人材管理
2023/09/06
スラッシャー(スラッシュワーカー)の働き方とは?メリット・デメリットを解説
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
スラッシャーとは
スラッシャーとは、どのような働き方をしている人を指すのでしょうか。まずは言葉の意味と増えている背景を解説します。
スラッシャーの意味
スラッシャーとは、スラッシュキャリアを実践している人のことで「複数の肩書・仕事を持つ人」のことを指します。
- スラッシュキャリアとは
スラッシュキャリアとは、複数の肩書や仕事によってキャリアを形成していくことです。2007年にアメリカのジャーナリストMarci Alboher氏が著書で生み出した言葉です。
- スラッシャーの語源
語源は「/(スラッシュ)」から来ています。例えば、「人事/WEBライター/フォトグラファー」のように複数の仕事を「/(スラッシュ)」で区切ることから「スラッシャー」と呼ばれるようになりました。他に「スラッシュワーカー」とも呼ばれます。
スラッシャーが増加した背景
スラッシャーが増加した背景には
- 働き方の多様化
- 副業の解禁
- 価値観の変化
があります。
- 働き方の多様化
残業規制やリモートワークの導入などにより、企業の従業員の働き方の多様化が進んでいます。また、企業に属さずフリーランスとして働く人も増加しており、働く形も多様化しています。その多様化する働く形の1つがスラッシャーです。
- 副業の解禁
収入の増加や雇用不安の解消を求め、副業をしたいと考える割合が増加しています。それによって、これまで許可されていなかった副業を各企業が解禁し始めています。企業に勤めながらも他の仕事をすることが可能になり、スラッシャーが生まれやすくなりました。
- 価値観の変化
世代による価値観の変化もスラッシャーが増加している背景の1つです。特に「ミレニアル世代」と呼ばれる2000年以降に成人、就業した人たちは「1つの仕事への執着が少ない」という特徴があります。そのため、複数の仕事に興味を抱き、実際に仕事にしていく場合が増えているのです。
スラッシャーや副業、パラレルワークとの違い
副業や兼業、パラレルワークなど、スラッシャーと近い意味で使われている言葉がいくつかあります。ここではスラッシャーの意味の違いを解説します。
副業との違い
副業とは、本業を持っている人が、本業とは別の収入を得る仕事のことを指します。スラッシャーは複数の仕事を行う働き方をしている人を意味します。このように副業は仕事、スラッシャーは働く人を指すという違いがあります。
兼業との違い
兼業とは、本業となる仕事を複数掛け持ちしている状態を指します。副業との違いは、本業となる仕事を複数持っている点です。スラッシャーと意味は近いですが、兼業は状態を指し、スラッシャーは人を指すという違いがあります。
複業との違い
複業とは、複数の仕事を持つことを指します。スラッシャーと意味は近く、一般的に複業している人はスラッシャーである場合が多いです。
パラレルワーカーとの違い
パラレルワーカーとはパラレルキャリアを実践している人を指します。パラレルキャリアとは、本業を持ちながらもう1つのキャリアを築くことです。経済学者のピーター・ドラッカーが提唱しました。スラッシャーは本業を特定せずに複数のキャリアを同時に進めていくことに対して、パラレルキャリアは本業を特定しているという違いがあります。
企業がスラッシャーと働くメリット・デメリット
スラッシャーを雇用、または業務を委託することは企業にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
企業がスラッシャーと働くメリット
企業がスラッシャーと働くメリットは2つあります。
- 幅広い知識を持つ人材の視点を得る
- 採用競争力が高まる
それぞれ解説します。
- 幅広い知識を持つ人材の視点を得る
スラッシャーは複数の肩書・仕事を持った人材です。そのため複数の分野にわたる知識や経験を有しています。1つの分野内だけで物事を考えていると、視野が狭くなりがちですが、スラッシャーがいることによって多分野からの視点を得ることができます。これはイノベーション創発にもつながる大きなメリットです。複数の分野に渡って専門的な知識を持つスラッシャーと働くからこそ得られるメリットです。
- 採用競争力が高まる
複数の仕事をしているスラッシャーの活用は、副業や多様な働き方を認めることになります。この点をアピールすることで、優秀な人材の採用につなげることができます。また、働き方の多様性を認めることは従業員の待遇改善にもつながり、人材の流出を防ぐことも可能です。
企業がスラッシャーを活用する上では、副業規程等の整備が不可欠です。
企業がスラッシャーと働くデメリット
一方で、企業がスラッシャーと働くデメリットも2つあります。
- 人材が流出する恐れがある
- 専門家に比べ、専門性は低い傾向がある
- 人材が流出する恐れがある
スラッシャーは複数の仕事を持っているため、1つの仕事に対する執着が比較的少ないです。そのため、仕事にやりがいを感じなくなったり、待遇が悪化すると退職や契約の解除につながる恐れがあります。流出を防ぐためには、仕事のやりがいの創出や待遇改善を行うことが重要です。
- 専門家に比べ、専門性は低い傾向がある
スラッシャーは1つの分野に特化した専門家に比べると、専門性が低い傾向があります。そのため、非常に高い専門性が求められる仕事においてスラッシャーを活用すると、期待していたパフォーマンスが得られない場合があります。活用する人材に対して何を求めるのかを明確にしたうえで、依頼を行いましょう。
スラッシャーとして働くメリット・デメリット
複数の仕事を持ち、スラッシャーという働き方にはメリットとデメリットがあります。ここでは、実際にスラッシャーとして働いている私の経験を踏まえ、メリット・デメリットを解説します。
スラッシャーとして働くメリット
スラッシャーとして働くメリットは3つあります。
- 多様な専門性を持つことができる
- 収入の安定性を高めることができる
- 好きなことを仕事にできる
それぞれ解説します。
- 多面的に企業に貢献できる
複数分野のスキルや知見を持っているため、それらを駆使して多面的に企業に貢献することができます。そうすることで企業内で替えの効かない人材になることも可能です。また、フリーランスとして企業に関わっている場合、複数分野での業務受注もできるため売上向上につながります。
- 収入の安定性を高めることができる
複数の仕事を持つことは複数の収入源を持つことです。そのため、どれか1つの収入源を失ったとしても、他の収入源があることで収入を失ったり、大幅に収入を落とすことを避けることができます。これは収入源の数を増やせば増やすほど、安定性を高めることが可能です。
- 好きなことを仕事にできる
複数の仕事の中から好きな仕事を選ぶことができるため、好きなことを仕事にしやすいです。また、収入の安定性を得ることができるため、新しいことに挑戦しやすくなります。そして挑戦の結果、新たに仕事の範囲を広げる事も可能です。
スラッシャーとして働くデメリット
一方でデメリットも3つあります。
- 各分野の専門性を高めることが難しい
- ワークライフバランスの確保が難しい
- 専門性が低いとみられる可能性がある
それぞれ解説します。
- 各分野の専門性を高めることが難しい
複数分野のスキルや知識を得る必要があるため、1つの分野の専門性を高めるためには時間がかかります。そのため、携わるすべての分野において高いレベルでの専門性を身に着けることは難しいでしょう。特定分野の専門家に比べ、専門性は低くなってしまう場合もあります。
- ワークライフバランスを取ることが難しい
複数の仕事を行うことで労働時間が長くなってしまう場合があります。そのためプライベートの時間を確保することが難しくなりがちです。また、携わる分野が多くなるほど、各分野の勉強時間も必要になるためワークライフバランスを取ることが難しくなるでしょう。体調や家族への配慮などのプライベートの管理ができるよう仕事の調整は欠かさず行いましょう。
- 専門性が低いとみられる可能性がある
複数の肩書・仕事を持つため、1つの分野に関する専門性は低いとみられる可能性があります。実際、1つの専門性を高めている専門家に比べると専門性は低くなりがちです。複数の分野を掛け合わせて、専門性だけではなく独自性を出すことが重要になります。
【まとめ】人材管理・タレントマネジメントをカンタン・シンプルに
今回は、スラッシャー(スラッシュワーカー)について解説しました。
新しい働き方や副業の浸透に伴い、注目されているスラッシャーという働き方ですが、そこにはメリットとデメリットがあります。向き不向きもありますので自分がどういうキャリアを築きたいのかを考えて働き方を選びましょう。
スラッシャーには専門家にはない強みもあります。スラッシャーを上手く活用することで企業の業績向上につなげることも可能ですので活用も検討してみましょう。
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