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2024/05/07

風通しの良い職場とは?作り方やメリットとデメリットや具体的な事例について解説

目次

    風通しの良い職場とは、上下関係がフラットで自分の意見を率直に言いやすく、役職や立場を問わず従業員同士の意見交換が活発で、意思疎通のしやすい組織のことを指します。

    風通しの良い職場であることは、一般的には「人間関係が良好」「意見を言いやすい環境」「コミュニケーションが活発」などのメリットがありますが、デメリットもあります。

    従業員の個性を重視し、ひとりひとりの居心地の良い職場環境を作って行くためには、組織の特徴にあった方法で職場づくりに取り組んでいく必要があります。

    この記事では、風通しの良い職場の特徴と作り方、風通しの良い職場のメリットとデメリット、風通しの良い職場でのコミュニケーションのポイント、風通しの良い職場づくりの事例について解説します。

    風通しの良い職場づくりのためのアンケート調査の実施

    風通しの良い職場とは

    風通しの良い職場とは、上下関係がフラットで自分の意見を率直に言いやすく、役職や立場を問わず従業員同士の意見交換が活発で、意思疎通のしやすい組織のことを指します。

    風通しの良い職場は、「オープンな職場」「フラットな職場」とも言われます。

    風通しの良い職場の特徴

    風通しの良い職場に共通する主な特徴について確認してみましょう。

    風通しの良い職場の特徴

    • 人間関係が良好であること

    • 意見を言いやすい環境であること

    • コミュニケーションが活発であること

    人間関係が良好であること

    風通しの良い職場の特徴の1つ目は、「人間関係が良好であること」です。

    明るい雰囲気の中で従業員同士が良好な人間関係を築けていることは、風通しの良い職場の基本です。

    「誰かの失敗を責める」「成功を妬む」「強い口調で命令をする」「何を言っても否定される」と言うような重圧的な雰囲気の中では、従業員は萎縮してしまいストレスを感じてしまいます。

    人間関係が良好な職場では、「お互いを認め合い」「助け合おう」という文化があり、自分に無理のないコミュニケーションが取れるため、本音で意見交換をしやすい雰囲気が生まれます。

    意見を言いやすい環境であること

    風通しの良い職場の特徴の2つ目は、「意見を言いやすい環境であること」です。

    風通しの良い職場では、役職や立場と関係なく、自分の意見を伝えやすい職場環境を作ることが大切です。

    普段から従業員同士で意思疎通を図る機会がなく、先輩や上司からは指示の連絡しか来なかったり、ひとりで孤立して業務を行っていたりすると、困ったことがあっても相談することをためらってしまうことがあるかもしれません。

    また意見の言いやすさには、良い意味で上下関係がフラットであることも重要です。

    役職や年齢、経験値などが過度にコミュニケーションに反映されてしまうと「自分はこんなことを言える立場ではない」という想いから、若手の従業員ほど意見やアイディアを率直に伝えにくくなってしまいます。

    立場を問わずそれぞれの意見を受け入れて認める組織文化があれば、上からの指示を待つだけでなく従業員ひとりひとりが主体性を持って、自律的に伸び伸びと働くことができるようになるでしょう。

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    コミュニケーションが活発であること

    風通しの良い職場の特徴の3つ目は、「コミュニケーションが活発であること」です。

    活発なコミュニケーションとは、挨拶を交わしあったり、悩みがあれば気軽に同僚や先輩従業員に相談できる環境の中で生まれるものです。

    特別なことがあった時にだけ会話をするような関係性の中では、コミュニケーションが停滞してしまい情報共有がスムーズに行われません。

    日頃から声を掛けあう明るい雰囲気の職場であれば従業員の心理的安全性が守られ、安心感を持ちやすく、自ずと従業員同士でさまざまな意見交換や情報共有が行われるようになります。

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    風通しの良い職場のメリット

    風通しの良い職場のメリットについて確認してみましょう。

    風通しの良い職場のメリット

    • 目的の実現に向けた組織改善が促進できる

    • 業務効率化と生産性の向上が望める

    • ミスやトラブルに迅速に対応できる

    • 離職防止になる

    目的の実現に向けた組織改善が促進できる

    風通しの良い職場のメリットは、「目的の実現に向けた組織改善が促進できる」ことです。

    多くの従業員が議論に参加することによって、組織が目指す成果や目標達成など目的の実現に向けたさまざまなアイディアが生まれます。

    個人では気がつかなかった課題や改善策が出されるため、チーム一丸となって組織改善を促進することができます。

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    業務効率化と生産性の向上が望める

    風通しの良い職場のメリットは、「業務効率化と生産性の向上が望める」ことです。

    自分の意見がきっかけで組織が良い方向に進んでいることを実感できることは、従業員のモチベーションの向上につながります。

    さらに、「組織に対して何かプラスの働きをしたい」「チームを助けたい」といった貢献意識が生まれ、生産性が上がって行くという好循環が期待できます。

    風通しの良い職場では、不明点を確認しやすいため「分からないために動けない」と言った状況も少なく、各自で円滑に業務を進めて行くことができます。

    また情報共有では、会社のビジョンなどの情報がしっかりと従業員に浸透していると、仕事を進める中での認識の違いが起こりにくく、スムーズに業務を進めて行けるのもメリットのひとつです。

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    ミスやトラブルに迅速に対応できる

    風通しの良い職場のメリットは、「ミスやトラブルに迅速に対応できる」ことです。

    風通しの良い職場では、ミスやトラブルが発生した際に、早急に上司に報告し指示を仰ぎ、迅速にトラブル対応や軌道修正ができるという利点もあります。

    何か問題が起きた際も素早く解決できる職場環境であれば、従業員も安心して働くことができます。

    離職防止になる

    風通しの良い職場のメリットは、「離職防止になる」ことです。

    厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概要」に記載されている「転職入職者が前職を辞めた理由」によると「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が、男女別と各年代別の離職理由の中で上位に入っていました。

    風通しが良く人間関係が良好で、周囲と協力し合って悩みを解決しやすい職場づくりをすることは、従業員の離職防止にも効果があります。

    (参考)厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概要

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    風通しの良い職場のデメリット

    風通しの良い職場のデメリットについて確認してみましょう。

    風通しの良い職場のデメリット

    • 緊張感に欠けてしまう可能性がある

    • 居心地が悪いと感じる可能性がある

    緊張感に欠けてしまう可能性がある

    風通しの良い職場のデメリットは、「緊張感に欠けてしまう可能性がある」ことです。

    従業員同士がフラットな関係性の中で自由に意見を言い合えることは素晴らしいですが、あまりにもフラット過ぎると、職場の緊張感が無くなってしまうリスクがあります。

    また、気の緩みから業務に関係のない話が長くなり勤務態度がルーズになってしまったり、全員の意見を取り入れようとして話がまとまらずに結局中途半端な状態になったりしてしまう可能性があります。

    「なんでも言っていい」という風潮から、感情的な発言を許容してしまう空気になってしまう恐れもあります。

    本末転倒な結果にならないためには、組織のリーダーが適切に舵をとり、メリハリのあるコミュニケーションが取れるように留意していく必要があります。

    居心地が悪いと感じる可能性がある

    風通しの良い職場のデメリットは、「居心地が悪いと感じる可能性がある」ことです。

    従業員の中には、人と話すのが苦手なタイプの人や活発な意見交換を好まないタイプの人も居るかもしれません。

    じっくりと考えてから結論を出したいのに、会議の場などで周囲がどんどんと意見を出す空気に圧倒されてしまい、居心地の悪さを感じてしまう可能性が考えられます。

    無理に発言を強要することのないように、誰もが積極的に意見を発信していきたいタイプではないことを念頭に置き、意見を吸い上げる工夫をするよう心掛けましょう。

    風通しの良い職場のコミュニケーションのポイント

    風通しの良い職場をつくるためにはどのようなコミュニケーションが必要なのか、コミュニケーションのポイントについて確認してみましょう。

    風通しの良い職場のコミュニケーションのポイント

    • 「暗黙の了解」のような分かりにくいルールを無くす

    • 適度な緊張感を保つためメリハリを意識する

    • オープンなコミュニケーションが苦手な人にも配慮する

    「暗黙の了解」のような分かりにくいルールを無くす

    風通しの良い職場のコミュニケーションのポイントは、「『暗黙の了解』のような分かりにくいルールを無くす」ことです。

    従業員が守るべき、会社の方針やルールについては明確に提示するようにしましょう。

    いわゆる「暗黙の了解」のようなはっきりしない決まりごとがあると、従業員に「これをすると叱られるのではないか」という不安を生んでしまいます。

    「何をしてはいけないのか」「何をして良いのか」が明確に判断できると、働きやすさがアップするはずです。

    オープンにしても問題ない情報であれば、なるべく多くの情報を従業員に開示すると良いでしょう。

    そうすることで業務に意味を感じやすくなり、組織の一員としてのエンゲージメントの向上も期待できます。

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    適度な緊張感を保つためメリハリを意識する

    風通しの良い職場のコミュニケーションのポイントは、「適度な緊張感を保つためメリハリを意識する」ことです。

    仕事に対する緊張感の欠如は、生産性の低下に直結してしまう可能性があります。

    例えば、「遅刻が増える」「私語が多過ぎる」など、従業員の勤務態度にルーズさが垣間見えた際は上司やリーダーが率先して正して行く必要があります。

    また、メリハリをつけるために、仕事とは別に親睦を深められるような歓送迎会やランチ会といった社内イベントを企画するのも一案です。

    身勝手な振る舞いや人として礼儀に反するような行為、職場の雰囲気を壊すような言動は厳しい態度で注意すべき事柄です。

    組織として必ず守るべきルールとして、周囲への気遣いをすることは一貫して伝えていくようにしましょう。

    オープンなコミュニケーションが苦手な人にも配慮する

    風通しの良い職場のコミュニケーションのポイントは、「オープンなコミュニケーションが苦手な人にも配慮する」ことです。

    人前で話すことを好まないタイプの人が居心地の悪さを感じないような配慮も必要です。

    従業員の意見を吸い上げたい時には、対面での会議でのヒアリングだけでなく、メールやチャットツール、匿名アンケートなど非対面で意見を聞く方法も視野に入れるようにしましょう。

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    悩み別アンケートツールの選定方法

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    風通しの良い職場づくりの取り組み事例

    風通しの良い職場づくりのための6つの取り組み事例について確認してみましょう。

    自社でできることから取り入れて、風通しの良い職場の実現と維持を目指しましょう。

    風通しの良い職場づくりの取り組み事例

    1. 積極的に挨拶をする
    2. 匿名アンケートを実施する
    3. 社内イベントを企画し開催する
    4. 相談できる環境を作る
    5. フリーアドレスを導入する
    6. コミュニケーションツールを導入する

    積極的に挨拶をする

    風通しの良い職場づくりの取り組み事例の1つ目は、「積極的に挨拶をする」ことです。

    挨拶は相手との距離感をぐっと近くしてくれるものです。

    「〇〇さん、おはようございます」「〇〇さん、お疲れ様でした」と名前を付けて挨拶するだけで、声を掛けられた側は自分の存在を認めてもらえていると感じ、「1人ではない」という安心感を持つことができます。

    匿名アンケートを実施する

    風通しの良い職場づくりの取り組み事例の2つ目は、「匿名アンケートを実施する」ことです。

    社内の風通しの良さや職場環境の改善について、匿名アンケートなどで定期的に従業員の意識調査を行うのも良いでしょう。

    アンケートを実施する際は、実施の目的や調査結果も公表するようにしましょう。

    さらに、アンケートで明らかになった問題や不満に対して、優先度をつけてチームで解決のために施策を講じていくことで、個人の課題に対してチームで問題解決に取り組む風土づくりの醸成にも役立ちます。

    効果的なアンケート調査の実施方法

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    社内イベントを企画し開催する

    風通しの良い職場づくりの取り組み事例の3つ目は、「社内イベントを企画し開催する」ことです。

    従業員同士の親睦を深めるためには、業務から離れてみんなで楽しめるような社内イベントを企画し開催するのもおすすめです。

    業務外で長時間拘束されるのはハードルが高いと感じる従業員に配慮するなら、ランチ会や朝会など時間をかけずに交流の場を作るのも良いでしょう。

    その他、希望者のみが参加できるサークル活動を取り入れる方法もあります。

    相談できる環境を作る

    風通しの良い職場づくりの取り組み事例の4つ目は、「相談できる環境を作る」ことです。

    業務で少しでも迷う点や困っている事がある際に、気軽に相談できる環境づくりをする事も大切です。

    また、気分転換をするために適度な休憩を推奨し、自席を離れ従業員同士で雑談ができるような職場環境を作ると、ちょっとしたことでも相談しやすい雰囲気が生まれます。

    また、上司と部下が1対1で話す時間を設ける「1on1ミーティング」や、先輩従業員が後輩従業員の相談に乗る「メンター制度」を導入するなど、従業員の些細な不安や疑問を解消できるような仕組みづくりに取り組むのも良いでしょう。

    ▼「1on1ミーティング」についてさらに詳しく
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    ▼「メンター制度」についてさらに詳しく
    メンターとは?メンタリングの意味やコーチングとの違いと必要性について簡単に解説

    コミュニケーションを円滑にする

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    フリーアドレスを導入する

    風通しの良い職場づくりの取り組み事例の5つ目は、「フリーアドレスを導入する」ことです。

    従業員が個人のデスクを持たずに空いている席を自由に使う「フリーアドレス制度」を導入することで、日常的に部署や役職を超えたコミュニケーションを促すことができます。

    毎日座る席が決まっていると、どうしても限られた人との会話に偏りがちですが、フリーアドレス制度を導入することで、自分が日頃行っている業務とは違う仕事をしている人と話すことができ、新たな視点を持つことが可能になります。

    ▼「フリーアドレス」についてさらに詳しく
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    コミュニケーションツールを導入する

    風通しの良い職場づくりの取り組み事例の6つ目は、「コミュニケーションツールを導入する」ことです。

    従業員同士の対面でのコミュニケーションの機会が少ない職場環境の場合は、チャットができるアプリなどのコミュニケーションツールを導入するのも有効です。

    風通しの良い職場づくりは自社の特徴にあった方法で

    風通しの良い職場とは、上下関係がフラットで自分の意見を率直に言いやすく、役職や立場を問わず従業員同士の意見交換が活発で、意思疎通のしやすい組織のことを指します。

    風通しの良い職場であることは、一般的には「人間関係が良好」「意見を言いやすい環境」「コミュニケーションが活発」など良い印象があります。

    しかし、一定の節度を守らなければデメリットにも転じてしまうことと、オープンなコミュニケーションに抵抗を感じる従業員にはプレッシャーを与えてしまう可能性があります。

    従業員の個性を重視し、ひとりひとりの居心地の良い職場環境を作って行くためには、組織の特徴にあった方法で風通しの良い職場づくりに取り組んでいく必要があります。

    「HRBrain 組織診断サーベイ」は、組織全体の状態の可視化はもちろん、従業員ひとりひとりにフォーカスした分析が可能なため、「風通しの良い職場」づくりのための調査や施策の考案をサポートします。

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    また、改善施策に直結した独自の設問設計によって、改善アクションを明確に、従業員エンゲージメントの向上を実現します。

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    HR大学編集部
    HR大学 編集部

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