#人材管理
2023/10/20

従業員サーベイとは?メリット・デメリットと実施時の注意点を解説

目次

    従業員サーベイとは、従業員や組織のニーズとコンディションを調べて、人事制度や就業規則の改定をはじめ、さまざまな人事施策や人事戦略に活かすための調査です。

    この記事では、従業員満足度調査との違いや、従業員サーベイのメリットとデメリット、注意点について解説します。

    組織改善につながる組織診断サーベイ

    サーベイの「3つの壁」を突破する方法

    従業員サーベイとは

    従業員サーベイとは、人事制度や就業規則を改定する際に、人事が仮説として立てた課題を検証するために、必要な事実情報を集める際に実施する調査を指します。

    なお、HR大学では、他のサーベイと区別するために、このような定義を用いますが、一般的には、従業員サーベイは「従業員に関する包括的な調査」という意味合いで、人事部が主体となって行う調査の総称として使われることもあります。

    従業員サーベイと従業員満足度調査との違い

    従業員サーベイと従業員満足度調査は、全く異なるものではありません。

    組織サーベイで行う調査目的や項目の1つに、従業員満足度調査が含まれている、と考えるのが分かりやすいでしょう。

    従業員満足度調査は、従業員の「満足度」をテーマにして調査を実施します。

    一方、従業員サーベイは、調査の範囲や幅が広くなります。

    例えば、従業員サーベイは、「導入した人事制度の効果を定量的に測り、かつ改善に向けた意見を得る」という目的で実施することができます。

    ▼「従業員満足度(ES)調査」についてさらに詳しく
    【人事基礎】従業員満足度(ES)調査とは?サーベイの種類、生産性向上の要素

    従業員サーベイで明らかになる課題

    従業員サーベイを実施することで、今まで見えなかった課題が見えてきます。

    例えば、従業員が欲しい福利厚生サービスと会社が用意している福利厚生サービスが一致していない、一般職と管理職では人事評価制度への理解度に差がある、といったことが挙げられます。

    人事にとって良かれと思った施策が受け入れられていなかったり、階層や職種別に発生する不満など、様々な切り口で課題が浮き彫りになります。

    従業員サーベイが重視される理由

    従業員サーベイが重視される理由は大きく2つあります。

    従業員サーベイが重視される理由

    • IT化によって調査がしやすくなった

    • 調査結果が数値化され「重点課題」を明確にしやすい

    IT化によって調査がしやすくなった

    従来から人事部では、従業員の声を施策に取り入れようという意思は持っていても、調査そのものの負担が大きく、簡単に実施できませんでした。

    ですが、IT化が進み、人事もサーベイに取り組みやすくなり、従業員サーベイが重視されるようになりました。

    調査結果が数値化され「重点課題」を明確にしやすい

    従業員サーベイは、大勢の従業員に対して一度に調査を実施するため、結果が数値化でき、かつ、信頼性も高くなります。

    そのため、従業員サーベイで得られた結果であれば、重点課題を見つけやすく、また、経営陣からの理解も得やすくなるため、従業員サーベイが重視されるようになりました。

    サーベイの種類と比較

    サーベイの種類と比較について確認してみましょう。

    サーベイ実施時には、「誰が」「何の目的で」「何を知りたいか」を明確にすることが1番大切です。

    それを踏まえたうえで、以下のサーベイをHR大学では定義しています。

    ▼「サーベイ」についてさらに詳しく
    組織サーベイとは?目的や従業員満足度調査・社内アンケートとの違いを解説

    モラールサーベイ

    モラールサーベイは、経営目標達成に必要な従業員のパフォーマンス向上のために、どのような要素が影響しているのかの、事実情報を集めるために使用します。

    ▼「モラールサーベイ」についてさらに詳しく
    【基礎編】モラールサーベイとは?メリット、活用方法を解説

    組織サーベイ

    組織サーベイは、経営目標達成のため、各組織のチームマネジメントが機能しているか、事実情報を集めるために使用します。

    ▼「組織サーベイ」についてさらに詳しく
    組織サーベイとは?目的や従業員満足度調査・社内アンケートとの違いを解説

    パルスサーベイ

    パルスサーベイは、従業員に対して、簡易的な質問を短期間に繰り返し実施する「意識調査方法」の1つです。

    ▼「パルスサーベイ」についてさらに詳しく
    パルスサーベイとは?意味や目的と質問項目を解説
    HRBrain パルスサーベイ wellday 

    エンゲージメントサーベイ

    エンゲージメントサーベイは、会社と従業員との関係性を調べ、働き甲斐のある会社作りに役立てるために使用します。

    ▼「エンゲージメントサーベイ」についてさらに詳しく
    エンゲージメントサーベイとは?質問項目や実施する目的と必要性

    従業員サーベイの目的

    従業員サーベイの主な目的について確認してみましょう。

    従業員サーベイの目的

    • 従業員のリアルな声を聞く

    • あいまいな情報を具体化し数値化する

    • 人事戦略に活用する

    従業員のリアルな声を聞く

    人事が従業員のために、さまざまな施策を考えても、それが本当に従業員のニーズに合っていなければ意味がありません。

    従業員サーベイによって、従業員のリアルな声を聴くことは、適切な人事施策を考えていくうえで、重要です。

    あいまいな情報を具体化し数値化する

    人事は経理や会計のような業務と違い、数字で表現しにくい仕事が多く、情報があいまいになりがちです。

    そのため、課題が具体化しにくい、客観的な判断がしにくい、といった問題が生じやすいです。

    このような人事業務の特性から、従業員サーベイで、人事に関する課題を具体化し数値化することは、サーベイ実施の重要な目的になります。

    人事戦略に活用する

    従業員サーベイの結果を通して、課題が明確化されたところで、そのままにしてしまっては意味がありません。

    従業員サーベイは、実施そのものに意味があるのではなく、人事戦略に活かすことができて、最終目的が達成できるのです。

    ▼サーベイの「やりっぱなしを防ぐ方法」について
    サーベイにおける3つの壁を突破する方法

    従業員サーベイのメリット

    従業員サーベイのメリットは、従業員のニーズを数値で捉えることができる点です。

    近年、人材の流動化が進んでおり、従業員のニーズを的確に捉えることは「人材流出の防止策」として重要です。

    また、ビジネス環境の変化が大きい中、組織のあり方も変化しています。

    従業員サーベイは、「あるべき組織の姿」を見出すための重要なツールとなり得ます。

    従業員サーベイのデメリット

    従業員サーベイのデメリットは、サーベイの実施の仕方や活用方法が不適切な場合、従業員の不信や不満につながってしまうことです。

    例えば、結果を完全非公開にする、社内の改善に繋げた様子が分からない、といった場合、従業員は誠実に回答する気持ちや、回答するための時間を使う気持ちを失ってしまい、結果的に信頼性の低い調査となってしまいます。

    主催者である人事部門は、従業員に対して、謙虚かつ誠実な姿勢でサーベイに取り組むようにしましょう。

    従業員サーベイ実施のポイント

    従業員サーベイを実施する際におさえておきたい、注意点とポイントについて確認してみましょう。

    従業員サーベイ実施のポイント

    • 経営メンバーの合意を得る

    • 従業員の理解を得る

    • 社内の各種サーベイの乱立を防ぐ

    経営メンバーの合意を得る

    従業員サーベイは、従業員に行うアンケートなので「経営メンバーの合意なんて大げさ」と思うかもしれません。

    しかし、従業員サーベイは実施すること自体が目的ではありません。

    正しい経営戦略や人事戦略を検討し、実施する上で必要な情報を得ることが目的です。

    経営メンバーの合意なしで実施するサーベイは、その後の戦略に活かしづらくなってしまいます。

    サーベイ実施前に必ず、経営メンバーの理解と合意を得ておきましょう。

    ▼「経営戦略」と「戦略人事」についてさらに詳しく
    戦略人事とは?人事戦略との違いや経営戦略を実現するための役割について解説

    従業員の理解を得る

    従業員サーベイは、日頃はなかなか発言がしづらい「会社の問題」や「不満」を伝える機会になりますが、その回答によって、自分の人事評価や今後のキャリアに影響が出てしまうのではないか、と心配する従業員も多いはずです。

    従業員が「率直な回答ができない」ような従業員サーベイは最も避けるべきです。

    そのためには、従業員に対して、実施目的を丁寧に説明した上で、従業員の抱く不安を払拭しておく必要があります。

    正しい理解を得た状態で調査を進めましょう。

    社内の各種サーベイの乱立を防ぐ

    近年、インターネットを使ったサーベイツールが増え、簡単にアンケート調査が実施できるようになりました。

    そこで新たに出てきた問題が、社内のアンケートの乱立です。

    アンケートの多さが原因で、従業員から「業務に支障が出る」などの不満が起きないような配慮が必要です。

    大企業になるほど、このような問題が起こりやすい傾向にあります。

    事前に他部署と連携して、従業員サーベイ実施のタイミングを見計らったり、内容によっては他部署と協力してアンケートを行うなどして、従業員の負担増を避ける工夫をしましょう。

    ▼「社内アンケート」についてさらに詳しく
    社内アンケートとは?本音を引き出すコツを解説

    従業員サーベイの実施は「誰が」「何の目的で」「何を知りたいか」を大切に

    ITの進化により、従業員サーベイが近年、注目されるようになりました。良い調査にするためには、常に調査目的を明確にしておきましょう。

    また、従業員サーベイの結果は人事データと併せて分析することで、より確かな「経営戦略」や「人事戦略」の作成に役立ちます。

    従業員データを取得し、より良い人材配置や人材育成、エンゲージメントの向上を可能にするために、「組織診断サーベイ」の導入を検討してみるのも良いかもしれません。

    「HRBrain 組織診断サーベイ」の特徴

    • 人的資本の情報開示にも対応したデータの収集から活用

    エンゲージメント状態の定量化を実現し、人的資本の情報開示に必要な人材データの収集が可能

    • 課題の優先順位付けから具体的な改善アクションへの接続まで

    部署、年齢、役職、性別、評価データなど豊富な分析軸を活用し組織ごとの根本課題を特定できます

    • 高いカスタマイズ性で自社にあった運用を実現

    設問内容、配信対象やスケジュールなど、柔軟なカスタマイズが可能

    従業員体験を向上させる「EX Intelligence」

    「EX Intelligence」は、人事、経営、現場の全てで活用が可能な、改善につながる「組織診断サーベイ」です。

    従業員エクスペリエンス(EX)、エンゲージメントを可視化し、課題の優先順位づけから改善アクションの提案を行います。

    導入企業のうち、上場企業の導入比率は56.7%(※)

    ※2022年11月時点。東京証券取引所への上場であり、市場区分を問わない

    「EX Intelligence」の特徴

    • 設問内容や配信対象、配信スケジュールなど、高いカスタマイズ性

    • 従業員が感じる「期待」と「実感」のギャップを計測。組織課題を定量的に把握し、優先順位づけが可能

    • 「人的資本の情報開示」に必要な人材データの収集やエンゲージメント状態の定量化を実現(事例)凸版印刷 サステナビリティレポート2022へ掲載

    • HRのスペシャリストによる伴走型のサポート体制

    戦略的人事を実現する「HRBrain タレントマネジメント」

    組織サーベイを最大限に活用するためには、調査結果と従業員データをシームレスに突合させながら、実際の人事施策に落とし込んでいく必要があります。

    従業員データを一元管理するクラウドサービスには、例えば「タレントマネジメントシステム」があります。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、従業員データを可視化し、人材と組織のパフォーマンスを最大化させ、確かな成長につなげる人事クラウドシステムです。

    従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで効率化するサービスです。MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法を、カンタンかつシンプルに運用できます。

    ▼「タレントマネジメント」についてさらに詳しく
    【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説
    タレントマネジメントシステムの課題とは? 目的・導入の課題と成功事例まで

    ▼「タレントマネジメント」お役立ち資料まとめ
    【人事担当者必見】タレントマネジメントに関するお役立ち資料まとめ

    ▼「MBO」についてさらに詳しく
    MBOとは?目標管理におけるメリットやOKRとの違いを解説

    ▼「1on1」についてさらに詳しく
    1on1とは? 従来の面談との違いや効果を高めるコツ

    1on1ミーティング入門書

    株式会社HRBrain 吉田 達揮
    吉田 達揮
    • 株式会社HRBrain 執行役員

    • ビジネス統括本部 本部長

    • 人的資本TIMES編集長

    新卒で東証プライム 総合人材サービス企業に入社。2020年HRBrainに入社。
    人事制度コンサルティング部門の立ち上げから大手企業向けのクラウド営業に従事。
    また社内タレントマネジメントのユニットの立ち上げと運営を担当。
    以後、事業企画にてゼネラルマネージャーとして全社戦略の策定・推進を担当。
    その後、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を提供しているEX事業本部を管掌。
    2022年4月に執行役員へ就任。2023年4月よりビジネス統括本部の本部長として全体を統括。「人的資本TIMES」の編集長も兼務。

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