人材育成
2023/05/30
メンタリングとは?コーチングとの違い、実施方法など徹底解説
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この記事では「メンタリング」について紹介します。
混同されがちな「コーチング」との違い、またメンタリングについてメリット・デメリットを紹介します。
メンタリングとは
メンタリングとは人材育成の方法の一つで、アメリカの自己開発方法として知られています。
メンタリングは1対1の関係で行うことが基本で、指導側を「メンター」、指導される側を「メンティー」と呼びます。
現代では企業の新入社員教育の一環として行われることが多いため、この呼び方に聞き覚えがある方もいることでしょう。
「メンター」には社員の直属の上司ではなく、指導される側である「メンティー」と年齢・立場の近い人が、「メンター」として選出されます。
一方的に教える「教師」と「生徒」の関係ではなく、「どうやったらできるのか」を同じ目線で対話を重ねることで「メンティー」が気づくことができる、という人材育成方法です。
ちなみに「メンタリング」という言葉は、紀元前8世紀末のギリシア詩人・ホメロスが書いたとされている叙事詩「オデュッセイア」が元になっていると考えられています。
「オデュッセイア」に登場する、主人公オデュッセウスに助言をする賢者の名「メントール」に由来すると言われています。
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メンタリングのメリット
次に、メンタリングのメリットについて紹介します。
【メンティー】精神面のケアができる
実務的なケアだけでなく、精神面のケアができることがメンタリングの特徴です。
「なにか困っていることはないか」「問題を抱えていないか」と気を配ることで、早期に問題を発見・解決まで導くことができます。
とくにメンティーにとって新しい環境に馴染むまでの心理的ストレスが大きいため、メンターの存在が精神的支柱になります。
【メンティー】信頼関係を築くことができる
メンティーとメンターが対話を重ねることにより、信頼関係が生まれます。
職場に信頼関係を結んだ相手がいることは、深い安心感に繋がります。
「メンターのように働きたい」とメンティーが憧れを感じることがあれば、「この職場でもっと経験を積みたい」と企業に対するエンゲージメント向上にも繋がることでしょう。
【メンティー】主体性をもって行動ができるようになる
「困ったときにはどう行動すればよいか」という疑問に対し、メンティーは「メンターの導き」また「自らの気づき」によって回答を得ます。
これらのサイクルを繰り返すことにより、メンティーは自身で答えを導き出し、主体性を持って行動できるようになります。
【メンター・メンティー】成長できる
指導される側のメンティーだけではなく、メンターにもメリットがあります。
メンティーを指導するにあたり、ヒアリング力、信頼を築く力など、ビジネスに必要なスキルを養うことができます。
またメンティーが成長することで、次の機会には「メンター」側として活躍することも期待できます。
社内コミュニケーションの向上だけでなく、メンタリングは幹部候補の育成方法としても注目されています。
メンタリングのデメリット
次に、メンタリングのデメリットについて紹介します。
メンターの工数の確保/業務調整
メンタリングを行うにあたって「どの程度までメンターの時間を使用していいか」などのガイドラインが作られていないことが多くあります。
そのため、メンティーの相談の頻度が多い場合や、関係構築のための時間が多く取られる場合は、業務に支障をきたすこともありえます。
メンタリングを行う期間においては、メンターの業務量を調整することなど、過度な負担がかからないよう注意しましょう。
精神面ケアのため効果の測定が困難
業務の成果と異なり、メンティーの精神面のケアのため「どのくらい効果があったか」という点が測定しづらい面がデメリットです。
離職率など、なんらかの指標を導入して継続の判断をする企業が多いようです。
メンタリングとコーチングの違い
メンタリングと似た言葉に「コーチング」という言葉があります。
コーチングとは、相手の内面にある答えを対話などによって引き出し、目標達成を行う手法のひとつです。
メンタリングとコーチングの違いとは、一体なんでしょうか。
対象者の違い
コーチングはプロジェクトや「成し遂げたいこと」を目指して実施されるため、実務経験者を対象にする場合が多いです。
しかし、メンタリングは新社会人など、未経験者に対しても実施します。
支援方法の違い
対話を重ねながら本人に気づきを与えると言った点において、両者は似ています。
しかしコーチングは目的達成のために技術的な支援など、精神面以外のサポートも行うことが一般的です。
一方、メンタリングは精神面のケアを中心に精神的なサポートなどを行うことが多くあります。
領域の違い
コーチングは「今、悩んでいること」など具体的な課題に対して行われることが多いですが、メンタリングの場合は広く精神的なケア全般を対象とします。
メンタリングに必要な能力とは
- カウンセリング(傾聴)
- ティーチング(教える)
- コーチング(引き出す)
相手と信頼関係を築くためには、まず相手の言葉に耳を傾け(カウンセリング)しっかり受け止める必要があります。
そうして得た情報を元に、相手の成長具合を見ながらティーチング、コーチングを行います。
メンタリングの実践方法
では、具体的にどのようにメンタリングを行えばよいのでしょうか。
その一連の流れについて説明します。
目的を設定
メンタリングを導入するにあたって、何を強化したいのか、目的を設定します。
会社によって「若手の離職率を下げたい」「人を育てる企業文化を作りたい」など、メンタリングの導入理由は様々です。
具体的にどのような成果を出したいのかを念頭に、目的を設定しましょう。
やり方(使用ツール・面談頻度など)を決める
メンターを受け持つことによって、メンティーの負担が大きくなります。
そのため「どの程度まで」メンティーの活動をするのかガイドラインを作成しましょう。
具体的には、メンタリングを行う頻度や、使用するツールなどを決めましょう。
マネジメントシステムには、1on1などの面談記録を蓄積できるタイプもあります。
その場限りの面談になるのではなく、記録を振り返ることができるツールの導入がおすすめです。
メンティー/メンターの選定
メンティーに対して、誰をつけるのかを決めましょう。
年齢や立場が近い社員をつけるのが一般的ですが、同じ部署に適した人材がいなければ、他部署で調整するなどして、メンターを選定しましょう。
メンティー/メンターへの説明
メンティー、メンターを選出したら、対象者に対してメンタリングの目的、やり方を説明しましょう。
「ただ実施します」と伝えるだけではなく、メンターに「メンタリングとは何か」「どのような効果があるのか」など、必要があれば研修などを行い、メンターにも支援を欠かさないよう注意しましょう。
メンティーに対しても「メンターの時間を使っている自覚を持って相談しましょう」などの心構えを説く必要があるでしょう。
運用上の問題点を解決
メンタリングを行うことによって、運用上の問題点が出てくることがあります。
例えばメンターから「あまりにメンティーからの相談が多く、業務時間内に割り振られた仕事が終わらない」と相談を受けること、メンターとメンティーが形ばかりになってしまい信頼関係が築けていない、などの問題です。
特にメンティー、メンターの組み合わせによって、問題の傾向も異なります。
そういった個別ケースの問題を確認し、解決のためのアプローチを行うことも大切です。
形にとらわれず、自社に合った形での導入を模索しましょう。
まとめ
メンタリングとは、アメリカの自己開発方法の一つで、人材育成の方法の名称です。
現代では、企業の新入社員教育の一環として行われることが多いため、この呼び方に聞き覚えがある方もいることでしょう。
支援者のことをメンター、支援を受ける人(新人・若手社員など)をメンティーと呼びます。
メンターには、メンティーにとって身近な(年齢の近い)先輩社員が選ばれることが多くあります。
メンタリングのメリットは以下の4つです。
- 精神面のケアができる
- 信頼関係を築くことができる
- 主体性をもって行動ができるようになる
- 成長できる
メンターはメンティーの話をじっくり聞き解決に導くことで、仕事へのモチベーションを高めることができます。
これらのメリットに加えて、メンティーだけでなくメンターも成長のきっかけを得ることができます。
メンタリングのデメリットは「メンターの工数の確保」の調整の煩雑さと、精神面ケアのため「効果測定が困難」な2点です。
メンタリングに似た言葉として「コーチング」がありますが、メンタリングと無関係ではありません。メンタリングを行うには相手の言葉に耳を傾ける「カウンセリング」、相手に教える「ティーチング」、またメンティーの心のうちにある答えを引き出す「コーチング」、この3つのスキルをバランスよく使用することが大切です。
メンタリングの実践方法
- 目的を設定
- やり方(使用ツール・面談頻度など)を決める
- メンティー/メンターの選定
- メンティー/メンターへの説明
- 運用上の問題点を解決
メンタリングを導入するにあたって「何を強化したいのか」という目的を設定します。
その後、やり方を決定し、メンター・メンティーを選出します。
目的に沿ってメンター・メンティーに対し実施内容を説明します。
メンタリング制度の運用後に見つけた問題点は、都度解決するよう働きかけましょう。
マネジメントシステムには、1on1などの面談記録を蓄積できるタイプもあります。
その場限りの面談になるのではなく、記録を振り返ることができるツールの導入がおすすめです。
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