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フォロワーシップとは?期待できる効果や導入のポイントを徹底解説

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フォロワーシップとは?期待できる効果や導入のポイントを徹底解説

目次

    昨今、ビジネス界で注目されている「フォロワーシップ」。

    目まぐるしく変化するビジネス環境や人材不足に対応するため、従業員それぞれにも意識改革が求められています。これまで上司の指示に従うだけであった部下も、主体的かつ自立的な業務遂行が必要な時代へと変化しています。また、人材不足の影響により、上司は部下のマネジメントと並行して自身も成果をあげる必要があります。

    つまり上司が円滑な業務遂行を行うためにも、フォロワーである部下の支援が必要不可欠といえます。

    フォロワーシップとは何か

    「フォロワーシップ」とは、部下が上司および他のメンバーに対して、自主的かつ自律的に支援や補佐をおこなうこ心がけのことを指します。ここでいうフォロワーは、部下を指しています。
    フォロワーシップを発揮することで上司に頼りきりにならず、チーム全体で目的や方針を考え、成果をあげられるようになります。

    まずはフォロワーシップの意味・概要、なぜ注目されているのかを解説します。

    フォロワーシップの意味・概要

    「フォロワーシップ」は、アメリカにあるカーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が著書「The Power of Followership」の中で提唱したしたものです。フォロワー、つまり部下はリーダーへの支援やサポートを自主的・自律的におこないます。

    ロバート・ケリー教授の調査によると、組織が出した結果に対して上司の影響力は10〜20%程度で、その下につく部下の影響力は80〜90%とされています。

    つまり、上司の指示に従うような受動的な働き方とではなく、それぞれが能動的に自分の意見を述べることが大切だといえるでしょう。

    フォロワーシップが注目される理由

    フォロワーシップが注目され始めている背景には、急速に変化するビジネス環境に加え、今も続くコロナ禍が挙げられます。

    とくに日本では、上司の命令は絶対的なものであり、その考えや方向性に間違いはないとされてきました。しかし、ビジネス環境が変化し、上司の考えすべてが顧客や世間のニーズに適応できるとはいえません。そのため、チーム全体で物事を考え、多様な意見を取り入れることが必要となります。そうすることで、変化し続けるビジネス環境やさまざまなニーズに応えていくことが可能になります。

    また、人材不足が加速している日本では、組織をフラットにするため中間管理職を廃止する企業が増加しています。そのため、部下のマネジメントをしながら自身の業務も遂行し、実績を求められるなど、リーダーポジションにある人材に大きな負担がかかっているといえるでしょう。

    そして「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれる現代に、襲ってきたのが「新型コロナウイルス感染症」です。現在も続くコロナ禍により、日本はもとより世界中で生活スタイルや働き方に大きな変化を余儀なくされました。

    VUCAとは「変動性・不確実性・複雑性・曖昧性」の頭文字から作られた言葉です。元は軍事用語として使われていましたが、コロナ禍も相まって現在のビジネス界はまさに「変動性・不確実性・複雑性・曖昧性」の状況といえるでしょう。コロナウイルスの影響により、多くの企業が倒産したり事業を縮小しています。現在も黒字経営とはいえない状況が続いている企業も多く見られます。

    こうしたコロナ禍を企業が生き抜くためには、経営陣や役職者、上司の立場にある人材の働きだけでは困難です。その下につく部下メンバーの働きこそが、企業に利益をもたらします。そのために、部下は言われたことだけをこなしているだけでは不十分です。部下自身の役割を果たしながらリーダーをサポートできる積極性や自律的な働き方が必要です。これらが、今「フォロワーシップ」が求められている背景です。

    5つに分類される「フォロワー」

    ロバート・ケリー教授は、「フォロワー」を5つの型に分類しています。それぞれの特徴を把握し、部下がどの型に当てはまるかを考えましょう。5つの型ごとに得意なことや長所・短所を理解しておくと仕事の指示の仕方も変わってきます。

    それでは、ロバート・ケリー教授の考える各フォロワーについて解説します。

    1. 順応型
    2. 孤立型
    3. 模範型
    4. 実務型
    5. 消極型

    1.順応型

    「順応型」は、協調性の高さと従順さが特徴です。上司の出す指示や考えに対して意見を述べることなく、出された指示を受け止め遂行します。素直かつ真面目である一方、指示がないと動けない面があります。良くいえば使いやすいタイプですが、受動的なため提案力や率先した行動力などにおいては欠けます。自分の意見を言えるように提案力を磨くことで、上司にとってもチームにとっても欠かせない存在になれるでしょう。

    2.孤立型

    「孤立型」は、批判力の高さが特徴です。フォロワーシップにおける「批判」とは、上司の提案や決定に対して、意見ができる力を指します。その一方で、協調性のなさが欠点といえるでしょう。また、組織に貢献したいという思考を持ち合わせておらず、積極性や行動力に欠けるところもありメンバーから疎まれやすい存在です。しかし、業務遂行においてのスキルやポテンシャルは高いことが多く、組織への貢献意欲を持たせられれば有能なフォロワーになれるでしょう。

    3.模範型

    「模範型」は、業務においてのポテンシャルの高さだけでなく、まわりを見て行動できる総合力の高さが特徴です。リーダーポジションに就いてもおかしくないほど、すでに出来上がっているようなフォロワーです。上司の右腕や側近的な存在で、上司の決定や指示に対しても臆することなく意見を述べられます。また、意見する内容も非常に建設的なもので、組織に対する貢献度も高いといえるでしょう。チーム全体をまとめられる力もあり、上司が不在のときは代理も努められるほど理想的なフォロワーといえます。

    4.実務型

    「実務型」は、任務においての高い遂行力が特徴です。「順応型」の上位互換のようなタイプで、言われた業務は確実にこなしますがそれ以上のことはしません。仕事をこなすスキルや能力は持っています。その一方で、積極性に欠け失敗を恐れるタイプが多いといえます。組織への貢献度や提案力はある程度持っているため、バランス型といえるでしょう。指示された業務をこなす力はあるため、少し高めの目標設定や若干難易度の高い業務を割り振り、達成時に自信を付けさせるとよいでしょう。

    5.消極型

    「消極型」は、組織への貢献度や業務に対する積極性、協調性など総合的な意識の低さが特徴です。上司から与えられた仕事も、最低限しかこなしません。上司の決定や方針に対して、基本的に意見することも提案することもありません。そもそも、組織にもチームにも興味を持っておらずただそこにいるだけ、というタイプです。消極型フォロワーに対しては、まず業務遂行や目標達成の喜び、価値を伝える必要があります。本人の長所や得意を見出し、その力を発揮できる役割を与えることで仕事への意欲や興味が湧いてくるでしょう。

    フォロワーの分類基準

    フォロワーは5つのタイプに分類されていることを紹介しましたが、ロバート・ケリー教授の分類は「2つの軸」をもとに基準が設けられています。2つの軸とは以下のとおりです。


    1. 積極的関与
    2. 批判的思考

    積極的関与

    上司の指示や決定、方針をポジティブに捉え目標達成に向けて行動・協力できることを指します。つまりフォロワーである部下は自身が組織の一員として当事者であることを理解し、積極的に参加・協力できるということです。

    批判的思考

    上司の指示や決定、方針を自分自身で深く考え建設的にな批判や提案することを指します。また、自身の意見を述べられることもこれに該当します。

    積極的関与と批判的思考、両方を持ちあわせて使い分けられるのが「模範型」のフォロワーです。逆にどちらも持ち合わせていないのが「消極型」フォロワーといえます。そのふたつのちょうど真ん中あたり、平均的といえるのがバランス型の「実務型」フォロワーです。積極的関与に特化しているのが「順応型」、批判的思考に特化しているのが「孤立型」にあたります。

    メンバーシップ・リーダーシップとの違いや関係性は?

    フォロワーシップと類似した用語に「メンバーシップ・リーダーシップ」が挙げられるでしょう。フォロワーシップとあわせて非常に混同しやすい3種類ですが、それぞれ全く異なる意味をもちます。フォロワーシップとの違いとそれぞれの関係性について解説します。

    メンバーシップとの関わり

    「フォロワーシップ」は、部下が上司を補佐・支援することを指します。一方で「メンバーシップ」とは、自分の役割を果たして組織への貢献に努め、組織全体を支援することを指します。つまり、フォロワーシップはメンバーシップの一部といえます。

    リーダーシップとの関わり

    「リーダーシップ」とは、リーダーという立場において必要な能力を指します。たとえば、組織を導く力や決断力、コミュニケーション能力といったフォロワーをまとめるために必要不可欠な能力です。

    これまではカリスマ的なリーダーがリーダーシップを発揮するとされてきました。ビジネス環境の変化や時代の流れにより、リーダーの力だけでは成果を上げることが難しくなってきました。そこで注目されているのが、今回解説している「フォロワーシップ」です。フォロワー、つまりリーダーの下につく部下が、積極的関与・批判的思考を持ってリーダーを支援することで組織全体に貢献し成果をあげられます。リーダーシップおよびフォロワーシップが相互に働くことで、より効果的な影響をもたらします。

    フォロワーシップ導入による効果

    フォロワーシップは企業にとって大きな魅力を持っており、導入することでさまざまな効果が期待できます。導入によって期待できる効果とは以下の3つです。それぞれ解説します。

    • モチベーションアップにつながる
    • 組織全体が活性化する
    • 信頼関係が構築できる

    モチベーションアップにつながる

    フォロワーシップを導入することで、フォロワーひとりひとりが当事者意識を持って上司を支援できます。これにより「自分の働きが組織に貢献している」と実感できます。また、自分の提案が反映されるなどの経験で組織に参加していることを実感できると、モチベーションの向上へとつながるでしょう。

    組織全体が活性化する

    モチベーションが向上することで、フォロワーひとりひとりがイキイキと業務に取り組めるようになります。また、フォロワーだけでなく上司も円滑に業務を遂行しやすくなるため、チームの空気感や環境も良くなり組織全体の活性化に期待できるでしょう。

    信頼関係が構築できる

    上司という存在は、部下のようなフォロワーがあってこそといえます。リーダーはフォロワーの活躍や才能・努力を認める、フォロワーがリーダーの実績や存在を認めるなど、お互いを尊重し認め合うことで信頼関係を築けます。たとえば、上司はフォロワーの述べる意見や提案を正面から受け止める力を持つことが大切です。そうでなければ、フォロワーは意見しづらくなり、上司に対して不信感を抱きます。そうすると、円滑な業務遂行もままならず、よい成果もあげられないでしょう。

    フォロワーシップを導入・浸透させるためのポイント

    リーダーシップやメンバーシップは聞き馴染みもあり、昔から多くの企業で取り組まれています。しかし、フォロワーシップにおいてはまだ浸透しておらず、導入している企業も少ないでしょう。

    ここでは、フォロワーシップを導入し、組織に浸透させるための5つのポイントを解説します。

    • 研修を実施する
    • 上司自身の人間力を高める
    • 上司について理解・把握する
    • コミュニケーションを活性化させる
    • フィードバックに対する姿勢を持つ

    研修を実施する

    まずは「フォロワーシップ」がどういうものであるのか、従業員に知ってもらう必要があります。まずはフォロワーシップの概要や期待できる効果についての座学研修やeラーニングを実施します。上司を支援することが目的であるフォロワーシップは、フォロワーである部下が上司の求めることを理解しておくことも大切です。また、ロールプレイングを通して、フォロワーが上司側の仕事を体験する機会を設けるのも効果的といえます。

    上司自身の人間力を高める

    フォロワーにフォロワーシップを発揮してもらうためには、フォロワーばかりに学ばせるだけでは実現できません。フォロワーが「上司を支援したい、力になりたい」と思えるように上司自身が人間力を高める必要があります。上司が身につけておくべき「傾聴力・判断力・責任を取る力・気づく力」などを伸ばしましょう。また、フォロワーひとりひとりを尊重し、自身に対する意見や批判を受け止められる力も必要です。フォロワーがついていきたくなるような、人間力の高い上司であることを目指しましょう。

    上司について理解・把握する

    上司を自立的に支援するためには、上司の求めることや上司リーダーが何をしているのかを理解・把握しておく必要があります。そもそも、上司とはどのような役割を持った存在なのかというところをフォロワーが理解しておかなければ、いつまでたっても積極的で自立的な支援はおこなえません。上司を理解するには、ロールプレイングなどの研修でリーダーの仕事を体験する機会を設けるとよいでしょう。実際に上司の立場に身をおくことで、本当の意味での上司の支援が理解できます。

    コミュニケーションを活性化させる

    フォロワーシップには、上司とフォロワーの信頼関係が最も重要といえます。目的を達成するためには、上司だけではなくフォロワーを含めたチーム全員の協力が必要です。そのためには、上司の指示や決定に対してフォロワーが意見することもあるでしょう。しかし、上司とフォロワーの間でコミュニケーションが不足していると、円滑な業務遂行は期待できません。上司からはもちろん、フォロワーからも積極的なコミュニケーションを図ることが大切です。

    フィードバックに対する姿勢を持つ

    フォロワーシップは、リーダーの決定や考えに対してフォロワーが批判的思考を持つことも大切です。批判的とはいっても、頭ごなしに否定するわけではありません。リーダーの意見を丸ごと受け止めて従うのではなく、「間違いがあるのではないか」「もっと他によい考えがあるのではないか」と客観的なものの見方を保ち、さらによい成果へとつなげます。こうした批判的思考のことを「クリティカルシンキング」と呼び、フォロワーシップの特徴ともいえます。

    まとめ

    「フォロワーシップ」は、今大きく注目されている取り組みのひとつです。リーダーの指示や考え方に従うだけだった時代から、部下やチームメンバーも積極的に意見を述べ提案することで従業員の意識改革にもつながり、モチベーション・生産性の向上にも期待できます。変化し続けるビジネス環境に適応し、リーダーに頼り切らない自主的な従業員の育成が重要となる時代といえるでしょう。

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    HR大学 編集部

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