聞いてほしい」と伝え、対話の扉を常に開いておく姿勢が大切です。
キャリア面談後のフォローアップ方法
キャリア面談を「話して終わり」のイベントにせず、部下の具体的な成長と行動変容につなげるために、面談後のフォローアップ方法を解説します。部下の成長支援をするために、フォローアップを実践しましょう。
面談内容を振り返り支援策を検討する
キャリア面談は、面談直後からが本番です。有意義な対話にするためには、面談内容をサマリーレポートとして文書化し、部下本人と共有してすり合わせすることが、次のアクションにつなげるための第一歩です。
時間の経過による記憶の曖昧さや認識のずれを防ぎ、計画への納得感と、自分のこととして前向きに取り組めるようになります。
具体的には、部下の希望、価値観、強みと課題、アクションプランなどを簡潔にまとめ、内容を確認してもらいましょう。部下の同意を得てはじめて、その記録は部下と上司の共通認識になります。
目標達成に向けた進捗を定期的に確認する
年に一度のキャリア面談だけでなく、週次や月次の1on1ミーティングなどを活用し、合意したアクションプランの進捗を定期的・継続的に確認する仕組みが必要です。計画は日々の忙しさや状況変化で滞りがちですが、定期的な進捗確認は頓挫を防ぎ、必要に応じて軌道修正する機会となります。
たとえば、1on1の冒頭で「キャリア面談で話したリーダーシップ研修の受講の件、その後どうかな?」と声をかけ、小さな進捗でも認めることが大切です。さらに、「何か困っていることはないか?」と問いかけ、障害を取り除くサポートも上司の重要な役割です。
キャリア面談を点ではなく、日常の1on1と連携させた線の支援と捉えることが、部下の着実な成長につながります。
キャリア面談を成功させるポイント
キャリア面談を有意義な時間にし、部下の成長につなげるために重要なポイントを4つ解説します。
<キャリア面談を成功させるポイント>
本音を引き出すために傾聴する
強みや実績に注目し前向きな対話を意識する
目標や課題が明確化したら自身で解決策を考えてもらう
上司自身もキャリア支援の意識とスキルを持つ
「部下の本音を引き出せない」「対話が弾まない」といった、多くの担当者がつまずきやすい課題を解決し、面談の質を高めましょう。
本音を引き出すために傾聴する
部下の本音を引き出すには、相手の話に真摯に耳を傾ける傾聴の姿勢が大切です。多くの部下は「正解を話さなければ」「本音を言うと評価に悪影響があるかもしれない」という不安を無意識に抱えています。上司が「どんな話をしても、まず受け止めてもらえる」という安心して話せる場をつくると、部下は心を開き、本音を語れるようになるでしょう。
具体的な傾聴のテクニックとしては、「うん、うん」「なるほど」といった相槌やうなずきで聞いている姿勢を示します。
また、「それは本当に大変だったね」と部下の感情を言葉にして受け止めたり、部下が言葉を探している時間を焦らず待ったりすることも重要です。まず自分の意見を伝えるのではなく、「聞く:話す=7:3」を意識することからはじめましょう。
強みや実績に注目し前向きな対話を意識する
面談の雰囲気づくりとして、部下の弱みではなく、過去の成功体験や本人が気づいていない強みに焦点を当て、ポジティブな対話を意識しましょう。人は、欠点を指摘されるよりも、自分の強みや可能性を承認されることで自己肯定感が高まり、未来に対して前向きな気持ちになれます。
また、部下の発言をさらに引き出し、対話を活性化させるでしょう。「先日のプロジェクト、最後までやり遂げた君の粘り強さは素晴らしかった。あれは君の強みだね」のように、具体的な行動と強みを結びつけて伝えてみてください。
本人が「失敗でした」と語る経験に対しても、「その経験から得られた価値ある教訓は何だった?」と、ポジティブな学びに転換する質問ができます。もし対話に行き詰まりを感じたら、部下のできていることや得意なことに焦点を戻しましょう。
目標や課題が明確化したら自身で解決策を考えてもらう
目標や課題が見えたら、上司がすぐに解決策を提示せず、「あなたならどうする?」と問いかけ、部下自身に考えさせることが、自律性を育む上で重要です。自ら考え抜いた答えだからこそ、納得感と実行への覚悟が生まれます。
例えば、部下が「コミュニケーション能力に自信がない」と打ち明けた場合、「その能力を高めるために、明日からできそうな小さな一歩は何だと思う?」といった質問で返してみましょう。
そのうえで、部下の答えを尊重しながら、上司としてこれまでの経験を踏まえて助言し、目標の達成や課題の解決に向けて、どう取り組むべきかを一緒に考えることが大切です。
上司自身もキャリア支援の意識とスキルを持つ
キャリア面談を成功させるには、上司自身がキャリア支援の重要性を理解し、傾聴やコーチングといった対話スキルを継続的に高める意識が大切です。これらのスキルは、実践と振り返りを通じて磨かれます。
また、上司自身が自分のキャリアに真剣に向き合う姿勢は、部下にもよい影響を与えるでしょう。管理職向け研修で学んだり、他の管理職と成功事例や失敗談を共有したりするのが有効です。上司自身も自分の上司とキャリアについて対話し、部下の気持ちを体験してみるのもよいでしょう。
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キャリア面談で従業員の成長を支援し組織力を高めよう
この記事では、キャリア面談の目的から具体的な進め方、成功のポイントまでを解説しました。キャリア面談は評価とは異なり、部下のキャリア自律を促すための重要な対話です。
成功の鍵は、上司が傾聴に徹し、部下が安心して本音で話せる環境づくりを確保することです。強みや実績に焦点を当てた前向きな対話を意識し、課題の解決策は本人に考えさせることが主体性を育みます。
キャリア面談を形骸化させず、信頼関係を築いて、個人の成長と組織の活性化を実現しましょう。