#人材管理
2024/02/22

ボトルネックとは?ビジネスでの意味や要因と具体例や解消するためのTOC(制約理論)について解説

目次

    ボトルネックとは、ビジネスでは「全体の業務工程の中で最も処理速度が遅くなる部分」という意味です。

    ボトルネックを解消しないと、どんなに素晴らしい仕事や企画であっても、一向に実現されないという問題が発生します。

    この記事では、ボトルネックのビジネスでの意味や、ボトルネックの要因と具体例、ボトルネックを解消するための「TOC(制約理論)」について解説します。

    ボトルネックを解消する「スキルマップ」の作成

    ボトルネックとは

    ボトルネックとは、英語で「bottleneck」と表記し、主に「瓶の首」「狭い通路」「交通渋滞の起きている所」と訳し、ビジネス用語としては、「全体の業務工程の中で最も処理速度が遅くなる部分」を意味します。

    ボトルネックのビジネス用語での意味の由来

    ビジネス用語としてのボトルネックは、英語の「bottleneck」が「瓶の首」という意味を持っていることに由来しています。

    瓶は注ぎ口に行くほど上部が細くなり、一気に内容物が流れ出ることなく、ゆっくりと注げる構造になっています。

    逆に言えば、瓶の太い部分から細い部分にかけては、どんなに大量の内容物を流しても流れる最大量が限定されてしまいます。

    このような意味が転じて、ボトルネックという言葉が、「全体の業務工程の中で最も処理速度が遅くなる部分」を意味するビジネス用語として使われるようになりました。

    ボトルネックの問題点と課題

    全体の工程の中で、どんなに他の工程がスピーディーかつ高品質に完了していたとしても、ボトルネックを解消しない限り全体の処理速度や品質は向上しません。

    例えば、大企業でのビジネスシーンでボトルネックになりがちなのが「承認プロセス」です。

    どんなに素晴らしい企画をスピーディーに立案したとしても、稟議が決裁されなければ企画は実行できません。

    さらに、大企業では稟議に関わる上長が多い場合もあります。

    特に、稟議などの決裁は、決裁者が限られているため、一気に処理速度を高めることは難しいです。

    このように、ボトルネックを解消しなげれば、どんなに素晴らしい仕事や企画であっても「仕事が一向に進まない」「品質が改善されない」という問題が発生してしまいます。

    ボトルネックが起こりやすい作業

    ボトルネック起こりやすい作業について具体例と合わせて確認してみましょう。

    ボトルネックが起こりやすい作業

    • 専門的な業務をできる人間が限られる作業

    • 完了までに時間がかかる作業

    • 他者との連携が必要な作業

    専門的な業務をできる人間が限られる作業

    仕事の全体工程の中で専門的で高度な知識が求められる工程は、ボトルネックになり得ます。

    例えば、人事企画の仕事であれば、賃金や就業規則の改定の際には必ず社労士のチェックを入れるはずです。

    しかし、社労士が社内にいない場合は外部の社労士事務所へ依頼することとなり、チェックが完了するまでは作業がストップしてしまいます。

    このように、専門的な知識が必要で、それを担える人材が限られている業務は、ボトルネックになりやすい業務です。

    完了までに時間がかかる作業

    業務の中には、完了までに毎回必ず時間がかかる業務も、ボトルネックになり得ます。

    例えば、健康診断の結果を取得する業務では、従業員が健康診断を受け、その後、医療機関で検査結果をまとめるという工程が必要になります。

    特に、医療機関で検査結果をまとめる際には、血液検査など、検査結果が出るまでに時間がかかるものがあります。

    このように、必ず時間がかかる工程では、どんなに効率化をしても時間を早めることは難しいため、ボトルネックになります。

    他者との連携が必要な作業

    他者や他部門との連携が必要な仕事も、ボトルネックになり得ます。

    自分ひとり、あるいは自部門だけで完結できないため、作業を改善することが難しいです。

    例えば、仕事に関わる他部門で、大量離職が発生した場合、人員が補充されるまでの当面の間は業務の処理速度が遅くなります。

    また、他部門のスタッフが新人ばかり、という場合は処理速度だけではなく、業務品質も低下してしまうかもしれません。

    このように、他者と連携する必要のある仕事もボトルネックになります。

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    ボトルネックを解消するTOC(制約理論)とは

    ボトルネックを解消するには、全体最適の視点が不可欠です。

    なぜなら、ボトルネックは全体の工程の中で最も処理速度が低下する箇所だからです。

    こうした全体最適の視点でボトルネックを解消する理論が「TOC(制約理論)」です。

    TOC(Theory of Constraints)とは、日本語では制約理論や制約条件の理論と呼ばれ、主に「生産工程全体を最適化する」ための考え方です。

    TOCは、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラットによって提唱され、日本では書籍「ザ・ゴール」で紹介されました。

    TOCでは、全体の工程を俯瞰して制約となる条件(ボトルネック)を発見して、それに合わせて全体工程を調整することで工程の最適化を図ります。

    TOCはもともとは、サプライチェーンマネジメント(SCM)のための考え方でしたが、現在ではプロジェクト管理の手法としても応用されています。

    ダイヤモンド社「ザ・ゴール シリーズ一覧

    ボトルネックを解消するTOC(制約理論)のステップ

    全体最適の視点でボトルネックを解消する理論である、TOCの基本的なステップについて確認してみましょう。

    TOCのステップ

    1. 制約条件を見つける
    2. 制約条件を徹底的に活用する
    3. 制約条件以外を制約条件に従属させる
    4. 制約条件の能力を向上させる
    5. 惰性に注意しながら繰り返す

    制約条件を見つける

    まずは全体工程のなかで制約条件となっている工程を見つけます。

    制約条件となっている工程がボトルネックです。

    TOC理論では、まずボトルネックを見つけ、ボトルネックを徹底的に分析します。

    制約条件を徹底的に活用する

    全体工程の中でボトルネックとなっている箇所は、すぐには解消や改善が難しい箇所です。

    例えば工場であれば、ボトルネックとなっている生産工程は、新しい設備へと交換しない限りボトルネックとなります。

    また、仮にボトルネックの生産量を上げたとしても、全体工程の処理速度は早くなりません。

    ある部分だけを改善しても、全体の処理能力が向上しない限り全体的に処理能力が向上しません。

    また、逆にボトルネックの処理能力が低下すると、大幅に全体の処理能力が低下します。

    そのためTOC理論では、ボトルネックを徹底的に活用して、ボトルネックとなる工程をフル稼働させます。

    制約条件以外を制約条件に従属させる

    次にボトルネックに合わせて全体工程を再設計します。

    ボトルネックをいきなり解消するのではなく、ボトルネックに合わせて他の工程を改善することで処理能力を向上させます。

    例えば、大企業では稟議書の決裁に非常に時間がかかる場合があります。

    そこで予め稟議書の決裁の時間を見込んで他の工程を調整しておけば、納期までに決裁を完了することができます。

    制約条件の能力を向上させる

    ボトルネックに合わせて全体工程を調整できたら、ここで初めてボトルネックの処理能力を向上させます。

    すると、全体工程の処理能力が向上され、よりスムーズに処理ができるようになります。

    惰性に注意しながら繰り返す

    ボトルネックだけではなく、全体工程が改善された後も気を抜いてはいけません。

    全体のバランスが少しでも崩れると、全体の処理能力が低下してしまうため、惰性に注意しながらTOCのステップを繰り返すようにしましょう。

    ボトルネックの解消に役立つツール

    ボトルネックの解消に役立つツールについて確認してみましょう。

    ODSCを決める

    TOC(制約理論)でも提唱されている方法として、「ODSC」を決める方法があります。

    ODSCとは、Objective(目的)、Deliverable(成果物)、Success Criteria(成功基準)のことです。

    ODSCを決めることは直接ボトルネックを解消する取り組みではありませんが、全体最適の視点で処理能力を向上させるために重要な考え方です。

    取り組みの目的を考えずに、部分最適で業務工程の改善を行ってもボトルネックの解消にはなりません。

    いきなり工程改善に取り組むのではなく、目的を考えてみるとボトルネックを解消するのではなく、他の工程を改善するほうが優先である場合もあります。

    また、目的によって得られる成果物も変わってきます。

    このように本当にボトルネック解消が最善の判断なのかを検討するためにも、ODSCを決めることは、TOCの基本的なプロジェクト管理方法にもなります。

    スキルマップで従業員のスキルを可視化する

    従業員が持つスキルレベルは最大のボトルネックになり得ます。

    例えば、あるIT企業でAIの開発を行うことになった場合、そもそもAIに詳しいエンジニアが社内にいるかどうかが分からなければ、開発に着手できません。

    また、仮に開発できるエンジニアがいたとしても、スキルレベルによっては、もっと詳しい人材を採用する必要があるかもしれません。

    こうした社内の状況を見える化するためには、スキルマップの作成が有効です。

    スキルマップを作成すれば、作業が遅れている原因がスキル不足によるものであることを明確化できるようになります。

    ▼「スキルマップ」についてさらに詳しく
    スキルマップとは?そのメリットと導入方法・注目される背景を紹介

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    工程表を作成する

    ボトルネック解消に特に有効なのが、Excelなどで全体の工程表を作成することです。

    全体工程を可視化すれば、どこがボトルネックになるのかを明確にすることができます。

    また、予めボトルネックになる箇所を想定しておけば、全体工程をボトルネックに合わせて調整できます。

    ボトルネックを解消するための全体最適

    ボトルネックを解消するためには、TOCで提唱されているように「全体最適」の視点を持つことが大切です。

    企業やプロジェクトの規模が大きくなるほど、各部門や各業務で部分最適を行ってしまう場合があります。

    部分最適によって、自部門の処理速度が改善されたとしても、他部門の処理速度が遅ければ全体の処理速度は向上しません。

    また、全体最適の視点を持たずに自部門だけを改善し続けた場合、全体的に処理能力が向上するわけではないため、逆に非効率な取り組みになってしまいます。

    このように、本当にボトルネックを解消したいのなら、全体最適の視点を持つことが不可欠です。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、ボトルネック解消に必要な、全従業員の業務の可視化や「スキルマップ」の作成をクラウドシステム上で簡単シンプルに実施することができます。

    従業員の研修データや、スキルマップ、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法をカンタンかつシンプルに管理運用することができます。

    さらに煩雑になりがちな、従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで効率化することができるため、人事業務のボトルネックを解消することもできます。

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    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

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    HR大学編集部
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