人材管理
2023/09/15
組織図の作り方と作成ツールを紹介!作成時のポイントについても解説
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組織図とは?
組織図とは、組織や企業の内部構造を図式化したものです。企業の全体像や指揮系統の把握に役立ち、企業内の部署配置を示す組織図もあれば、従業員の顔写真・名前・役職など、より細かく情報を載せている組織図も存在します。「情報をどこまで記載するのか」については、組織図の用途によって異なります。
組織図をつくるメリットや活用方法を紹介
使い道や目的は企業によって異なりますが、組織図を作成している企業は多くあります。組織図を作ることには、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、これから組織図を作成しようと思っている方、設計や活用方法の見直しを考えている方に向けて、組織図を作るメリットや活用方法について紹介したいと思います。
従業員の役割認識や企業理解に役立つ
組織図によって内部構造が可視化されることで、従業員ひとりひとりが「社内での自分の立ち位置」「自分の部署と他部署の関連性」を把握しやすくなります。特に、幅広く事業展開をしている企業や、多くの支社・支店を構えている企業は、部署や個々の役割認識があいまいになりがちです。従業員それぞれが「自分の立ち位置」と「他部署との関連性」を認識することで、社内連携がスムーズになり、業務を円滑に進めることができるようになります。
人材配置と人員バランスの最適化に役立つ
組織図に名前や役職などの情報を載せる場合、採用活動や人事異動に活用することができます。
組織図を作ることによって「どの部署に何人いるのか」「どの人材がどの部署にいるのか」といった、人材分布がパッと見で分かりやすくなります。そのため、人員不足や人員過多にいち早く気づくことができ、人員不足の場合は採用活動を強化、人員過多の場合はスキル状況を見て他部署に配置転換といった、人員・人材バランスの調整に役立てることができます。
▽適材適所の人材配置について詳しく知りたい場合は、こちらの記事もおすすめです。
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部署の新設や統合を検討する際に役立つ
組織図によって全体を俯瞰してみることで、部署編成の最適化がしやすくなります。
組織の成長にともない部署の新設を繰り返すうちに、似たような仕事をする部署が複数できてしまうことがあります。逆に、1つの部署が大きく膨れ上がってしまい、部署を新設することで業務を細分化した方が良いこともあります。
そのような場合に、組織図によって部署の配置状況を把握し、現状の組織体制と照らし合わせることで、統合した方が良い部署と、新設した方が良い部署を勘考することができます。
スムーズな情報伝達に役立つ
組織図に名前や役職などの情報を載せる場合、指揮命令系統や決裁権が把握しやすくなるため、スピーディーかつスムーズに仕事を進めることができるようになります。
「誰が誰に報告するのか」「誰が最終決定を行うのか」など、従業員が多くなればなるほど、報告・承認プロセスが複雑になりやすいため、しっかりとした整備が必要になります
組織図として視覚化することで、承認プロセスや報告ルートが分かりやすくなり、スムーズな情報伝達に役立てることができるでしょう。
従業員の相互認識に役立つ
従業員それぞれの担当業務まで記載されている組織図は、従業員同士の相互理解が深まるため、さらに仕事が進めやすくなるでしょう。
例えば「人事労務部」という部署があった場合、採用・育成・給与計算・入退社手続きなど、「人事労務部」の中でも様々な業務に分かれています。その中で「採用に関することを聞きたい」となった場合、組織図でおおまかな業務内容が示されていれば、スムーズに担当者とやり取りをすることができます。
また、「誰が何をやっているのか」「分からない場合誰に聞けばいいのか」など、新入社員に既存社員の業務内容を説明する際にも活用することができます。
組織図の種類
組織図のスタイルはさまざまですが、ここでは代表的な3つの形式「ピラミッド型」「マトリックス型」「フラット型」について紹介していきます。
どの形式の組織図に落とし込むかについては、自社の組織体制を顧みてフィットするものを選ぶと良いでしょう。また、現在拡大フェーズにある企業の場合は、拡大後を見据えて組織図のスタイルを選ぶことをおすすめします。
ピラミッド型
トップから下に向かって枝分かれしていく形式の組織図です。
一般的には、最高経営者1人をトップに置き、「部長⇒課長⇒係長」と続くパターン、または最高経営層1グループをトップに置き、「部門⇒部署⇒チーム」と続くパターンが多くなっています。
「誰に報告すべきか」「誰から情報がおりてくるか」といった、情報伝達プロセスが把握しやすく、各従業員の上下関係がひと目で分かるという点が特徴的です。組織の中で階層がはっきり分かれている、役職が細分化されている、といった組織状況の場合は使い勝手が良いでしょう。
フラット型
ピラミッド型と同じような形式で作成されますが、ピラミッド型より階層が少ないのが特徴的です。
一般的には、「社長⇒マネージャー⇒一般社員」といった形式で2~3階層であることが多く、中間管理職層がそれほど多くありません。そのため、役職数が少ない会社や各部署1人体制などの少数精鋭の組織に適しているでしょう。
マトリックス型
プロジェクトと職務、エリアと職務というように複数の要素をかけ合わせて作成される組織図です。
たとえば、プロジェクトAのシステム開発は〇〇さん、プロジェクトBのシステム開発は△△さんというように、同じ職種でもプロジェクトごとに担当者が異なる場合は、このマトリックス型組織図が活用できます。
ただしこの場合、従業員1人につきプロジェクト上の管理者と職種上の管理者、合計2名の管理者が存在することになります。そうなると、組織図だけでは指揮命令系統が分かりにくくなる可能性があるため、「プロジェクト進行中はプロジェクトリーダーが指揮をとる」など、共通認識を持てるような整備が必要でしょう。
組織図の作り方
代表的な3つの組織図形式について紹介しましたが、実際に組織図の作成を依頼されると「何から始めたらいいか分からない」「スムーズに仕上げるための手順が分からない」など、悩むこともあるのではないでしょうか。
ここでは実際に組織図を作成する際の7つの手順について紹介したいと思います。これから作成する方、作成を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
1.目的を明確にする
組織図を何の目的で作成するのか明確にしましょう。社内向けなのか社外向けなのか、従業員のコミュニケーション活性化のためなのか、指揮命令系統を明確にするためなのかなど、目的を具体化することが大切です。組織図の作成を依頼された場合は、依頼者にしっかりヒアリングするようにしましょう。最初に認識をすり合わせておくことで、出来上がってから「イメージと違った」「必要な情報が記載されていない」などの状況を防ぐことができます。
2.作成範囲を決める
どこまでの範囲を網羅する必要があるのか明確にしましょう。一言に「組織図」といっても、社内全体の組織図、部門内の組織図、チーム内の組織図など、落とし込む範囲にもいろいろあります。「どの範囲までの組織図を作るのか」「従業員名まで記載するのか、役職や顔写真まで載せるのか」など、活用目的にあわせて作成範囲をさだめましょう。そうすることで、スムーズな情報収集が可能になります。
3.情報収集する
組織図に載せる従業員情報の収集を行いましょう。収集状況が可視化しやすいように、従業員リストを作成するのもおすすめです。それぞれの情報はメールやチャットツールを使用して個別で収集したり、対象人数が多い場合は部門別に担当者を設けてまとめて収集すると良いでしょう。
4.作成形式を決める
ピラミッド型・フラット型・マトリックス型など、自社の組織体制に即した組織図の形式を選びましょう。また、組織や事業の拡大を見据えている場合は、拡大後の組織体制に適した形式を選ぶことをおすすめします。
5.組織図に落とし込む
組織図に載せたい情報と組織図の枠組みが定まったら、実際に組織図の中に情報を落とし込んでいきます。同等級の従業員を羅列する場合は、入社日順・五十音順などの規則性を設けると見やすくなります。
6.レイアウトを整える
従業員情報の落とし込みが完了したら、見やすくなるようにレイアウトを整えます。部署ごとに色分けをしたりフォント調整をしたりするなど、見やすく分かりやすくなるよう工夫しましょう。ただし、色やフォントは、使いすぎると逆に見にくくなる可能性があるので注意が必要です。文字サイズ・フォント・色の利用に一貫性をもたせるようにしましょう。
7.完成!
組織図への落とし込み、レイアウトの調整が終わったら完成です。マネージャーやチームのメンバーなど複数名にチェックしてもらい、問題がなければ共有しましょう。更新担当者が限られている場合は、PDFで社内共有する、閲覧権限のみ付与するなど、安易に書き換えが行われないように設定してから共有すると良いでしょう。
組織図をつくる際のポイント
組織図を作成する流れを紹介したところで、ここでは組織図の作成前・共有前に特に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
組織図の作成を進める中で見失いがちだったり、忘れがちになってしまう部分なので、ぜひ作成前後に振り返ってみてください。そうすることで、長期的に活用できる組織図を作ることができるでしょう。
活用目的をクリアにする
組織図を作成する際の「入口」にあたる部分で最も重要なポイントです。
「何のための組織図なのか」「完成したらどのように使うことを想定しているのか」など、目的を明確にしましょう。
たとえば、社内コミュニケーションの活性化が目的であれば、組織図に名前や役職だけではなく顔写真を入れることで、従業員同士の認知がスムーズになります。コーポレートサイトへの掲載目的であれば、従業員の名前や役職といった情報の掲載は不要です。
使用目的によって組織図に落とし込む情報は異なり、仕上がりも大きく変わってくるため、活用目的はクリアにすることが大切です。
組織の変化に対応できるゆとりを残す
現状の組織体制と今後の展開を理解することが大切です。
「従業員を増員して拡大フェーズに入っている」「ピラミッド型からフラット型へ組織体制の変更を検討している」などの場合は、現状の組織体制だけを考慮して作成すると、その後大幅な修正が必要となる可能性があります。現状の組織体制を反映させつつ、フレキシブルに対応できるゆとりを残しておくようにしましょう。
そうすることで、組織体制の変更や部署の新設・統合などが生じた際にもスムーズに反映させることができ、再作成の手間を省くことができます。
更新者と更新タイミングを決める
組織図を作成するとよく起こりがちなのが、「作成当初から一度も更新していない」といった、組織図の形骸化です。
組織図は、更新の担当者とタイミングを定めておかないと「人事部で対応してくれていると思っていた」「従業員それぞれで対応してくれてると思ってた」など、認識のズレを生みます。「誰がいつ更新するのか」については、社内で共通認識を持てるよう、組織図を共有するタイミングなどで伝えておくと良いでしょう。
組織図の作成ツールを紹介!
Googleスプレッドシート
Googleが提供する無料の表計算ソフトです。スプレッドシートでは表計算だけでなく、統計グラフや地図グラフの作成が可能で、複数人が同時進行で作業出来る点が便利です。
<作成手順>
- A列に全ての部署名・チーム名・名前を入力する
- B列にA列の内容を、どこに紐づけたいか入力する(※1)
- 組織図にしたい範囲を選択した状態で、[挿入]>[グラフ]をクリックする
- グラフの種類を[その他]>[組織図]に変更する
- [カスタマイズ]>[組織図の設定]から、色や文字のサイズを変更する
※1 (例)A列:チームA B列:〇部署 / A列:従業員1 B列:リーダー①
<留意点>
- グループごとの色分け、ボックス同士を繋ぐ線の色は変更できなくなっています。
- 同じボックス内に複数の情報(名前・役職など)を入れたい場合は、同じセル内に入力します。
※Googleスプレッドシートで作成した場合の仕上がり
SmartArt
Microsoftが提供するOfficeソフト「Word」「Excel」「PowerPoint」に搭載されているSmartArtという機能でも組織図の作成が可能です。Googleスプレッドシートではセルに入力した内容が組織図として立ち上がる形式でしたが、SmartArtの場合は組織図のテンプレートが立ち上がった後に文字入力をする形式です。
複数のテンプレートから選ぶことができ、グループごとの色分けやボックスの追加も簡単にできます。Word・Excel・PowerPointいずれでも作成が可能ですが、今回はExcelで作成する場合の手順を紹介します。
<作成手順>
- [挿入]>[図]>SmartArtをクリックする
- 階層構造から、作成したい組織図の形式を選択して[OK]をクリックする
- 各ボックスに、部署名・チーム名・名前などを入力する
- [ホーム]または[SmartArtのデザイン]タブから、色や文字のサイズを変更する
※SmartArtで作成した場合の仕上がり
人材管理システム
人事情報管理システムに、組織図を作成する機能が搭載されていれば、それを活用することも可能です。
情報収集が必要な従業員に、あらかじめ用意された項目に回答してもらうだけで簡単に組織図に反映することができ、情報収集の手間を大幅に削減することができます。また、顔写真データを組織図に反映させることも可能で、従業員同士の相互認識を高めることにも役立てることができます。人事評価機能が搭載されているシステムであれば、人事評価⇒人事異動⇒組織図反映までの流れを同システム内で完結することができます。
まとめ
組織体制について、以前までは、ピラミッド型(縦割り型)が大半を占めていましたが、最近ではフラット型(水平型)の組織体制も徐々に増えてきている傾向にあります。企業や組織の体制も、さまざまな社会情勢の影響を受けて時間の流れとともに変化していくため、柔軟に対応できる組織図であることが理想的です。
HRBrainは、組織図の作成や更新がカンタンにできるだけでなく、人事評価・スキル管理・目標管理などの人材データ管理を一貫して行えるタレントマネジメントシステムです。ツリー構造で従業員の顔ぶれを確認できるだけでなく、役職や入社年次などの条件で該当従業員の絞り込みも行うことができます。
「人事異動の際もスムーズに組織図に反映させたい」「人材データ管理を根本から見直したい」などでお悩みの場合は、ぜひ導入を検討してみてください!
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