#人材管理
2024/05/13

サクセッションプランとは?意味と事例や作り方と成功の秘訣について解説

目次

サクセッションプランとは、事業の後継者を育成する施策で、長期的な企業存続にとって欠かせないものです。

また、サクセッションプランと人材育成には明確な使い分けがあります。

サクセッションプランと人材育成の違いをきちんと理解する事で、後継者問題への対応や長期的な企業戦略を実現できるようになるでしょう。

この記事では、サクセッションプランについて、意味や企業での事例、サクセッションプラン作り方と成功させるための秘訣、サクセッションプランとタレントマネジメントについて解説します。

サクセッションプランでの優秀人材の選出と育成に

サクセッションプラン

サクセッションプランとは、事業の後継者を育成する施策を指します。

将来、組織を牽引する幹部や経営者候補となる人材を、長期的かつ綿密な計画性を持って育成する計画です。

また、サクセッションプランは、後継者不在によるリスクを回避し企業の持続的成長を図るために、企業規模を問わず多くの人事や経営者にとっての経営課題だと言えます。

サクセッションプランの意味

「サクセッションプラン(Succession plan)」は、「サクセッションプランニング(Succession planning)」のことで、和訳すると「継承」「相続計画」を意味し、経営では、CEOから幹部候補までの経営に関わる重要ポジション(キーポジション)の「後継者育成」を指します。

後継者不在のリスクヘッジとして優秀人材を「タレントプール」や「人材データベース化」する企業も増えてきました。

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サクセッションプランと人材育成の違い

サクセッションプランと人材育成との違いは、「育成する項目」と「指導者」が異なる点です。

サクセッションプランは経営層が主導となって、後継者候補に経営者視点に立った横断的な育成を施します。

人材育成は人事部が主導となって、従業員に研修やフォローアップを施し、組織が望むビジョンに向かって従業員の成長を促す施策全般を指します。

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サクセッションプランのメリットとデメリット

サクセッションプランは、企業や後継者候補にとって、どのようなメリットやデメリットがあるのかについて確認してみましょう。

サクセッションプランのメリット:組織の活性化

サクセッションプランのメリットは、「組織の活性化」です。

組織が、目指すべき経営層の育成計画のもとでサクセッションプランを実行することは、優秀人材の育成と定着や、モチベーション向上に繋がり、組織全体の活性化が期待できます。

また、サクセッションプランによる後継者候補の育成は、後継者の不在を理由としたM&Aや、突然の経営陣の変更や不在による組織全体の混乱を回避することができます。

そのため、サクセッションプランは長期に渡って組織の伝統やオリジナリティを守ることにもつながります。

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サクセッションプランのデメリット:長期的な育成コスト

サクセッションプランのデメリットは、「長期的な育成コスト」です。

サクセッションプランは、経営層による教育を1年〜数10年と、長いスパンで実施する必要があります。

また、時間をかけて育成計画を実行した候補者が、途中で辞退や退職を選ぶリスクも考えられるため、候補者の選出や育成計画は慎重に実施しなければなりません。

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サクセッションプランの作り方

サクセッションプランの作り方について確認してみましょう。

サクセッションプランの作り方

  1. 「経営戦略」と「ビジョン」の明確化
  2. 実現に必要な条件やポジションの洗い出し
  3. 人材に求める要件の決定と人材の選出
  4. 候補者の特定と育成計画の実行

「経営戦略」と「ビジョン」の明確化

サクセッションプランの作り方の1つ目のステップは、自社の「経営戦略」や「ビジョン」の明確化です。

企業理念、文化、経営戦略、自社製品、サービス、技術、経営環境など、サクセッションプランで継承したい分野を分析し明示しましょう。

後継者候補が将来、目指すべき未来に向けて自信を持って歩めるよう、組織としての地盤を固める必要があります。

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実現に必要な条件やポジションの洗い出し

サクセッションプランの作り方の2つ目のステップは、実現に必要な条件やポジションの洗い出しです。

継承したい分野を明確化し、サクセッションプランの実現に必要な条件やポジションの範囲を定めます。

CEO、役員、部長クラスなど、経営上重要な役割を担うサクセッションプランの対象ポジションを確立します。

事業継承のみが目的であればCEOのみを対象に、組織そのものを改革させるのであれば経営層の役職の新設や編成も検討材料になります。

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人材に求める要件の決定と人材の選出

サクセッションプランの作り方の3つ目のステップは、人材に求める要件の決定と人材の選出です。

将来の経営層に求めるスキル、ノウハウ、経験、マインドセット、コンピテンシーなどの条件を決定します。

また、社長や役員などの役職や、人数と内容も、企業の規模や方向性を意識し詳細を決定します。

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候補者の特定と育成計画の実行

サクセッションプランの作り方の4つ目のステップは、候補者の特定と育成計画の実行です。

サクセッションプランで求める要件のもと、候補者を選出し特定しましょう。

候補者の選出方法としては、自薦、他薦、アセスメント、試験などの選抜方法があげられます。

積極性や熱意を重視するなら自薦方式、客観的な根拠を重視するならアセスメント方式を採用するなど、事業継承に求める条件と照らし合わせて、選出方法を決定しましょう。

また、候補者の絞り込みも複数名プールするか、特定ポジションのみ選出するかなど、企業が将来求めるビジョンやポジションの数により選出方法は異なります。

計画に沿って後継者育成をするためには、適切な目標と評価管理が必要です。

優秀人材の目標管理をする方法としては「OKR」が注目を集めています。

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サクセッションプランの導入事例

日本国内の企業での、サクセッションプランの導入事例について確認してみましょう。

サクセッションプランの導入事例:株式会社りそな銀行

国内の大手銀行である「りそな銀行」は、役員の選抜と育成を目的にしたサクセッションプランとして、次世代のトップと役員候補を選出し、それぞれの階層に合った育成プログラムを開始しました。

役員に求める「7つの軸」を設定し、選抜の透明化のための指名委員会の設置や、外部コンサルタントによって候補者を見極める方法を取っています。

株式会社りそな銀行

(参考)りそなグループ「コーポレートガバナンスの概要

サクセッションプランの導入事例:トヨタ自動車株式会社

自動車メーカー最大手である「トヨタ自動車」は、グローバル幹部人材の育成を目的に「GLOBAL21プログラム」を設定し、「経営哲学や幹部としての期待」「人事管理」「育成配置と教育プログラム」を3本柱として、グローバル幹部の人材育成を実施しています。

海外事業体での人材育成として、30〜40人を対象に「LDP(Leadership Development Program)」を開催しています。

また、経営哲学の「知恵と改善」「人間性尊重」といった「トヨタウェイ」を共有し、トヨタの根幹的な考えを浸透させる方法を取っています。

トヨタ自動車株式会社

(参考)トヨタ自動車「トヨタの人材育成

(参考)トヨタ自動車「トヨタウェイ

サクセッションプランの導入事例:花王株式会社

大手化学メーカーの「花王」は、基幹人材の育成を目的に「花王ウェイ」を設定しました。

後継者として育成する人材を「今すぐ」「1~3年」「3〜5年」の3段階に分けて選定し、候補者は、サクセッションプランフォームを作成し、「花王の基本使命」「求められるスキルと経験」を把握し、能力開発と育成にあたります。

さらに、コーチング、360度評価、フィードバックを実施し候補者に気付きを与える仕組みが特徴です。

花王株式会社

(参考)花王「花王ウェイ

(参考)花王「コーポレート・ガバナンス

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▼「360度評価」についてさらに詳しく
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360度評価の実施目的やメリットを解説

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サクセッションプランを成功させる秘訣

サクセッションプランを成功させる秘訣とは

サクセッションプランとは、企業を経営する後継者を育成する施策で、後継者育成計画を意味します。

サクセッションプランの導入によって、企業にどのような効果や課題が生じるのかを、さらに詳しく解説します。

また、サクセッションプランを実施する際の実施手順や、サクセッションプランを成功させるために押さえるべき3つのポイントをご紹介します。

この資料で分かること

  • サクセッションプランとは

  • サクセッションプランの重要性

  • サクセッションプランの効果と課題

  • サクセッションプラン立案のために準備すること

  • サクセッションプランの実施手順

  • サクセッションプラン成功の秘訣と押さえるべき3つのポイント

サクセッションプランの導入に便利なツール

サクセッションプランの導入には、人事や労務に必要なあらゆる人材データを管理する「人事管理システム」が便利です。

サクセッションプランを導入する際は、従業員の中から事業継承に適任な「後継者候補」を選出する必要があります。

人事管理システムを利用し、人材の目標や評価の見える化をすることで、人材の管理や選出、長期的な育成プランの実施がしやすくなります。

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▼「見える化」についてさらに詳しく
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サクセッションプランの導入には「タレントマネジメント」

タレントマネジメントは、スキルやノウハウなどの従業員データを一元的に集約し、異動や人材育成、評価などの人事戦略に反映させることで、組織成長や業務効率化を目指すプロセスを指します。

タレントマネジメントの目的は、企業によってさまざまですが、大きく「経営目標の達成」「柔軟な部署連携・適正な人材配置」の2つに分けられます。

サクセッションプランでの、「候補者の選出」「経営戦略とビジョンの明確化」「ポジションや必要条件の洗い出し」「育成の計画と実施」に役立ちます。

▼「タレントマネジメント」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説

サクセッションプランの実施をサポート

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サクセッションプランは人的資本経営の実現に向けて重要な施策

サクセッションプランは、次世代の人材の戦略的な育成や、人的資本経営の実現に向けて重要な役割を果たしています。

また、サクセッションプランは、事業の後継者を育成する施策であり、長期的な企業存続と組織の活性化としても必要不可欠な施策と言えます。

特に企業規模の大きい企業では、後継者の育成は、企業の「持続的成長」と「発展」のために重大な経営課題の1つだと言えるでしょう。

後継者の育成を実現するためには、従業員の「適性」「評価」「スキル」「経験」を適切に管理しなければなりません。

「HRBrain タレントマネジメント」は、サクセッションプランに必要な「優秀人材の抽出」や「育成プランの実施」をサポートします。

さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
タレントマネジメントシステムの課題とは? 目的・導入の課題と成功事例まで

▼「タレントマネジメント」お役立ち資料まとめ
【人事担当者必見】タレントマネジメントに関するお役立ち資料まとめ

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HR大学編集部
HR大学 編集部

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