人事評価
2021/12/16
人事評価におけるコメントの重要性。職種別のコメント例や書き方を紹介
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
どんなに有能な経営者や人事担当者でも、『他人を評価する』という職務に難しさを感じない人間はいません。人事評価を始めたばかりの企業や担当者であればなおさらです。
従業員のモチベーションの低下や不満を防ぐための、人事評価におけるコメントの書き方やポイントとはどのようなものでしょうか?
人事評価の基本
『人事評価』とは、社員の成果や能力、目標の進捗率を定期的・継続的にチェックして評価すること。
近年、これまで以上に人事評価は重要視されており、評価を行う担当者の責任は重大です。人事評価の役割、なぜ人事評価が必要なのかを知っておきましょう。
人事評価の持つ役割
人事評価は給与や昇進・昇級の判断基準となるため、従業員のモチベーションや生産性に大きく影響を及ぼしますが、それ以外にも企業にとって重要な役割があります。例えば以下のような役割です。
- 人材を配置する部署やチームの最適化
- 課題を明確にし従業員の成長を促す
- 評価を可視化することで公平性を確保する
- 管理者と従業員のコミュニケーションを促す
従業員の能力を把握し成長を促すことや、上司とのコミュニケーションのきっかけにすることも人事評価の持つ大切な役割なのです。
なぜ人事評価が重要なのか
近年、終身雇用制度の崩壊や企業のグローバル化によって、評価制度を年功序列から成果主義に切り替えるケースが日本でも増えてきました。
年功序列制度は勤続年数や年齢という絶対的な指標があったため、比較的評価は簡単でしたが、成果主義制度は年齢や経験に関係なく、成果や能力が評価基準になるため、上司やマネージャーの公平かつ公正な評価が求められます。
個人の価値基準に基づいた評価は公平性が欠如し、従業員と軋轢を生むことも……。従業員も納得できる明確な基準で、公平かつ公正に人材を評価する仕組みが必要です。
上司の人事評価のコメントの書き方とは
一般的に人事評価を行う際には、点数だけではなくコメントを入れます。コメントによって適切なフィードバックを行うことにより、評価対象者の能力やモチベーションを引き出すことができます。書き方によってはやる気を失わせてしまうこともあるので、注意が必要です。
効果的なコメントの書き方をミドルマネジメント層に指導する必要があるでしょう。
上司のコメントの書き方や注意点
書き方
評価者に記入してもらう評価シートのコメントは主に二つあります。
一つは成果。二つ目は経緯です。下記のような内容について書いてもらうとよいでしょう。
成果
・設定された期間の中で、目標をどのくらい達成できたか
・成績やチームへの貢献度など
経緯
・成果をあげるための活動や努力など、そこに至った経緯
注意点
当たり前のことですが、経験が少ない新入社員へのコメントとマネジメント職へのコメントは同じというわけには行きません。経験や役職、技能を考慮したフィードバックが必要です。
また、基本的に他の社員と比較することはNG。対象者個人の目標や特性への評価についてのコメントにとどめましょう。
上司が押さえておきたいポイント
現状の問題点の認識と改善について、対象者に自覚を持たせることが目的です。効果を高めるために、以下を踏まえて評価するとよいでしょう。
・具体例を挙げる
・きつい表現や強い否定はしない
・良い点と悪い点どちらも記載する
具体例があれば、評価対象者も自分の行いを振り返りやすくなります。成績が悪くても良い部分に言及することでモチベーションアップの効果も期待できます。
あまりに否定されると誰でも自信をなくしてしまいますし、きつい表現で「責められた」と感じると、上司に不信感が募ることもありますので、注意しましょう。
職種別人事評価コメント例
当然ですが、職種によって書くべき内容は変わります。
営業職の評価コメント
営業職の成果は売り上げや利益など明確な数字で表すことができますから、「目標の達成率が○%であったという点を高く評価できる」など、まずは目標の達成度に関するコメントを入れます。そして、数字だけでなく達成率の要因分析や、改善点についてのアドバイスも盛り込むようにしましょう。
営業職への評価コメント例
「目標達成率100%は素晴らしい成果であると評価できる。顧客分析を丁寧に行っていたことが目標達成の大きな要因であろう。常に前向きな姿勢でチームに良い影響を与えている。今後の課題は他部署との情報共有である。」
事務職の評価コメント
事務職は、主にルーティンワークをこなす職種なので、日々の業務がほぼ変わらず、数値で評価しづらい職種だと言われています。仕事の精度や問題解決能力について一つひとつ触れていきましょう。抽象的な表現は用いず、課題提示も具体的に行いましょう。
事務職への評価コメント例
「今期の目標である紙面から電子へのデータ移行が非常にスムーズに行えた点はとても良かった。移行後も業務に滞りがなく、素晴らしい成果だと言える。今後は、チーム内で電子データの扱いに慣れていない人へのフォローなどを積極的に行ってもらいたい。」
エンジニア・技術職の評価コメント
エンジニアや技術職を評価する際には、コストの削減や現状システムの改善など、技術的貢献度の達成度を数字で表すことができます。開発製品の特許取得などの具体的な成果があれば、ぜひ触れておきましょう。
チームを管理する立場のメンバーであれば、コミュニケーションの取り方や交渉能力についても言及します。
エンジニア・技術職の評価コメント例
「主力製品○○の設計方法の見直しによって、10%のコストダウンが可能になった点は大きい。また、改善案の積極的な提出についても評価に値する。進捗が遅れた要因についてはチーム内でよく話し合い、今後の改善につなげてもらいたい。」
職業別人事評価コメント例
人事評価のコメントは職業や立場によっても変わってきます。ここでは、公務員、保育士、そして上司の立場から人事評価のコメントを入れる際のポイントをお伝えします。
公務員の評価コメント
公務員の目標設定は、評価者と被評価者で面談を行い、業務目標を設定することと政令で定められています。公務員における目標設定は、公務という業務特性から必ずしも定量化・数値化できるものではありません。「プロセスも評価対象」といった点もより意識すると良いでしょう。
・公務員への評価コメント例
プロジェクトチームの進捗管理については、プロジェクトメンバーのフォローを〇〇を行うなどきめ細やかに対応し、期限内に終えたことから他の職場からも高い評価を得ており、達成基準を十分に満たしている。プロジェクトマネジメント力が高く、更なる成長を期待したい。
公務員の人事評価についてさらに詳しく知りたい方は「公務員の人事評価をわかりやすく目標設定のサンプル例と合わせて解説」の記事もご参照ください。
保育士の評価コメント
保育士は、仕事の成果を定量化・数値化するのが難しい仕事です。そのため、具体的な取り組みに対しての評価が基本になります。また、子どもたちの成長だけでなく、子どもたちの安全や健康を守ること、そして保護者との関わり方も重要な評価のポイントです。こういった観点も盛り込むようにしましょう。
・保育士への評価コメント例
子どもの安全性に人一倍気を配り、怪我が起きないように園の環境を率先して改善している姿勢が素晴らしい。また、苦手な保護者を作らずに、どの保護者に対しても密なコミュニケーションを取れている。保護者の視点に立ち、保護者の気になる子どもの情報を、先回りして共有している点は特に高く評価できる。
人事評価コメントは具体的に
人事評価において、被評価者が現在の評価に納得し、課題を改善するために不可欠な『評価コメント』。コメント内容は具体的に書くことで納得度も高まります。
目標進捗率や業績の達成率などの数字だけでなく、どんな努力や工夫をしてきたか、経緯の部分について言及すると、評価対象者も普段の仕事をきちんと見てもらえているという意識を持ち、モチベーションアップにつながります。
人事評価のクラウド化でコメントを蓄積・活用
「HRBrain」では、目標や評価に対するコメントを蓄積し、カンタンに振り返ることが出来ます。コメントの公開範囲を細かく設定できるため、評価プロセスのブラックボックス化を防ぎ、従業員の離職率を低下させます。
「人事評価プロセスを透明化したい」
「社員の成長記録を蓄積したい」
このような悩みをHRBrainで解決できます!
人事評価
HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。
