#人材管理
2023/08/03

サクセッションプランとは?事例・導入方法から便利ツールまで解説

目次

    サクセッションプランは、事業の後継者を育成する施策で、長期的な企業存続にとって欠かせないものです。

    誤解されがちですが、サクセッションプランと人材育成には明確な使い分けがあります。

    サクセッションプランと人材育成の違いをきちんと理解する事で、後継者問題への対応や長期的な企業戦略を実現することができるようになるでしょう。

    今回はサクセッションプランについて、基本から導入方法と事例、便利ツールまで徹底解説します。

    「若手や活躍人材の退職が増えてきており、採用や育成コストが高くなっている」
    「従業員のモチベーションが低下しており、組織変革・風土改善をしたい」
    など、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
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    サクセッションプランとは?

    サクセッションプランの基礎知識

    サクセッションプランとは、事業の後継者を育成する施策を指します。

    将来、組織を牽引する幹部や経営者候補となる人材を、長期的かつ綿密な計画性をもって育成する計画です。

    サクセッションプランは、後継者不在によるリスクを回避し、企業が持続的成長を図るためには、企業規模を問わず多くの人事や経営者にとっての経営課題だと言えます。

    サクセッションプランの意味

    サクセッションプラン(succession plan)は和訳すると、「継承」「相続計画」を意味し、経営においては、CEOから幹部候補までの経営に関わる重要ポジションにおいての、後継者育成をさします。

    最近では、後継者不在のリスクヘッジとして優秀人材を「タレントプール」や「人材データベース化」する企業も増えてきました。

    人材データベースの構築について詳しく知りたい方は、「人材データベースとは?構築方法とおすすめソフトを紹介!」をご確認ください。

    サクセッションプランと人材育成の違い

    サクセッションプランと人材育成との違いは、「育成する項目」と「指導者」が異なる点です。

    サクセッションプランは経営層が主導となって、後継者候補に経営者視点に立った横断的な育成を施します。

    一方、人材育成は人事部が主導となって、従業員に研修やフォローアップを施し、組織が望むビジョンに向かって従業員の成長を促す施策全般を指します。

    人材育成の概要や成功事例について、さらに詳しく知りたい方は、「人材育成って何やるの?これを読めば基本的考え方と具体的な企画方法がよくわかる」をご確認ください。

    サクセッションプランのメリットとデメリット

    サクセッションプランのメリット・デメリット

    サクセッションプランは、企業や後継者候補にとって、どのようなメリットやデメリットがあるのか、確認してみましょう。

    サクセッションプランのメリット:組織の活性化

    サクセッションプランのメリットは、「組織の活性化」です。

    組織が目指すべき経営層の育成計画のもとサクセッションプランを実行することは、優秀人材の育成と定着や、モチベーション向上に繋がるため、組織全体の活性化が期待できます。

    また、サクセッションプランによる後継者候補は、後継者不在を理由としたM&Aや、突然の経営陣の変更や不在による組織全体の混乱を回避することができます。

    そのため、サクセッションプランは長期に渡って組織の伝統やオリジナリティを守ることにもつながるのです。

    サクセッションプランのデメリット:長期的な育成コスト

    サクセッションプランのデメリットは、「長期的な育成コスト」です。

    サクセッションプランは、経営層による教育を1年〜数10年と、長いスパンで見る必要があります。

    また、時間をかけて育成計画を実行した候補者が、途中で辞退や退職を選ぶリスクも考えられるため、候補者の選出や育成計画は慎重に実施しなければなりません。

    サクセッションプランの導入方法

    サクセッションプランの導入方法

    サクセッションプランの導入方法について確認してみましょう。

    サクセッションプランの導入の手順は以下の通りです。

    • STEP1:「経営戦略」と「ビジョン」の明確化

    • STEP2:実現に必要な条件やポジションの洗い出し

    • STEP3:人材に求める要件の決定と人材の選出

    • STEP4:候補者の特定と育成計画の実行

    「経営戦略」と「ビジョン」の明確化

    サクセッションプランの導入手順の1つ目のステップは、自社の「経営戦略」や「ビジョン」の明確化です。

    企業理念、文化、経営戦略、自社製品、サービス、技術、経営環境など、サクセッションプランで継承したい分野を分析し明示しましょう。

    後継者候補が将来、目指すべき未来に向けて自信を持って歩めるよう、組織としての地盤を固める必要があります。

    実現に必要な条件やポジションの洗い出し

    サクセッションプランの導入手順の2つ目のステップは、実現に必要な条件やポジションの洗い出しです。
    継承したい分野を明確化し、サクセッションプランの実現に必要な条件やポジションの範囲を定めます。
    CEO、役員、部長クラスなど、経営上重要な役割を担うサクセッションプランの対象ポジションを確立します。
    事業継承のみが目的であればCEOのみを対象に、組織そのものを改革させるなら、経営層の役職の新設や編成も検討材料になります。

    人材に求める要件の決定と人材の選出

    サクセッションプランの導入手順の3つ目のステップは、人材に求める要件の決定と人材の選出です。

    将来の経営層に求めるスキル、ノウハウ、経験、マインドセット、コンピテンシーなどの条件を決定します。

    また、社長や役員などの役職や、人数と内容も、企業の規模や方向性を意識し詳細を決定します。

    後継者候補の選出に必要な条件であるコンピテンシーについて、さらに詳しく知りたい方は、「コンピテンシーとは?活用メリットやデメリット、導入の流れを解説」をご確認ください。

    候補者の特定と育成計画の実行

    サクセッションプランの導入手順の4つ目のステップは、候補者の特定と育成計画の実行です。

    サクセッションプランで求める要件のもと、候補者を選出し特定しましょう。

    候補者の選出方法としては、自薦、他薦、アセスメント、試験などの選抜方式が挙げられます。

    積極性や熱意を重視するなら自薦方式、客観的な根拠を重視するならアセスメント方式を採用するなど、事業継承に求める条件と照らし合わせて、選出方式を決定しましょう。

    また、候補者の絞り込みも複数名プールするか、特定ポジションのみ選出するかなど、企業が将来求めるビジョンやポジションとその数により選出方式は異なります。

    計画に沿って後継者育成をするためには、適切な目標と評価管理が必要です。

    優秀人材の目標管理をする方法としては、「OKR」が注目を集めています。

    サクセッションプランの効果をより高めるOKRの基本知識・実践方法について、さらに詳しく知りたい方は「目標意識を高め、飛躍的な成長を実現する『OKR』入門書」をご確認ください。

    ▼「OKR」についてさらに詳しく
    Googleやメルカリも導入する目標管理手法、OKRの基礎知識

    ▼「サクセッションプラン」「後継者育成計画」の方法についてさらに詳しく
    人事がやるべきキーポジションの後継者育成計画・サクセッションプランとは?

    企業におけるサクセッションプランの事例

    サクセッションプランの事例

    日本国内の企業における、サクセッションプランの事例3つを確認してみましょう。

    サクセッションプラン事例1:りそな銀行

    国内の大手銀行である「りそな銀行」は、役員の選抜と育成を目的にしたサクセッションプランとして、次世代のトップと役員候補を選出し、それぞれの階層に合った育成プログラムを開始しました。

    役員に求める7つの軸を設定し、選抜の透明化のための指名委員会の設置や、外部コンサルタントによって見極める方法を取っています。

    サクセッションプラン事例2:TOYOTA

    自動車メーカー最大手である「TOYOTA」は、グローバル幹部人材の育成を目的に、「GLOBAL21プログラム」を設定し、「経営哲学や幹部としての期待」「人事管理」「育成配置と教育プログラム」を3本柱として、グローバル幹部の人材育成定を実施しています。

    海外事業体での人材育成に、30〜40人を対象に「LDP(Leadership Development Program)」を開催しています。

    また、経営哲学の「知恵と改善」「人間性尊重」といった「トヨタウェイ」を共有し、トヨタの根幹的な考えを浸透させる方法を取っています。

    サクセッションプラン事例3:花王株式会社

    大手化学メーカーの「花王株式会社」は、基幹人材の育成を目的に「花王ウェイ」を設定しました。

    後継者として育成する人材を「今すぐ」「1~3年」「3〜5年」の3段階に分けて選定し、候補者は、サクセッションプランフォームを作成し、花王の基本使命、求められるスキルと経験を把握し、能力開発と育成にあたります。

    さらに、コーチング、360度評価、フィードバックを実施し候補者に気付きを与える仕組みが特徴です。

    サクセッションプランを成功させる秘訣

    経営人材を育成する〜サクセッションプランを成功させる秘訣とは〜

    サクセッションプランとは、企業を経営する後継者を育成する施策で、後継者育成計画を意味します。

    サクセッションプランの導入によって、企業にどのような効果や課題が生じるのかを、さらに詳しく解説します。

    また、サクセッションプランを実施する際の実施手順や、サクセッションプランを成功させるために押さえるべき3つのポイントをご紹介します。

    この資料で分かること

    • サクセッションプランとは

    • サクセッションプランの重要性

    • サクセッションプランの効果と課題

    • サクセッションプラン立案のために準備すること

    • サクセッションプランの実施手順

    • サクセッションプラン成功の秘訣と押さえるべき3つのポイント

    サクセッションプラン導入に便利なツール

    サクセッションプラン導入に便利なツール

    サクセッションプランの導入には、「人事管理システム」が便利です。

    サクセッションプランは、まず従業員の中から事業継承に適任な後継者候補を選ぶ必要があります。

    人材の目標や評価を一元的に見える化することで、人材の管理や選出、長期的な育成がしやすくなるでしょう。

    サクセッションプラン導入には「HRBrain」のタレントマネジメントシステム

    HRBrainは人事評価から人材データを活用できるシステムです。

    目標・評価のプロセスを自動的に「見える化」できる点・システムを初めて使用する社員が、ストレスなく使ってくれることに注力したシンプルなUI設計が特徴です。

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    サクセッションプランは未来の組織づくりにつながる

    次世代の人材の戦略的な育成としてサクセッションプランは、人的資本経営の実現に向けても重要な役割を果たしています。

    また、サクセッションプランは、事業の後継者を育成する施策であり、長期的な企業存続と組織の活性化に必要不可欠な施策です。

    とくに規模が大きい企業では、後継者の育成は、企業の持続的成長と発展のために重大な経営課題の一つだと言えるでしょう。

    この経営課題に対応するためには、従業員の適性や評価、スキルと経験を適切に管理しなければなりません。

    「HRBrain」は従業員データをはじめ、人事管理や適切な人事評価制度を活用し、組織の確かな成長につなげる人事評価クラウドです。

    また、従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てを、クラウド上のソフトウエアで効率化することも可能です。

    MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法を、カンタン且つシンプルに運用することができます。

    ▼「人的資本経営」についてさらに詳しく
    人的資本とは?注目される背景と開示効果、高める方法をわかりやすく解説

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    HR大学編集部
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