#人材管理
2024/04/01

フリーアドレスとは?生産性は上がる?メリットやオフィスでの導入方法と事例を解説

目次

    フリーアドレスとは、従業員ごとに固定の座席を持たず、その日の気分や業務内容に応じてオフィスの座席を自由に選択できるワークスタイルのことです。

    フリーアドレスには、メリットとデメリットがあり、目的を明確にしてから導入しなければ、本来目的としていた効果を得ることができません。

    フリーアドレスが自社にとって有効な施策なのかを考えて導入するようにしましょう。

    この記事では、フリーアドレスとはどのようなものなのか、メリットとデメリット、フリーアドレスの導入のポイントと企業事例について解説します。

    フリーアドレスでの業務管理に

    フリーアドレスとは

    フリーアドレスとは、従業員ごとに固定の座席を持たずに、その日の気分や業務内容に応じて座席を自由に選択できるワークスタイルのことです。

    フリーアドレスは、日本企業である清水建設技術研究所が1987年に世界で初めて導入しました。

    フリーアドレス導入当初の目的は、従業員ひとりひとりの作業スペースの拡大でした。

    フリーアドレスを導入すると、従業員の在席率によって1人当たりの作業スペースは変動します。

    仮に在席率が50%の場合、従業員1人当たりのスペースは2倍になるという計算のもと導入されました。

    フリーアドレスが注目される背景

    フリーアドレスが注目される背景について確認してみましょう。

    フリーアドレスが注目される背景

    • 働き方の多様化

    • ICT技術の進化

    働き方の多様化

    フリーアドレスが注目される背景には、政府主導の「働き方改革」や「リモートワーク推進」によって働き方が多様化し、その一貫としてオフィスの見直しが行われたことがあげられます。

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    ICT技術の進化

    フリーアドレスが注目される背景には、インターネット技術の発達やモバイルツールの普及、紙書類のデジタル化など、ICT技術の進化によって、座席を固定化する必要が無くなったことがあげられます。

    ※ICT(情報通信技術)とは、パソコン、スマートフォン、インターネット、スマートスピーカーなど、さまざまな形状の情報伝達技術を使った情報処理や通信技術の総称です。

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    フリーアドレスとリモートワークとの違い

    リモートワークはオフィスという場所に縛られず遠隔で働く働き方を指します。

    フリーアドレスはあくまでオフィスの中で働く場所を選択できる形式のため、自由度の高さではリモートワークが勝ります。

    フリーアドレスとABWとの違い

    ABWとは「Activity Based Working」の略で、仕事内容に応じて働く場所を選ぶ働き方を指します。

    フリーアドレスは「座席」の自由化というオフィスの形に対して、ABWは「働き方」そのものの自由化を指す言葉です。

    選択できる場所はオフィスに限らず自宅やカフェなども含み、仕事に応じて最適な場所を選ぶことで生産性を高めることがABWの考え方です。

    ABWは効果的なフリーアドレス型オフィスを導入するうえで、念頭に置くべき考え方と言えます。

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    フリーアドレスのメリット

    フリーアドレスのメリットについて確認してみましょう。

    フリーアドレスのメリット

    • コミュニケーションの活性化

    • 生産性の向上

    • スペースコストの削減

    コミュニケーションの活性化

    フリーアドレスのメリットの1つ目は、「コミュニケーションの活性化」です。

    座席が自由になることで、違う部署の人と関わる機会が増え、部署を超えた横のつながりが生まれます。

    その結果、会社全体のコミュニケーションの活性化が期待できます。

    生産性の向上

    フリーアドレスのメリットの2つ目は、「生産性の向上」です。

    仕事内容や気分に応じて、座席を変えることで生産性の向上が期待できます。

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    スペースコストの削減

    フリーアドレスのメリットの3つ目は、「スペースコストの削減」です。

    フリーアドレスでは従業員ひとりひとりの座席を用意する必要がないため、出社率が100%に満たない場合、スペースコストを削減することができます。

    特にリモートワーク制度と併用することで、スペースコストを大きく削減することが可能です。

    フリーアドレスのデメリット

    フリーアドレスのデメリットについて確認してみましょう。デメリットについては正しく対策を行うことで解消することができるかもしれません。

    フリーアドレスのデメリット

    • フリーアドレス化ならではのコストがかかる

    • 誰がどこにいるかわからなくなる可能性がある

    • セキュリティ問題が発生する可能性が高まる

    フリーアドレス化ならではのコストがかかる

    フリーアドレスのデメリットの1つ目は、「コストがかかる」ことです。

    オフィスのフリーアドレス化は出社率を下げることでスペースコストを削減することはできますが、「オフィスのレイアウト工事」「モバイル端末の整備」「出退勤や座席管理システムの導入」など、フリーアドレス化をするための設備コストがかかります。

    ただし、スペースコストに比べ安価に済む場合もあるため、大きなデメリットにはならないでしょう。

    誰がどこにいるかわからなくなる可能性がある

    フリーアドレスのデメリットの2つ目は、「誰がどこにいるかわからなくなる可能性がある」ことです。

    フリーアドレスは座席が自由となるため、適切な管理を行わないと誰がどこにいるかわからなくなる可能性があります。

    そのため、「チャット等でコミュニケーションが常に取れるようにする」「今いる場所がわかるシステムを導入する」などの対策が必要です。

    セキュリティ問題が発生する可能性が高まる

    フリーアドレスのデメリットの3つ目は、「セキュリティ問題が発生する可能性が高まる」ことです。

    座席の自由化によって、各個人がモバイル端末を持つ場合が多くなります。

    その結果、端末の紛失リスクによるセキュリティ問題が発生する可能性があります。

    また、紙資料などの置き忘れや紛失などが発生する可能性もあり、情報漏洩などを起こさないような対策が必要です。

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    フリーアドレス導入のポイント

    フリーアドレスのメリットを享受し、フリーアドレス化を成功させるためにはどのような点に気を付ければ良いのか、フリーアドレス導入のポイントについて確認してみましょう。

    フリーアドレス導入のポイント

    • 導入目的の明確化と共有

    • 目的に応じたスペースを用意する

    • テレワーク環境と同様の環境を整える

    • 運用改善も見据えた体制づくり

    導入目的の明確化と共有

    「なぜフリーアドレスを導入するのか」という目的を明確にしましょう。

    「流行りだから」「働きやすそうなオフィスを作りたいから」といった理由だけでは、ただフリーアドレスを導入しただけでメリットを得られない可能性があります。

    また、明確にした目的は全社で共有することが重要です。

    経営層や人事総務関係者だけで情報共有をしても、従業員全体がオフィスのフリーアドレス化の意図を理解することができず、メリットを得られない可能性が高まります。

    そのため、目的を明確化し、全社で共有することがポイントです。

    目的に応じたスペースを用意する

    フリーアドレスでは、ただ座席を自由化するのではなく、仕事内容や目的に応じたワークスペースを用意するようにしましょう。

    例えば、「1人で集中できる個別ブース」「電話用の防音ブース」「ちょっとしたMTGのためのスタンディングデスク」などがあげられます。

    また、オフィスレイアウトを工夫することで、コミュニケーション活性化の効果を得ることができます。

    テレワーク環境と同様の環境を整える

    フリーアドレスはオフィス内に限定した働く場所の自由化です。

    そのためテレワークができる環境と同様の環境を整える必要があります。

    例えば、「コミュニケーションツール」「オンラインビデオ会議ツール」「クラウド型ストレージ」などの整備があげられます。

    ▼「テレワークの環境整備」についてさらに詳しく
    テレワーク導入の課題や方法とは?導入目的を明確にして費用を準備しよう

    運用改善も見据えた体制づくり

    フリーアドレスは導入して終わりではなく導入後の改善が重要です。

    例えば、在席率を計測することで、使われているエリアと使われていないエリアの検出が可能になります。

    また、使われているエリアと使われていないエリアを分類することで、「オフィスに何が足りていないのか」「従業員がオフィスに求めていることは何か」を推測することも可能です。

    そのためにも、在席率の計測、分析、改善を行うことができる体制を整えることが大切です。

    導入後も見据えたフリーアドレス化を行いましょう。

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    フリーアドレスの導入事例

    フリーアドレスを導入して成功している企業にはどのような特徴があるのか、フリーアドレスの企業での導入事例について確認してみましょう。

    日本軽金属ホールディングス株式会社

    日本軽金属ホールディングス株式会社は、事業部門、管理部門ともにフリーアドレス型オフィスを導入しています。

    事業部門では、人の動きを活性化させるためにジグザク型のデスク配置で人の動きがアクティブになるよう設計されています。

    一方、管理部門では、事業部門の従業員が訪れた際に誰がどこにいるかわかりやすいようにと、直線的で見通しの良いオフィスにしています。

    部門の特色ごとにオフィスのレイアウトを変えている例です。

    日本軽金属ホールディングス株式会社

    環境省大臣官房総務課

    環境省の大臣官房総務課は、数年後に予定している環境省庁舎の移転に向けて、フリーアドレスを導入しました。

    仕事の内容や目的に合わせて働くABWの考え方を基に、オフィスが設計されています。

    誰がどこにいるかわかりやすいように、入り口には在席状況を掲示して運用の工夫をしています。

    また、フリーアドレスとABW導入のためにペーパーレス化を徹底し、約90%の書類削減を実現しました。

    このようにフリーアドレスを実現していく中で、環境に配慮した取り組みを推進することも可能です。

    環境省大臣官房総務課

    (参考)株式会社オカムラ「自治体庁舎 環境省 大臣官房総務課

    フリーアドレスの導入には従業員データの管理が必須

    フリーアドレスは、従業員ごとに固定の座席を持たずに、その日の気分や業務内容に応じて座席を自由に選択できるワークスタイルのことです。

    その日の気分や仕事内容で場所を変えることで、従業員は日々新鮮な気持ちで仕事に臨むことができます。

    ただし、フリーアドレスにはデメリットもあり、目的を明確にしてから導入しなければメリットを得ることはできません。

    フリーアドレスが自社にとって有効な施策なのかを考えて導入するようにしましょう。

    また、フリーアドレス化によって従業員がどこにいても管理できるようなシステムを構築しなければいけません。

    そこで役立つのがクラウド型のタレントマネジメントシステムです。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、従業員のひとりひとりの目標や目標への進捗具合、スキルや面談履歴などのデータをクラウド上で管理し見える化し、フリーアドレスでの従業員ひとりひとりの管理や作業状況の把握に役立ちます。

    また、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、1on1やフィードバックなどの面談履歴などを一元管理します。

    HRBrain タレントマネジメントの特徴

    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

    運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

    • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

    従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

    • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

    データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

    ▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
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    HR大学編集部
    HR大学 編集部

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