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人材ポートフォリオとは?作り方とメリットについて解説します

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人材ポートフォリオとは?作り方とメリットについて解説します

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    昨今、人事マネジメントの場面で「人材ポートフォリオ」について聞くことが増えた方も多いのではないでしょうか?

    人材ポートフォリオとは、近年注目されている人事マネジメント手法です。企業が成果を挙げるためにどのような人材が必要か、適材適所を検討するために有効な手法として知られています。人材ポートフォリオを作成することで人材を適材適所に配置することが可能になり、事業の成果を上げることにもつながります。今回は、人材ポートフォリオを取り入れようと考えているが「作り方がわからない」「活用方法がイメージできない」と悩んでいる方に向けて、人材ポートフォリオとはなにか、からご紹介します。また、作り方やメリット、注意点についてもあわせて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

    人材ポートフォリオとは

    近年注目を集めている人材ポートフォリオとは、企業に必要な人材がどう構成されているかを分析したツールです。適材適所を徹底するための考え方にもなり、組織の人的資源を視覚化し、戦略の効率性や生産性を高める効果があります。

    経営目標や事業内容に照らし合わせて成果を上げるためには、以下を押さえておきましょう。

    • どこに(部門・役職・ポジション)
    • どのような人材が(職種・スキル・能力・適性)
    • どの程度(人数・在籍年数)

    人材の在籍そのものが効果的かどうか考えたもののことを、人材ポートフォリオといいます。

    ポートフォリオにはもともと、「携帯用の書類入れ」や「紙ばさみ」という意味があります。

    金融・投資の世界では、書類入れに証券を保管し携帯するようになり、有価証券一覧と言われるようになりました。また、就職活動では、個人の実績・力量がわかるものを指します。特にデザイナーやクリエイターを目指す方は、これまでの作品をポートフォリオとして提出するように求められる機会が多くあります。教育の分野では、生徒たちの課題やレポートを保管するパーソナルポートフォリオとさまざまな意味で使用されています。近年では、人事用語として、企業の人的資材を表す言葉として用いられるようになりました。

    人材ポートフォリオを考えることによって、人材について現状・課題を分析し、目標・理想を設計できます。採用計画だけではなく、人材育成や配置・評価など将来を見据えた人事マネジメントにおいて必須の考え方であるといえます。

    必要とされる背景

    人材ポートフォリオが注目される背景には、近年よく耳にする「働き方改革」があります。

    従来は、残業や転勤など企業の忠誠心を重視するような働き方が主流でした。しかし、現在は労働人口の低下やダイバーシティの浸透などによる影響もあり、過去の働き方に対する考え方では通用しなくなりました。

    また、VUCAという言葉も注目されています。VUCAとは、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の頭文字を取り、「予測不能な時代」を示す造語です。IT技術の進歩や新型コロナウイルスの感染拡大により、企業の取り巻く環境は大きく変化し続けています。新型コロナウイルスを例に挙げると、在宅ワークの推進など働き方の変化が進んでいます。そのため、環境の変化に対応する人材育成・組織づくりを各企業が考えなければならないフェーズになっています。今までの働き方だけではなく、お互いの多様性を認め合える柔軟な思考を持つ人材を雇用し、自立して考え行動できる人材の育成が求められているといえるでしょう。

    各企業は人件費を効率化し、成果を上げるために組織に所属する人材の調査や分析をする必要があります。そうしてひとりひとりに適した働き方や待遇を検討し、組み合わせることで適材適所を実現します。そのためのマネジメントツールとして人材ポートフォリオが重要視されはじめました。

    人事において重要な要件定義とは?

    総務省は、2015年と2030年を比較すると就業者数が225万人減少すると予測しています。人材獲得競争が激化する近年において企業がよりよい成果を出すためには、人材要件定義が重要です。

    人材要件とは、企業が求める要素や募集しているポジションを言語化したものです。また、企業理念・戦略を踏まえ、求めるスキルや経験を明確にした諸条件ともいえます。人材要件を作るためには、誰もが想像できるレベルに言語化することが必要です。また人材要件を具体的にすることで、評価のブレを防ぐことにもつながります。
    人材要件を作成する前には、以下の項目を事前に洗い出しておきましょう。

    • 職務経験
    • 持っているスキル・能力
    • 性格
    • 成長意欲や志向
    • 期待する行動

    上記の項目についてMUST(必須)・WANT(持っていてほしい)・BETTER(持っているとよりよい)の3つのポイントで洗い出しておくことで、より具体的な人材要件が作成できます。

    必要な項目を洗い出したあとは、競合企業を調べ、優位性を把握しましょう。事前に自社の強み・弱みを明確にすることで、強みを活かし弱みを克服するためにはどのような人的資源を配置すればよいか考えやすくなります。

    作成前に押さえておくべきポイント

    作成には当然手間と時間がかかります。ここからは作成前にどのような準備をする必要があるか解説していきます。

    人材タイプについて把握しておく

    はじめに、人材を分類するための方法について考えます。「どのような分類ならすぐに行えるか」を検討するのではなく、有効に活用できるよう分類しましょう。

    業務の性質で分類する

    一般的な方法は、「個人・組織」と「創造・運用」の2軸・4象限に分類するやり方です。主に4つのパターンに分類でき、ここにどのような従業員を当てはめるかは事業によって異なります。

    <各人材タイプの定義例>

    • マネジメント人材(組織×創造):経営に関わる幹部候補になる人材
    • クリエイティブ人材(個人×創造):想像的な取り組みにより、業績の向上に貢献する人材
    • オペレーション人材(組織×運用):確立された仕組み(ルーティン)に沿って業務を遂行する人材
    • エキスパート人材(個人×運用):特定分野において熟練した専門性を有する人材

    雇用形態で分類する

    企業によってさまざまな雇用形態があることでしょう。各雇用形態にどの程度従業員が在籍することが最適かを考えなければなりません。

    各企業により分類方法や雇用形態・職種の目的は異なります。総合職は、全国各地での勤務を想定したキャリアアップが可能な人材、地域やエリアに特化した勤務形態を選択する人材に分かれています。アルバイトも常時雇用やイベントなど短期・季節性のある業務をする臨時雇用など、さまざまです。自社において強化する点を検討し分類してください。

    理想とする人材配置を明確にする

    人材タイプを分類し終わったら理想の配置人数と比較しましょう。ここで、人材配置の課題が可視化されます。以下に例を挙げてみましょう。

    • 現在はマネジメント人材の人数が過剰傾向にあるが、次代を担う人が少ないため今後不足すると予想される
    • オペレーション人材よりマネジメント人材が少ない

    これらの課題を解決するためには、従業員の過不足や、将来の人事を可視化することが大切です。これらを可視化することで、取り組むべき課題が明確になります。理想とギャップの差を埋められるよう理想の人材ポートフォリオを作成しておくといいでしょう。

    実際に作成する方法

    企業の目標を達成するためには、どのような方法で人材ポートフォリオを作成すればいいのでしょうか?企業の成果を上げるものを作成するには、以下で紹介する5つのポイントを押さえましょう。

    人材ポートフォリオの作成次第で人事マネジメントのあり方・方向性が大きく左右されます。上層部や管理職で話し合いを重ねながら、すべての従業員を分類するため時間や手間がかかります。運用開始する時期から逆算して早めに着手することが重要です。

    目的の明確化

    ここでいう「目的」とは、経営目標を達成し成果をあげるうえで必要な人的資源を、客観的に可視化したものを指すものです。従業員を適材適所に配置するためには、企業の経営戦略を踏まえて「軸」や「必要人数」を把握して検討することが求められます。経営戦略を反映することで、経営目標の達成に向けた一貫性が生まれます。軸を設定する際は、自社の強み・弱みを分析し、どのように組織を運営していくか検討してからにしましょう。経営戦略を無視すると企業の方向性が明確ではなくなります。経営戦略・目標を整理し、反映するようにしましょう。

    人材のタイプを分析

    まず、事業内容や経営計画に必要な人材を決定します。

    一般的には「業務の性質で分類する」の欄で述べましたが、「個人・組織」の軸と「創造・運用」の2軸・4象限で分類することが一般的です。企業内容・掲げている目標に合わせて軸を組み合わせることで汎用性が高くなります。

    ただちに用意できる人材タイプのほかに、今後必要となる人材タイプとはなにかを考え、当てはめることが重要です。こうして2軸で分けた4つの領域に属する人材が、基準となるでしょう。ここでは、作成者の主観が入らないよう各人材タイプに優劣を付けず、客観的に公平に見ることがポイントです。経営目標を達成するうえで、必要な人材を可視化することにつながります。作成者の感情が反映されてしまうと、企業目標に向かったものになるとはいえません。組織のバランスが崩れることは、従業員の不満にもつながり、離職率を高める結果を生み出す可能性があります。または、離職まではいかずとも、モチベーションが低下して成果が上がらなくなる場合があります。人材タイプを分析する方は、公平な目線で分類するように気をつけましょう。

    従業員を「人材のタイプ」に当てはめる

    全従業員を対象として、企業で定めた4つの領域に当てはめましょう。組織に属する従業員全員が経営目標達成に向けて勤務します。雇用形態を限定してしまうと従業員の活用が不十分となります。ここでは、評価者の主観が入らないよう客観的で信頼できるデータに基づいて分類することが大切です。適性検査の結果や従業員のスキルや知識・経験をデータ化したものなど、納得できるようなデータを用意しておくといいでしょう。

    人材に偏りがないかチェック

    各領域にどのような従業員を配置するか検討します。そのためには、各領域を数値化・可視化し、人材の過不足を見極めます。オペレーションを担う従業員に対して幹部候補となる人材が多い、総合職に対して専門職が少ないなどが明確になります。人材の過不足が明確になり、企業の現状が可視化されることで適切な人材配置や過不足の把握につなげられるでしょう。ここでは現在だけではなく、将来的な課題や成長目標も視野に入れると今後、どのような人材を採用・成長を促すかなど求める人材領域と人数を見極めることに役立ちます。

    人材の不足・余剰への対策を立案・実施

    人材が不足するなど所属している人材の偏りが明確になったら、現状と理想のギャップを埋めるために必要な手段を考えましょう。必要に応じて採用や育成・配置転換などを実施します。ここでは、従業員の特性が活かされない配置がされていないかを重視し、ミスマッチを減らします。安易に人材削減するのではなく、社員の適正や意欲を活かせる方法を目指しましょう。

    作成のメリット

    人材ポートフォリオを作成することは、企業のメリットだけではありません。従業員のキャリアアップにもつながり、有用な人材を育成することにもつながります。ここからは、企業における主なメリットについても詳しく解説します。

    人材配置を最適化できる

    従業員の特性に適した部署・プロジェクトに人材配置が可能です。従業員の強み・弱み・志向や、思い描くキャリアを可視化することにより、特性・目標に最適な従業員を配置できます。これにより、効率的に目標達成に向けて企業運営ができるようになり、業務の効率化や生産性の向上につながります。その一方で、将来を見据えた人材育成にもつながるでしょう。

    また、従業員は個々の特性を活かした業務が行えるため、モチベーションの向上や、離職率の低下が期待できます。

    従業員のキャリアアップにつながる

    従業員の強み・弱みや志向、思い描くキャリアを把握することは、社員のキャリアプランの共有・実現にも役立つでしょう。近年では働き方やキャリアプランが多様化しています。育児や介護のためエリア・地域限定での雇用、ワークライフバランスを整えるために短期雇用を選ぶ方も少なくありません。適正・キャリアプランを把握することで、個人の志向に配慮した人材配置や、働き方・業務を提案しやすくなるでしょう。

    また、専門職としてスキルを磨きたいなど個々が描いているキャリアや挑戦したい業務があるため、企業側だけの意向で分類すると現状が正確に反映されません。従業員の意向が尊重されないことで、モチベーションが低下し、企業に対する信頼感がなくなることも考えられます。全従業員への対応は困難かもしれませんが目標管理面接などを定期的に実施し、従業員の意向を把握し、最適な人材配置をすることで生産性が向上するといいでしょう。

    人材に関するマネジメントができる

    配置する従業員や課題を企業側が把握することで、人材過剰や人材不足を適切にマネジメントできます。例を挙げると、人材の過不足を考慮した人事採用や育成計画の立案につなげられます。また、人的資源を効果的に活用できるよう常時雇用や季節性などの短期雇用のバランスを保ち、雇用形態の役割を明確にすることが必要です。

    ちなみに人材というものは、クリエイティブ・マネジメント・エキスパート・オペレーションの4つに領域を分けて考えることがあります。

    人材ポートフォリオを設計することによって、自社の人材が4つの領域のどの程度にいるかを把握できます。それぞれの領域に当てはまる人材のバランスを考え、人材が不足している領域を異なる領域の強化で補いましょう。不足している領域の人材を補充する方法として計画的に人材獲得や、過剰となっている領域に人事異動するか要因管理することが可能になります。

    人材ポートフォリオに関する誤った知識

    間違った知識で作成してしまうと成果が得られず、無駄なコストがかかってしまうことに繋がります。作成する際に注意すべき点について解説していきます。

    • 従業員の経歴やスキル・性格やプライベートをある程度把握しているため大げさな分析は不要
    • 設計・運用するには、膨大なデータの活用や専門のコンサルタントに委託が必要
    • リソースに余裕のある大手企業が作成する

    このように考えている方もいるのではないでしょうか?しかし、実際はこの逆です。大企業と比較し、中小企業では資源も従業員も不足しています。資源を有効に活用するためには、投資先を見極め、コスト削減することが重要です。

    例を挙げると、即戦力となる有用な人材を雇用するとしましょう。給与や福利厚生が充実している大企業と比較すると中小企業は不利になります。また、有用な人材を多数雇用すると人件費が高くなり経営を圧迫してしまいます。つまり、中小企業こそ従業員の人材タイプを把握し、適材適所を徹底することで従業員が活躍できるよう適切な人事マネジメントをする必要があります。少ない資源で多大な成果を得られるよう企業が必要とする人材について十分に検討しましょう。

    まとめ

    今回は、難しく思われがちな人材ポートフォリオについて、作り方やメリットについて解説しました。

    近年ではVUCAの次代と言われ、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。働き方改革や新型コロナウイルスにより在宅ワークの推進などだけではなく、働き方だけではなく働く場所も大きく変化しています。競合企業との差別化を図り、弱みを克服し、強みを活かすことで企業の成長が見込めます。企業戦略について考え、目標達成に向けて企業運営していくために人材ポートフォリオの作成は重要です。スキルやキャリアのある人材を雇用することが成果につながるとは言えません。従業員の特性や志向・キャリアプランを把握し、適材適所に配置することが少ない資源で成果をあげることにつながります。

    人材ポートフォリオを作成するメリットは企業側だけではなく、従業員のキャリアアップにも役立ちます。効果的な経営戦略や採用計画・キャリアプランの組み立てに役立ててみてはどうでしょうか。

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    HR大学 編集部

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