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2024/02/26

KJ法とは?やり方やアイディアのまとめ方を簡単に解説

目次

    KJ法は、ブレインストーミング(ブレスト)で出たアイディアをグルーピングすることで、新しい着想やまとめを可能にする方法です。

    企業をとりまく環境が目まぐるしく変化していく中で、企業では新たなアイディアや事業展開が求められています。

    そのため、今後の新しい組織のあり方を検討するために、チームメンバーを集めて議論をする機会も増えているのではないでしょうか。

    ですが、多くのアイディアをまとめるのは至難の業です。

    KJ法は多くのアイディアをまとめる方法として、新たな方向性を検討する際に、大きな力を発揮します。

    この記事では、KJ法とは、KJ法のやり方やブレストとの違い、メリットとデメリット、KJ法でのまとめ方について簡単に解説します。

    KJ法の実施メンバーの抽出に

    KJ法とは

    KJ法とは、集団での問題解決手法の1つで、断片的な情報やアイディアを効率的に整理する手法で、発明者である日本人の文化人類学者の川喜田二郎氏が1976年に著書である「発想法」で提言しました。

    また、KJ法のKJは川喜田二郎氏のイニシャルが由来となっています。

    KJ法は一言でいえば、参加者がポストイットなどのメモに書いたアイディアや情報を集めてグルーピングすることで、新しい着想やまとめを可能にする方法です。

    集団で発想することにより、1人で発想するよりも多くのアイディアを生み出すことができます。

    さらにKJ法は、アイディアをグルーピングすることで新たな着想やアイディアを得ることも可能です。

    また、ディスカッションのプロセスでメンバーが深く参加することによって、お互いの考え方を共有し、メンバーのチームビルディングや行動変容につなげることもできます。

    (参考)中央公論新社「発想法 改版

    KJ法とブレインストーミング

    KJ法を語るうえで、引き合いに出される言葉に「ブレインストーミング」があります。

    ブレインストーミングはKJ法を実施する前の情報やアイディアの洗い出しの際に使用される手法です。

    ブレインストーミングのやり方

    ブレインストーミング(ブレスト)は、アメリカのアレックス・F・オズボーンが1950年代に考え出したディスカッションの方法です。

    1人ではなく何人かが集まり、ある特定のテーマをめぐって自由に意見やアイディアを出し合う会議形式の1つです。

    ブレインストーミングを実施するには、まず何のテーマで話し合うのか、テーマを決めます。

    次に、ブレインストーミングにとって重要な「グラウンドルール」と呼ばれる4原則に基づいて発言していきます。

    ブレインストーミングを成功させるためには、この「4原則」を守ることが大切です。

    ブレインストーミングの4原則

    1. 批判厳禁:どんな意見がでてきてもそれを批判してはいけない
    2. 自由奔放:奔放な発想を歓迎しとっぴな意見でもかまわない
    3. 量を求む:数で勝負するので、できるだけたくさんの意見を出す。量の中から質のあるものが生まれてくる
    4. 便乗発展:他人の意見に便乗してさらにアイディアを発展させていく

    また、ブレインストーミングは人数が少なくても、多すぎても実施が難しくなるため、参加人数は「10〜12人程度が適切」であるとされています。

    さらに、実施する時間や実施場所も重要で、時間は「30〜60分間」で集中的に行いましょう。

    場所は発想が出やすいようになるべく「開放的で明るい場所」が適切です。

    ブレインストーミングでは、参加者がどんどんアイディアを出し合っていきます。

    そしてそれを記録係がホワイトボードや大きな模造紙などに書き込むか、参加者自らがポストイットなどに書き出していきます。

    発散と収束

    ブレインストーミングで重要なプロセスが「発散と収束」です。

    最初は4原則にしたがって、どんどんたくさんのアイディアを出していき、アイディアが「発散」していくプロセスを楽しみましょう。

    そしてある程度の量のアイディアが集まったら次は「収束」です。

    アイディアの中から質の高いものや参考になりそうなものを拾い上げていきます。

    ブレインストーミングの効果を最大化するには?

    ブレインストーミングの効果を最大化する方法について確認してみましょう。

    • リーダーやファシリテーターの存在

    良いアイディアを出すためには、参加者だけではなくリーダーやファシリテーターの存在が重要です。アイディアが出なくなった際や、もう少し別の観点からアイディアを出したい場合に、リーダーやファシリテーターから新しいアイディアを促す指示を出します。そうすることで、また新たなアイディアが生まれるようになります。

    • なるべく多様なバックグラウンドを持つメンバーを集める

    なるべく多様な価値観や経験、考え方を持ったメンバーを集めることが重要です。例えば新製品の開発であれば、技術者だけではなく、お客様と接している営業担当者やマーケティング担当者を巻き込んでも良いでしょう。多様な考え方からは、いままで想像もつかなかった新たなアイディアが生まれることもあります。

    • 人数が多い場合はグループを分けて議論する

    最近ではオンラインでブレインストーミングを行うこともあります。そんな時に10〜12名全員が一堂に会してブレインストーミングをすることは難しいです。そこで参加者を4〜5名のグループに分けてグループ単位でブレインストーミングをすると、全員が発言できるようになります。人数が多い場合はグループを分ける方法も有効です。

    ▼「ブレインストーミング」についてさらに詳しく
    ブレインストーミング(ブレスト)とは?意味とやり方やルールについて

    ブレインストーミングでのメンバー抽出に

    ⇒「HRBrain タレントマネジメント

    KJ法のメリット

    KJ方のメリットについて確認してみましょう。

    KJ法のメリット

    • 自由に発想できる

    • 意見を可視化できる

    • 論理的に整理できる

    自由に発想できる

    KJ法のメリットは何よりもメンバーが自由に発想できることにあります。

    普段の会議や日常会話では発言しづらかったことも自由に発言し、どんどん発想することで新たなアイディアを生み出すことができます。

    意見を可視化できる

    KJ法はアイディアをポストイットなどのメモに書き出していくため、アイディアや意見を可視化できます。

    また、最終的にアイディアをグルーピングするため、どんなアイディアが生まれたのかを明確に理解することもできるのです。

    論理的に整理できる

    KJ法の非常に優れた点は、創造性と論理性を融合させていることです。

    最初の段階では自由に発想することでアイディアを生み出していきます。

    そして、最後にはアイディアをまとめて意味合いを抽出するため、論理的に整理しやすくなります。

    KJ法のデメリット

    KJ方のデメリットについて確認してみましょう。

    KJ法のデメリット

    • 時間がかかる

    • アイディアが出にくい場合がある

    時間がかかる

    KJ法の最も大きなデメリットは、時間がかかることです。

    問題解決の時間が限られている中で、関係者を集めて議論するのは時間が足りなくなる場合もあります。

    そのため、早く問題を解決する際にはKJ法は向いていない手法だと言えます。

    アイディアが出にくい場合がある

    どんなに優れたメンバーを集めても、困難な問題や未知のテーマに対してはアイディアが出ないこともあり得ます。

    アイディア量はメンバーの知識レベルやお互いの関係性も影響するため、最初にアイスブレイクなどを通じて、参加者同士の知識レベルやお互いの関係性について確かめておくと良いでしょう。

    コミュニケーションを円滑にする「1on1ミーティング」実施方法

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    KJ法のやり方

    KJ法のやり方について確認してみましょう。

    KJ法のやり方

    1. ホワイトボードを用意する
    2. 紙またはオンラインでカードを用意する
    3. カードにアイディアを書き込む
    4. アイディアをグルーピングする
    5. 意味合いを抽出する

    ホワイトボードを用意する

    KJ法ではまず、ホワイトボードや模造紙などの広い面積に書き込めるツールを用意します。

    最近ではオンラインホワイトボードもあるので、リモートワーク環境でKJ法を実施する場合はオンラインホワイトボードを活用するのがおすすめです。

    紙またはオンラインでカードを用意する

    ホワイトボードや模造紙を用意したら、参加者が自由に書き込める紙を用意します。

    KJ法は後からグルーピングを行うため、リアルのディスカッションであればポストイットなどの付箋を使用することが一般的です。

    また、オンラインホワイトボードを使用する場合は、予めメンバーが書き込めるカードを用意しておきましょう。

    カードにアイディアを書き込む

    カードを用意したら、メンバーに集まってもらい、どんどんアイディアをカードに書き込んでいきます。

    アイディアはメンバーが自分で書き込んでも良いですし、人数が少ない場合はファシリテーターが代わりに書き込んでいっても良いです。

    アイディアをグルーピングする

    ある程度アイディアが集まったら、類似するアイディアをグルーピングしていきます。

    この時に、アイディア同士のつながりを見つけていくことがポイントです。

    例えば、「バナナ」「りんご」というアイディアであれば、両者を「果物」というグループに統合します。

    あるいは少し発想を変えると「バナナ」「りんご」「牛乳」で「ミックスジュース」というグループが生まれるかもしれません。

    意味合いを抽出する

    こうしたグルーピングを通じて、意味合いを抽出していきます。

    グルーピングを行ったキーワードをつなげていくと、問題の根本原因が見えてくることもあります。

    あるいは、今までとは全く異なる新しいアイディアが生まれる場合もあります。

    グルーピングをする際は、単にグルーピングをするのではなく、そこから何を読み取れるかを必ず考えるようにしましょう。

    KJ法を効果的に行うためのまとめ方

    KJ法を実施する目的は、単に情報整理をすることではなく、テーマの本質を明らかにすることです。

    KJ方を効果的かつスムーズに行うためのポイントについて確認してみましょう。

    KJ法を効果的に行うためのまとめ方

    • 意味や具体的な内容まで詳しく記載する

    • アイディアは小さく分類した後に大きく分類する

    • アイディアを無理やりグルーピングしない

    • 意見をまとめる際は全員の同意を得る

    • 文章化をしてアウトプットする

    意味や具体的な内容まで詳しく記載する

    KJ法でアイディアを出す際は、言葉や単語だけを書くのではなく、具体的な内容まで記載するようにしましょう。

    同じ言葉や単語でも、アイディアを出した人によっては意図が違うこともあり、場合によっては正反対の意味のこともあります。

    アイディアは小さく分類した後に大きく分類する

    KJ法では、洗い出したアイディアをまとめる作業を行いますが、はじめは小さくまとめて、その後に大きくまとめて、グループに分けるようにしましょう。

    はじめから大きくまとめ過ぎてしまうと、方向性が決まってしまうのと、新しい発見が出来なくなってしまう可能性があります。

    アイディアを無理やりグルーピングしない

    KJ法でアイディアをまとめる際に、どのグループにも属さないアイディアが出てきた場合は、無理やりまとめるのではなく、そのまま独立させておくことが大切です。

    グループに分けられないアイディアは、斬新なアイディアの場合もあるため、独立させておくようにしましょう。

    意見をまとめる際は全員の同意を得る

    KJ法でアイディアをまとめる際は、1人の人の判断でまとめるのではなく、全員の同意を得ながらまとめるようにしましょう。

    1人の判断でまとめてしまうと、偏りが発生してしまう可能性があります。

    アイディアをまとめる際も、全員でしっかり議論することで、グルーピングの質も向上します。

    文章化をしてアウトプットする

    KJ法で出たアイディアをグルーピングし情報を整理したら、必ず文章化してアウトプットするようにしましょう。

    文章化することで、はじめて新たなアイディアが生まれます。

    人事制度の設計や見直し方法を解説

    ⇒「ゼロから作る人事制度設計マニュアル

    KJ法で多様な価値観を力に変える

    企業をとりまく環境が日々目まぐるしく変化していく中で、企業では新たなアイディアや事業展開が求められています。

    そのため、今後の新しい組織のあり方を検討するために、チームメンバーを集めて議論をする機会も増えているのではないでしょうか。

    ブレインストーミングとKJ法は、新たな方向性を検討する際に、大きな力を発揮します。

    多様な価値観を持つ従業員から意見をうまく抽出することができれば、かつてない新しい事業アイディアや組織の方向性を見出すことができるかもしれません。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、多様なスキルを持つ従業員データの可視化やキャリア情報をクラウドシステム上で管理することができます。

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    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

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    • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

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    HR大学編集部
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