人材管理
2023/08/09
会社の評価制度の実態とこれから求められる評価制度とは
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会社の評価制度とは
評価制度は、多くの企業で導入されています。その目的やメリットを紹介します。
評価制度の目的
個々人を評価する仕組みが評価制度です。この評価制度を有効活用することは、企業にとって非常に大切です。では、一体どのような目的に沿って運用されるのでしょうか。ここでは、評価制度を導入する目的についていくつか紹介します。
生産性の向上
会社としてどこに向かっているのかベクトルを揃える必要があります。人事評価制度を企業理念や経営方針に基づいて構築し、評価されるポイントとして制度に反映できれば、すべての従業員に対して企業のビジョンや目指すべき方針を共有できます。目指すべき先が共有できると、従業員にとって行動指針がわかりやすくなり、生産性や業績の向上に繋がりやすくなります。
処遇の決定
評価制度がないと、管理者の主観によって従業員の処遇が決まることもあり、従業員に不平不満が出ます。処遇の決定は、客観的な指標に基づいた評価を行うことが重要です。評価制度により評価基準を明確にすることで、賞罰を与える際に公平な処遇を決めることができます。
配置の最適化
従業員ごとの能力、得意不得意を可視化することで、従業員の能力や特性に応じた最適な配置を行うことが可能になります。能力を活かした環境で働くことができると、従業員のモチベーション向上に役立つほか、生産性や業績の向上に繋げることも可能です。
人材育成
評価制度を用いて従業員の能力を把握することができれば、個々の強み弱みに応じた教育ができるようになります。また、上司が部下を育てる際の材料にもなるため、人材育成の基準としても役立ちます。
評価制度を入れるメリット
評価を定期的に行うことで、最新の人材データを収集することができ、組織全体が保有するスキルや経験を一元管理することが可能になります。
企業理念やミッションを評価項目に組み込むことで、従業員がその内容を改めて理解する機会となり、企業理念を実現するための具体的な行動へ繋がりやすくなります。
また、上司と部下とのコミュニケーションの場にもなり、部署内の信頼関係や成長を促す機会にも繋がります。
評価の基準
一般的に評価の基準は、
- 能力評価
- 業績評価
- 情意評価
で設定されます。一つずつ解説していきます。
能力評価
業務で求められるスキルや知識を持っているかという点を評価します。世間一般の平準的なルールは存在せず、企業ごとに定めた項目基準によって評価するのが一般的です。
業績評価
成果や目標の達成度を客観的に数値化して評価します。目標や成果が数値化しにくい部門もありますので、その場合は上司や部下、同僚からヒアリングし、定性的に集まった情報を定量化するなどの仕組みが必要です。
情意評価
能力やスキル、業績評価以外の点、特に意欲や行動、勤務態度等を評価します。組織やチームの雰囲気を構築する上でも大切な評価指標です。
会社での評価の仕方
一般的に使用されている評価方法を3つ紹介します。自己評価シートを書く際のポイントも合わせて見ていきましょう。
360度評価
1人の従業員に対して上司や部下、同僚などから多面的に評価を行います。上司一人の目では判断しきれない部分をさまざまな視点から評価するため、客観的な評価にしやすいという特徴があります。評価に対する当事者の理解も得られやすい評価法です。
▼「360度評価」についてさらに詳しく
360度評価(多面評価)とは?メリットとデメリットや評価項目とフィードバック方法を解説
MBO評価
期首に決めた目標に対し「達成できたかどうか」を評価する手法です。仕事に対する従業員の自発性を高める効果が期待できる評価です。社員一人ひとりが目標に向かって進み、最終的には会社全体の目標を達成できます。
▼「MBO評価」についてさらに詳しく
MBOとは?目標管理におけるメリットやOKRとの違いを解説
コンピテンシー評価
資質や知識ではなく「行動特性」を項目とした評価になります。生産性の高い人材の行動特性に基づき、設定された項目に従って評価します。優れた人材の行動特性をほかの従業員ができるようになれば、業績の向上に繋がります。
▼「コンピテンシー評価」についてさらに詳しく
コンピテンシーとは?活用メリットやデメリット、導入の流れを解説
自己評価の書き方について
評価は客観的に行うことが大切です。客観的な事実に基づいて評価シートに記述します。評価者へ分かりやすく伝えるために、数値評価が可能であれば数字で書きましょう。
また、良かった点ばかりでなく、失敗や課題も記載します。悪かった点を記載すると評価が下がってしまうと不安を抱く方もいるかもしれませんが、今後の改善プランを立てる事で、自分自身が成長する機会が生まれます。また評価者にとっても、該当者の今後の意欲が確認でき、良い印象を与えることができるでしょう。
自己評価では遠慮して、評価を控えめにつけてしてしまいがちです。しかし、より高く評価されるためには、自分が考えているよりも1段階ほど高く評価することがおすすめです。
有名企業の評価制度
評価制度はほとんどの企業で設置されていますが、あまり他社のものを聞くことや見る機会はないでしょう。ここでは、企業事例を紹介します。
事例1:ソフトバンクグループ株式会社
ソフトバンクグループ株式会社は2017年より役職バトンタッチ制度を導入しています。役職バトンタッチ制度とは、一定の年齢に達した人材が役職を後任に譲る制度です。人材の流動化を促進し、若い人材がチャレンジしやすい環境が整えられています。
事例2:GMOインターネット株式会社
GMOインターネット株式会社は、ガラス張りの経営を行うポリシーがあります。全てのスタッフの等級とランク、各等級の給与レンジも開示されています。360度評価や役職と報酬をオープンにしたことで、公平に評価することが実現しました。そのため評価に対する不満が少なくなりました。また、給与額がオープンになったことにより、仕事に対する責任感が生まれるなどの効果が現れました。
事例3:株式会社フィードフォース
株式会社フィードフォースは、4つの等級とA・Bの評価で報酬が決まります。推薦、自己推薦制で毎月昇給できる仕組みもあります。社長や直属のマネージャーの前でプレゼンし、その内容と社内で決められた7項目により評価されます。また、評価とは別ですが、マネージャーとメンバーの1on1ミーティングを2週間に1度行い、目標を軌道修正するリアルタイムなフィードバックを行っています。
事例4:株式会社ディー・エヌ・エー
株式会社ディー・エヌ・エーは、半期に一度のサイクルで人事評価を行っています。査定は成果と発揮能力で決まります。成果はボーナスに、発揮能力は基本給で還元しています。発揮能力は、半年ごとに上司と部下でゴールを設定し、その到達度を測っています。基本給は、その到達度と、社員が属するグレードの階層を照らし合わせることで決まります。マネージャーは、実名での360度評価を行います。評価方法ではなく、フィードバックを目的としています。
評価制度のトレンド
評価制度は時代の流れとともに変わります。評価制度の現状をご紹介します。
会社の評価制度への不満
ADECCO GROUPの調査によると「6割以上の従業員」が評価に対して不満を感じています。自社の社員数で計算してみると、リアルにその多さが実感できるのではないでしょうか。その具体的な不満は「評価項目があいまい」「上司の主観で評価が決まる(公平性がない)」「フィードバックがない」の3つに集約されます。
(※参照)ADECCO GROUP「6割以上が勤務先の人事評価制度に不満、約8割が評価制度を見直す必要性を感じている」より
ノーレイティング
ノーレイティングは、年度単位での評価はせず、ランクも付けません。リアルタイムで目標設定を行い、その目標に対して上司と対話します。上司からフィードバックをもらうことにより、その都度評価がされる仕組みです。評価をしないということでなく「社員のランク付け」であるレイティングをやめる、また、年次の評価をしない、という新たな仕組みです。
MBOの限界
MBOはOKRよりも評価期間が長く、個人の成長が企業の業績に貢献することを目指すものです。一方OKRは、月に1回もしくは四半期に1回のペースで目標のレビューを行います。MBOが対極に立った長期的な視点で目標管理するのに対し、OKRではこまめにパフォーマンスを軌道修正します。業種や職種によって、向いている目標管理制度は違います。何を目的として目標管理制度を設けるのか、将来的な着地点はどこか、を明らかにした上で導入すると良いでしょう。
【まとめ】人材管理・タレントマネジメント・組織開発をカンタン・シンプルに
今回は、評価制度について解説しました。時と場合、業種や部門によって求められる評価制度は異なります。その会社、部門にあった評価制度はどのような形なのかをしっかりと見ていく必要があります。
現在、世の中の流れの速さから、評価に関しても以前のように一年に一度という事ではなく、リアルタイムで常に目標をチューニングし、評価を実施する方向に進んでいます。また、評価される側も公平性を求めており、企業は評価制度を常にブラッシュアップして設置する体制が求められます。
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