データドリブン人事(データドリブンHR)とは?活用事例や効果も
人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート
- データドリブン人事(データドリブンHR)とは
- データドリブン人事(データドリブンHR)が戦略人事で求められる背景
- データドリブン人事(データドリブンHR)のメリット
- 客観的な意思決定ができる
- 人事業務が効率化される
- 従業員の生産性が向上する
- 業務の属人化を防ぎやすくなる
- 適材適所な人材配置ができる
- データドリブン人事(データドリブンHR)の進めるうえでの課題
- デジタル人材が不足している
- 現場理解が不足するおそれがある
- ツールやシステムの導入ハードルがある
- データドリブン人事の活用例
- 早期離職防止と人材定着
- 組織強化
- 組織と人材のパフォーマンスの最大化
- 残業時間の削減
- 人事評価履歴を人材育成に活用する
- データドリブン人事(データドリブンHR)の導入方法
- 1.目的・課題を明確にする
- 2.人材データを収集する
- 3.人材データを可視化する
- 4.人材データを分析する
- 5.アクションプランの計画と実行をする
- データドリブン人事(データドリブンHR)を成功させるためのポイント
- スモールスタートではじめる
- 人事×現場×経営の連携を取る
- 定量データと定性情報を組み合わせる
- データドリブン人事(データドリブンHR)の学びに役立つ書籍
- DATA is BOSS 収益が上がり続けるデータドリブン経営入門
- データドリブン人事の学びに役立つ書籍「データ・ドリブン人事戦略」
- データドリブン人事の学びに役立つ書籍「ピープルアナリティクスの教科書」
- データドリブン人事(データドリブンHR)に役立つ資格
- データドリブン人事(データドリブンHR)の導入事例
- データドリブン人事の導入事例:株式会社リクルート「新入社員の配属に活用」
- データドリブン人事の導入事例:株式会社サイバーエージェント「人事評価の運用に活用」
- データドリブン人事の導入事例:株式会社クリーク・アンド・リバー「コミュニケーション活性化に活用」
- データドリブン人事(データドリブンHR)を活用して強い組織作りに役立てよう
データドリブン人事(データドリブンHR)とは、人事や人材に関する多様なデータを収集し総合的に分析することで、経営の意思決定の材料として役立てる考え方です。
人の経験や勘だけに頼らず、根拠を持って人事施策を検討できる点が特徴で、戦略人事を進める手段として注目されています。
本記事では、データドリブン人事の基本的な考え方から、導入方法や活用例、企業に与える効果までをわかりやすく解説します。
データドリブン人事(データドリブンHR)とは
データドリブン人事(データドリブンHR)とは、人事や人材に関する多様なデータを収集し総合的に分析することで、経営の意思決定に活かす人事の考え方です。
具体的には、採用時の評価結果や適性検査、従業員アンケート、人事評価などのデータを活用し、人材配置や育成方針を検討します。
そもそもデータドリブンとは、データにもとづいて判断やアクションを起こすことで、主にマーケティング領域で頻繁に使用されている言葉です。しかし近年では、人事領域でも同様の考え方が求められるようになりました。
人事業務においても、感覚的な判断ではなく、データを材料として施策を検討する流れが広がっています。
データドリブン人事(データドリブンHR)が戦略人事で求められる背景
戦略人事を推進するためには、データドリブン人事が必要不可欠です。
なぜなら戦略人事には、経営戦略と人的マネジメントの情報を分析し、客観的な根拠によるデータ分析にもとづく行動が求められるからです。
またAI化やビッグデータの活用、デジタルマーケティングの発展もあり、業種や職種問わず今まで以上にデータ分析への注目度が高まっています。
人事領域ではHRテックのようなITツールの活用が進み、人事データを経営判断に活用することが求められています。
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データドリブン人事(データドリブンHR)のメリット
データドリブン人事を導入すると、人事業務の質とスピードの向上が期待できます。以下では主なメリットを5つ紹介します。
客観的な意思決定ができる
人事業務が効率化される
従業員の生産性が向上する
業務の属人化を防ぎやすくなる
適材適所な人材配置ができる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
客観的な意思決定ができる
データドリブン人事の特徴は、人事判断を客観的な情報にもとづいて行いやすくなる点です。数値や事実を材料にすることで、担当者の主観や思い込みに左右されない人事施策を実現できます。
たとえば、管理職登用を考える際、単に営業成績だけを見るのではなく、過去の昇進者データやチームの成果、離職状況などをあわせて確認します。こうした情報を整理すれば、マネジメントに向いているかどうかを多面的に捉えやすくなります。
勘や経験だけでは見落としがちなパターンも、データ分析によって浮き彫りになるため、施策の成功確率が高まるでしょう。
また、数値根拠があれば経営層や現場への説明もスムーズになり、人事部門の提案が通りやすくなります。
人事業務が効率化される
人事データを一元的に管理することで、日常業務の効率化が進みます。これまで手作業で行っていた集計や資料作成を、システム上でまとめて処理できるようになるためです。
たとえば、毎月の勤怠集計や評価データの取りまとめをシステムで自動化すれば、数日かかっていた作業が数分で完了します。空いた時間を採用戦略の立案や従業員面談といった本質的な業務に充てられるため、人事部門全体の生産性向上が期待できます。
さらにデータがリアルタイムで更新される環境であれば、月次報告を待たずに状況を把握でき、スピーディーな対応が可能です。
定型業務から解放されることで、人事担当者は戦略的な役割に集中できるようになります。
従業員の生産性が向上する
データ分析によって個々の従業員が力を発揮しやすい環境を整えられるため、組織全体のパフォーマンスが底上げされます。
たとえば、満足度が高いチームほど成果が安定している傾向がわかれば、働き方やマネジメントの見直しに役立てられます。
また、勤怠データから長時間労働の傾向を早期に発見して業務配分を見直すことで、燃え尽き症候群や体調不良を未然に防ぐことも可能です。一人ひとりの状況を可視化することで、持続的に高いパフォーマンスを引き出せる組織作りにつながります。
業務の属人化を防ぎやすくなる
人事業務がデータ化されることで、特定の担当者しか把握していない情報や暗黙知を組織全体で共有できるようになります。
たとえば、採用基準が担当者の経験則に依存している場合、異動や退職によって判断の質が変わるおそれがあります。その点、データを活用して過去の採用結果と入社後の活躍状況を整理しておけば、誰でも同じ基準で判断しやすくなるでしょう。
引き継ぎもスムーズになり、人事異動があっても業務品質を維持しやすくなります。ノウハウが組織の資産として蓄積されるため、長期的な人材戦略の安定性が高まる効果も期待できます。
適材適所な人材配置ができる
従業員のスキルや経験、志向性といった多面的なデータを分析することで、個々の強みを最大限に活かせる人材配置がしやすくなります。
たとえば、営業部門で成績が伸び悩んでいる社員がいても、論理的思考力やデータ分析スキルが高いことが判明すれば、別の部署への異動で能力を発揮できる可能性があります。
このように配置転換の判断を勘だけに頼らず、客観的な根拠を持って行えるため、ミスマッチの削減も期待できるでしょう。
また、データをもとに本人の希望と適性をあわせて把握できれば、キャリア面談の内容が具体的になりやすくなります。今後の配置や育成を検討しやすくなり、従業員の力を活かす選択肢が広がります。
データドリブン人事(データドリブンHR)の進めるうえでの課題
データドリブン人事は、人事判断の質を高める手法として注目されていますが、導入してすぐに成果が出るわけではありません。
以下の3つの課題を事前に把握しておくと、スムーズな導入につながります。
デジタル人材が不足している
現場理解が不足するおそれがある
ツールやシステムの導入ハードルがある
デジタル人材が不足している
データ分析やシステム運用に精通した人材が社内にいないと、データドリブン人事の推進そのものが滞ってしまいます。
たとえば、人事データを集めても、プログラミング言語を扱える担当者や精度設計に詳しい社員がいなければ、分析結果を施策に落とし込むまでに膨大な時間がかかります。
また、統計知識が不十分なまま分析を進めると、相関関係と因果関係を混同したり、誤った結論を導き出したりする場合もあるでしょう。
こうした状況を避けるには、社内での研修プログラムを通したスキルの底上げや、外部のデータアナリストやコンサルタントと連携する方法が考えられます。
人事部門だけで抱え込まず、情報システム部門や専門家の協力を得ながら体制を整えることで、人材不足の課題を乗り越えやすくなります。
現場理解が不足するおそれがある
データだけを重視すると、現場の状況を十分に反映できない場合があります。数値は状況を把握する手がかりになりますが、背景にある事情まで示せるものではありません。
たとえば、離職率が高い部署に対し、数値だけを理由に人事異動を行うと、本当の原因を見誤るおそれがあります。実際の現場では、業務量の偏りや制度上の問題が影響しているケースも考えられます。
そのため、分析結果をもとに施策を立案する際は、現場へのヒアリングや定性的な情報収集を並行して行うことが欠かせません。データと現場の声を組み合わせることで、的外れな施策を防ぎ、従業員の納得感を得られる人事運営が可能になります。
ツールやシステムの導入ハードルがある
データドリブン人事を実現するには専用のツールやシステムが必要ですが、導入コストや運用負荷がネックになるケースは少なくありません。
たとえば、中小企業では予算の制約から高機能なツールを導入できず、Excelでの手作業に頼らざるを得ない状況もあるでしょう。
また、導入後も、既存の人事システムとデータ連携がうまくいかなかったり、使い方が複雑で現場に浸透しなかったりするなどの問題が起こる場合もあります。
こうした課題に対しては、まず無料や低価格のツールで小規模に試し、効果を確認してから段階的に拡大する方法が有効です。自社の規模や課題に合ったツールを選び、導入後のサポート体制も含めて検討することで、ハードルを下げられます。
データドリブン人事の活用例
データドリブン人事が人事業務にどのように役立つのか、データドリブン人事の活用例について確認してみましょう。
データドリブン人事の活用例
早期離職防止と人材定着
組織強化
組織と人材のパフォーマンスの最大化
残業時間の削減
人事評価履歴を人材育成に活用する
早期離職防止と人材定着
データドリブン人事を活用することで、組織全体の離職防止と人材定着への効果が期待できます。
早期退職する従業員の傾向をデータドリブンで掴めば、採用面接時にチェックできたり、在職中に必要なフォローアップをしたりと対策ができるためです。
たとえば、早期離職する人材の傾向に「過去の業界経験1年未満」という共通点があるのであれば、2年以上の経験者を採用するか、新入社員研修を充実化させる事を検討できるでしょう。
あるいは、早期離職者が多い部署を分析すると、「長時間労働や人間関係トラブル」が発覚するかもしれません。
このように、階級ごとや職種ごとの離職傾向をデータ化して分析すれば、対象の改善施策の立案や実行が容易になるため、離職防止と人材定着につながりやすくなります。
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組織強化
データドリブン人事は、会社の中長期計画に合わせた組織戦略と組織強化に活かせます。
強い組織作りのためには、今の企業が持つ課題を明確にし、必要な対策を打つことが重要です。
課題の明確化には部署ごとの年齢比、管理職の割合、勤続年数などといった組織の状態をデータとして可視化すると良いでしょう。
たとえば、部署ごとのデータを可視化することで、企業全体の高年齢化がわかったとします。
この場合、中長期的な計画を考える際に、次世代の人材育成が必要だと判断できるでしょう。
また、従業員満足度を高める方法としても、データドリブン人事は有効です。
従業員の早期離職率、離職率、欠勤率、有給消化率などを可視化することで、自社が持つ課題が見えてきます。
たとえば、1年未満の早期退職率が高い場合、採用条件や職場のミスマッチが想定されます。
人事が評価する人材条件と配属部署が求める条件に乖離があったり、配属先の部署で教育担当ができる従業員がいないなどの、問題が見えてくるでしょう。
データドリブン人事を通して、課題を特定し解決できれば従業員満足度が高まり、強い組織づくりにつながります。
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組織と人材のパフォーマンスの最大化
データドリブン人事は、従業員満足度の向上や人材の定着だけではなく、組織と人材のパフォーマンスを最大化させます。
活躍している従業員のスキル、人柄、経験をデータ化し分析すれば、自社で活躍する高い生産性を出す人材の傾向の把握が可能です。
そうすると、採用すべき従業員の傾向や、高い教育効果が得られる育成方法を見極めやすくなります。
また、人材のパフォーマンスが最大化すれば、組織全体の生産性向上につながるでしょう。
人材のパフォーマンスを最大化するために、従業員のエンゲージメントをチェックする、エンゲージメントサーベイが注目を集めています。
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残業時間の削減
データドリブン人事は、残業の多い部署や時期などを勤怠管理データから特定して原因を探ることができます。
また、勤怠管理データから効率的で効果的な残業抑制策を練ることができます。
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人事評価履歴を人材育成に活用する
データドリブン人事を導入すれば、従業員自身が自分の過去の評価履歴データを一覧で確認可能です。その結果、自分がよいパフォーマンスを出せていた時、逆にパフォーマンスが落ちていた時を客観的に知ることができ、自分の「適性」や「効率的な仕事の仕方」を知ることができます。
自分で課題に気付いて行動することで「自律型人材」の育成につながりやすくなります。
このように、データドリブン人事は人事部内だけでなく従業員にも有効的に活用可能です。
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データドリブン人事(データドリブンHR)の導入方法
データドリブン人事を導入する際の5つのステップについて確認してみましょう。
データドリブン人事の導入方法
目的・課題を明確にする
人材データを収集する
人材データを可視化する
人材データを分析する
アクションプランの計画と実行をする
1.目的・課題を明確にする
最初に「なぜデータドリブン人事を導入するのか」という目的と、自社が抱える具体的な課題を明らかにしておく必要があります。
たとえば「管理職候補の育成が進まない」といった課題を設定した場合、昇進・昇格の履歴や360度評価のフィードバック内容、マネジメント研修の受講状況といったデータが必要だと判断できます。
目的が曖昧なまま進めると、あらゆるデータを集めようとして手間だけがかかり、結局何も改善されない事態に陥りがちです。
また、課題に対して目安となる指標を設定しておくことで、施策の効果測定も行いやすくなります。経営層や現場の管理職と事前にすり合わせを行い、組織全体で共通認識を持つことも、後の段階で協力を得るために欠かせません。
2.人材データを収集する
人材データの収集では、大きく2つのポイントがあります。
ひとつめは、「常に最新のデータを持つこと」です。
しかし、人材データは変更が多いうえに情報が分散しています。
たとえば、人事部では以下の対応を日々行っています。
組織変更
人事異動
入退社や休職者の発生
従業員の結婚や出産などによる家族情報の変更
これらの対応は役割分担で行うため、情報は各担当者から得る必要があります。そのため、最新データを常に取得できる仕組みをしっかり構築しておきましょう。
古い情報でデータ分析を行ってしまうと、誤った結果を導き出してしまうため注意が必要です。
2つめは、「人材データは個人情報のため徹底した情報漏洩防止策が必要であること」です。
そのため、データの収集と管理を一元的に行える手法が望ましいといえます。
社内のシステム担当にシステムを作ってもらうのもひとつの方法です。
しかし、従業員の個人情報を扱うため、できる限り人事部内で完結できる仕組みを整える必要があります。その点から、人事システムの導入が有効な手段のひとつといえます。
人事システムは、目的や会社の規模、業種・業態に合うものを選ぶようにしましょう。
3.人材データを可視化する
人材データの収集ができたら、収集した人材データの可視化をします。
人材データの可視化は、データドリブン人事において課題になりやすいポイントです。
収集した人材データのうち、どの部分を誰に閲覧させるかといった、細かい設定を要します。
上司であっても部下の個人情報をすべて見せてよいわけではありませんし、評価情報は従業員にとって他人に見られたくない情報でもあります。
そのため、人材データの可視化は、細心の注意を払いながら検討するようにしましょう。
4.人材データを分析する
人材データには多くの情報が含まれており、さまざまな切り口で分析できます。
まずは、何を知りたいのか「目的」を明確にしましょう。
そして、目的が明確になったら、定義づけをします。
たとえば、「社内で活躍する人材の特徴を分析して採用や人材育成に活かす」という目的を持った場合、「活躍する人材の定義」を決めなければ分析ができません。
この場合、「直近3年間の人事評価でAを取った回数」「入社〇年目以内の管理職昇格」「MVP取得回数」など、さまざまな切り口が挙げられます。
定義を決めて抽出したデータを、所属や経験職種、異動履歴などあらゆる項目から分析します。
5.アクションプランの計画と実行をする
データドリブン人事を導入ししっかりと分析をすることで、アクションプランは自ずと出てきます。
たとえば、人材データの分析として「活躍人材の分析結果」から考えられるアクションプランをあげてみましょう。
採用時の評価は高くなかったものの、入社後に営業成績を伸ばしている人が多い場合、現在の採用試験が実務能力を十分に測れていない可能性があります。その場合には、評価基準の見直しが検討対象です。
また、異業種出身者の活躍が目立つなら、募集時に「異業種からの積極採用」を伝えることで効率的な母集団形成が可能になります。
適度な部署異動が活躍人材の特徴であれば、昇格基準に「部署異動の経験の有無」を付け加えたり、「ジョブローテーション」を制度化するなどの施策も効果的です。
いずれもエビデンスにもとづいて分析することができ、根拠のあるアクションプランが立てられるのも、データドリブン人事の特徴です。
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人事異動の目的とは?主な種類や時期、メリット・デメリットについて解説
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ジョブローテーションの基本!効果や仕組みを現役人事が解説
データドリブン人事(データドリブンHR)を成功させるためのポイント
データドリブン人事を導入しても、運用がうまくいかなければ期待した成果は得られません。以下の3つのポイントを押さえることで、導入後も継続的に効果を生み出せる仕組みを構築できます。
スモールスタートではじめる
人事×現場×経営の連携を取る
定量データと定性情報を組み合わせる
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
スモールスタートではじめる
データドリブン人事は、最初から全社規模で導入しようとするとデータ収集や分析の負荷が大きくなるため、小さくはじめることが重要です。
まずは「新入社員の離職防止」や「特定部署の残業削減」といった限定的なテーマで試験的に取り組むと、成功体験を積み重ねやすくなります。限られた範囲で試すことで、何がうまくいき、どこに課題があるのかを把握しやすくなります。
人事×現場×経営の連携を取る
データドリブン人事は人事部門だけで完結するものではなく、現場と経営層の協力があってはじめて機能します。
たとえば、分析によって課題が見えても、現場の管理職が動かなければ状況は変わりません。定期的に情報を共有し、どの施策を実行するかを話し合う場を設けることが求められます。
また、経営層の承認がなければ予算やリソースを確保できないため、データで示した課題や期待される効果を経営会議で報告し、経営層の理解を得ることも欠かせません。
情報システム部門とも連携してデータ基盤を整えることで、効率的な運用体制を構築できます。データドリブン人事を機能させるためには、関係者が同じ方向を向ける体制づくりが重要です。
定量データと定性情報を組み合わせる
数値だけに頼った判断は、現場の実態とズレた施策を生む原因になります。たとえば、評価スコアが低いという結果が出ても、その背景に業務量の偏りや一時的な事情があることも考えられます。
こうした状況は数値には表れないため、上司へのヒアリングや本人との面談といった定性情報の収集が欠かせません。
逆に定性情報だけでは主観が入りやすく、施策の再現性が保ちにくくなります。そのため、数値と現場の声をあわせて確認することで、状況を立体的に捉えやすくなります。
組織サーベイや従業員アンケートを実施し、エンゲージメント調査の数値が低い部署があれば、現場に足を運んで雰囲気やコミュニケーションの様子を観察しましょう。そのうえで、数字の裏にある本質的な課題を見極めることが重要です。
▼「組織サーベイ」についてさらに詳しく
組織サーベイとは?目的や従業員満足度調査・社内アンケートとの違いを解説
▼「従業員アンケート」についてさらに詳しく
社内アンケートとは?本音を引き出すコツを解説
組織診断サーベイを成功させるための秘訣とは?
⇒「サーベイにおける3つの壁を突破する方法」資料ダウンロード
データドリブン人事(データドリブンHR)の学びに役立つ書籍
データドリブン人事の理解を深めたい方には、体系的に学べる書籍の活用がおすすめです。以下では、実践的な知識が得られる3冊を紹介します。
DATA is BOSS 収益が上がり続けるデータドリブン経営入門
データドリブン人事の学びに役立つ書籍「データ・ドリブン人事戦略」
データドリブン人事の学びに役立つ書籍「ピープルアナリティクスの教科書」
DATA is BOSS 収益が上がり続けるデータドリブン経営入門
企業経営におけるデータ活用の考え方を、わかりやすく解説した一冊です。
難しい専門知識よりも、なぜデータを見る必要があるのか、どのような意思決定に活かすのかといった視点が中心にまとめられています。データ活用にはじめて触れる人でも読み進めやすく、全体像をつかむのに役立ちます。
「DATA is BOSS 収益が上がり続けるデータドリブン経営入門」
データドリブン人事の学びに役立つ書籍「データ・ドリブン人事戦略」
戦略的な意思決定のために、データドリブンの観点からデータや分析のあり方を解説しています。
人事部門の生産性向上と組織全体のパフォーマンスや、経営判断に活かすヒントについて学べる書籍です。
データドリブン人事の学びに役立つ書籍「ピープルアナリティクスの教科書」
データドリブン人事に必須なピープルアナリティクスを解説しています。
日本企業が今後どのように従業員データを分析し管理すれば良いのかについて学べる書籍です。
データドリブン人事(データドリブンHR)に役立つ資格
データドリブン人事を実践するうえで、ぜひ知っておきたい資格は、中央職業能力開発協会(JAVADA)の「ビジネスキャリア検定」です。
ビジネスキャリア検定は、人事に特化した資格のため、人事担当者はぜひ取っておきたい資格のひとつです。
人事企画から雇用管理、人材開発などが体系的に習得できるため、データドリブン人事や戦略人事を理解するうえで必要な人事の知識が学べます。
検定は1級、2級、3級、BASIC級と等級が分かれていて、人事経験が浅い方からベテランの方まで、幅広い方におすすめの資格です。
中央職業能力開発協会(JAVADA)「ビジネス・キャリア検定」
データドリブン人事(データドリブンHR)の導入事例
データドリブン人事を導入し人事施策に活用している企業の事例について確認してみましょう。
データドリブン人事の導入事例:株式会社リクルート「新入社員の配属に活用」
株式会社リクルートでは、社内改革推進の一環として、人事戦略部長が新入社員の配属マッチングシステムを導入しました。
具体的には、新入社員のデータと受け入れ部署の従業員データを掛け合わせて、新入社員に適した配属先をマッチングするシステムです。
また、このシステムを使って、新入社員の立ち上がりがスムーズになりやすいメンターの選定や指導の仕方の提案も行っています。
データ活用によって、新入社員一人ひとりの特性を上手く捉えて、満足度の高い配属決めを実現しています。
▼「メンター」についてさらに詳しく
メンター制度とは?OJTとコーチングとの違いや必要性についてご紹介
データドリブン人事の導入事例:株式会社サイバーエージェント「人事評価の運用に活用」
株式会社サイバーエージェントの人事部では、目標管理に目標設定から評価までを行えるシステムを導入しました。
その結果、目標の共有がしっかり行え、評価に納得感が生まれました。
また、システム化で管理の手間が減り、その分、従業員が自身の目標に集中し、目標の意識を高められるようになりました。
人事側も評価集計の作業が楽になり、より創造性の高い仕事に時間を割けるようになった、など多方面に効果が現れています。
株式会社サイバーエージェントの「HRBrain」導入事例についてさらに詳しく
⇒「株式会社サイバーエージェント 導入事例」
データドリブン人事の導入事例:株式会社クリーク・アンド・リバー「コミュニケーション活性化に活用」
株式会社クリーク・アンド・リバーでは、評価結果や1on1の履歴管理をシステム上で実施しています。
上司はシステム上の履歴を見て部下との1on1を行うため、コミュニケーションの活性化にもつながっています。
また、従業員はPCに触れる機会が少ない場合もあるため、会話履歴を効率よく蓄積させるために、スマートフォンから気軽にアクセスできる環境を整えました。
データの蓄積が良いコミュニケーションを生み、それがまたデータとして蓄積される、データ活用が好循環を生み出しています。
▼「1on1」についてさらに詳しく
1on1とは? 従来の面談との違いや効果を高めるコツ
「1on1は何のためにやるのか?」効果的な進め方や浸透方法について
⇒「1on1ミーティング入門書〜1on1を雑談で終わらせないためには〜」資料ダウンロード
データドリブン人事(データドリブンHR)を活用して強い組織作りに役立てよう
データドリブン人事は、人事業務を効率化する手法ではなく、人事の判断を見直すための考え方です。
採用や育成、配置、評価といった判断をデータと結びつけることで、個人の感覚に頼りすぎない施策の検討に役立ちます。
一方で、ツールや分析だけを目的にすると、現場で使われなくなることもあるため注意が必要です。自社の課題に合ったテーマから取り組み、現場や経営と対話を重ねながら進めることで、施策が組織に根づきやすくなります。
自社の取り組みに沿ったシステムやツールを取り入れながら、日々の人事判断を見直す手段としてデータドリブン人事を活用していきましょう。







