#人材育成
2023/05/30

アクティブリスニングとは?その効果と導入方法、注意点を紹介

目次

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    皆さんは、アクティブリスニングをご存じでしょうか?

    アクティブリスニングは、本来精神カウンセリングなどで用いられるコミュニケーション技法ですが、ビジネスシーンでも効果を発揮すると注目が集まっています。

    特に、「社内のコミュニケーションを活発化させたい」「組織の人間関係を良好なものにしたい」など課題がある企業では、アクティブリスニングの導入がおすすめです。

    今回は、アクティブリスニングの概要と効果、導入方法を解説し、まだ取り入れていない企業にもわかりやすく解説します。

    アクティブリスニングとは?

    まずはアクティブリスニングの概要と注目される背景を解説します。

    概要

    アクティブリスニングとは、「傾聴姿勢」とも呼ばれるコミュニケーション技法のひとつです。

    アクティブリスニングの特徴は、会話をする際に相手の話をただひたすら聞き続けるのではなく、相手が伝えたい本質的な事や感情を汲み取り、主体的に内容を把握します。

    もともとは、精神カウンセリングで使われていたコミュニケーション技法で、ビジネスシーンにおいても有効であると考えられ、積極的に用いられるようになりました。

    企業で取り入れられる際には、管理職や上司、メンター制度を導入している組織であればメンター担当者がアクティブリスニングを行うことで、社員育成や社内のコミュニケーション活発化につながります。

    注目されている背景

    アクティブリスニングが精神カウンセリングのみならず、ビジネスシーンで活用されるようになった背景には、マネジメント能力の向上があります。

    激しい競争の中、企業が生き残るためには優秀な人材育成が必要不可欠です。

    アクティブリスニングは、社員のマネジメントを行う際に必要なスキルが効果的に強化できると言われており、注目が集まっています。

    マネジメントを行う際に必要なスキルは、「傾聴力」「質問する能力」「信頼関係を築く能力」「フィードバックする能力」があるとされています。

    特に「傾聴力」と「質問する能力」は、アクティブリスニングで効果的に向上させられるとされており、高い注目を受けるようになりました。

    アクティブリスニングの効果

    ここからは、アクティブリスニングを取り入れた場合に得られる効果をご紹介します。

    良好な人間関係の構築につながる

    アクティブリスニングは、本音を言いづらい関係にあり、上司と部下の会話で上司側が積極的に傾聴することで、部下から本音を引き出せることもあります。

    部下からの本音を引き出すことによって、職場の見えない問題解決につながったり、社員の不満解消につながったりするでしょう。

    問題解決や不満解消は、職場のわだかまりをなくし、良好な人間関係構築につながります。

    コミュニケーションが活発になる

    アクティブリスニングは、話し手の伝えたい本質的な内容を聞き手が引き出せるように工夫して傾聴します。

    伝えることが苦手な人や、そもそも人と会話するのが苦手な社員であっても、自分の伝えたいことを引き出せるサポートが受けられるためコミュニケーションが活発になりやすい傾向にあります。

    最初は伝えることが上手でなかった社員も、アクティブリスニングを継続することでサポート受けなくても伝えたいことが発信できるようになり、社内のあらゆる話し合いで活発な議論が行えるでしょう。

    問題解決能力が向上する

    アクティブリスニングでは、聞き手が話の途中で問題の原因やアドバイスをするのではなく、話し手自身が問題の原因や解決方法を見つけられるようにサポートします。

    部下が抱える問題や課題の解決策を上司がすぐに伝えてしまうと、部下の問題解決能力は成長できないでしょう。

    一方、アクティブリスニングで話し手が問題解決策を考えながら話すプロセスを踏むことで、自身で問題解決策を見いだせる能力が身につきます。

    こうした問題解決能力の向上は、業務のあらゆる活動で有効で、業務の効率にもつながります。

    ハラスメント抑制につながる

    上述したように、アクティブリスニングによって上司と部下の会話において本音で話せる環境や良好な人間関係の構築につながります。

    こうした人間関係の改善は、風通しのいい職場環境をつくることにもつながり、職場のハラスメント抑制にも大きく貢献します。

    セクハラやパワハラなど多くのハラスメントが横行する現代において、ハラスメント抑制は重要です。

    アクティブリスニング向上に必要な心構えとは

    ここからは、実際にアクティブリスニングを導入する際に重要となる心構えについて解説します。

    無条件の肯定配慮

    会話をしているときに、相手の意見に関する自分の意見や問題に対する解決策などが見つかることもあるでしょう。

    しかし、アクティブリスニングでは、自分の意見や解決策が見つかったとしてもそれを相手に直接伝えず、まずは相手の話を無条件に受け入れる姿勢が必要です。

    もし仮に聞き手側が相手の話の意見を否定したり、発言を遮ったりしてしまうと話し手側が萎縮して自分の意見が伝えられなくなる可能性があります。

    話し手側がいかにリラックスして本音を話してくれる環境をつくれるかを意識して、いかなる内容であっても肯定する姿勢を取りましょう。

    自己一致

    自己の一致とは、話し手と聞き手の考えや感情が一致することを指します。

    上述したように、アクティブリスニングでは話し手が自分の思いを気兼ねなく発信できる環境をつくることが重要です。

    利き手側を務める人は、話し手の意見を否定したり、違う考えを伝えたりするのではなく、意見に対して賛同する姿勢を心がけましょう。

    共感的理解

    アクティブリスニングでは、相手に寄り添って話を聞くだけではなく、共感していることを話し手に伝えながら話を聞くことが重要とされています。

    自分に共感してもらえる人には自分の意見を発信しやすくなり、本音を引き出しやすくなるという観点から、共感する姿勢を意識しましょう。

    話し手と同じ立場に立って、相手の気持ちを理解したり、相手の目を見て相槌を打ちながら話を聞いたりする姿勢が重要です。

    アクティブリスニングの実践例

    ここからは、アクティブリスニングの実践例をご紹介します。
    アクティブリスニングの手法は2種類あり、その2つの手法の特徴や実施例について解説します。

    バーバルコミュニケーション

    アクティブリスニングの手法として、バーバルコミュニケーションという方法が存在します。

    バーバルコミュニケーションとは、言葉を使って取るコミュニケーションのことです。

    具体的にバーバルコミュニケーションを実行する方法には、「オープン・クエスチョン」と「パラフレーズ」があり、これらを上手に活用することで効果的なバーバルコミュニケーションを促進できます。

    オープン・クエスチョン

    オープン・クエスチョンとは、「はい」や「いいえ」で答えられない質問をすることを指します。

    例えば、「そのときにあなたはどう対処したのですか?」や「根本的な問題は何だと思いますか?」などです。

    話し手の話を聞きながらこのオープン・クエスチョンを投げかけることで、話し手に自分が伝えたい本質的な内容や話の意図を再確認できます。

    オープン・クエスチョンをする際は、5W1Hを意識して質問するようにしましょう。

    パラフレーズ

    パラフレーズとは、日本語の「オウム返し」と同じような意味を持っており、相手の言葉を繰り返すコミュニケーション技法です。

    ただ本当のオウムのように、相手が言ったことをそのまま繰り返すわけではありません。

    相手の話を聞きながら、適切なタイミングで「今の意味は◯◯という意味ですよね?」などと聞き返すことをパラフレーズと言います。

    こうして相手に聞き返すことで、話し手は自分の話に耳を傾けてくれていると実感できるだけではなく、相手が話す内容の理解にもつながります。

    ノンバーバルコミュニケーション

    次に、アクティブリスニングの2つ目の手法である「ノンバーバルコミュニケーション」について解説します。

    ノンバーバルコミュニケーションとは、言葉を使用しないコミュニケーション技法です。

    非言語コミュニケーションと呼ばれることもあり、人が会話をする際はノンバーバル・コミュニケーションを93%ほど活用しているとも言われています。

    ノンバーバルコミュニケーションを向上させる際は、「声のトーン」、「聞く態度」、「目線」、「表情」を意識して取り組みましょう。

    声のトーン

    アクティブリスニングを行う際は、声のトーンにも配慮が必要です。

    相槌を打つときの声や質問するときの声を気にかけることで、話し手はリラックスして意見を発信できます。

    無愛想な相槌を打つのではなく、相手の意見に共感していることが伝わるような相槌が重要です。

    声のトーンは、話し手によって気持ちのいいトーンが異なるため、相手に合わせた相槌を打つように心がけましょう。

    聞く態度

    話し手がリラックスして話せるかどうかは、聞き手の聞く態度にも影響を受けます。

    コロナ禍で、お互いに近い距離で会話することが避けられていますが、近すぎず遠すぎず適切な距離を保って向き合いながら会話することが好ましいとされています。

    また、聞き手側が話を聞く際に、腕や脚を組むことで相手に不快感を抱かせることもあるため注意しましょう。

    目線

    アクティブリスニングでは、会話をする時にお互いに目を合わせることが重要とされています。

    話し合うときは、お互いに正面、あるいは斜めに座ってお互いの顔を見ながら会話できる環境を整えましょう。

    しかし、ずっと相手の目を見続けるとかえって緊張感を与えてしまうため、適度なアイコンタクトが重要です。

    表情

    ノンバーバルコミュニケーションで重要なポイントの最後として表情があります。

    常に適度な笑みを浮かべ、寄り添いながら話を聞く姿勢が重要ですが、話の内容によって表情を変化させましょう。

    特に、話し手が苦労した話や困っていることなどを話しているときは、同じように表情を浮かべ、「辛かったね」などと共感して話を聞くのが重要です。

    コロナ禍の現在では、マスクをしていることが多く、お互いに表情を伺えないまま会話することが余儀なくされるでしょう。

    しかし、身振り手振りで自身の感情を表現するなど工夫することで、表情が見えなくても同じ効果を発揮できます。

    アクティブリスニングを高める方法

    ここからは、アクティブリスニングのスキルを高める方法をご紹介します。

    アクティブリスニングの研修を行う

    近年では、アクティブリスニングのスキルを磨く研修が豊富に揃っています。

    アクティブリスニング研修を請け負う会社によって、受けられる研修内容や期間、費用が異なるため、自社に合った研修を探してみましょう。

    研修に参加する担当者は、管理職や教育担当、メンター制度を導入している企業ではメンター担当者がおすすめです。

    普段、部下と話をする機会のある管理職や、社員を教育する担当者がアクティブリスニングを身につけることで、職場の良好的な人間関係の構築につながるでしょう。

    傾聴に専念する

    コストをかけず、自社内でアクティブリスニングのスキルを磨く方法も存在します。

    まだアクティブリスニングを強化していない企業であれば、傾聴に専念することから始めましょう。

    アクティブリスニングは、聞き手が話し手に寄り添うことが基本です。

    話し手が発信し終わるのを待たずに聞き手が話しかけたり、自身の見解を述べたりすると、話し手が本当に伝えたい本質を引き出せません。

    アクティブリスニングを身に付けさせたい担当者間で、傾聴に専念する練習を行い、基本となる姿勢を習得させます。

    基本姿勢ができるようになった後に、バーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションを上手に使いこなす練習へと移りましょう。

    アクティブリスニングの注意点

    最後に、アクティブリスニングを取り入れる際に注意すべきポイントをご紹介します。

    高い傾聴スキルが必要

    アクティブリスニングを取り入れる場合、聞き手側の高い傾聴スキルが必要です。

    聞き手側は、話し手が発信する内容に注目しながら、適切なリアクションをとることが求められます。

    片方だけを注視することで、片方が不十分になることもあるため、バランスを保ったコミュニケーションが必要です。

    アクティブリスニングは相手の話を一生懸命聞けば成り立つものではなく、成立させるためのスキルが必要になることをしっかりと理解してから導入しましょう。

    初めてアクティブリスニングを導入する企業では、担当者を研修に参加させるなどして、しっかりとスキルを身に着けてから実施しましょう。

    スキルと経験を積んだ社員が増えた場合は、社内での研修で他の社員に波及することも可能です。

    聞き手側が結論づけることは推奨されていない

    アクティブリスニングでは、聞き手側が結論づけて話すことを推奨していません。

    上司や教育担当者が部下の話を聞く際に、時として自身の経験から話し手が抱える問題の解決策を思いつくこともあるでしょう。

    しかし、アクティブリスニングの考え方では、結論づけるのは話し手であり、聞き手は話し手が結論づけられるようにサポートする役割が求められます。

    つまり、普段何気なく解決策や結論を話してしまう癖をなくし、新しいコミュニケーションスキルとして社員の育成が必要になります。

    アクティブリスニングを身につける社員には、このことをしっかりと理解させ、求められる役割を把握させてから取り入れましょう。

    聞き手側にストレスがかかりやすい

    上述したように、アクティブリスニングでは聞き手の高い傾聴スキルが求められます。

    また、聞き手側が結論づけることは推奨されていないため、自身の考えどおりに話し手が意見をまとめられない場合もあります。

    そのため、聞き手側に大きなストレスがかかりやすい傾向にあり、注意が必要です。

    しかし、アクティブリスニングは話し手が自分で解決策を考えさせたり、本音を引き出したりすることが本来の目的とされています。

    聞き手側にストレスがかからないためにも、主役は話し手であることをしっかりと理解させましょう。

    話し手自身が解決策を見つけられることや、本音を引き出すことにやりがいを感じられるような意識付けが重要です。

    まとめ

    今回は、アクティブリスニングに焦点を当て、その効果と実施方法、注意点について解説しました。

    アクティブリスニングは、社員の考えや本音を引き出すときに効果を発揮し、職場の問題解決に貢献します。

    社員の意見を組織改革に取り入れたい企業や社員ひとりひとりの成長を進めたい会社では、アクティブリスニングの導入がおすすめです。

    一方で、聞き手役には高い傾聴スキルや相手の話に集中することが求められ、大きなストレスがかかることもあります。

    初めてアクティブリスニングを導入する企業では、アクティブリスニングの教育を行い、聞き手側に求められる役割をしっかりと理解させてから取り入れましょう。

    HR大学編集部
    HR大学 編集部

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