人材管理
2021/04/15
人事がやるべきキーポジションの後継者育成計画・サクセッションプランとは?
目次
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
人事がやるべき事は何があるのか、タレントマネジメントとの違いは何か?次世代に事業承継し、組織の存続と成長のために多くの企業が危機感を募らせています。しかし重要性を感じつつも思うように進められない企業も多いのです。解説します。
キーポジションの後継者育成計画の重要性
後継者育成計画とは、社長や経営幹部と言ったキーポジション人材を、次世代の後継者としてどのように育成/計画を立てるか一連の施策を指します。
実は今、中長期的な事業継承を考える多くの企業が、後継者育成計画を課題に感じているようです。なぜ今、後継者育成計画が注目を集めているのか、その背景や重要性を解説します。
なぜ後継者育成計画が重要なのか
従来の日本では、同族経営と言う言葉があるように、組織の事業承継を親族や近しい身内間で行われるのが一般的でした。
しかし近年、日本では少子高齢化・労働人口の減少・柔軟な働き方が普及したのを皮切りに、経営状況はより厳しい状況になりつつあります。
組織がこの厳しい荒波の中、10年・20年と生き残って成長し続けるためには、より優秀な人材を後継者として育成し、事業を継承しなければならないのです。もし後継者に相応しくない人材が後継者として事業承継すれば、誤った判断をしてしまい、顧客の信頼度・業績を大きく落とすことになるでしょう。
後継者育成計画の別名は「サクセッションプラン(Succession-plan)」であり、同じ意味をもっています。サクセッションプランの意味や事例について、さらに詳しく知りたい方は「サクセッションプランとは?事例・導入方法から便利ツールまで解説」をご確認ください。
後継者不足による問題は深刻化している
大企業から中小・零細企業まで多くの企業が、後継者問題を感じています。
帝国データバンクの事業承継に関する企業の意識調査(2020年)によると、企業の67%が「事業承継を経営上の問題として認識している」と答えました。
しかし約40%の企業が事業承継の計画があるが、その内の半分の企業が進められていないと分かりました。
さらに「事業承継の計画はない」と答えた企業は34.8%と言う結果であり、後継者不足への対策が十分に行われていない事が分かります。
中小企業庁の中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題のレポートによると、後継者問題が解決しなければ2025年頃までに最大約22兆円分のGDP(国内総生産)と650万人の雇用が無くなる言われています。後継者問題に取り組まなければ、組織を始め日本経済に大きなダメージを受けることになるでしょう。
タレントマネジメントとの違い
タレントマネジメントとは従業員のスキル・経験など、人事戦略として人材配置・異動・育成に活用して組織成長や業務効率化を目指す人事マネジメントです。
そのためキーポジションの後継者育成計画は、将来の社長・経営幹部と言った優秀な人材を育成・定着する点で、タレントマネジメントと同じ意味をもっています。タレントマネジメントの意味・効果・事例について、さらに詳しく知りたい方は「【完全版】タレントマネジメントとは?基本から実践的な方法まで解説」をご確認ください。
キーポジションの後継者育成計画を立てるには
将来の社長や経営陣交代を見据えて、後継者をどのように育成し計画を立てれば良いのか、ポイントを解説します。
ミッションやビジョンを明確化する
キーポジションの後継者に、まず一番先に承継すべきなのは組織の基盤であるミッションやビジョンです。今まで築き上げてきた、経営理念・戦略・組織文化を明確にできれば、どのような人材が後継者として相応しいか、選定の基準や育成方法の判断軸ができます。
経営課題を洗い出す
自社が持っている、もしくは将来起こりえると予想される経営課題を洗い出します。経営課題をもとに、キーポジションの後継者候補にどのようなスキル・経験を求めるのかが分かるのです。
またキーポジションと言っても、求めるポジションは社長・副社長・幹部候補と企業によって異なります。
例えば社長であれば、強いリーダーシップや先見性。営業本部長であれば営業力やマネジメントが求められるでしょう。どのポジションに、何の役割・成果を求めるのか、組織の成長に必要な課題を洗い出します。
人材要件を設定する
後継者に相応しい条件とは何か、能力・スキル・マインドセット・コンピテンシーと言った人材要件を定義します。
定義した人材要件をもとに、人材の選定・育成計画の詳細が決定するため、人材要件は人物像がイメージできるほど具体的に設定すると良いでしょう。
必要な育成と評価を実施する
定義した人材要件をもとに、後継者候補を選出し育成・評価を実施します。育成方法として自社の社長や経営幹部が直接教育を施す場合や、外部研修として経営学の受講・アクションラーニングを行う企業も多いです。キーポジションを始め、優秀な人材の目標・評価管理や育成方法として「OKR」がオススメです。計画的な育成・定着に効果があるOKRについて、すぐに実践したいけど何をすれば良いか分からない方・詳しく学びたい方のために「OKR入門書」をご用意しました。ぜひご活用ください。
キーポジションの後継者育成計画に役立つツールや手法
後継者育成計画を立てても、スムーズに実行できるとは限りません。帝国データバンクの発表のように、計画を立ててもその内の半分の企業が進められていないのです。せっかく立てた後継者育成計画でも、実行できなければ水の泡になるでしょう。
後継者育成計画の実行はもちろん、普段の人材管理や採用活動にも役立つ方法を解説します。
タレントプール
タレントプールとは優秀な人材を、データベース化し中長期的に管理する意味を指します。「とても優秀な人材だったが、条件が合わなかったので見送った」という場面も、採用活動では珍しくありません。しかし一度見送った応募者であっても、将来的にタイミングが合えば自社で活躍してくれるかも知れません。
優秀人材とコンタクトを取って繋がりを保っていれば、将来の後継者育成計画を立てる際に、ピッタリの条件であれば声掛けができるのです。
タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムとは、従業員のスキルなど一元的に管理できるシステムです。特にキーポジションを担う後継者候補には、今までどのように業務にあたってきたのか、スキル・実績が重視されます。
そのためシステムを活用し、従業員のデータを見える化すれば、客観的な根拠・データ分析に基づいて後継者候補の選定と育成計画が立てやすくなるのです。例えば、クラウド人材管理システムHRBrainは、操作性も簡単でIT操作に不慣れな方も簡単にデータ登録ができるため、従業員の管理を始め、後継者の選定に役立ちます。HRBrainの人材管理システムで一体何ができるのか、実績を知りたい方に向けて「HRBrain導入事例集」をまとめました。ぜひご活用ください。
キーポジションの後継者育成計画の成功事例
後継者育成計画に取り組んだ企業事例を3つ解説します。
事例1:オムロン株式会社
日本の大手電機メーカーのオムロン株式会社。オムロンはコーポレートガバナンスにおいて、社長指名諮問委員会を設置しました。
“取締役会の監督機能を強化するため、人事諮問委員会、社長指名諮問委員会、報酬諮問委員会、コーポレート・ガバナンス委員会を設置しています。人事諮問委員会、社長指名諮問委員会、報酬諮問委員会の委員長はいずれも独立社外取締役とし、委員の過半数を独立社外取締役としています。”(引用元:オムロン:コーポレートガバナンス)
この委員会は社長選びの透明性と客観性を目的としており、社外の人材で形成されている点が特徴です。
事例2:ゼネラル・エレクトリック
アメリカのコングロマリット企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)
後継者育成計画のために「9ボックス」と呼ばれる評価を定義づけました。
縦軸はパフォーマンス、横軸にポテンシャルの指標を各3段階に置くことで、3×3=9のブロックからなるものです。
GrowthValueの定義として「外部志向」「明確な思考」「想像力と勇気」「包容力」「専門性」の5つ定めて、ポテンシャルの定義を活用しました。
事例3:良品計画株式会社
「無印良品」を展開する株式会社良品計画。ゼネラル・エレクトリックの9ボックスを参考に、自社オリジナルの「5ボックス」を作りました。
横軸は潜在能力、縦軸にパフォーマンスを指標とし、後継者として一番相応しいグループからコア・パフォーマー(合格範囲)を選びます。
プロフィールシートを作成し、従業員の社歴・業績・行動・海外経験の有無を管理する事で、人材育成のために活用しました。
キーポジションの後継者育成計画は企業存続のカギ
キーポジションの後継者育成計画の必要性や、次世代のために人事がやるべき事を解説しました。
事業承継に悩む企業は多いのですが、候補者の選定や育成方法に課題を感じ、思うように後継者育成計画を進められない企業は多いものです。
しかし組織の中長期的な存続のためにも、優秀人材を早期に確保し育成・計画を立てる事がなにより重要です。
後継者育成計画を立てる際、自社内に候補となる人材がいるのか、またどのように育成すれば良いのか判断軸を作るためにも、普段から従業員のスキルやデータを管理すると良いでしょう。
HRBrainは後継者育成計画を立てる際のキーポジションの選定や育成・目標に必要な人材データを一元的に管理し、確かな成長につなげる人事評価クラウドです。
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人材管理
HR大学 編集部
HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。
