人材育成を成功させるには?企業別の事例とあわせて解説!
- 人材育成に関する基本情報
- 人材育成とは?
- 人材育成の目的
- 人材育成の進め方
- タレントマネジメントの導入による人材育成の成功事例
- 分散する社員情報の可視化によるタレントマネジメントへの第一歩 ホクト株式会社
- データ重視の人事戦略へRealChangeする JA三井リース株式会社
- その他の手法による人材育成の成功事例
- サントリー
- ニトリ
- スターバックス
- 事例から見る人材育成を成功させるコツ
- 人材育成が失敗する企業の特徴
- 人材育成に時間・予算をかけられない
- 人材育成の目的や評価制度が明確になっていない
- 経営層が人材育成のビジョンを把握していない
- 人材育成を失敗させないための心構え
- 人材育成の成功につながる目標設定の事例
- まとめ
企業の掲げる理想の実現や、目標を達成するため、従業員を育てることを人材育成といいます。これは単に従業員のスキルレベルを指すのではなく、「企業の成長」を視野に入れたものとして実施します。
企業が人材育成の重要性について把握していても、思うような育成プランを立てられていないケースも多いのでしょう。もしくは、せっかく立てた人材育成のプランを、実行しきれていない企業もあるでしょう。
今回は人材育成の基本について触れながら、いくつかの企業を対象とした人材育成の事例を紹介します。事例から見る人材育成を成功させるコツや、人材育成に失敗する企業の特徴もあわせて説明します。
基本や事例について把握しておくことで、人材育成を成功に導くことが可能です。今回紹介する内容を参考に、自社の人材育成における方向性を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
人材育成に関する基本情報
人材育成について、基本的な内容を把握していない企業もあるでしょう。ここでは、人材育成を実施する目的や進め方、関連する施策について詳しく説明します。
人材育成とは?
人材育成とは、経営戦略や企業ビジョンを実現するための人材を育成することです。業務を遂行するうえで必要なスキルはもちろん、経営層と同じ目線をもつための機会としても活用できます。
人材育成に対し、単に「仕事ができる従業員を育てるもの」と 考える方もいるでしょう。しかし、本来の目的は、従業員の成長支援を通じ、企業全体が成長することです。
そして、従業員自身が企業の成長や今後ついて考えることで、ひとりひとりが「自分は社員としてどのように貢献できるか」を理解するようになります。人材育成は、根底に従業員の成長を通じ企業のレベルアップが必要です。
人材育成の目的
人材育成は主に、以下の3つを目的として実施されます。
- 生産性の向上
- 業績アップ
- 経営戦略の実現
人材育成を実施する目的のひとつは、従業員ひとりひとりが仕事に対する主体性を持つことです。主体性を持って働く従業員が増えることで、業務遂行におけるレベルアップが期待できます。業務レベルの向上は、企業全体の生産性を向上させる結果にもなるでしょう。
人材育成には生産性の向上を通じ、企業の業績をアップさせる目的もあります。従業員のスキルレベルを向上させ、経営戦略の実現に貢献できる人材を増やすのも人材育成の目的です。
従業員の育成を通じ、個人としてだけでなく企業目線でのレベルアップを図ることが、人材育成の目的といえます。
人材育成の進め方
人材育成は、以下の手順で進めるのが一般的です。
- 自社が抱える課題の可視化
- 可視化した課題を解決するための施策を立案
- ツール・サービスの導入
- 人材育成の施策を実施
- 人材育成の効果を検証
人材育成はまず、自社が抱える課題を可視化するところからはじまります。従業員の年代や部署、役職など細かいカテゴリで課題を抽出することが大切です。
続いて、可視化した課題を解決するための方法を立案します。研修のような形をとるのか、1on1ミーティングなどを通じて実施するのか、企業によってさまざまです。場合によってはツールの導入やサービスの利用が必要になるでしょう。
ツールやサービスを導入する場合は、自社に適したものを選ぶところから始めてください。まずは特定の部署から導入して効果を明確にしてから、全社的に導入を進めましょう。
自社に適した人材育成の方法を立案したら、いよいよ実施します。一度実施して終わるのではなく、どのような効果があったかを検証してください。実施→検証のサイクルを回すことで、自社で実施する人材育成の精度を上げることにつながります。
人材育成に関連する施策例
人材育成を実施するうえで、覚えておくべき施策について紹介します。短期的・長期的な目線で、それぞれ適切な施策が異なることを覚えておきましょう。
<短期的な施策例>
OJT
Off-JT
自己啓発
OJT・Off-JTに関する詳細はこちらから、自己啓発についてはこちらをご覧ください。
「研修で企業の問題を解決!具体的な手法と研修の制度設計について解説」
「自己啓発とは?仕事や面接に活かす事例紹介」
<長期的な施策例>
タレントマネジメント
eラーニング
目標管理制度
人事評価制度
人事育成の長期的な施策については、以下の記事を参考にしてください。
「事例から学ぶ「タレントマネジメント」導入法・人材育成のためのスキル管理」
「【自社でできる!】eラーニングによる最新人材開発手法とコンテンツ制作までを徹底解説」
「MBOとは?目標管理におけるメリットやOKRとの違いを解説」
「人事評価とは?解決すべき9つの課題と人事評価制度のメリット5つを紹介」
タレントマネジメントの導入による人材育成の成功事例
人材育成を成功に導くものとして注目されているものに、タレントマネジメントシステムがあります。
ここではタレントマネジメントの導入による人材育成の成功事例を、ホクト株式会社・JA三井リース株式会社で実施された施策をもとに紹介します。
分散する社員情報の可視化によるタレントマネジメントへの第一歩 ホクト株式会社
ホクト株式会社は、エリンギ、マイタケ、ブナシメジなどを主力商品としてきのこの種菌開発から生産・販売までのすべての工程を自社で行っています。くるみん、えるぼしマークの認証制度や健康経営など、企業データを分析し情報開示する機会が増え、社員情報の可視化の必要性が高まったほか、人事評価の効率化にも課題を感じていました。
課題
社員の情報が人事部に属人化しており、役職者が部下の情報を正確に把握できていなかった
人事評価をエクセルで実施しており、回収や集計に時間がかかる
課題解決のカギ
人材データを一元管理できるタレントマネジメントシステム「HRBrain」を導入
役職に応じて人材データの閲覧権限を設定し、より透明度の高い人材管理に
人材管理がすべてWeb上で完結するため、人事評価が大幅に効率化
人材データを一元管理できるタレントマネジメントシステム「HRBrain」を導入。役職に応じて人材データの閲覧権限を設定し、現場にとってもより透明度の高い人材管理を実行できました。人材管理がすべてWeb上で完結するため、人事評価の効率化も実現できました。
システム導入効果
社長や役職者がいつでも対象者の情報を確認でき、より会社と従業員の相互理解が深まった
今まで人事評価にかかっていた膨大な工数がなくなり、すべてWEB上で完結し、人事評価の効率化を実現できた
導入システム
HRBrain タレントマネジメント | HRBrain
▼資料請求
HRBrain タレントマネジメント サービス資料
導入事例
▼分散状態の社員情報を可視化。タレントマネジメントへの第一歩
ホクト株式会社 | 導入事例
タレントマネジメントシステムについての紹介は、以下の記事をご覧ください。
「【徹底解説】タレントマネジメントシステムで組織パフォーマンスを最大化させるための導入方法」
データ重視の人事戦略へRealChangeする JA三井リース株式会社
JA三井リース株式会社は、賃貸事業、割賦販売事業、各種ファイナンス事業、その他付帯事業について幅広く展開しており、約1,000名の従業員が在籍しています。人事データについて、ファイルの形式や保存場所が統一されていないことに課題を感じていました。
課題
人事データの形式や保存場所がバラバラで統一されていなかった
人事情報の見える化・一元管理の必要性を感じており、誰もが扱えるシステムを探していた
課題解決のカギ
「人事評価業務の効率化」「データ収集のしやすさ」を目的として、UIが優れているタレントマネジメントシステム「HRBrain」を導入
「HRBrain」の人事評価機能やアンケート機能を活用し、人事評価制度の透明性向上やすべての従業員の人事業務効率化を実現
システム導入の1番の目的としていた「人事評価業務の効率化」「データ収集のしやすさ」に合致し、かつUIの優れているタレントマネジメントシステム「HRBrain」を導入。HRBrainの人事評価機能やアンケート機能などを活用し、人事評価制度の透明性の向上やすべての従業員の人事業務効率化の実現を推進できています。
システム導入効果
従業員の情報が一元化され、必要な情報をすぐに取り出せるようになった
異動直後の役職者が、自分で部下の情報をすぐに確認できるようになった
導入システム
HRBrain タレントマネジメント | HRBrain
▼資料請求
HRBrain タレントマネジメント サービス資料
導入事例
▼HRBrain導入による人事データの一元化。 データ重視の人事戦略へRealChangeする。
JA三井リース株式会社 | 導入事例
その他の手法による人材育成の成功事例
上記2社の事例は、タレントマネジメントシステムの導入による成功事例です。ここでは、その他の施策で人材育成を成功させた企業の事例を紹介します。
サントリー
サントリーホールディングスは、トレーニー制度と次世代リーダー抜擢を人材育成の施策として実施し、成功しています。
トレーニー制度とは、海外に若手社員を派遣する制度のことです。近年注目されるグローバル化を背景に、海外のノウハウや視野を身につけた人材育成に成功します。
次世代リーダー抜擢とは、人材発掘をグループ企業の垣根を越えて実施する制度です。企業における次世代のリーダーを抜擢することで、企業目標の達成や新たな経営戦略の立案につながります。
ニトリ
大手家具メーカーで知られるニトリホールディングスでは、インターンシップに商品開発の企画を取り入れています。立場にとらわれず経営戦略に参加できるため、企業に対する貢献意識を高めることが可能です。
ニトリは人材育成を通じ、従業員の価値観を社会の課題解決に活かす仕組みづくりに成功しました。
スターバックス
毎年新作が話題となるスターバックスコーヒージャパンでも、人材育成の取り組みが実施されています。
まず挙げられるのは、4段階に分けたOJTです。従業員個人の考えを大切にしたうえで目標を設定し、実行することでより確実な成果につなげています。
また「価値観ワーク」という、従業員の価値観を共有する取り組みを実施しているのも同社の特徴です。価値観ワークは、価値観に関連する80以上のキーワードから3つ選択し、そのキーワードについてグループで議論する取り組みです。従業員同士が意見を交わし、お互いが尊重し合う機会の創出により、個人・グループ単位での成長が見込めます。
事例から見る人材育成を成功させるコツ
ここでは、人材育成を成功させるためのコツを見てみましょう。人材育成の成功には、以下のコツを押さえておくことが大切です。
人材育成の目的をはっきりさせる
育成目的を達成するための明確な施策を立案する
従業員の業務レベルや社風に適した育成計画を立てる
従業員の主体性に語りかけるような施策を実施する
従業員の意欲を尊重する
従業員と育成担当が対話する機会を設ける
育成計画に基づいた学びの機会を設ける
上記で挙げたコツは、先ほど紹介した各企業の成功事例にも関連するポイントです。自社の課題や現状と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてください。
人材育成が失敗する企業の特徴
人材育成が失敗する企業には、以下の特徴があります。
人材育成に予算・時間をかけられない
人材育成の目的や評価制度が明確になっていない
経営層が人材育成のビジョンを把握していない
それぞれの特徴について以下で解説するので、自社に当てはめて参考にしてください。
人材育成に時間・予算をかけられない
人材育成は、現場での業務を通じて実施されるのが一般的です。そのため、育成を担当する従業員の負担が大きくなります。
育成に時間をとられて本来の業務が疎かになってしまうこともあり、逆のパターンも考えられます。育成を実施する側の時間を確保できないことで、人材育成が失敗に終わる企業もあるでしょう。
また、予算面の都合で育成環境を整えられないことが、人材育成が失敗する原因に挙げられます。人材育成につながるツールや研修制度の整備には、当然費用がかかります。環境整備に費用を割けず、思うように人材育成を進められていない企業も多いでしょう。
人材育成の目的や評価制度が明確になっていない
なぜ人材育成を導入するのか、明確にしていなければ人材育成は成功しません。自社の課題や従業員の業務レベルを加味したうえで、人材育成の目的を立てましょう。
また、評価制度が明確になっていないことも、人材育成を成功から遠ざける原因です。主な例には、年功序列による成果を無視した評価が挙げられます。
自身が出した成果に対して正当な評価がされない環境では、成長につながる人材育成を実施できる風土は作り出せません。従業員の仕事を正確な目線で評価できる環境を整えることで、モチベーションの維持や向上にもつながるでしょう。
経営層が人材育成のビジョンを把握していない
人材育成は育成担当者だけでなく、経営層も同じ方向性を見ておく必要があります。現場でどのような人材育成が実施されていなければ、先ほども挙げた「人材育成の目的」が明確になりづらいでしょう。
人材育成を通じて企業にどのような結果をもたらすのか、現場だけでなく経営層も同じ温度感で把握しておくことが大切です。
人材育成を失敗させないための心構え
人材育成を失敗で終わらせないよう、まずは育成にかける時間を捻出することを心がけてください。現状で手一杯のため、人材育成に時間をかけられないことが課題の企業も多いでしょう。
仮に時間を確保できない場合は、なぜ確保できないのかを客観的な目線で分析してください。既存業務の効率化を進めるだけで、解決の糸口となる場合もあるかもしれません。
人材育成にかかるコストが原因で、思うような施策を実施できない企業もあるでしょう。その場合は育成担当者を社内で確保し、実務的な面での育成に特化するのがおすすめです。
時間・場所などの確保が難しい場合は、オンラインツールやeラーニングなどを上手に活用しましょう。どうしても内部でリソースを確保できない場合は、既存業務にかかるコストを見直し、外部への依頼費に充てましょう。
また人材育成における失敗は、育成計画の杜撰さや既存の評価制度における不透明さが原因で発生することもあります。効率的かつ現実的な育成計画を立案し、適正な評価制度のもと実施してください。
人材育成計画や評価制度の見直しは、従業員のモチベーションにもつながる重要な観点です。新人の育成だけではなく、既存従業員のレベルアップや定着においても重要になるため、必ず押さえておきましょう。
人材育成の成功につながる目標設定の事例
ここまで紹介してきた内容から、人材育成の成功には明確な目標設定が重要であることがわかりました。人材育成を成功させるための目標は、どのように設定するのがよいのでしょうか。
人材育成の目標設定は主に、以下の観点で立てることが推奨されます。
企業目線での目標達成
業務改善スキル取得
労務スキル取得
企業目線での目標とは、従業員個人やチーム単位ではなく、企業全体での目標のことを指します。「3年後までに売上を2倍にする」など、リアルな数値を目標として設定するのが一般的です。企業が目標を達成するためには、個人・チームに対してどのような育成を進めるのか考えることが明確な目標設定につながります。
人材育成は、従業員の業務レベル改善を目標にする場合もあります。既存業務をより効率的に進めるために、何をすべきか考えることが大切です。
また管理者を対象に、労務スキルの取得を目標に人材育成を進める場合もあるでしょう。企業全体の労務スキル向上を目標にすることで、全体的なスキルアップだけでなく時間に対する温度感も変化します。
まとめ
今回は人材育成について課題を抱える企業に向けて、人材育成の基本情報を振り返りながら他社の事例を紹介しました。サントリーやニトリなど、誰もが耳にしたことのある企業の事例をピックアップしています。
また、人材育成を成功させるためのコツや、失敗しやすい企業の特徴などもあわせて解説しました。事例を参考にしつつ、自社に当てはめて人材育成の方向性を検討し直してみてください。
人材育成を失敗しないための心構えや、目標設定の事例にも触れています。より実践的かつ主観的な目線で人材育成の課題を把握するためにも、ぜひ参考にしてください。
人材育成は従業員個人としてのレベルを向上させるだけでなく、企業全体のレベルアップにつながる重要な施策です。制度として導入できていない、もしくは活かしきれていない企業も多いでしょう。
今回ご紹介した内容が、人材育成に関する悩みを抱える企業にとって、少しでも役立てば幸いです。
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