ABW(Activity Based Working)とは?意味と新たな働き方のメリットとデメリットや導入手順について解説
- ABWとは
- ABWが注目されている背景
- ABWとフリーアドレスとの違い
- ABWとコロナ禍での働き方の変化
- ABWの種類
- オフィスラウンジ
- 1on1スペース
- ミーティングスペース
- Webミーティングブース
- 集中ブース
- ABWの導入手順
- ABW導入の目的を設定する
- 現在のオフィス環境などを調査する
- オフィスレイアウトを考案する
- 既存の制度を見直す
- 環境整備を実施する
- ABWを導入するメリット
- ワークライフバランスを実現できる
- コスト削減につながる
- 生産性が向上する
- モチベーションアップにつながる
- 質の高い人材確保ができる
- ABWのデメリット
- 準備や浸透に時間がかかる
- 働く場所が一定でないゆえのデメリットがある
- 仕組み自体を理解しないと生産性が向上しない
- 働く場所によっては思うような効果が得られない
- ABWの導入は焦らず段階を踏んで
ABWとは、自分の気分や仕事内容に応じて働く場所と時間を自由に選択できる働き方です。
働き方改革によって、仕事をする時間と場所が大きく変化している日本でも、ABWを取り入れる企業が増えてきました。
ABWは、「業務効率」と「モチベーションアップ」につながると考えられています。
一方で、ABWを導入する際には、従業員の意見の抽出、制度の設計と浸透、導入後の管理など、準備や新しい働き方の浸透に多くの時間を要します。
この記事では、ABWとはどういう意味なのか、ABWとフリーアドレスとの違い、ABWのメリットとデメリット、ABWの導入手順について解説します。
ABWでの従業員の目標や業務進捗の管理に
ABWとは
ABW(Activity Based Working:アクティビティベースドワーキング)とは、自分の気分や仕事内容に応じて働く場所と時間を自由に選択できる働き方です。
ABWは、オランダが発祥と言われており、日本でも4〜5年前から一部の業界で取り入れられ、普及しはじめています。
「仕事は毎日同じ場所で、同じ時間帯に行うのが良い」と思われがちですが、仕事内容に応じて働く場所を変えることで、効率的に業務が進む場合もあります。
例えば、若い女性に人気がある日用雑貨のデザイン担当者が、他にはない新しいアイデアを集めているとします。
この場合、いつも働いているオフィスで仕事をするより、若い女性が集まるカフェで仕事をした方が、斬新なアイデアが生まれるかもしれません。
ABW制度を導入するためには、従業員がいつどこで仕事をしているのかを管理職が把握できる仕組みを取り入れることが重要です。
また、社内にもひとり用から、数人用、大人数用などのバリエーション豊かなワーキングスペースを導入すると良いでしょう。
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ABWが注目されている背景
ABWが注目される背景には、働き方改革と新型コロナ感染症の拡大が大きく関係しています。
日本人は、残業時間が多く働く時間が世界トップクラスとも言われています。
しかし、長時間労働にもかかわらず、日本の労働生産性は先進国の中でも最も低いことが、日本社会全体の課題となっています。
そこで働き方改革を皮切りに、コロナ禍の影響も受けてリモートワークなどの柔軟な働き方が広まっています。
ABWを導入することで、集中やリフレッシュしやすい環境を整えられ、仕事に合わせた働きやすさを実現することができるようになるため、労働生産性が上がると考えられます。
さらに、今後も働き方の変化は起こり続けると予想されており、より柔軟で自由な働き方が求められるでしょう。
このような、働き方に対するニーズに対応するためにも、ABWは導入が必要とされ、現代にふさわしい働き方であると注目が集まっています。
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ABWとフリーアドレスとの違い
フリーアドレスとは、従業員ひとりひとりに決まったデスクを用意せず、その日ごとに自由に社内の好きなデスクで働けるスタイルです。
好きな場所で働けるという意味では、ABWとフリーアドレスは共通していますが、フリーアドレスはあくまでも「社内で働く場合」に限られています。
ABWは社内で働くことも、社外の好きな場所で働くことも許されており、より自由な働き方であることが特徴です。
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ABWとコロナ禍での働き方の変化
ABWのような柔軟な働き方は、コロナ禍のように働く環境が著しく変化してしまう場合に、必要な働き方なかもしれません。
コロナ禍では、社会全体の感染状況に応じて、働き方を柔軟に切り替える必要がありました。
また、緊急事態宣言の発令と解除を繰り返すたびに、リモートワークでの勤務が増加したり減少したりしました。
このように、新型コロナ感染症対策によって、リモートワークでの働き方に慣れ、リモートワークを継続したいと考える人も増えました。
そのため、今後も柔軟な働き方、自由な働き方が求められ、働く環境へのニーズはより多様化していく可能性があり、ABWを取り入れて多様なニーズに応えられるような人事制度を整えていくことが必要になりました。
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ABWの種類
ABWを導入している企業が、どのようなワーキングスペースを社内に取り入れているのかについて確認してみましょう。
オフィスラウンジ
オフィスラウンジとは、複数人の従業員とコミュニケーションを図りながら仕事ができ、時にはひとりのためのワーキングスペースとしても利用できるスペースで、カフェのような空間です。
オフィスラウンジは、従業員がリラックスできる空間でありながら、ひとりで黙々と集中して作業ができる空間でもあり、機能的なワーキングスペースといえます。
オフィスラウンジには、おしゃれでゆったりとできる家具や、落ち着いた色の照明、観葉植物などを置くと良いでしょう。
1on1スペース
1on1スペースとは、その名の通り1対1で向き合ってコミュニケーションが取れるスペースです。
1on1スペースは、机1つにイス2つで完成するため、比較的簡単に取り入れられます。
可能であれば、他の人に会話が聞かれないような、密室空間の1on1スペースを作れば、人に聞かれたくないような相談をするスペースとしても活用できます。
また、上司が部下の業務の進捗や悩みを把握するための定期的な「1on1ミーティング」を実施する場所としても活用でき、上司と部下の距離を縮めたい会社にもおすすめです。
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ミーティングスペース
ミーティングスペースと聞くと普通の会議室を思い浮かべるかもしれませんが、ABWで取り入れられるミーティングスペースは異なります。
近年では、オープンスタイルのミーティングスペースを取り入れる企業が多く、2人〜10人ほどの打ち合わせに快適なスペースです。
また、机とイスを組み替えることで人数に応じたミーティングスペースに変更することができます。
ただしオープンスタイルのスペースのため、人に聞かれてはいけない秘匿性の高い会話には適しません。
もし、大事な話をする場としても使用したい場合は、空調音のような背景音を部屋に流す「サウンドマスキングシステム」という音が漏れないシステムを導入すると良いでしょう。
Webミーティングブース
Webミーティングブースとは、オフィスで働く人と、リモートワークや外出先で働く人をWebでつないでミーティングを行うことができる場です。
ブース内には、大きなモニターや参加者を写すカメラが設置されており、全員がWebミーティングに入らなくても会議ができるような仕組みが特徴です。
リモートワークが普及した現代では、Webミーティングブースの利用頻度が高まっており、周囲の人を気にせずミーティングが行えます。
集中ブース
集中ブースとは、机とイスが1つずつ置かれた完全個人利用型のワーキングスペースです。
作業に集中したい時や、周囲に気を遣わずに仕事をしたい時に、使用するのがおすすめです。
ABWの導入手順
ABWの導入手順について確認してみましょう。
ABWの導入手順
- ABW導入の目的を設定する
- 現在のオフィス環境などを調査する
- オフィスレイアウトを考案する
- 既存の制度を見直す
- 環境整備を実施する
ABW導入の目的を設定する
ABWを導入する目的を明確にしましょう。
ABWというのはあくまで働く手段であり、それ自体が目的ではありません。
目的が明確になっていないままABWを導入しても、従業員は施設として利用するだけで、ABW本来の効果は得られない可能性があります。
例えば、「従業員に豊かな想像力を発揮してもらいたい」「コミュニケーションを活発にさせたい」などABWを導入することで、どのような会社作りを目指すのかを明確に設定しましょう。
現在のオフィス環境などを調査する
ABWを導入する目的が明確になったら、現在のオフィス環境と、従業員がどのようなオフィスや働く環境を望んでいるのか、意見を集める作業を行いましょう。
従業員からの意見を集める際は、「現在のオフィスで不便に思うことは?」「オフィスに必要な施設は?」など、オフィスに関わる内容と、「どういう働き方を望んでいるか?」などのワークスタイルについての質問をしましょう。
ABWはオフィスを変化させるためだけのものではなく、ワークスタイルや働く場所についても、従業員の意見を取り入れ、従業員が望む働き方を導入することが大切です。
従業員の意見を集める際は、人事制度や就業規則について従業員の意見を調査することができる「従業員サーベイ」や、職場環境に対する従業員の満足度が把握できる「社内アンケート」を実施するのがおすすめです。
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オフィスレイアウトを考案する
従業員からの意見を集約し、従業員が望むオフィスの施設が把握できた後は、実際のレイアウトを考案しましょう。
1on1スペース、ミーティングスペース、集中ブースは現在のオフィスレイアウトを少し改装すれば容易に確保できるかもしれません。
しかし、オフィスラウンジやWebミーティングブースはオフィスの大きな変更が必要になることもあるため、しっかりとレイアウト構築を行いましょう。
また、各施設の広さや大きさだけを検討するのではなく、従業員が落ち着いて仕事ができる環境や、機能的に活用できる設備の検討も同時に行うことが重要です。
既存の制度を見直す
オフィスレイアウトの検討と同時に、社内制度の見直しも行いましょう。
社内制度の見直しは、従業員からのアンケートで得た結果を基に、現在の制度の改良と新規制度の設定が必要です。
働き方によっては、従業員の業務進捗を確認できるツールやコミュニケーションツールを新たに導入する必要があるため、具体的な管理方法についても検討するようにしましょう。
人事制度の設計や見直しに
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従業員の業務進捗の管理
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環境整備を実施する
実際にABWを導入するための環境整備を行いましょう。
オフィスの改装や制度の整備、新規システムやツールの導入には時間がかかることもあります。
事前にスケジュールを立てて、段階を踏んで環境整備に取り組むようにしましょう。
ABWを導入するメリット
ABWを導入するメリットについて確認してみましょう。
ABWを導入するメリット
ワークライフバランスを実現できる
コスト削減につながる
生産性が向上する
モチベーションアップにつながる
質の高い人材確保ができる
ワークライフバランスを実現できる
ABWの最大の利点は、従業員の「ワークライフバランスを実現できる」点です。
働き方改革で、ワークライフバランスを重視する動きが始まっています。
ABWは、働く場所と時間に囚われない働き方を実現し、就業時間は仕事に集中し、就業後はプライベートを楽しむ時間に使え、ワークライフバランスの実現が課題となっている企業におすすめです。
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コスト削減につながる
ABWを導入することで、オフィスのコスト削減につながる場合があります。
ABWでは、働く場所をオフィスに限定しないため、オフィスを使用する際にかかる光熱費が削減できます。
また、オフィス以外で働く従業員が増えることで、現在のオフィスから規模を縮小することも可能です。
オフィスを借りている場合は、エリアを縮小し変更することで、大きなコスト削減につながるでしょう。
生産性が向上する
集中できる場所や業務が捗る場所は人それぞれです。
ABWは働く場所を限定しないため、従業員は集中力を高められる場所を自由に選択して業務に取り組むことができます。
またABWは、従業員ひとりひとりに主体性を持った仕事を意識させることもでき、業務管理や調整能力を持った従業員を育成できるかもしれません。
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モチベーションアップにつながる
従業員が自由な働き方を選択できることによって、会社や業務への満足度が上がり「従業員満足度」の向上が期待できます。
働く時間を自由に変更できることで、繁忙期には業務時間を増やし、閑散期に減らすなどの柔軟な勤務形態も実現可能です。
また、自分で考えたやり方で業務を遂行し、仕事がうまくいった場合、得られる達成感も大きくなり、仕事に対するモチベーションも上がるでしょう。
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質の高い人材確保ができる
ABWを導入することで従業員のモチベーションがアップすると、「働きやすい会社」という印象を求職者に与えることができます。
採用者募集の際に、多くの応募者が集まることで、より優秀な人材を選んで獲得できます。
また、自由な働き方や業務効率化システムを導入することで、従業員はより多くのタスクをこなせる質の高い従業員へと成長することができるでしょう。
こうしたサイクルが、次の優秀な人材確保にもつながり、会社全体として質の高い従業員が集まるようになるでしょう。
ABWのデメリット
ABWのデメリットと課題について確認してみましょう。
ABWのデメリット
準備や浸透に時間がかかる
働く場所が一定でないゆえのデメリットがある
仕組み自体を理解しないと生産性が向上しない
働く場所によっては思うような効果が得られない
準備や浸透に時間がかかる
ABWのデメリットは、準備から整備、新しい制度としての浸透までに時間を要する点です。
ABWはアイデアの考案やレイアウトの作成に多くの時間を費やしますが、従業員にとって働きやすい環境や働き方を整備するためには欠かせません。
ABWを取り入れる際は、スピードを重視するのではなく、「従業員の働く環境」に重心をおいて調整を進めるようにしましょう。
働く場所が一定でないゆえのデメリットがある
ABWを導入して自由な働き方を取り入れることで、業務の進捗状況や従業員の勤務時間を把握することが困難になります。
従業員が業務中であることはわかっていても、「どこで仕事をしているかわからない」といった事態を引き起こしかねません。
また、出社する機会が少なくなった従業員とは、日常的な会話が減ってしまうこともあり、業務管理や勤務管理には注意が必要です。
近年では、従業員の業務進捗を管理できるツールを提供している企業が豊富にあるので、ABW導入時にあわせて取り入れることをおすすめします。
管理職の業務負担を減らすためにも、業務進捗管理や勤務管理を簡単に行えるツールの活用を検討しましょう。
仕組み自体を理解しないと生産性が向上しない
ABWの導入に多くの時間とコストをかけたにもかかわらず、従業員にABWの導入意義や効果を理解してもらえなければ、従来どおりの働き方のままになってしまう場合があります。
働き方が変化しなければ、ABWのメリットや効果は得られません。
ABWを導入する際は、従業員にABWを導入する目的をしっかりと共有しておく必要があります。
また、ABWは従業員ひとりひとりが主体性を持った仕事をする必要があるため、個人で業務を管理できるような人材育成も進めましょう。
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働く場所によっては思うような効果が得られない
ABWは働く場所によっては、ABW本来の効果が得られない場合があります。
例えば、カフェを働く場所として設定した場合、リラックスした環境としては適した場所になるかもしれませんが、社外秘情報を含んだ資料の取り扱い業務には向きません。
また、1日の中で行う業務が変わるごとに働く場所を変更しなければいけない場合、業務を効率的に遂行できない可能性があります。
働き方が自由になった分、会社の顧客情報の管理や守らなければいけないルールの管理が困難になるため、注意が必要です。
ABWの導入は焦らず段階を踏んで
ABWとは、自分の気分や仕事内容に応じて働く場所と時間を自由に選択できる働き方です。
働き方改革によって、仕事をする時間と場所が大きく変化しようとしている日本でも、ABWを取り入れる企業が増えてきました。
ABWは、従業員が働きやすい場所で、自由な働き方ができ、「業務効率」と「モチベーションアップ」につながると考えられています。
一方で、ABWを導入する場合、従業員の業務管理や勤務管理、顧客情報の管理において注意が必要なため、あわせて管理ツールを導入する必要があります。
このように、ABWを導入する際には、従業員の意見の抽出、制度の設計と浸透、導入後の管理など、準備や新しい働き方の浸透に多くの時間を要します。
ABWを導入する際は、焦らずに1つずつ段階を踏んで進めて行くようにしましょう。
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