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自律型人材とは?自立との違い、育成方法について解説します。

自律型人材とは?自立との違い、育成方法について解説します。

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    新型コロナウイルス感染症により働き方が大きく変化し「自律型人材」について耳にする機会が増えました。テレワークの浸透により、従来の方法で部下を管理することが困難になり、これまでと同じ方法でマネジメントしていても、効率は上がらないでしょう。管理職によるマネジメントが難しい時代になったといえます。そのため、自分で「考え・行動」できる人材を求める声が多くなりました。

    今回は、自律型人材とは何か、メリットや育成方法を交えながら解説します。

    「従業員の強み・弱みがわからず、どんな人材育成施策を行うべきかわからない」
    「従業員ごとのパフォーマンスがまとまっておらず、育成すべきところがわからない」
    など、お悩みの方も多いのでは無いでしょうか。

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    そもそも自律とは

    自律とは、精神的な独り立ちを指す言葉です。価値観や信条、理念など、個人を構成する内的要因の影響を受けていない状態のことを表しています。ビジネスシーンでは「仕事上の目標を設定し、仕事への価値や意義を見つけられる人」を指します。

    自立・自主性との違い

    自立とは、「能力」「経済力」「身体」などに関して、他者に依存せず行動することです。

    「業務を習得・遂行し、生活を維持している人」を表す言葉でもあります。自立が外的要因の独立を指しているのに対して、自律は内的要因の独立を指します。

    自律と自主性の違いは、以下の2つです。

    • 自主性:率先して行動する
    • 自律性:自ら考え、行動する

    自主性は「自分を主とする性質」のことで、自らの力で考え・行動できる性質を指します。対して自律性は「自らの規範によって行動を決める性質」「自分を律する性質」のことをあらわしています。

    自律の場合は自らの規範によって行動しますが、自立にはその意味はありません。混同しないように注意しましょう。

    自律型人材とは

    指示されたままに動くのではなく、自ら判断し行動できる人材のことです。

    基本的な特徴

    近年注目されている自律型人材の特徴について解説します。

    自分から行動できる

    自律型人材の特徴は、企業・上司からの指示を受けて行動するのではなく、会社に貢献するために何を行うべきかを自分で考えて行動できることです。企業から自分に与えられた「役割」「期待」を理解したうえで、常に高い目標を立案することが求められます。また、目標達成に必要な学習を続けられる人材が求められる傾向にあります。

    責任を持って行動できる

    自分の判断で行動するための責任感を持つことも、自律型人材の特徴です。

    自律型人材には、責任感のある行動につながるよう、常に自らを律することが求められます。自己が立案した目標に対して、責任を持ち取り組まなければいけません。達成に至らない場合は、状況改善に向けた行動が必要です。

    自分らしさを仕事に反映できる

    自律型人材は、周りに合わせるのではなく「自分」を持ち行動することも特徴です。

    他者の考えに流されず自分の価値・考え・信条から判断し、行動します。自分だけの仕事を持てることも特徴です。

    具体的な要件

    企業が求める自律型人材の要件は異なります。自社に必要な人材を具体的に定義しましょう。定義方法は大きく以下の2種類にわけられます。

    経営戦略から定義する

    各企業によって経営戦略の方向性は異なるため、求められる人材も異なります。「経営戦略」を立て、実現するためにどのような「組織」「人材」が必要か考えていきましょう。「経営戦略」が具体的に立案されていなければ行動する方向がずれてしまいます。より具体的な「経営戦略」が立てられるよう、社会情勢や企業の強み・弱みを意識して考えましょう。

    また、既存の事業だけではなく、柔軟な思考で上司に提案できる人材を定義します。

    経営戦略から定義すると、現状と目指す姿にギャップが生じます。そのため、求める人材像の基準が高くなりすぎる傾向にあるでしょう。非現実的な人材を求めないよう、理想が高くなりすぎていないか確認するようにしましょう。

    定義するポイントは、従業員になにを「期待」するか具体的にあらわすことが必要です。「自ら考えて行動する」だけではなく、具体的にどのように行動することを期待するかまで落とし込むといいでしょう。

    ロールモデルを定義する

    昨今、自律型人材として活躍している人材をロールモデルとする方法が注目されています。

    ロールモデルとなる人材を分析し、必要な「スキル」「マインド」を求める人材に当てはめるとよいでしょう。目標がすでに存在しているため、イメージが容易になるメリットがあります。しかし、ロールモデルとなる人物が「自律型人材」ではない可能性もあります。経営戦略から考える方法と併用することで、企業が求める人材がより具体的になるでしょう。また、役職が異なれば求める人材のイメージも変わります。さまざまな役職と条件をすり合わせることで、企業の求める人材が明確になるでしょう。

    求められる背景

    なぜ自律型人材が求められるようになったのでしょうか。ここでは自立型人材が求められるようになった背景を詳しく説明します。

    働き方の多様化

    新型コロナウイルスの流行により、多くの企業でテレワークが推進されました。これまでのように会社に出社するのではなく、自宅を中心にさまざまな場所で仕事を行うようになりました。また、「フレックス制度」「時短勤務」など働き方も多様化しているため、従来のマネジメント手法では効率が上がらなくなったことも原因です。そのため、働く場所や時間が違っても、企業のために主体的な行動を取れる人材が求められるようになりました。

    時代の移り変わり

    「企業競争の激化」「顧客ニーズの複雑化・多様化」「IT技術の進展」など、世の中の情勢は変化しています。時代の流れを早期に捉え、的確に対応できなければ生き残りが困難な時代です。環境の変化に対応できる人材が多く所属していることが、企業が生き残るために必要な条件とされています。

    雇用の変化

    従来は、従業員が幅広いスキルを身につけることに重点をおく雇用形態がとられていました。しかし現在は、専門的なスキル・知識を有することに注視した雇用形態に変化しています。そのため、スキル・知識を獲得するために自ら成長していくことが求められるでしょう。また、習得したスキルや知識を現場で発揮できる人材に注目が集まっています。

    活躍できる組織

    ここからは、自律した従業員が活躍できる組織形態・違いについて解説します。

    ティール組織

    社長や上司がマネジメントを行わずに、目的のための進化を続ける組織を指します。

    「指示命令系統」がなくても個人がルールや仕組みを理解し、独自に意思決定する特徴があります。上下関係や定期ミーティングなどを行わず、管理職の権限を個々に委譲しています。

    ホラクラシー型組織

    役職や階級が存在しないフラットな組織を指します。短期間の事業や変化への迅速な対応が求められる事業に適しているでしょう。

    従来の企業のほとんどは、役職と階級が定められていました。上司に多くの権限が与えられる従来の組織とは異なり、意思決定などの権限が個々の従業員に与えられます。

    育成ポイント

    ここでは、自律型人材の育成における重要なポイントについて解説します。

    自律型人材の定義と目標設定

    育成や雇用する前に、自社における「自律型人材」とはどういった人材なのかを設定することからはじめましょう。企業によって目指す姿が異なるため、企業の特徴や目標に合わせて設定するのがおすすめです。

    企業の目標達成に向けてどのような人材が必要か考えることで「理想の人物像」が見えてきます。業務内容や計画に合わせて定義しましょう。また、従業員の中でロールモデルを決め参考にする方法もあります。モデルケースとなる従業員のスキルや業務内容を分析していくことで「理想の人物像」に近づいてくるでしょう。

    定義ができたら育成を開始します。企業理念・目標・ビジョンを説明することが重要です。ここが具体的でなければ、企業が求める人材とは異なった人材に成長してしまう危険性があります。成果のある行動を取れる人材が育成できるよう、経営戦略などを具体的に説明しましょう。

    人材育成に関しては、HRBrainで提供しているタレントマネジメントクラウドもぜひ活用してください。

    環境の整備

    失敗してはいけないという空気があると、失敗を恐れて身動きが取れなくなるかもしれません。失敗から学び、次に活かしていけるような職場風土を整えましょう。発言を否定することなく、誰もが活発に意見交換が行える環境が大切です。失敗しても次につなげられるような職場づくりを目指しましょう。職場の目指す姿を従業員全体に周知し、徹底していくことも重要なポイントです。

    また育成を進めたからといって、すぐに結果は表れません。従業員に向けたスキルアップ研修やセミナーなどを準備することで、育成の土台づくりができます。企業内で研修を実施するのが困難な場合は、オンライン学習を活用するのもいいでしょう。

    心理的安全性の確保

    心理的安全性とは、従業員が「提案」「失敗」することに恐怖や不安を感じず、自然体で行動できる状態です。「サイコロジカル・セーフティ」という心理学用語を日本語に翻訳した言葉で、近年ビジネスだけではなくさまざまな場面で使用されるようになりました。

    他者から否定されることや失敗を咎められると主体的な行動はとれません。「失敗しても次に活かせる」「提案した内容を検討してもらえる」など心理的安全性を確保することで、従業員の自律性が向上します。

    心理的安全性がもたらす効果は以下の通りです。

    • 集中力・パフォーマンスが向上する
    • 情報交換から組織の知識が増える
    • 多様な価値観からアイディアが生まれる
    • 心に余裕が生まれ、やりがいを感じる
    • 従業員の責任感・関心度が上がる
    • 他者の意見に流されなくなる

    このような効果が得られるため、組織内での対話が増え、目標達成に向けた具体的な意見が生まれるでしょう。

    また、個々の特性やスキルが活かされるため、生産性が向上します。

    失敗を報告するハードルも下がるため、問題が生じた場合もすぐに共有でき、迅速に対応できます。

    心理的安全性が高い組織は仕事のやりがいを感じやすいため、離職率低下を防ぐことにもつながるでしょう。

    全従業員が心理的安全性について意識し、徹底していくことが必要です。

    会社の理念やビジョンの理解

    企業にとって最良な行動を取ることが求められます。そのため、企業の「経営理念」「戦略」を従業員が理解していることも自律には必要です。企業の「目標」「方針」を理解していなければ「求められている行動」を意識した行動はできません。

    評価・フィードバック体制の見直し

    自律型人材としてすぐに行動することは困難です。時間をかけて企業目標・経営戦略について理解し、行動できるように促すことが必要になります。従業員ひとりひとりに振り返りをする機会を設け、フィードバックと行動を繰り返していくことで成長につなげられます。

    また、企業側は「結果」だけではなく、「過程」を評価することが大切です。結果につながらなかったとしても次は成果がでるように「過程」のどの部分を改善するか明確になると結果につなげられるでしょう。

    HRBrainのタレントマネジメントシステムを活用することで、過程を含めた評価がより効果的に実施できます。

    経験学習サイクル

    経験学習サイクルとは、経験から学ぶプロセスを理論化したもののことです。「経験」「振り返り」「概念化」「実践」の4つのステップから構成されます。経験学習サイクルにより、過去の経験を成長につなげるでしょう。

    経験学習サイクルと似た概念に、PDCAサイクルがあります。こちらは「計画」「実行」「評価」「改善」の4つのステップから構成され、特に「改善」に重点をおいています。経験学習サイクルは、概念化することにより学びを深め、気づきを得られるのが特徴です。

    経験は、実際に行った仕事だけではなく、過去の体験でも問題ありません。

    主体的に行動し得られた経験を振り返り、概念化することが重要です。

    振り返りの段階は、経験した内容から学んだ内容を振り返ることが大切です。具体的に振り返ることで、どのような気づきが得られたか多方面から考えるといいでしょう。

    概念化においては、学んだことを他の場面で活用できるように理解を深めるのがポイントです。同じ場面で活用するのではなく、さまざまな場面で使用できるように自分の知識やスキルとして落とし込みましょう。「学んだ内容はどのようなことだったのか」と物事の本質を捉えることで概念化しやすくなります。

    最後の実践のステップでは、学びや気づきが重要です。

    ただ学び・気づくだけでなく、いかに実践へつなげられるかが成長の分かれ道です。実践できる場を用意し、自信につなげられるように整備しましょう。

    研修・実践の関連づけ

    自律した人材を育成するためには、研修やセミナーで学習した内容を活用できるようにしましょう。実践するだけではなく、求められている行動を理解できるよう学習する場を整えることが必要です。学んだからといって、行動や発言はすぐに変化しません。実践後にフィードバックを行い、結果だけではなくプロセスを評価しましょう。フィードバックを通じたプロセスの評価は、次に活かせるような振り返りの場を設けることにもなります。研修と実践を繰り返すことで知識や技術を深められるため、従業員の自信にもつながります。

    自律型人材の育成に関するメリット

    ここでは、自律型人材を育成する4つのメリットについて解説します。

    業務効率化が実現する

    会社にとって最良の選択を、自分で考えて選択できるのが自律型人材の強みです。上司の指示を待っていると指示が出るまでに時間がかかり、業務の進行に支障をきたすことになります。自己判断ができるため、待ち時間の発生を抑止できるのもメリットです。また、効率的に業務が行えるように自分を管理できるのも特徴です。業務の効率化につながる方法を実践することで、生産性の向上にもつながります。

    コロナ禍の働き方に対応できる

    上司に指示されなくても行動できる「自律型人材」は、コロナ禍で注目されたテレワークに向いているといえるでしょう。新型コロナウイルス感染症により在宅ワークが推進され、自宅などさまざまな場所で働くようになりました。さまざまな場所で働いているため、チームマネジメントが行いにくい現状にあります。テレワークが拡大する今後は、自律型人材の育成が企業にとってのメリットにつながります。

    アイデアを考える力が身に付く

    人に指示されて行動しても、指示された範囲内の行動しかできません。

    自分の意見や価値観を仕事に反映でき、柔軟な発想ができる自律型人材は、会社をよくするためのアイデアを考えられるでしょう。

    管理職の負担が軽減する

    問題が発生した場合、どのように改善すればいいか考えて行動できます。指示や確認作業に向ける時間が少なくなるため、他の業務に時間と労力を回せます。

    育成するうえでの注意点

    ここでは、自律型人材を育成するうえで押さえておくべき3つの注意点について解説します。

    管理者のマネジメントスキルを向上させる

    管理者が的確なアドバイスを実施できない人材では、企業全体の成長にも悪影響があります。

    管理者のアドバイスは、従業員を育成するうえで非常に重要な要素です。

    部下が伸び悩んでいた場合、適切にフォローすることで成長につながります。適切なフォローができるようにコーチングスキルをみがきましょう。

    コーチングとは教育手法のひとつです。適切なアドバイスをすることでモチベーションを高め、能力を引き出せる特徴があります。仕事で活かせるコーチングの学び方に関して、「コーチングとは?ビジネスでの役割と仕事で活かせる学び方で解説しているので、ぜひご覧ください。

    責任のある仕事を任せる

    できるだけ責任のある仕事を任せて、自律そのものへの意識を芽生えさせなければなりません。

    責任感をもち、何度も仕事をすることで判断能力が備わります。

    権限を委譲し、主体的に仕事に取り組めるように環境を整えましょう。なぜその考えに至ったかなど考えを話す機会を設け、フィードバックすることで判断能力は高まります。

    自発的な学びを支援する

    現在、企業を取り巻く環境は常に変化を繰り返しています。さまざまな環境に柔軟に対応することが求められるため常に学習することが重要です。従業員が成長できるよう研修の開催や資格取得の支援・研修補助制度など成長できる環境を整えましょう。

    まとめ

    今回は、「自律型人材」について解説しました。

    自ら考え・行動できる人材を育成することで「業務の効率化」や「生産性の向上」につながります。自律型人材の育成には具体的な目標設定や、主体的な行動をとれる環境整備が必要です。また、心理的安全性の高い職場となるような職場風土づくりを行いましょう。

    新型コロナウイルス感染症によりテレワークが推進され、自律型人材を求める声が多くなりました。環境の変化に柔軟に対応し、組織の目標達成に向けて自律して行動できる人材を育成していきましょう。

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    HR大学編集部

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