社員のモチベーションを向上させる取り組み7選|低下の原因も解説
組織状態の把握から分析・課題抽出までワンストップで実現
- 社員のモチベーション向上に企業が取り組む必要性
- 社員のモチベーションが低下する4つの原因
- 待遇や労働環境に対する不満
- 人間関係やコミュニケーションに対する不満
- 仕事やキャリアに対する不満
- 将来に対する不安
- 社員のモチベーションを高める7つの取り組み
- 企業ビジョンや理念を浸透させる
- 待遇や労働環境を整える
- 公平な人事評価制度を導入する
- インセンティブ制度を設計する
- 具体的なキャリアパスを提示する
- 目標設定や人員配置などでやりがいを設計する
- 柔軟な働き方を導入する
- 社員のモチベーションを把握する調査方法
- 社内アンケートを実施する
- サーベイツールを利用する
- 調査に基づいた的確な施策で社員のモチベーションを向上させよう
社員のモチベーションは、企業の生産性や成長を左右する要素です。しかし現場では、モチベーション向上のために「具体的に何から手をつければよいのかわからない」「施策の効果を測る方法がわからない」といった悩みを抱える担当者もいます。
本記事では、社員のモチベーションが低下する原因を4つの視点から整理し、企業が取り組むべき施策を7つ紹介します。
また、モチベーションを正確に把握するための調査方法も解説するため、データに基づいた改善策を考えたい場合にはぜひ参考にしてください。
社員のモチベーション向上に企業が取り組む必要性
社員のモチベーションを向上させることは、業績や組織の持続的な成長に直結します。モチベーションが高い社員は自発的に行動し、チーム全体の生産性を押し上げる効果をもたらすためです。
たとえば、上司から定期的にフィードバックを受け、成果を正しく評価されている社員は「自分の仕事が会社の役に立っている」と実感できます。その結果、日々の業務にも主体的に取り組むようになり、チーム全体の雰囲気や士気も向上します。
このように、モチベーション施策は生産性向上や離職率低減までもを目指せる、経営戦略そのものです。
また、トップが掲げるビジョンを現場の日常業務に翻訳し、ひとりひとりが納得感を持って働ける環境を整えることで、組織全体の方向性が揃います。経営層任せではなく、企業として仕組みを構築することで、現場の自走度が高まり、持続的な成果を期待できるでしょう。
【関連コンテンツ】
社員のモチベーションが低下する4つの原因
社員のモチベーションが下がる要因は多岐にわたりますが、大きく以下の4つに分類できます。
待遇や労働環境に対する不満
人間関係やコミュニケーションに対する不満
仕事やキャリアに対する不満
将来に対する不安
それぞれの原因を正確に把握することで、的確な対策が打てるようになります。
待遇や労働環境に対する不満
給与や労働時間、福利厚生などの待遇面の不満は、モチベーション低下の直接的な原因のひとつです。特に「同じ成果を出しているのに評価が異なる」という不公平感は、社員の信頼を損なうリスクがあります。
たとえば、残業が常態化している部署では、どれだけ頑張っても報われないという感覚が広がり、離職につながるケースがあります。労働環境の改善は即効性が高く、基本給の見直しや残業削減施策の実施だけでも、短期間でモチベーション回復を期待できるでしょう。
また、リモートワークや時短勤務といった柔軟な働き方の選択肢がない場合、ライフステージの変化に対応できず、優秀な人材が流出するリスクも高まります。待遇や環境の整備は、社員のモチベーションを維持するうえでも重要な要素です。
人間関係やコミュニケーションに対する不満
上司や同僚との関係が悪化すると、どれだけ仕事内容が魅力的でもモチベーションは維持できません。特にフィードバックが一方的だったり、意見を言いにくい雰囲気があったりすると、社員は孤立感を抱きます。
人間関係の問題は表面化しにくいため、状況を把握するためには匿名アンケートやサーベイツールを活用して早期に察知することが効果的です。
また、部署間の連携不足や情報共有の欠如も、モチベーション低下を招きます。自分の仕事が組織全体にどう貢献しているのかが見えないと、やりがいを感じにくくなるのです。
仕事やキャリアに対する不満
担当業務が単調だったり、成長実感を得られなかったりすると、社員は将来への希望を失います。特に「このまま同じ仕事を続けても、スキルが身につかないのでは」という不安は、転職を検討するきっかけのひとつです。
将来への希望を見出せない状況を放置すると、優秀な人材ほど早期に離職してしまいます。優秀な社員のやりがいを再構築するには、適度に挑戦機会を提供し、本人の希望とスキルレベルに合わせた業務配分を行うことが重要です。
将来に対する不安
企業の業績不振や組織再編の噂が流れると、社員は「この会社で働き続けて大丈夫だろうか」という不安を抱きます。
特に経営層からの情報発信が少ない場合、憶測が広がり、モチベーションが急速に低下する可能性があります。透明性のある情報開示は、信頼関係を築くうえで重要な要素です。
また、個人のライフプランに関する不安も重視する必要があります。近年では、育児や介護との両立、定年後のキャリアなど、長期的な視点で働き方を考える社員が増えているためです。
企業として多様なキャリアモデルを提示し、安心して働き続けられる環境を整えることが、社員それぞれのモチベーションにつながります。
社員のモチベーションを高める7つの取り組み
社員のモチベーションを高めるには、短期的な報酬施策だけでなく、長期的にやる気を持続させる環境づくりも欠かせません。以下では、企業が実践できる7つの取り組みを紹介します。
企業ビジョンや理念を浸透させる
待遇や労働環境を整える
公平な人事評価制度を導入する
インセンティブ制度を設計する
具体的なキャリアパスを提示する
目標設定や人員配置などでやりがいを設計する
柔軟な働き方を導入する
上記の取り組みを組み合わせながら実施していくことで、社員は自分の役割や成長を実感しやすくなります。
企業ビジョンや理念を浸透させる
経営トップが掲げるビジョンを現場の日常業務に落とし込むことで、社員は自分の仕事の意義を実感できます。ビジョンが抽象的なままだと、「結局何をすればいいのか」がわからず、モチベーションは上がりません。
たとえば、「お客様の笑顔を増やす」というビジョンであれば、カスタマーサポート部門では「問い合わせ対応時間を平均5分短縮する」、営業部門では「導入後1ヶ月以内のフォローアップを100%実施する」などの具体的な行動目標に落とし込みます。
このように、トップのメッセージと現場の目標をつなげることで、一人ひとりが方向性を理解したうえで自発的に動けるようになります。
待遇や労働環境を整える
給与や労働時間、福利厚生などの待遇面の改善は、モチベーション向上に直結します。特に同業他社と比較して待遇が劣っていると、優秀な人材の流出を招くリスクが高まります。
具体的には、基本給の見直しに加え、残業時間の削減施策を実施することで、短期間で効果が現れるはずです。また、リモートワークやフレックスタイム制度を整備することで、育児や介護との両立がしやすくなり、離職率の低下も期待できます。
福利厚生では、健康診断の充実や社員食堂の導入といった基本的なものから、資格取得支援や副業許可といった成長を後押しする制度まで、多様な選択肢を用意しましょう。待遇改善は、企業が社員を大切にしているという想いを伝える重要な手段です。
公平な人事評価制度を導入する
評価制度の透明性と納得感は、モチベーションを左右する、影響力の強い要素です。「なぜこの評価なのか」がわからないと、どれだけ頑張っても報われないという不公平感が募りやすくなります。
公平な評価制度を構築するには、まず評価基準を明文化し、全社員に公開することが重要です。
たとえば、「売上目標の達成度50%、業務改善提案25%、チーム貢献度25%」という配分を示せば、何を頑張れば評価されるのかが明確になり、業務に取り組みやすくなります。また、評価者研修を実施し、上司ごとの評価のばらつきを減らす取り組みも効果的です。
そのうえで、評価面談では一方的なフィードバックではなく、上司と部下が対話しながら評価を確認するプロセスを経ることで、納得感が高まり、次の目標設定にもスムーズにつながります。
【関連コンテンツ】
インセンティブ制度を設計する
成果に応じた報酬制度を整えることで、社員の努力が直接的に還元される実感を持たせられます。ただし、金銭的なインセンティブだけでなく、表彰制度や特別休暇の付与などの非金銭的な報酬も組み合わせることで、より持続的なモチベーション向上が期待できます。
制度設計の際は、短期的な成果だけでなく、中長期的な貢献も評価対象に含めることが肝心です。新人育成や業務改善提案など、数字に現れにくい努力も正当に評価することで、組織全体の成長を促せます。
【関連コンテンツ】
具体的なキャリアパスを提示する
社員が「5年後の自分」をイメージできる環境を整えることで、将来への不安が軽減され、モチベーションが維持されます。キャリアパスが不透明だと、優秀な人材ほど将来に不安を感じ、早期に転職を検討してしまいます。
具体的には、職種ごとに昇進の要件やステップを明示したキャリアマップを作成しましょう。
たとえば、営業職であれば、「入社1〜3年目は担当顧客20社を目標、4〜6年目はチームリーダーとして新人育成を担当、7年目以降はマネージャー候補」といった道筋が考えられます。
また、管理職以外のキャリアとして、専門性を深めるスペシャリスト職の選択肢も用意することで、多様な働き方にも対応できます。
【関連コンテンツ】
目標設定や人員配置などでやりがいを設計する
社員が自分の能力を発揮し、成長を実感できる仕事を任せることで、内発的なモチベーションが高まります。単調な業務ばかりではやりがいを感じにくく、マンネリ化を招きやすくなります。
目標設定時には、本人のスキルレベルより少し高い「背伸びすれば届く」課題を与えることが効果的です。
たとえば、これまで5件の新規開拓を担当していた営業担当者に、次は8件を目標として設定します。達成できれば自信につながり、次の挑戦意欲が湧くでしょう。
人員配置では、本人の希望と適性を考慮しながら、チーム全体のバランスを見極めるのが重要です。得意分野を活かせるポジションに配置することで、早期に成果を出せるようになるうえに、組織全体の生産性も向上します。
【関連コンテンツ】
柔軟な働き方を導入する
リモートワークやフレックスタイム制度といった柔軟な働き方を取り入れることで、社員は仕事とプライベートを両立させやすくなります。ライフステージの変化に対応しやすい企業は、長期的に優秀な人材の確保が期待できます。
具体的には、週2〜3日のリモートワークを認める制度や、コアタイムを設定したうえで出退勤時間を自由に選べる制度などです。
柔軟な働き方を導入する際は、評価基準を成果ベースに切り替えることも必要です。勤務時間ではなく、成果物や目標達成度で評価することで、働く場所や時間に関わらず公平に評価できる環境が整います。
【関連コンテンツ】
社員のモチベーションを把握する調査方法
施策を実施する前には、現状のモチベーションを正確に把握することで、無駄な投資を避けられます。モチベーションを把握する方法には、以下の方法があります。
社内アンケートを実施する
サーベイツールを利用する
データに基づいた判断により、費用対効果の高い取り組みが進められるため、積極的に活用しましょう。
社内アンケートを実施する
社内アンケートは、コストを抑えながら全社員の声を集められる基本的な手法です。質問内容を自由に設計できるため、自社特有の課題を深掘りする際に適しています。実施する際は、5〜10分程度で回答できる設問数に抑えることが回答率向上に効果的です。
また、アンケート結果は必ず社員にフィードバックしましょう。「調査したきり何も変わらない」という印象を与えると、次回以降の回答率が低下します。結果を共有したうえで、優先的に取り組む課題を明示することで、社員の信頼を得られるでしょう。
【関連コンテンツ】
サーベイツールを利用する
サーベイツールは、モチベーションを継続的に測定し、変化を可視化できる仕組みです。専用のツールを使うことで、集計の手間が省け、部署別・年代別といった多角的な分析が可能です。
代表的なツールには、エンゲージメントサーベイやパルスサーベイがあります。エンゲージメントサーベイは年1〜2回実施する詳細な調査で、組織全体の課題を網羅的に把握できます。一方、パルスサーベイは毎週または毎月、3〜5問程度の短い質問を繰り返すことで、リアルタイムに状況を追跡できる手法です。
たとえば、新制度の導入後すぐにパルスサーベイを実施することで、効果を即座に検証し、必要に応じて軌道修正できます。
データの蓄積により中長期的な傾向分析ができるため、継続的な改善活動が可能になります。
【関連コンテンツ】
調査に基づいた的確な施策で社員のモチベーションを向上させよう
社員のモチベーション向上には、勘や経験則だけではなく、データに基づいた施策選定が欠かせません。
まずは社内アンケートやサーベイツールで現状を把握し、優先度の高い課題を特定しましょう。課題に応じて、労働環境の整備やキャリアパスの提示といった対応が求められます。
また、施策実施後も定期的に調査を繰り返しながら、効果測定と改善のサイクルを回すことが重要です。
組織全体のモチベーションが高まれば、離職率の低下や生産性の向上といった成果が数字として表れ、経営層への説明責任も果たせます。データを味方につけ、社員が活き活きと働ける職場づくりを進めていきましょう。







