#人材育成
2024/04/22

メンタリングとは?意味とコーチングとの違いややり方について解説

目次

    メンタリングとは、メンターとメンティーとが「どうやったらできるのか」を同じ目線で対話を重ねることで、メンティーが気付きを得られる人材育成方法の1つです。

    現代では企業の新入社員教育の一環として行われることが多いため、メンタリングという言葉に聞き覚えがある人もいるでしょう。

    この記事では、メンタリングの意味やコーチングとの違い、メンタリングの目的、メリットとデメリット、メンタリングでのメンターとメンティーとの役割、メンタリングのやり方について解説します。

    メンタリングの運用と実施データの管理

    メンタリングとは

    メンタリングとは人材育成の方法の1つで、アメリカの自己開発方法として知られています。

    メンタリングは1対1の関係で行うことが基本で、指導する側を「メンター」、指導される側を「メンティー」と呼び、企業の新入社員教育の一環として行われることが多いです。

    メンターには従業員の直属の上司ではなく、指導される側であるメンティーと年齢や立場の近い従業員がメンターとして選出されます。

    メンタリングは、一方的に教える「教師」と「生徒」の関係ではなく、「どうやったらできるのか」を同じ目線で対話を重ねることで、「メンティー」が気付きを得られる人材育成方法です。

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    メンタリングの語源

    メンタリングという言葉は、紀元前8世紀末にギリシアの詩人のホメロスが書いたと伝承されている叙事詩「オデュッセイア」に登場する、主人公オデュッセウスに助言をする賢者の名「メントール」に由来すると言われています。

    「メントール」は、よい指導者であり、理解者、支援者としての役割を担っていました。

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    メンタリングのメリット

    メンタリングのメリットについて確認してみましょう。

    メンタリングのメリット

    • メンティーの精神面のケアができる

    • メンティーが主体性を持って行動できるようになる

    • メンターとメンティーとの信頼関係を築くことができる

    • メンターとメンティーの双方が成長できる

    メンティーの精神面のケアができる

    メンタリングは、実務的なケアだけでなく精神面のケアができることが特徴です。

    メンターが、「なにか困っていることはないか」「問題を抱えていないか」と気を配ることで、早期に問題を発見し解決まで導くことができます。

    とくにメンティーは新しい環境に馴染むまでの心理的ストレスが大きいため、メンターの存在が精神的支柱になります。

    メンティーが主体性を持って行動できるようになる

    メンタリングで、メンティーは「困ったときにはどう行動すればよいか」という疑問に対して、「メンターの導き」や「自らの気づき」によって回答を得ます。

    このサイクルを繰り返すことによって、メンティーは自身で答えを導き出し、主体性を持って行動できるようになり、自律型人材へと成長することができます。

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    メンターとメンティーとの信頼関係を築くことができる

    メンタリングを通して、メンティーとメンターが対話を重ねることによって、信頼関係が生まれます。

    職場に信頼関係を結んだ相手がいることは、メンティーにとって深い安心感に繋がります。

    また、メンターに対して「メンターのように働きたい」とメンティーが憧れを感じ、ロールモデルにすることがあれば、「この職場でもっと経験を積みたい」と企業に対するエンゲージメント向上にも繋がります。

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    メンターとメンティーの双方が成長できる

    メンタリングでは、指導される側のメンティーだけではなく、メンターにもメリットがあります。

    メンティーを指導するにあたってメンターは、傾聴力や信頼を築く力など、ビジネスに必要なスキルを養うことができます。

    またメンティーが成長することで、今度はメンティーが「メンター」として活躍することも期待できます。

    メンタリングは、社内コミュニケーションの向上だけでなく、サクセッションプランである幹部候補の育成方法としても注目されています。

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    メンタリングのデメリット

    メンタリングのデメリットについて確認してみましょう。

    メンタリングのデメリット

    • メンターの工数確保や業務調整が必要になる

    • 精神面のケアのため効果測定が困難

    メンターの工数確保や業務調整が必要になる

    メンタリングを行うにあたって、「どの程度までメンターの時間を使用して良いのか」など、ガイドラインが作られていないことが多くあります。

    メンティーの相談の頻度が多い場合や関係構築のために、メンターの時間が多く取られる場合は、業務に支障をきたすこともありえます。

    メンタリングを行う期間は、メンターの業務量を調整するなど、メンタリングによって過度な負担がかからないよう注意しましょう。

    精神面のケアのため効果測定が困難

    メンタリングは、業務の成果とは異なり、メンティーの精神面のケアのため「どのくらい効果があったか」という点が測定しづらいデメリットがあります。

    離職率など、何らかの指標を導入して、メンタリングの継続の判断をする企業が多いようです。

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    メンタリングとコーチングの違い

    メンタリングと似た言葉に「コーチング」という言葉があります。

    コーチングとは、相手の内面にある答えを対話などによって引き出し、目標達成を行う手法の1つです。

    メンタリングとコーチングの違いについて、「対象者」「支援方法」「領域」の3つで比較してみましょう。

    メンタリングとコーチングの違い:対象者の違い

    コーチングはプロジェクトや「成し遂げたいこと」を目指して実施されるため、実務経験者を対象にする場合が多いです。

    一方、メンタリングは新社会人など、未経験者に対しても実施します。

    メンタリングとコーチングの違い:支援方法の違い

    メンタリングとコーチングは、対話を重ねながら本人に気づきを与えるという点では似ています。

    しかしコーチングは目的達成のために技術的な支援など、精神面以外のサポートも行うことが一般的です。

    一方、メンタリングは精神面のケアを中心に精神的なサポートなどを行うことが多くあります。

    メンタリングとコーチングの違い:領域の違い

    コーチングは「今、悩んでいること」など具体的な課題に対して行われることが多いです。

    一方、メンタリングの場合は広く精神的なケア全般を対象とします。

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    メンタリングに必要な能力

    メンタリングには、「カウンセリング(傾聴)」「ティーチング(教える)」「コーチング(引き出す)」の3つの能力が必要です。

    メンティーと信頼関係を築くためには、まずメンティーの言葉に耳を傾け、しっかりと受け止める必要があります。

    そうして得た情報を元に、メンティーの成長具合を見ながらティーチングやコーチングを行います。

    メンタリングの実践方法

    メンタリングを導入する際の手順について確認してみましょう。

    メンタリングの実践方法

    1. 目的を設定する
    2. やり方(使用ツール・面談頻度など)を決める
    3. メンティーとメンターの選定
    4. メンティーとメンターへの説明
    5. 運用上の問題点を解決する

    目的を設定する

    メンタリングを導入するにあたって、「何を強化したいのか」という目的を設定します。

    会社によって「若手の離職率を下げたい」「人を育てる企業文化を作りたい」など、メンタリングの導入理由はさまざまです。

    メンタリングを導入することで、具体的にどのような成果を出したいのかを念頭に、目的を設定するようにしましょう。

    やり方(使用ツール・面談頻度など)を決める

    メンタリングを実施することで、メンターへの負担が大きくなります。

    そのため「どの程度まで」メンターとしての活動をするのかについてのガイドラインを作成するようにしましょう。

    具体的には、メンタリングを行う頻度や、使用するツールなどを決めましょう。

    マネジメントシステムを導入する場合は、1on1などの面談記録を蓄積できるタイプもあります。

    その場限りの面談になるのではなく、記録を振り返ることができるツールの導入がおすすめです。

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    メンティーとメンターの選定

    メンティーに対して、誰をメンターとして付けるのかを決めましょう。

    メンタリングでは、年齢や立場が近い従業員をメンターとして付けるのが一般的ですが、適した人材がいない場合は、調整するなどしてメンターを選定しましょう。

    メンティーとメンターへの説明

    メンティーとメンターを選出したら、対象者に対して「メンタリングの目的」と「メンタリングのやり方」について説明をしましょう。

    「メンタリングを実施します」と伝えるだけではなく、メンターに対して「メンタリングとは何か」「どのような効果があるのか」などについて説明をし、必要があれば研修などを行い、支援を欠かさないよう注意しましょう。

    また、メンティーに対しても「メンターの時間を使っている自覚を持って相談しましょう」などの心構えを説く必要があるでしょう。

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    運用上の問題点を解決する

    メンタリングを行うことによって、運用上の問題点が出てくる場合があります。

    例えばメンターから「あまりにメンティーからの相談が多く、業務時間内に割り振られた仕事が終わらない」と相談を受けることや、「メンターとメンティーが形ばかりになってしまい信頼関係が築けていない」などの問題です。

    メンティーとメンターの組み合わせによって、問題の傾向も異なります。

    メンタリングでは、個別ケースの問題を確認し、解決のためのアプローチを行うことも大切です。

    形にとらわれず、自社に合った形での導入を模索しましょう。

    メンタリングの運用と実施データの管理

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    メンタリングは自律型人材の育成につながる

    メンタリングとは人材育成の方法の1つで、アメリカの自己開発方法として知られています。

    メンタリングは、メンターとメンティーとが「どうやったらできるのか」を同じ目線で対話を重ねることで、メンティーが気付きを得られる、という人材育成方法です。

    メンタリングを通して、メンティーは自ら考え行動できる「自律型人材」へと成長することができます。

    また、メンターもメンタリングを行うことで、傾聴力や信頼関係を築くことなど、ビジネスで大切なスキルを養うことが可能です。

    このようにメンタリングを導入して、従業員の人材育成を行うためには、メンタリングの導入目的を明確にし、運用についてのガイドラインの作成や、ツールの導入をすることが必要です。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、メンタリングでの1on1の実施記録などの従業員データの見える化と一元管理を可能にし、メンタリングの運用をサポートします。

    さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。

    HRBrain タレントマネジメントの特徴

    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

    運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

    • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

    従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

    • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

    データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

    ▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
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    HR大学編集部
    HR大学 編集部

    HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。